1. 生い立ち
安祚永の幼少期からプロ入りに至るまでの経緯は、その独特な囲碁学習法によって特徴づけられる。
1.1. 出生と幼少期
安祚永は1979年9月25日に大韓民国の忠清南道礼山郡で生まれた。幼少期の具体的な環境については詳細な記録は少ないが、この時期に囲碁への関心を抱き始めたとされる。
1.2. 教育と独学
安祚永は一般的な囲碁道場や師に師事することなく、独学で囲碁を習得したという異色の経歴を持つ。主に新聞に掲載される棋譜を並べ、それを分析することで実力を磨いていった。このような学習方法は、彼独自の棋風形成に大きな影響を与えたと考えられている。
1.3. プロ入りと初期のキャリア
1993年、安祚永は14歳でプロ入りを果たした。同年には世界青少年囲碁選手権大会青年組で優勝し、その才能を早くから示している。プロ入り初期には、1996年に三星火災杯世界オープン戦本戦、第8期棋聖戦、第11期BCカード杯新人王戦本戦に進出。さらに1997年には第1期SKガス杯新鋭プロ十傑戦で初の優勝を飾り、若手棋士としての地位を確立した。
2. 主な活動と成果
安祚永はプロ棋士として長年にわたり活躍し、数々の昇段やタイトル獲得、主要大会での好成績を収めてきた。
2.1. 昇段履歴
安祚永の昇段履歴は以下の通りである。
- 1993年: 入段
- 1998年: 五段
- 2000年: 六段
- 2001年: 七段
- 2004年: 八段
- 2005年6月22日: 九段
2.2. タイトル獲得歴
安祚永が獲得した主要なタイトルは以下の通りである。
タイトル | 獲得年 |
---|---|
SKガス杯新鋭プロ十傑戦 | 1997年 |
BCカード杯新人王戦 | 2004年 |
圓益杯十段戦 | 2007年 |
2.3. 主要大会成績
安祚永は国内外の主要な囲碁棋戦において、タイトル獲得以外にも多くの好成績を残している。
2.3.1. 国際棋戦成績
- BCカード杯世界囲碁選手権
- 2010年: ベスト8(韓態熙、古力に勝利後、金起用に敗退)
- LG杯世界棋王戦
- 1998年: 本戦進出
- 2010年: ベスト8(彭筌、古力に勝利後、孟泰齢に敗退)
- 2013年: ベスト16
- 三星火災杯世界オープン戦
- 1996年: 本戦進出
- 1998年: 本戦進出
- 2000年: ベスト16(依田紀基に勝利後、彦坂直人に敗退)
- 中韓新人王対抗戦
- 2004年: 邱峻に0勝2敗で敗退
- 江原ランド杯韓中囲碁対抗戦
- 2006年: 3勝1敗(陳耀燁、王檄、羅洗河に勝利、常昊に敗退)。また、第1回中韓江原ランド杯では2勝を挙げた。
2.3.2. 国内棋戦成績
安祚永の主な国内棋戦における成績は以下の通りである。
- SKガス杯新鋭プロ十傑戦: 1998年 3位
- 電子ランド杯王中王戦: 2006年 白虎部優勝
主な挑戦者・準優勝歴は以下の通りである。
大会名 | 年 | 結果 |
---|---|---|
最高位戦 | 1999年 | 挑戦者 |
名人戦 | 2002年 | 挑戦者(第33期SKエンクリーン杯名人戦) |
覇王戦 | 2002年 | 挑戦者 |
棋聖戦 | 2006年 | 挑戦者 |
電子ランド杯王中王戦 | 2008年 | 白虎部準優勝 |
韓国囲碁リーグでの成績は以下の通りである。
- 2004年(パークランド): 4勝3敗
- 2005年(宝海): 4勝3敗
- 2006年(新星建設): 7勝7敗
- 2007年(ハンゲーム): 7勝5敗
- 2008年(Tブロード): 5勝7敗
- 2009年(Tブロード): 6勝5敗
- 2010年(Tブロード): 8勝8敗
- 2011年(新案天日塩): 6勝8敗
- 2012年(サイバーORO): 5勝11敗
- 2012年(Tブロード): 3勝4敗
- 2013年(Kixx): 6勝6敗
2.4. 韓国棋院ランキング
韓国棋院が発表する公式ランキングにおいて、安祚永は2006年に8位を記録している。
3. 棋風と評価
安祚永は「半目の帝王」というニックネームで知られている。これは彼が半目という僅差で勝利する碁を多く制してきたことに由来するとされる。彼の棋風は、独学で培われた独自のスタイルを持つと評価されており、特に新聞の棋譜を並べて上達したという異色の経歴が、そのプレースタイルに影響を与えていると見られている。
4. 個人史
安祚永の個人的な側面、特に結婚や家族構成に関する公にされた情報は少ない。
5. 影響
安祚永のプロ棋士としてのキャリアは、その独特な「独学」という背景が特筆される。これは、伝統的な囲碁教育の枠にとらわれない才能の開花を示す一例として、後進の棋士や囲碁ファンに多様な学習経路の可能性を示唆したと言える。また、長年にわたる安定した成績とタイトル獲得は、韓国囲碁界における彼の存在感と貢献を裏付けている。
6. 関連項目
- 囲碁
- 棋士 (囲碁)
- 韓国棋院
- SKガス杯新鋭プロ十傑戦
- BCカード杯新人王戦
- 圓益杯十段戦
- BCカード杯世界囲碁選手権
- LG杯世界棋王戦
- 三星火災杯世界オープン戦
- 棋聖戦 (韓国)
- 名人戦 (韓国)
- 覇王戦
- 最高位戦 (韓国)
- 韓国囲碁リーグ
7. 外部リンク
- [http://www.baduk.or.kr/info/player_view.asp?ntn=1&grade=39&gno=1073 韓国棋院「안조영(安祚永)」]