1. 生涯
リチャード・ポーは、その生涯を通じて多岐にわたる演技活動を展開し、教育や軍務といった経験も積んでいる。
1.1. 出生と初期の人生
ポーは1946年1月25日にカリフォルニア州ポートラで生まれた。
1.2. 教育
1964年にピッツバーグ高校を卒業し、1967年にはサンフランシスコ大学を卒業した。
1.3. 軍務
ベトナム戦争時代にはアメリカ陸軍に勤務した経験を持つ。
2. 演技経歴
リチャード・ポーは、演劇、映画、テレビ、そして声優・ナレーションと、幅広い分野でその演技力を発揮してきた。
2.1. 演劇活動
ポーはブロードウェイで14作品に出演しており、その中にはトニー賞受賞作も含まれる。代表的な出演作には、オリジナル版の『M. ButterflyM. バタフライ英語』、『Our Country's Goodアワー・カントリーズ・グッド英語』、『The Pajama Gameパジャマ・ゲーム英語』、『Journey's Endジャーニーズ・エンド英語』、『All The Wayオール・ザ・ウェイ英語』などがある。また、2006年にはフォード劇場で上演された『クリスマス・キャロル』でエベネーザ・スクルージ役を演じた。
オフ・ブロードウェイでは、ポール・ラドニックの『Jeffrey (play)ジェフリー英語』やクリストファー・デュラングの『Why Torture Is Wrong... and the People Who Love Themなぜ拷問は間違っているのか...そしてそれを愛する人々英語』といった作品で役柄を創作した。
2.2. 映画・テレビ活動
ポーは数多くの映画やテレビシリーズに出演している。特にスタートレックでは、レナード・ニモイ、デフォレスト・ケリー、ジェームズ・ドゥーハン、マーク・レナード、ジョナサン・フレイクス、マリーナ・サーティス、アーミン・シマーマン、ジョン・デ・ランシーらと共に、3つの異なるシリーズで同一のキャラクターを演じた数少ない俳優の一人である。彼は『スタートレック:ザ・ネクスト・ジェネレーション』(1987年)、『スタートレック:ディープ・スペース・ナイン』(1993年)、『スタートレック:ヴォイジャー』(1995年)でグル・エヴェク役を演じた。
主な出演作品は以下の通り。
- 『Mystery Mansion (1983 film)ミステリー・マンション英語』(1984年) - アダム・ドレイク役
- 『7月4日に生まれて』(1989年) - VA病院のフランキー役
- 『Babes (TV Series)ベイブス英語』
- エピソード: "Pilot"(1990年) - タイローン役
- 『A Promise to Keepア・プロミス・トゥ・キープ英語』(1990年、テレビ映画)
- 『ロー&オーダー』
- エピソード: "Happily Ever After"(1990年) - 法医学者役
- エピソード: "Working Mom"(1997年) - マック・バーナム役
- 『Teamster Boss: The Jackie Presser Storyチームスター・ボス: ジャッキー・プレッサー物語英語』(1992年、テレビ映画) - ビショップ役
- 『The Night We Never Metその男の部屋、その女の家英語』(1993年) - バーテンダー役
- 『そりゃないぜ!? フレイジャー』
- エピソード: "Oops"(1993年) - チョッパー・デイヴ役
- エピソード: "Miracle on Third or Fourth Street"(1993年) - チョッパー・デイヴ役
- 『スタートレック:ザ・ネクスト・ジェネレーション』
- エピソード: "旅の終わり"(1994年) - グル・エヴェク役
- エピソード: "先制攻撃"(1994年) - グル・エヴェク役
- 『スタートレック:ディープ・スペース・ナイン』
- エピソード: "神を演じる者"(1994年) - グル・エヴェク役
- エピソード: "マキ: パート1"(1994年) - グル・エヴェク役
- エピソード: "法廷"(1994年) - グル・エヴェク役
- 『スピーチレス』(1994年) - トム役
- 『スタートレック:ヴォイジャー』
- エピソード: "ケアテイカー: パート1"(1995年) - グル・エヴェク役
- 『The 5 Mrs. Buchanans5人のブキャナン夫人英語』 - エド・ブキャナン役
- エピソード: "Clyde and Vivian and Ed and Malice"(1994年)
- エピソード: "Becoming a Buchanan"(1995年)
- エピソード: "Viv'acious"(1995年)
- 『Pride & Joy (TV series)プライド&ジョイ英語』
- エピソード: "Terror at 30,000 Feet"(1995年) - ハーブ役
- 『The Real Adventures of Jonny Questジョニー・クエストのリアルアドベンチャー英語』
- エピソード: "Ezekiel Rage"(1996年) - ドクター・スモールウッド役(声)
- 『The Prosecutorsプロセキューターズ英語』(1996年、テレビ映画) - ロイ・マリエロ役
- 『ピースメーカー』(1997年) - DOEハズマット技術者2役
- 『Now and Againナウ・アンド・アゲイン英語』
- エピソード: "There Are No Words"(2000年) - 提督役
- 『エド』
- エピソード: "Home Is Where the Ducks Are"(2000年) - ジム・ラドウィグ役
- エピソード: "Hidden Agendas"(2004年) - ダルトン・ロック役
- 『トランスアメリカ』(2005年) - ジョン役
- 『The Warrior Classザ・ウォーリアー・クラス英語』(2005年) - 治安判事役
- 『バーン・アフター・リーディング』(2008年) - ストレッチジムの客役
- 『Theresa Is a Motherテレサ・イズ・ア・マザー英語』(2012年) - ロイ・マクダーモット役
- 『人生の動かし方』(2013年) - ローンオフィサー3役
- 『Theresa Is a Motherテレサ・イズ・ア・マザー英語』(2015年公開) - ロイ・マクダーモット役
- 『Hot Airホット・エア英語』(2018年) - (声)
2.3. 声優・ナレーション
ポーはオーディオブックのナレーションも多数手掛けており、その功績は高く評価されている。コーマック・マッカーシーの小説『ブラッド・メリディアン』、『The Crossing (McCarthy novel)越境英語』、『Suttreeサトリー英語』、そしてダン・ブラウンの『天使と悪魔』のオーディオブック版でナレーションを担当した。
3. 受賞歴とノミネート
リチャード・ポーは、そのナレーション活動において数々の賞を受賞し、ノミネートされている。
2004年には『East Of Edenエデンの東英語』のナレーションでオーディー賞を受賞した。その他にも3度ノミネートされており、オーディオファイル・マガジンの「イヤホン賞」を頻繁に受賞している。
4. 評価と影響
リチャード・ポーは、その多才な演技力と幅広い活動を通じて、アメリカのエンターテイメント業界に確固たる足跡を残している。ブロードウェイでの数多くの出演は、彼が舞台俳優として高い評価を得ていたことを示しており、特にトニー賞受賞作品への参加は、その実力を裏付けている。また、スタートレックの複数の作品で同一キャラクターを演じたことは、SFファンにとって彼の存在を印象深いものにした。オーディオブックのナレーションにおける受賞歴は、彼の声の演技が聴覚芸術の分野でも傑出したものであることを証明している。ポーのキャリアは、舞台、映像、音声と多岐にわたり、それぞれの分野で質の高いパフォーマンスを提供し続ける、息の長い俳優としての評価を確立している。