1. 生涯
ヴィンセント・ヘイズ・ギャディスは、その生涯を通じて新聞記者、ラジオ局のライター兼編集者、そしてフリーランス作家として多様な職業活動を行いました。
1.1. 幼少期と家族
ギャディスはオハイオ州で、ティルデン・H・ギャディスとアリス・M・スミス夫妻の間に生まれました。私生活では、1947年7月14日にマーガレット・ペイン・レアと結婚しました。
1.2. 初期キャリア
1947年から1952年まで、彼はインディアナ州ワルシャワのラジオ局で新聞記者およびライター・編集者として働きました。その後、1952年から1959年まではインディアナ州エルクハートの日刊紙『エルクハート・トゥルース』で特集記事ライターを務めました。さらに、インディアナ州サウスベンドにあるスチュードベーカー・パッカード社およびメルセデス・ベンツ販売の広報ライターとしても活動しました。
1.3. フリーランス作家としての活動
1962年以降、ギャディスはフリーランス作家として独立し、主に超常現象や未解明現象に関する執筆活動に専念するようになりました。
2. 主要な活動と著作
ギャディスは、そのキャリアを通じて特に超常現象の分野で大きな影響を与え、数多くの著作を世に送り出しました。
2.1. 「バミューダトライアングル」用語の創始
ギャディスは、1964年2月に発行された雑誌『アルゴシー』のカバーストーリーとして掲載された自身の記事「The Deadly Bermuda Triangleザ・デッドリー・バミューダ・トライアングル英語」の中で、「バミューダトライアングル」というフレーズを初めて使用しました。この用語は、大西洋上にある特定の海域で航空機や船舶が消息を絶つとされる現象を指し、ギャディスはこの記事を通じて、この謎めいた海域に関する物語を広く大衆に知らしめました。
2.2. 超常現象の研究と大衆化
ギャディスは、異常現象や超常現象に対する深い関心を持ち、それらのテーマを大衆に知らしめる上で重要な役割を果たしました。彼の執筆スタイルは、著名な奇術師や超常現象研究者であるチャールズ・フォートのそれと類似していると評されています。ギャディスは、未解明な出来事や謎に焦点を当てた多くの物語や考察を書き、それらを自身の著作を通じて発表することで、これらのテーマを一般の読者の間で人気のあるものにしました。
2.3. 主要著作
ギャディスが執筆した主な書籍には以下のものがあります。
- 『Winona Lake: A Memory and A Visionウィノナ・レイク:ア・メモリー・アンド・ア・ヴィジョン英語』(1949年)
- 『Invisible Horizons: True Mysteries of the Seaインビジブル・ホライズンズ:トゥルー・ミステリーズ・オブ・ザ・シー英語』(1965年)
- 『Mysterious Fires and Lightsミステリアス・ファイアーズ・アンド・ライツ英語』(1967年)
- 『Wide World of Magicワイド・ワールド・オブ・マジック英語』(1967年)
- 『Strange World of Animals and Petsストレンジ・ワールド・オブ・アニマルズ・アンド・ペッツ英語』(1970年)
- 『The Curious World of Twinsザ・キュリアス・ワールド・オブ・ツインズ英語』(1972年)
- 『Courage in Crisis: Dramatic Tales of Heroism in the Face of Dangerカレッジ・イン・クライシス:ドラマティック・テイルズ・オブ・ヒーローイズム・イン・ザ・フェイス・オブ・デンジャー英語』(1973年)
- 『American Indian Myths and Mysteriesアメリカン・インディアン・ミスズ・アンド・ミステリーズ英語』(1977年)
- 『Gold Rush Ghostsゴールド・ラッシュ・ゴーストズ英語』(1990年)
3. 評価と批判
ギャディスの著作と主張は、広く大衆に受け入れられた一方で、その内容に対しては歴史家や懐疑論者から厳しい批判も寄せられました。
3.1. 主張に対する批判
ギャディスのバミューダトライアングルや人体自然発火現象に関する主張は、懐疑論者たちから「不正確で誤解を招く」として強く批判されました。批判者たちは、彼が提示する謎が実際には存在しないか、あるいは十分に説明可能な自然現象であるにもかかわらず、ギャディスがそれらを無視して「謎」として提示していると指摘しました。これにより、彼が事実に基づかない情報や裏付けのない仮説を広めているという見方が生まれました。
3.2. 著作に対する批判
彼の著作、特に『American Indian Myths and Mysteriesアメリカインディアンの神話と謎英語』は、ラトガース大学リビングストン・カレッジの歴史家ウィリアム・K・パワーズによって厳しく批判されました。パワーズは、この本を「とんでもなく、許しがたい本」と評し、その内容が「狂気じみた理論」や「エーリッヒ・フォン・デニケン的な妄想」に満ちていると述べ、歴史的な正確性を欠いていると指摘しました。
4. 死去
ヴィンセント・ヘイズ・ギャディスは1997年2月26日に、カリフォルニア州ユーレカでその生涯を終えました。