1. オーバービュー
伊東純也(いとう じゅんや、イトウ ジュンヤ、1993年3月9日生まれ)は、神奈川県横須賀市出身のプロサッカー選手です。現在はリーグ・アンのスタッド・ランスに所属しており、主にウイングやフォワードとしてプレーしています。また、サッカー日本代表の一員としても活躍しています。
伊東は神奈川大学を卒業後、ヴァンフォーレ甲府でプロキャリアをスタートさせ、その後柏レイソルで日本のJリーグでの評価を確立しました。2019年にはベルギーのKRCヘンクへ移籍し、欧州の舞台で活躍。リーグ優勝やカップ戦優勝に貢献しました。2022年からはフランスのスタッド・ランスに所属し、リーグ・アンで重要な役割を担っています。
日本代表としては、2017年にA代表デビューを果たし、2022 FIFAワールドカップでは全試合に出場し、チームのベスト16進出に貢献しました。そのスピードとドリブル突破、豊富な運動量が特徴的なプレースタイルで知られています。
2024年には性加害疑惑が報じられ、一時的に日本代表を離脱しましたが、後に双方不起訴処分となり、同年9月には代表に復帰しました。
2. 個人情報とユースキャリア
伊東純也は1993年3月9日に神奈川県横須賀市で生まれました。身長は176 cm、体重は66 kgです。
小学校1年生の時に鴨居SCでサッカーを始めました。中学校入学前には横浜F・マリノスジュニアユースの入団テストを受けましたが不合格となり、中学時代は横須賀シーガルズジュニアユースでプレーしました。中学校卒業後は家庭の方針で公立高校に進学することを決め、神奈川県立逗葉高等学校に入学しました。高校の同級生には、当時横浜F・マリノスユースに所属し、在学中にプロデビューを果たした小野裕二がいました。高校のサッカー部では目立った成績は残せませんでしたが、複数の大学から推薦入学のオファーを受け、2011年に神奈川大学へ進学しました。大学の同級生には高木利弥がいます。
大学3年時の2013年には、関東大学サッカー2部リーグで20試合に出場して17得点を挙げ、得点王とベストイレブンを受賞しました。翌2014年には同リーグで10得点、12アシストを記録してアシスト王に輝き、2年連続でベストイレブンに選出されました。この活躍により、ヴァンフォーレ甲府とモンテディオ山形の2クラブから獲得オファーを受け、2014年9月に甲府への加入が内定しました。同年末には特別指定選手として甲府のトレーニングに帯同しました。当時甲府のスカウトを務めていた森淳は、予算規模の小さい甲府が鳴り物入りでプロ入りする選手を獲得するのは難しいため、将来性を感じる隠れた逸材を探していたと語っています。森は、伊東を初めて視察した大学1年時の流通経済大学とのリーグ戦で、途中出場した伊東のスピードに圧倒され、以後マークし続けたと語っています。森は、伊東の当時の技術は未熟だったものの、スピードはトレーニングで改善できない天性のものだと評価し、J1リーグの甲府であれば出場機会を得やすいと考え、獲得に至ったと説明しています。
3. クラブキャリア
伊東純也は、大学での活躍を経て、ヴァンフォーレ甲府でプロキャリアをスタートさせ、その後柏レイソルで日本のトップリーグでの地位を確立しました。欧州ではベルギーのKRCヘンク、フランスのスタッド・ランスでプレーしています。
3.1. ヴァンフォーレ甲府
2015年、伊東はヴァンフォーレ甲府に加入しました。同年3月14日、J1リーグ1stステージ第2節の名古屋グランパス戦でプロデビューを果たしました。Jリーグ初出場は2015年3月14日のJ1 1stステージ第2節名古屋グランパス戦(山梨中銀スタジアム)でした。同年5月2日の1stステージ第9節鹿島アントラーズ戦では初めてスターティングメンバーに起用され、後半2分にプロ初得点を記録しました。Jリーグ初得点は2015年5月2日のJ1 1stステージ第9節鹿島アントラーズ戦(県立カシマサッカースタジアム)でした。このシーズンは主にフォワードとしてリーグ戦30試合に出場し、4得点を記録しました。
3.2. 柏レイソル
2016年1月8日、伊東はJ1の柏レイソルへ完全移籍することが発表されました。シーズン前のキャンプでは、監督のミルトン・メンデスによりサイドバックにコンバートされましたが、開幕当初は右サイドバックとして出場していました。その後、下平隆宏への監督交代以降はウイングハーフやサイドハーフなど、より攻撃的なポジションで起用されるようになりました。1stステージ第8節の鹿島アントラーズ戦で移籍後初ゴールを決めました。2ndステージに入ると、ディエゴ・オリヴェイラ、クリスティアーノと共に3トップを形成し、最終的にリーグ戦合計7得点を記録しました。
2017年シーズンはリーグ戦全試合に出場し、自身初のサッカー日本代表にも選出されました。同年8月13日の第22節清水エスパルス戦では、自陣からドリブルで約70 mの距離を独走しゴールを決めるなど、計6得点を挙げ、Jリーグ優秀選手賞を受賞しました。
2018年シーズンもレギュラーとしてリーグ戦全34試合に出場し、引き続き日本代表にも選ばれ続けましたが、チームはリーグ戦17位でJ2降格となりました。
3.3. KRCヘンク

2019年2月、伊東はジュピラー・プロ・リーグのKRCヘンクに期限付き移籍することが発表されました。同年2月21日、UEFAヨーロッパリーグ決勝トーナメント1回戦のSKスラヴィア・プラハ戦で移籍後初出場を果たしました。続く24日のロイヤル・アントワープFC戦で途中出場からリーグ戦デビューを果たしました。同年3月17日の第30節SVズルテ・ワレヘム戦では、移籍後初得点を含む1ゴール1アシストの活躍を見せました。伊東は14試合に出場し、3ゴール2アシストを記録。ヘンクの8シーズンぶりとなるリーグ優勝に貢献しました。
2019年9月18日、UEFAチャンピオンズリーグ・グループステージのレッドブル・ザルツブルク戦にて先発出場し、CLデビューを果たしました。同年12月7日の第18節サークル・ブルッヘ戦にて、このシーズンリーグ戦初ゴールを決めました。2020年3月30日、ヘンクへの完全移籍が発表され、契約期間は3年となりました。2019-2020シーズンは公式戦37試合に出場し、6ゴール9アシストを記録しました。
2020年11月28日、第14節のサークル・ブルッヘ戦では、2試合連続となるゴールを決め勝利に貢献しました。2021年3月19日、第31節のスタンダール・リエージュ戦では2ゴールを決め、シーズン二桁得点に到達しました。同年4月25日のベルギーカップ決勝では先制ゴールを決め、クラブの8シーズンぶりの優勝に貢献しました。2020-2021シーズンは公式戦42試合に出場し、12ゴール16アシストを記録しました。
2021年10月18日、ヘンクと2024年までの契約延長を発表しました。同年10月31日の第13節SVズルテ・ワレヘム戦では1ゴール2アシストの活躍を見せました。
2021-2022シーズンは公式戦49試合に出場し、8ゴール21アシストを記録しました。リーグ戦では16アシストを記録しアシスト王に輝き、年間最優秀ゴール賞との2冠を達成しました。
3.4. スタッド・ランス
2022年7月29日、伊東はフランス1部のスタッド・ランスへの完全移籍が発表されました。同年8月28日、第5節のオリンピック・リヨン戦で移籍後初ゴールを決めました。同年10月23日にはオセール戦で決勝ゴールを決め、チームを2対1の勝利に導きました。
2023年8月12日に行われた2023-24リーグ・アン開幕戦のマルセイユ戦では、先制となる見事なゴールを決めましたが、チームは最終的に2対1で敗れました。
ニューヨーク・タイムズが発行するスポーツ紙「The Athletic」は2024年12月3日、2024-25シーズンにチーム内でチャンスを創出した割合の個人ランキングを発表し、伊東は欧州5大リーグでトップに立ちました。伊東はスタッド・ランスのチームチャンスのうち33.9%を創出していました。
4. 代表経歴
伊東純也は、ユース年代から日本代表に招集され、シニア代表ではFIFAワールドカップやAFCアジアカップなどの主要国際大会で活躍しています。
4.1. ユース年代代表
2015年11月、伊東はU-22日本代表候補合宿に初招集されました。2016年1月のAFC U-23選手権2016では予備登録メンバーに選出されました。同年6月のキリンチャレンジカップ・南アフリカ戦でU-23代表として初出場を果たしましたが、リオデジャネイロオリンピックのメンバーからは落選しました。
4.2. シニア代表
2017年11月29日、伊東はEAFF E-1フットボールチャンピオンシップ2017に挑む日本代表に初招集され、同年12月9日の北朝鮮戦で国際Aマッチ初出場を果たしました。
2018年9月11日、キリンチャレンジカップのコスタリカ戦で日本代表初ゴールを決めました。同年10月12日、キリンチャレンジカップのパナマ戦で日本代表として2試合連続となるゴールを決めました。
2019年10月10日、2022 FIFAワールドカップ・アジア2次予選のモンゴル戦にて3アシストを記録しました。2021年3月30日のモンゴル戦では2ゴール3アシストを記録し、5得点に絡む活躍を見せました。
森保一監督就任当初は堂安律の控えに甘んじることが多かったものの、アジア最終予選で遂にスタメンの座を奪取しました。2021年11月11日のベトナム戦で決勝ゴールを決めると、2022年2月1日のサウジアラビア代表戦まで歴代最多タイの最終予選4試合連続ゴールを記録しました。最終予選では4ゴール2アシストに加え、1度のPK獲得で、合計7ゴールに関与しました(最終予選での日本の得点数は12点であり、その半分以上に関与しました)。伊東は日本代表のFIFAワールドカップ出場に大きく貢献しました。
2022年11月1日、2022カタールW杯に臨む日本代表に選出されました。この大会では全試合に出場し、3戦目のスペイン戦ではプレスから堂安律の同点ゴールをアシストするなど、チームのベスト16進出に貢献しました。伊東自身に得点は生まれなかったものの、その貢献度は高く評価されました。
2024年1月から2月に開催されたアジアカップ2023のメンバーに招集され、グループステージ3戦全てに出場しましたが、性加害疑惑報道(詳細は後述)により大会途中で離脱しました。
性加害疑惑報道の影響により、同年3月と同年6月の代表戦のメンバーには招集されませんでしたが、同年9月の2026 FIFAワールドカップ・アジア最終予選よりメンバーに復帰しました。2024年9月5日の中国代表戦では、後半32分に右サイドの久保建英からのパスを受け、左足でシュート。相手に当たってコースが変わり、ゴールネットに吸い込まれ、7ヶ月ぶりの代表復帰戦で得点を決めました。
5. プレースタイル
伊東純也は、センターフォワード、右フォワード、右ウイングを主要なポジションとしています。彼の愛称は「IJ」や「イナズマ純也」です。利き足は右足です。スタッド・ランスでの背番号は7番です。
彼の最大の持ち味は、その圧倒的なスピードを生かした緩急をつけたドリブル突破です。このドリブルから精度の高いクロスやシュートを放つことを得意としています。また、守備時には積極的なプレスバックでカウンターを狙うなど、豊富な運動量も彼の特徴の一つです。
クラブではストライカーや2トップの一角として起用されることもありますが、日本代表では主に右フォワードなど、サイドアタッカーとして起用されています。伊東自身は「(センターフォワードだと)自分の持ち味は出せないかなと思う」と語っており、サイドアタッカーとしての役割に重点を置いているようです。
6. 通算記録
伊東純也のクラブおよび代表チームでの通算記録を以下に示します。
6.1. クラブ通算記録
クラブ | シーズン | リーグ | 国内カップ | リーグカップ | 大陸大会 | その他 | 合計 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ディビジョン | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | ||
ヴァンフォーレ甲府 | 2015 | J1リーグ | 30 | 4 | 2 | 0 | 6 | 0 | - | - | 38 | 4 | ||
柏レイソル | 2016 | J1リーグ | 33 | 7 | 2 | 0 | 6 | 0 | - | - | 41 | 7 | ||
2017 | J1リーグ | 34 | 6 | 4 | 0 | 4 | 0 | - | - | 42 | 6 | |||
2018 | J1リーグ | 34 | 6 | 1 | 1 | 0 | 0 | 6 | 2 | - | 41 | 9 | ||
合計 | 101 | 19 | 7 | 1 | 10 | 0 | 6 | 2 | - | 124 | 22 | |||
ヘンク (期限付き移籍) | 2018-19 | ベルギー・プロ・リーグ | 13 | 3 | 0 | 0 | - | 1 | 0 | - | 14 | 3 | ||
2019-20 | ベルギー・プロ・リーグ | 29 | 5 | 2 | 1 | - | 6 | 0 | 1 | 0 | 38 | 6 | ||
合計 | 42 | 8 | 2 | 1 | - | 6 | 0 | 1 | 0 | 52 | 9 | |||
ヘンク | 2020-21 | ベルギー・プロ・リーグ | 38 | 11 | 4 | 1 | - | - | 6 | 1 | 48 | 13 | ||
2021-22 | ベルギー・プロ・リーグ | 39 | 8 | 1 | 0 | - | 8 | 0 | 1 | 0 | 49 | 8 | ||
2022-23 | ベルギー・プロ・リーグ | 1 | 0 | - | - | - | - | 1 | 0 | |||||
合計 | 78 | 19 | 5 | 1 | - | 8 | 0 | 7 | 1 | 98 | 21 | |||
ランス | 2022-23 | リーグ・アン | 35 | 6 | 1 | 0 | - | - | - | 36 | 6 | |||
2023-24 | リーグ・アン | 31 | 3 | 0 | 0 | - | - | - | 31 | 3 | ||||
2024-25 | リーグ・アン | 17 | 4 | 0 | 0 | - | - | - | 17 | 4 | ||||
合計 | 83 | 13 | 1 | 0 | - | - | - | 84 | 13 | |||||
キャリア通算 | 334 | 63 | 17 | 3 | 16 | 0 | 21 | 2 | 8 | 1 | 396 | 69 |
6.2. 代表チーム通算記録
代表チーム | 年 | 出場 | 得点 |
---|---|---|---|
日本 | 2017 | 3 | 0 |
2018 | 4 | 2 | |
2019 | 10 | 0 | |
2020 | 3 | 0 | |
2021 | 9 | 5 | |
2022 | 13 | 2 | |
2023 | 8 | 4 | |
2024 | 8 | 1 | |
合計 | 58 | 14 |
:得点と結果は日本のゴール数を先に示し、スコア欄は伊東の各ゴール後のスコアを示す。
No. | 日付 | 会場 | 対戦相手 | スコア | 結果 | 大会 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2018年9月11日 | パナソニックスタジアム吹田、吹田、日本 | コスタリカ | 3-0 | 3-0 | キリンチャレンジカップ2018 |
2 | 2018年10月12日 | デンカビッグスワンスタジアム、新潟、日本 | パナマ | 2-0 | 3-0 | キリンチャレンジカップ2018 |
3 | 2021年3月30日 | フクダ電子アリーナ、千葉、日本 | モンゴル | 8-0 | 14-0 | 2022 FIFAワールドカップ・アジア2次予選 |
4 | 10-0 | |||||
5 | 2021年6月11日 | ノエビアスタジアム神戸、神戸、日本 | セルビア | 1-0 | 1-0 | 国際親善試合 |
6 | 2021年11月11日 | ミーディン国立競技場、ハノイ、ベトナム | ベトナム | 1-0 | 1-0 | 2022 FIFAワールドカップ・アジア3次予選 |
7 | 2021年11月16日 | スルタン・カーブース・スポーツコンプレックス、マスカット、オマーン | オマーン | 1-0 | 1-0 | 2022 FIFAワールドカップ・アジア3次予選 |
8 | 2022年1月27日 | 埼玉スタジアム2002、さいたま、日本 | 中国 | 2-0 | 2-0 | 2022 FIFAワールドカップ・アジア3次予選 |
9 | 2022年2月1日 | 埼玉スタジアム2002、さいたま、日本 | サウジアラビア | 2-0 | 2-0 | 2022 FIFAワールドカップ・アジア3次予選 |
10 | 2023年6月20日 | パナソニックスタジアム吹田、吹田、日本 | ペルー | 3-0 | 4-1 | キリンチャレンジカップ2023 |
11 | 2023年9月9日 | フォルクスワーゲン・アレーナ、ヴォルフスブルク、ドイツ | ドイツ | 1-0 | 4-1 | 国際親善試合 |
12 | 2023年9月12日 | セゲカ・アレーナ、ヘンク、ベルギー | トルコ | 4-2 | 4-2 | キリンチャレンジカップ2023 |
13 | 2023年10月17日 | ノエビアスタジアム神戸、神戸、日本 | チュニジア | 2-0 | 2-0 | キリンチャレンジカップ2023 |
14 | 2024年9月5日 | 埼玉スタジアム2002、さいたま、日本 | 中国 | 5-0 | 7-0 | 2026 FIFAワールドカップ・アジア3次予選 |
7. 受賞歴
伊東純也の選手キャリアにおけるチームタイトルと個人受賞歴は以下の通りです。
7.1. チームタイトル
- KRCヘンク**
- ジュピラー・プロ・リーグ: 2018-19
- ベルギーカップ: 2020-21
- ベルギー・スーパーカップ: 2019
7.2. 個人タイトル
- 関東大学サッカー2部リーグ ベストイレブン: 2013年、2014年
- 関東大学サッカー2部リーグ 得点王: 2013年
- 関東大学サッカー2部リーグ アシスト王: 2014年
- Jリーグ優秀選手賞: 2017年
- ジュピラー・プロ・リーグ ベストイレブン: 2020-21
- JPFAアワード・ベストイレブン: 2022年、2023年、2024年
8. 私生活
2021年11月23日、伊東純也は自身のInstagramで一般女性との結婚を発表しました。
9. 論争
2024年1月に伊東純也に性加害疑惑が報じられ、その後の調査と法的手続き、そして選手キャリアや社会に与えた影響について以下の事実が明らかになっています。
9.1. 性加害疑惑の提起
2024年1月31日、週刊誌『週刊新潮』は、伊東純也と彼の専属トレーナーによる性加害疑惑を報じました。記事によると、2023年6月21日にサッカー日本代表がペルーと対戦した後、大阪市内のホテルで2人の女性を酒に酔わせ、同意を得ないまま性行為に及んだとされる内容でした。女性らは姦通(いわゆる不倫)および準強制性交等罪の疑惑があるとして、2023年7月13日の刑法改正で強制性交等罪が不同意性交等罪となったものの、本事案は2023年6月21日の出来事であるため旧罪での告訴がなされました。2024年1月18日に大阪府警天満警察署に刑事告訴状を提出し、受理されました。
伊東側は2023年11月より弁護士を通じて女性側と協議していましたが、伊東側の弁護士は「弁護方針が折り合わなかった」として2024年1月までに代理人を辞任しました。ジャーナリストの小川泰平が加藤にインタビューしたところによると、過去に協議していたのは伊東本人ではなくマネージャーとA子とのトラブルであり、伊東自身は一切関与していなかったとしています。伊東は1月27日に弁護士を加藤博太郎に変更しました。当初、伊東側は「性的同意はあった」と主張していましたが、加藤弁護士に代わってからは「性交そのものがなかった」と主張を転換しました。また、「金銭による示談」などを提示しましたが、合意には至りませんでした。
9.2. 代表メンバーからの離脱
『週刊新潮』の報道を受け、伊東は2024年1月31日に行われたアジアカップ決勝トーナメント1回戦のバーレーン戦には出場せず、翌2月1日の全体練習にも参加しませんでした。JFAは2月1日に伊東の日本代表離脱を発表しました。一度は翌2月2日未明に発表を訂正し離脱しないとしましたが、その後協議を重ねた結果、同日午後に「本人の心身のコンディションを考慮した結果」として再び離脱が発表されました。
9.3. スポンサー企業の対応
この報道により、伊東純也が契約していたスポンサー企業は以下の対応を取りました。
- JFAメジャーパートナーのクレディセゾンは、伊東が出演する広告やCM、ニュースリリースなどを全て削除しました。
- JFAスポンサー企業のアンファーは、公式Xでの伊東関連の投稿を全て削除しました。
- 伊東の専属契約企業であるプーマは、公式ウェブサイトから伊東の名前と画像を削除しました。
9.4. スタッド・ランスの対応
伊東が日本代表を離脱する中、所属クラブであるスタッド・ランスは異なる姿勢を見せました。2024年2月1日、スタッド・ランスは伊東に関して「日本人ストライカーの人間的な資質と振る舞いに対して、スタッド・ランスはこれまで一度も疑問視したことはありません」とコメントしました。ジャン=ピエール・カイヨ会長も「私は推定無罪にこだわる。私には彼を信じない理由がない」とコメントし、伊東を擁護しました。伊東は日本代表離脱から9日後の2月11日から、スタッド・ランスの試合に先発出場し、その後も最終節まで出場を続け、アシスト数でリーグ・アン2位の好成績を残しました。また、2024年7月にスタッド・ランスが行った日本ツアーにも伊東は帯同し、ジュビロ磐田、清水エスパルス、FC町田ゼルビア、ヴィッセル神戸との全4試合に出場しました。
9.5. 伊東側の対応
2024年2月1日、伊東の弁護団は、女性らに対して虚偽告訴容疑で大阪府警に刑事告訴状を提出しました。翌2月2日、伊東の代理人弁護士である加藤博太郎は、『週刊新潮』の記事にある伊東と専属トレーナーの性的行為自体が全くなく、性的同意の有無以前の「でっち上げ」であると主張しました。加藤弁護士は、伊東と専属トレーナーが女性2人とホテルの部屋で一夜を過ごしたことは認めたものの、週刊新潮が報じた性加害については否定しました。女性側の主張を否定する証拠として、「(被害を訴えている)女性がホテルの一室で、サッカー用のジャージを着て熟睡する様子」を撮影した動画や、「純也さんにいい思いさせてあげる会なのかな」などと女性がマネージャーに送ったLINEメッセージを提示して反論しました。
2024年2月19日、伊東の弁護団は、虚偽告訴により名誉を傷つけられたとして、女性2人に約2.00 億 JPYの損害賠償を求める民事訴訟を大阪地方裁判所に提訴しました(このうち伊東に関わる金額が約2.00 億 JPY、専属トレーナーに関わる金額が約243.30 万 JPYです)。伊東側の弁護士は、提訴理由について「日本のサッカー界にとって極めて大事な試合の中で、女性らが告訴を行い、週刊誌に報じさせた。客観的、外形的に事実に基づいていない告訴が行われたと考えている」と説明しました。訴状には「当日は試合中に腰を怪我し、肉離れによる股関節痛もあって歩行すら容易ではない状態だったため、性行為に及ぶことは客観的に到底不可能である」とする旨が書かれていたとされます。また、民事訴訟の提訴が遅れた理由について、原告側の告訴状に記載されていた女性の住所に女性が住んでおらず、住民票も取得できなかったため提訴に時間を要したとしました。
2024年7月29日、伊東は女性2人と週刊新潮編集部の編集者ら計5名に対する名誉毀損容疑などの告訴状を東京地方検察庁に提出しました。告訴状では「性的暴行の事実は存在せず、記事は真実ではない。取材も明らかに不十分だ」と主張しました。
9.6. 刑事告訴(双方不起訴処分、検察審査会へ)
大阪府警は2024年1月18日までに女性2人の告訴状を、2024年2月1日までに伊東の告訴状を受理しました。2024年7月2日、大阪府警は準強制性交致傷容疑で伊東を、虚偽告訴容疑で女性2人を大阪地方検察庁に書類送検しました。大阪府警は、両者に起訴を求めない意見を付けたとみられています。
2024年8月9日、大阪地方検察庁は、伊東および女性2人の双方を嫌疑不十分で不起訴としました。大阪地検は「必要かつ十分な捜査をしたが起訴するに足りる証拠を収集できなかった」としています。伊東は弁護士を通じて「一貫して絶対に罪を犯していないと言ってきましたので、不起訴の判断にほっとしています」とコメントしました。また、サッカー日本代表監督の森保一は「よりハードルはなくなった」として、9月に始まる2026 FIFAワールドカップ・アジア最終予選の日本代表への招集に前向きな姿勢を見せました。
伊東および女性2人の双方とも、不起訴処分は不当だとして2024年9月20日に大阪検察審査会に審査を申し立てました。
9.7. 代表メンバーへの復帰
2024年8月29日、同年9月に行われる2026 FIFAワールドカップ・アジア最終予選の招集メンバーの発表が行われ、伊東の日本代表への復帰が発表されました。サッカー日本代表ナショナルチームダイレクターの山本昌邦は「メンバーを決めるのは監督の専権事項でありますので、監督が選ぶというところと、起訴、不起訴ということが理由ではありません」と述べました。また、サッカー日本代表監督の森保一は「彼がスタッド・ランスの選手としてジャパンツアーをして、日本でプレーしていた時にそこにおられるメディアの皆さんを含めて、サポーターの、国民の皆さんが温かく、プレーできる環境があったということで、彼もプレーできる、チームとして活動できるということで判断させていただきました」と述べ、復帰の理由を説明しました。
10. 所属クラブとキャリア年表
伊東純也が所属したクラブと、その期間は以下の通りです。
- 1999年 - 2004年: 鴨居SC(横須賀市立小原台小学校)
- 2005年 - 2007年: 横須賀シーガルズジュニアユース(横須賀市立鴨居中学校)
- 2008年 - 2010年: 神奈川県立逗葉高等学校
- 2011年 - 2014年: 神奈川大学
- 2014年: ヴァンフォーレ甲府(特別指定選手として帯同)
- 2015年: ヴァンフォーレ甲府
- 2016年 - 2020年: 柏レイソル
- 2019年 - 2020年: →KRCヘンク(期限付き移籍)
- 2020年 - 2022年7月: KRCヘンク
- 2022年7月 - 現在: スタッド・ランス
11. 外部リンク
- [http://www.reysol.co.jp/team/players/2016/14.php 柏レイソル 公式プロフィール]
- [https://data.j-league.or.jp/SFIX04/?player_id=13980 Jリーグ 公式プロフィール]
- [https://twitter.com/itoujky 伊東純也 公式X]
- [https://www.instagram.com/1409junya/ 伊東純也 公式Instagram]
- [https://www.instagram.com/itoujunya0309/ 伊東純也 旧公式Instagram]