1. 来歴・初期キャリア
中道瞳は、幼少期にバレーボールと出会い、学生時代を通じてセッターとしての才能を開花させた。プロ入り後は東レアローズの正セッターとして、チームの黄金期を支える存在となった。
1.1. 出生と幼少期
中道瞳は1985年9月18日に京都府城陽市で生まれた。母がソフトボール選手というスポーツ一家の三姉妹の末妹として育つ。小学校2年生の時に友達に誘われてバレーボールを始め、小学5年次からはセッターに転向した。小学6年次には、ライオンカップでチームを3位入賞に導く活躍を見せた。この大会の準決勝では、後にチームメートとなる大山未希が所属するひまわりクラブと対戦し、敗れている。
1.2. 学生時代のバレーボール経歴
練習のために訪れた京都橘高校で、そのバレーボールの質の高さに感銘を受け、同校への入部を強く希望した。当時の三輪欣之監督からは、「中学時代によい戦績を残すように」というアドバイスを受け、それに応えるべく努力を重ねた。中学は地元の城陽市立城陽中学校に入学したが、満足に活躍する場が得られなかったため、伝手を頼って甲良町立甲良中学校にバレーボール留学を決意する。甲良中学校の3年次には、アクエリアスカップへの出場や近畿大会上位進出などの戦績を挙げた。
念願叶って京都橘高校に進学すると、2003年の春高バレーでチームはベスト4に進出。同年開催されたNEW!!わかふじ国体では、決勝で再び大山未希が擁する東京都(下北沢成徳高校)と対戦し、優勝を飾った。中道は高校時代を振り返り、「セッターとしてのゲームメイクやトスまわしなどを三輪監督に教わり、非常に感謝している」と述懐している。
1.3. 東レアローズ入団と初期の活躍
高校卒業後の2004年、東レアローズに入団した。同期には濱口華菜里や大山未希らがいる。入団当初から努力を重ね、2007年には正セッターの座を獲得した。その年、チームは天皇杯・皇后杯全日本選手権で優勝し、さらにV.プレミアリーグ2007-08シーズンで初のリーグ優勝を果たし、2冠を達成。中道自身もこのシーズンでベスト6賞を受賞した。
翌2008-09シーズンもチームの司令塔として東レアローズを牽引し、V.プレミアリーグで2連覇を達成。このシーズンと第58回黒鷲旗全日本男女選抜大会で、再びベスト6を受賞した。2009-10シーズンには、女子バレーボール史上初となるV.プレミアリーグ3連覇の快挙を成し遂げた。さらに2010年の日韓Vリーグトップマッチ、第59回全日本男女選抜大会でも優勝し、3冠を達成するなど、チームの黄金期を支える中心選手として活躍した。
2. 主要選手経歴
中道瞳は、東レアローズでの国内リーグでの数々の優勝に加え、日本代表としても国際大会でメダル獲得に貢献し、そのキャリアは引退と復帰の経験も含む多岐にわたる。
2.1. クラブ活動と国内リーグでの実績
中道瞳は2004年から2015年、そして2016年から2017年の間、東レアローズに所属し、チームの中心選手として数多くの国内タイトルを獲得した。

彼女の主なクラブ活動での実績は以下の通りである。
- 2007年: 国民体育大会バレーボール競技で優勝。
- 2007-08シーズン: 天皇杯・皇后杯全日本選手権で優勝、V.プレミアリーグで初優勝。
- 2008-09シーズン: V.プレミアリーグで2連覇を達成。
- 2009年: 黒鷲旗全日本男女選抜大会で優勝。
- 2009-10シーズン: V.プレミアリーグで女子史上初の3連覇を達成。
- 2010年: 黒鷲旗全日本男女選抜大会で優勝。
- 2011-12シーズン: V.プレミアリーグで優勝。
その他、2008年の国民体育大会では準優勝、2010-11シーズンと2012-13シーズンのV.プレミアリーグでは準優勝に貢献している。2013年度からは東レアローズの主将を務めた。
2.2. 日本代表としての活動と国際大会での実績
中道瞳は2010年から2014年まで日本代表として活動し、数々の国際大会に出場した。
- 2010年: 世界選手権に日本代表として出場し、銅メダル獲得に貢献した。
- 2011年: 若手選手主体で臨んだモントルーバレーマスターズで、日本チームを初の優勝に導き、自身も大会MVPを受賞した。同年11月のワールドカップにも出場し、主にセット後半の2枚替えで起用され、チームの4位入賞に貢献した。
- 2012年6月: ロンドンオリンピックの代表メンバーに選出された。同年8月のロンドンオリンピック準々決勝、対中国戦はフルセットの激戦となったが、リリーフサーバーとしてコートに入った中道がサービスエースを決めるなどの活躍で、日本を24年ぶりのベスト4進出に導いた。結果、日本はロンドンオリンピックで銅メダルを獲得した。
- 2013年: ロンドン五輪後から両足のアキレス腱痛を抱えていたが、リハビリを経て世界選手権アジア最終予選後の9月下旬に全日本チームに合流。同年開催されたワールドグランドチャンピオンズカップでは、日本代表の一員として銅メダルを獲得した。
2.3. 現役引退と選手復帰
中道瞳は2015年5月29日、一度目の現役引退を発表し、選手としてのキャリアを終えた。しかし、2017年1月19日、当時の東レアローズで故障者によるセッター不足というチーム事情により、選手として再登録された。これは一時的な復帰であり、同年5月には東レアローズを退団し、社業に専念することが発表された。
3. 指導者経歴
中道瞳は選手引退後、指導者の道に進み、2020-21シーズンより東レアローズのコーチとして復帰した。その後、2022-23シーズン終了をもって同チームを一度退団したが、2024年には東レアローズ滋賀のコーチとして再び復帰し、後進の指導にあたっている。
4. 受賞歴
中道瞳は選手キャリアを通じて、個人およびチームとして数々の栄誉に輝いている。
4.1. 個人受賞
- 2007-08シーズン: V.プレミアリーグ ベスト6
- 2008-09シーズン: V.プレミアリーグ ベスト6
- 2009年: 第58回黒鷲旗全日本選抜バレーボール大会 ベスト6
- 2009年: 第51回近畿総合選手権 MVP
- 2011年: モントルーバレーマスターズ MVP
- 2011-12シーズン: V.プレミアリーグ ベスト6
- 2013年: 第62回黒鷲旗全日本バレーボール選手権大会 ベスト6
- 2013年: ワールドグランドチャンピオンズカップ ベストセッター賞
4.2. チーム受賞
- 2007年: 国民体育大会バレーボール競技 優勝(東レアローズ)
- 2007-08シーズン: 天皇杯・皇后杯全日本選手権 優勝(東レアローズ)
- 2007-08シーズン: V.プレミアリーグ 優勝(東レアローズ)
- 2008年: 国民体育大会バレーボール競技 準優勝(東レアローズ)
- 2008-09シーズン: V.プレミアリーグ 優勝(東レアローズ)
- 2009年: 黒鷲旗全日本男女選抜大会 優勝(東レアローズ)
- 2009-10シーズン: V.プレミアリーグ 優勝(東レアローズ)
- 2010年: 黒鷲旗全日本男女選抜大会 優勝(東レアローズ)
- 2010-11シーズン: V.プレミアリーグ 準優勝(東レアローズ)
- 2011-12シーズン: V.プレミアリーグ 優勝(東レアローズ)
- 2012-13シーズン: V.プレミアリーグ 準優勝(東レアローズ)
4.3. 日本代表としての受賞
- 2010年: 世界選手権 銅メダル
- 2011年: モントルーバレーマスターズ 優勝
- 2011年: ワールドカップ 4位
- 2011年: アジア選手権 銀メダル
- 2012年: ロンドンオリンピック 銅メダル
- 2013年: ワールドグランドチャンピオンズカップ 銅メダル
5. 個人成績
V.プレミアリーグレギュラーラウンドにおける中道瞳の個人成績は以下の通りである。
シーズン | 所属 | 出場 | アタック | ブロック | サーブ | レセプション | 総得点 | 備考 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
試合 | セット | 打数 | 得点 | 決定率 | 効果率 | 決定 | /set | 打数 | エース | 得点率 | 効果率 | 受数 | 成功率 | ||||
2003/04 | 東レ | 18 | 32 | 0 | 0 | 0.0% | % | 0 | 0.00 | 39 | 1 | 2.56% | 6.5% | 0 | 0.0% | 1 | |
2004/05 | 27 | 72 | 7 | 3 | 42.9% | % | 0 | 0.00 | 88 | 0 | 0.00% | 4.5% | 0 | 0.0% | 3 | ||
2005/06 | 27 | 55 | 1 | 1 | 100.0% | % | 0 | 0.00 | 12 | 1 | 8.33% | 12.9% | 1 | 0.0% | 2 | ||
2006/07 | 27 | 95 | 21 | 5 | 23.8% | % | 4 | 0.04 | 209 | 4 | 1.91% | 9.4% | 3 | 0.0% | 13 | ||
2007/08 | 27 | 97 | 35 | 17 | 48.6% | % | 2 | 0.02 | 490 | 16 | 3.33% | 10.6% | 5 | 60.0% | 35 | ||
2008/09 | 27 | 106 | 33 | 18 | 54.5% | % | 5 | 0.05 | 447 | 18 | 4.03% | 11.2% | 5 | 20.0% | 41 | ||
2009/10 | 26 | 89 | 26 | 14 | 53.8% | % | 7 | 0.08 | 328 | 15 | 4.57% | 11.7% | 1 | 0.0% | 36 | ||
2010/11 | 26 | 92 | 20 | 9 | 45.0% | % | 4 | 0.04 | 314 | 6 | 1.91% | 7.6% | 2 | 0.0% | 19 | ||
2011/12 | 21 | 81 | 21 | 16 | 76.2% | % | 4 | 0.05 | 332 | 12 | 3.61% | 11.9% | 1 | 0.00% | 32 | ||
2012/13 | 26 | 101 | 18 | 9 | 50.0% | % | 5 | 0.05 | 321 | 6 | 1.87% | 9.4% | 0 | 0.0% | 20 | ||
2013/14 | 28 | 108 | 22 | 8 | 36.4% | % | 2 | 0.02 | 304 | 8 | 2.63% | 10.9% | 3 | 0.0% | 18 | ||
2014/15 | 19 | 63 | 13 | 5 | 38.5% | % | 1 | 0.02 | 171 | 1 | 0.58% | 5.6% | 2 | 0.0% | 7 | ||
2016/17 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0.0% | % | 0 | 0.00 | 0 | 0 | % | 0.0% | 0 | 0.0% | 0 |
6. 所属チーム遍歴
中道瞳が選手および指導者として所属したチームの遍歴は以下の通りである。
6.1. 選手時代
- 城陽市立深谷小学校(城陽ジュニアクラブ)
- 城陽市立城陽中学校
- 甲良町立甲良中学校
- 京都橘高等学校
- 東レアローズ(2004年 - 2015年、2016年 - 2017年)
6.2. 指導者時代
- 東レアローズ滋賀 コーチ(2020年 - 2023年、2024年 - )