1. 生涯と初期キャリア
安川有は、幼少期から学生時代にかけて福岡県でサッカーキャリアを積み、大学では中心選手として活躍し、プロサッカー選手への道を切り開いた。
1.1. 幼少期とユースクラブ時代
安川有は福岡県福岡市で1988年5月24日に生まれた。彼は地元のわかばFCでサッカーを始め、その後2004年から2006年までJリーグクラブであるアビスパ福岡の下部組織であるユースチームに所属した。アビスパ福岡ユース在籍中の2004年には、1学年下の鈴木惇と共に、日本サッカー協会が優秀な若手選手を育成するために実施するナショナルトレセンU-16に選出されるなど、その才能を早くから注目されていた。
1.2. 大学時代
2007年、安川有は同志社大学に進学し、同大学のサッカー部に所属した。大学での同期には、後にプロサッカー選手となる荒堀謙次や林佳祐がいる。大学4年時の2010年には、デンソーカップチャレンジサッカーの関西選抜チームに選出され、大学サッカー界での評価を確立した。同年、同志社大学サッカー部は関西学生サッカー選手権大会で14年ぶりとなる優勝を達成し、安川自身も関西学生サッカーリーグにおいて大会優秀選手賞を受賞するなど、チームの成功に大きく貢献した。
2. プロクラブキャリア
安川有はプロサッカー選手として、大分トリニータと松本山雅FCの2クラブで活躍した。
2.1. 大分トリニータ
2011年、安川有はJ2に所属する大分トリニータに加入し、プロとしてのキャリアをスタートさせた。当時の監督である田坂和昭の抜擢により、開幕節のFC岐阜戦でいきなりスターティングメンバーとして起用され、プロデビューを飾った。翌2012年には、チームの守備の要として3バックの一角を担い、J1昇格プレーオフの2試合にフル出場し、合計180分間を無失点に抑える堅守を見せた。この貢献により、大分トリニータは4年ぶりにJ1への復帰を果たした。
2013年、安川は自身初のJ1の舞台でリーグ戦24試合に出場し、プロ入り後初得点も記録した。この初得点は、同年3月9日の第2節川崎フロンターレ戦(国立競技場)で挙げたものである。チームはリーグ最下位に沈み、再びJ2への降格となったが、安川は翌年も契約を更新し、チームに残留した。2014年からは、従来のセンターバックに加え、左サイドバックとしても起用されるようになった。2015年には、年間を通して安定したパフォーマンスを見せ、公式戦でキャリア最多となる37試合に出場したが、チームはJ3リーグへの降格を喫した。
2.2. 松本山雅FC
2016年、安川有はJ2の松本山雅FCに完全移籍した。移籍2年目の2017年には、リーグ戦21試合に出場し、自己最多となる4得点を記録した。松本山雅FCでの3年目にあたる2018年には、チームはJ2リーグで優勝を経験したが、安川自身はこのシーズン限りで契約満了となり、松本山雅FCを退団した。
3. キャリア成績
安川有のプロキャリアにおける公式戦出場記録と得点記録を以下に示す。この表における「その他」の公式戦には、J1昇格プレーオフやJ2・J3入れ替え戦が含まれる。
クラブ成績 | リーグ戦 | 天皇杯 | リーグカップ | その他 | 合計 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
シーズン | クラブ | リーグ | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | |
日本 | リーグ戦 | 天皇杯 | Jリーグカップ | その他 | 合計 | ||||||||
2011 | 大分 | J2 | 19 | 0 | 0 | 0 | - | - | 19 | 0 | |||
2012 | 26 | 0 | 1 | 0 | - | 2 | 0 | 29 | 0 | ||||
2013 | J1 | 24 | 2 | 1 | 0 | 4 | 0 | - | 29 | 2 | |||
2014 | J2 | 31 | 2 | 1 | 0 | - | - | 32 | 2 | ||||
2015 | 36 | 0 | 1 | 0 | - | 2 | 0 | 39 | 0 | ||||
2016 | 松本 | 5 | 0 | 1 | 0 | - | - | 6 | 0 | ||||
2017 | 21 | 4 | 0 | 0 | - | - | 21 | 4 | |||||
2018 | 5 | 0 | 0 | 0 | - | - | 5 | 0 | |||||
J1通算 | 24 | 2 | 1 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 29 | 2 | |||
J2通算 | 143 | 6 | 4 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 151 | 6 | |||
総通算 | 167 | 8 | 5 | 0 | 4 | 0 | 4 | 0 | 180 | 8 |
3.1. 出場歴
安川有のプロキャリアにおける主な出場および得点記録は以下の通りである。
- J1初出場 - 2013年3月2日 J1第1節 FC東京戦(大分銀行ドーム)
- J1初得点 - 2013年3月9日 J1第2節 川崎フロンターレ戦(国立競技場)
- J2初出場 - 2011年3月6日 J2第1節 FC岐阜戦(岐阜メモリアルセンター長良川競技場)
- J2初得点 - 2014年4月26日 J2第9節 カターレ富山戦(大分銀行ドーム)
4. プレースタイル
安川有は、主にディフェンダーとしてプレーし、その身体能力と技術的な特徴を活かしてチームに貢献した。
彼の身体的特徴としては、身長が183 cm、体重が73 kgであった。最大の武器の一つは、ワンステップで正確なボールを蹴り出せる左足のキックである。これにより、後方からのビルドアップや、ロングパスによる攻撃の起点となることができた。また、恵まれた体躯を活かした打点の高いヘディングも得意としており、セットプレーの守備や攻撃において重要な役割を担った。加えて、90分間走り切れる豊富なスタミナも持ち味であり、試合を通して攻守にわたって貢献し続けることができた。
5. タイトル
安川有は、プロキャリアおよび大学サッカーにおいて、いくつかのチームタイトルと個人タイトルを獲得している。
5.1. クラブタイトル
- 同志社大学
- 関西学生サッカー選手権大会:1回(2010年)
- 松本山雅FC
- J2リーグ:1回(2018年)
5.2. 個人タイトル
- 関西学生サッカーリーグ 大会優秀選手賞:1回(2010年)
6. 代表・選抜歴
安川有は、若年層における代表・選抜チームにも選出された経験がある。
- 2004年:U-16ナショナルトレセン
- 2010年:関西大学選抜
7. 人物・エピソード
安川有は、そのサッカーでの活躍だけでなく、ピッチ外でのユニークな一面も持ち合わせている。
彼は、日本のコメディアンであるエスパー伊東の物真似を自身の持ちネタとしており、チームメイトや関係者を和ませることがあったという。
8. 引退
安川有は、2018年シーズンをもってプロサッカー選手としてのキャリアを引退した。
松本山雅FCでJ2リーグ優勝を経験したシーズン終了後、彼は契約満了に伴い同クラブを退団し、そのまま現役を引退した。
9. 関連項目
- 福岡市出身の人物一覧
- アビスパ福岡の選手一覧#アカデミー出身者
- 同志社大学の人物一覧
- 大分トリニータの選手一覧
- 松本山雅FCの選手一覧
10. 外部リンク
- [https://data.j-league.or.jp/SFIX04/?player_id=8266 Jリーグ選手データ]
- [https://www.yamaga-fc.com/archives/152276 松本山雅FCによる契約満了選手のお知らせ]
- [https://twitter.com/youyasukawa 安川有公式Twitter]