1. 経歴
大堀彩の競技人生は、幼少期にバドミントンを始めたことに始まり、高校時代での国際大会での活躍、そしてプロとしてのキャリア形成、所属チームの移籍、さらには長年の選手生活を経ての引退に至るまで、時系列で大きな節目を迎えてきた。
1.1. 生い立ちと教育
大堀彩は1996年10月2日に福島県会津若松市で生まれた。バドミントンを始めたのは6歳の時である。彼女の父親である大堀均は、元福島県立富岡高等学校バドミントン部の監督を務め、現在はトナミ運輸バドミントン部の女子コーチとして指導にあたっている。
大堀は富岡町立富岡第一中学校を卒業後、福島県立富岡高等学校に進学した。高校在学中からその才能は際立っており、後のキャリアの基盤を築いた。
1.2. 初期キャリアと所属チーム
高校2年生であった2013年、アジアユースU19バドミントン選手権大会の女子シングルスに出場し、この種目で日本人選手として初めて優勝を飾った。この快挙は、彼女の将来を嘱望されるきっかけとなった。
高校卒業後の2015年、バドミントンの強豪チームであるNTT東日本に入社し、プロ選手としてのキャリアをスタートさせた。しかし、NTT東日本の男子チームで違法カジノ問題が発生したことを受け、2016年5月1日付でトナミ運輸バドミントン部に移籍した。以降、彼女はトナミ運輸の所属選手として活躍を続けた。2018年からはバドミントン日本代表のナショナルチームA代表に選出され、日本のトップ選手として国際舞台での活躍が期待された。
1.3. 引退
2024年11月8日、大堀彩は同年末での現役引退を自身のSNSを通じて発表した。最後の大会となったBWFワールドツアーファイナルズからの帰国後には、「最後までやり切って、本当にスッキリした気持ち。最高の形で引退できたことが本当に嬉しい」とコメントし、22年間の競技人生を悔いなく終えたことを明かした。正式な引退日は2024年12月15日であった。
2. プレースタイルと人物
大堀彩は左利きであり、そのプレースタイルは、粘り強く相手のミスを誘うスタイルが特徴である。身長は169 cm、体重は59 kgである。性格的には「負けず嫌い」な一面を持っており、これが競技において彼女を支える精神的な強さとなっている。血液型はA型である。
彼女の生涯戦績は251勝164敗を記録しており、最高世界ランキングは7位(2024年12月17日付)、最高日本ランキングは2位であった。また、その容姿から「美人選手」として知られ、特に若者層からの人気が高い。個人的な経験として、東日本大震災を経験しており、彼女自身も「震災を境に精神的に強くなった」と語るほど、この出来事が彼女の人生に大きな影響を与えた。
3. 主な戦績
大堀彩は、ジュニア時代からシニアに至るまで、個人戦および団体戦において数々の国際大会で顕著な成績を収めてきた。特に、世界ジュニア選手権やアジアユースU19選手権ではメダルを獲得し、シニアではBWFワールドツアーやグランプリで優勝を飾り、アジア競技大会やユーバー杯などの団体戦でも日本代表として貢献した。
3.1. ジュニア大会での戦績
大堀彩は、ジュニア時代から数々の国際大会で優れた成績を残した。
年 | 大会 | 成績 | 種目 | 開催地 | 対戦相手 | スコア |
---|---|---|---|---|---|---|
2012年 | 世界ジュニアバドミントン選手権大会 | 銅メダル | 女子シングルス | 千葉ポートアリーナ、千葉県千葉市、日本 | 山口茜やまぐちあかね日本語 | 21-17, 10-21, 15-21 |
2012年 | 世界ジュニアバドミントン選手権大会 | 銀メダル | 混合団体 | 千葉ポートアリーナ、千葉県千葉市、日本 | (混合チーム戦) | - |
2012年 | アジアユースU19バドミントン選手権大会 | 金メダル | 混合団体 | 金泉市、韓国 | (混合チーム戦) | - |
2013年 | 世界ジュニアバドミントン選手権大会 | 銀メダル | 女子シングルス | ホアマーク・インドア・スタジアム、バンコク、タイ | 山口茜やまぐちあかね日本語 | 11-21, 13-21 |
2013年 | アジアユースU19バドミントン選手権大会 | 金メダル | 女子シングルス | コタキナバル、マレーシア | Busanan Ongbamrungphanブサナン・オンバムルンパンタイ語 | 21-11, 16-21, 21-13 |
2013年 | アジアユースU19バドミントン選手権大会 | 銅メダル | 混合団体 | コタキナバル、マレーシア | (混合チーム戦) | - |
2013年 | 東アジア競技大会 | 銅メダル | 女子シングルス | 天津、中国 | 韓利 | 16-21, 7-21 |
2013年 | 東アジア競技大会 | 銅メダル | 女子団体 | 天津、中国 | (女子チーム戦) | - |
2014年 | 世界ジュニアバドミントン選手権大会 | 銅メダル | 女子シングルス | アロースター、マレーシア | 何冰嬌 | 13-21, 19-21 |
2014年 | 世界ジュニアバドミントン選手権大会 | 銅メダル | 混合団体 | アロースター、マレーシア | (混合チーム戦) | - |
2014年 | アジアユースU19バドミントン選手権大会 | 銅メダル | 混合団体 | 台北、台湾 | (混合チーム戦) | - |
3.2. シニア個人戦での戦績
シニアの国際個人戦トーナメントでは、BWFワールドツアーやBWFグランプリなどでタイトルを獲得している。
BWFワールドツアーは、BWFが承認するエリートバドミントン大会のシリーズであり、2017年3月19日に発表され、2018年から実施されました。BWFワールドツアーは、ワールドツアーファイナルズ、スーパー1000、スーパー750、スーパー500、スーパー300(HSBCワールドツアーの一部)、BWFツアー・スーパー100の各レベルに分かれている。
BWFグランプリは、BWFが承認するバドミントン大会のシリーズで、2007年から2017年まで開催され、グランプリとグランプリゴールドの2つのレベルがあった。
年 | 大会 | レベル | 成績 | 対戦相手 | スコア |
---|---|---|---|---|---|
2013年 | ロシアオープン | BWFグランプリ | 優勝 | Ksenia Polikarpova | 21-5, 21-10 |
2014年 | ロシアオープン | BWFグランプリ | 優勝 | 内田志津香うちだしづか日本語 | 21-19, 21-4 |
2014年 | ベトナムオープン | BWFグランプリ | 準優勝 | 奥原希望おくはらのぞみ日本語 | 15-21, 11-21 |
2015年 | ポルトガルインターナショナル | BWFインターナショナルシリーズ | 準優勝 | 髙橋沙也加たかはしさやか日本語 | 13-21, 14-21 |
2016年 | ニュージーランドオープン | BWFグランプリゴールド | 準優勝 | 成池鉉 | 15-21, 17-21 |
2016年 | タイオープン | BWFグランプリゴールド | 優勝 | Busanan Ongbamrungphanブサナン・オンバムルンパンタイ語 | 25-23, 21-8 |
2017年 | タイマスターズ | BWFグランプリゴールド | 準優勝 | Busanan Ongbamrungphanブサナン・オンバムルンパンタイ語 | 18-21, 16-21 |
2017年 | チャイナマスターズ | BWFグランプリゴールド | 優勝 | 川上紗恵奈かわかみさえな日本語 | 21-9, 9-21, 21-18 |
2017年 | 全米オープン | BWFグランプリゴールド | 優勝 | ミシェル・リー | 21-11, 21-19 |
2018年 | ヨネックス / K&Dグラフィックス・インターナショナル | BWFインターナショナルチャレンジ | 優勝 | Talia Ng | 21-6, 21-7 |
2022年 | アジア競技大会 | BWFワールドツアー | 銅メダル | 陳雨菲 | 21-18, 10-21, 8-21 |
2024年 | タイマスターズ | スーパー300 | 優勝 | Supanida Katethong | 18-21, 21-17, 21-13 |
2024年 | オーストラリアオープン | スーパー500 | 優勝 | Ester Nurumi Tri Wardoyo | 17-21, 21-19, 21-16 |
3.3. シニア団体戦での戦績
大堀彩は、日本代表チームの一員として、数々の主要なシニア団体戦でもメダル獲得に貢献した。
年 | 大会 | 成績 | 種目 | 開催地 |
---|---|---|---|---|
2016年 | ユーバー杯 | 銅メダル | 女子団体 | 昆山市、中国 |
2018年 | バドミントンアジア団体選手権大会 | 金メダル | 女子団体 | アロースター、マレーシア |
2018年 | アジア競技大会 | 金メダル | 女子団体 | ジャカルタ-パレンバン、インドネシア |
2019年 | バドミントンアジア混合団体選手権大会 | 銀メダル | 混合団体 | 香港 |
2020年 | バドミントンアジア団体選手権大会 | 金メダル | 女子団体 | マニラ、フィリピン |
2020年 | ユーバー杯 | 銀メダル | 女子団体 | オーフス、デンマーク |
2022年 | アジア競技大会 | 銅メダル | 女子団体 | 杭州市、中国 |
2024年 | バドミントンアジア団体選手権大会 | 銅メダル | 女子団体 | セランゴール州、マレーシア |
2024年 | ユーバー杯 | 銅メダル | 女子団体 | 成都市、中国 |
4. メディア出演
大堀彩は、その活躍から複数のテレビ番組にも出演している。
- ミライ☆モンスター(2014年5月11日・8月31日、2015年5月3日、2017年1月8日、フジテレビ)