1. 概要
小木田敦也は、秋田県仙北市出身のプロ野球選手であり、主にオリックス・バファローズの投手として活躍している。右投右打の彼は、高校時代に甲子園大会を経験し、その後社会人野球のTDKで実力を磨いた。2度のドラフト指名漏れを経験しながらも、2021年にオリックス・バファローズから7位指名を受けプロ入りを果たした。プロ入り後は、主にリリーフ投手として起用され、特に2023年シーズンにはプロ初勝利を挙げるなど、チームのリーグ優勝に大きく貢献した。最速153 km/hの速球と多彩な変化球を操る投球スタイルが特徴であり、チームメイトからは「小木田世代」の中心人物として慕われている。
2. 経歴
2.1. プロ入り前
2.1.1. 幼少期・中学校時代
小木田敦也は仙北市立角館小学校3年生の時に「角館マックス」で野球を始めた。その後、仙北市立角館中学校では軟式野球部に所属し、野球の基礎を築いた。
2.1.2. 高校時代
秋田県立角館高等学校では1年夏から内野手としてベンチ入りし、チームは県大会を制覇。これにより、春夏通じて創部初となる第96回全国高等学校野球選手権大会に出場した。彼は正三塁手(背番号5)として八頭高校との初戦(2回戦)に先発出場したが無安打に終わり、チームも敗退した。
その後は投手も兼任し、「二刀流」選手として注目を集めるようになった。2年夏にはエースとして能代高校との初戦に先発したが、4失点を喫して敗退。3年春は不調で、大曲工業高校との初戦にはプロ5球団のスカウトが視察に訪れたものの、5回途中9安打4失点で降板し、チームも敗れた。3年夏にはエース兼4番としてチームを牽引し、能代松陽高校との準々決勝ではノーヒットノーランを達成する活躍を見せた。しかし、大曲工業高校との決勝では、打球がふくらはぎに当たり球威が落ちた影響で8失点を喫し、チームは逆転負け。1年夏以来の甲子園出場を逃した。試合後、小木田は「社会人を経て、力をつけてからプロに行きたい」と語り、プロ志望届は提出しなかった。高校時代の球速は最速147 km/hを記録。また、赤上優人とは高校の同期である。
2.1.3. 社会人野球時代
高校卒業後、小木田はTDKに入社し、投手に専念することとなった。1年目から公式戦に登板し、2年目には七十七銀行の補強選手として都市対抗野球大会に出場。ドラフト指名解禁初年度となった3年目には右肩の故障により満足な投球ができず、ドラフト指名漏れとなった。
4年目の都市対抗野球大会2次予選では3試合全てに登板(うち2試合で先発)。特にJR東日本東北との第1代表決定戦では、12回を投げ抜いて6安打7奪三振で完封勝利を収め、チームを7年ぶり15度目の本大会出場に導いた。この予選では22回1/3を2失点と大活躍し、最高殊勲選手賞に輝いたが、同年10月26日に開催されたドラフト会議では2年連続で指名漏れとなった。
5年目の夏には、チームとして5大会ぶり6度目となる日本選手権に出場。トヨタ自動車との初戦に先発し、8回1失点と好投したが、チームは敗退した。秋にはチームが2年連続となる都市対抗野球大会への出場を決めた。
2021年10月11日に行われたドラフト会議において、オリックス・バファローズから7位指名を受けた。同年12月8日には契約金3000.00 万 JPY、年俸800.00 万 JPY(いずれも推定)で仮契約を締結。背番号は56に決定した。ドラフト指名後に出場した都市対抗野球では、西部ガスとの1回戦に先発し、5回7安打4失点の内容だったが、チームは8年ぶりに初戦を突破した。しかし、続くNTT東日本との2回戦に敗れ、チームとして15年ぶりのベスト8進出はならなかった。
2.2. プロ入り後
2.2.1. オリックス・バファローズ時代 (2022年)
2022年シーズンは春季キャンプをBグループでスタートしたが、レギュラーシーズンの開幕は一軍で迎えた。3月26日の埼玉西武ライオンズ戦でプロ初登板を果たし、三者凡退に抑える好投を見せた。しかし、4月8日に実施されたスクリーニング検査で新型コロナウイルス陽性が判明し、翌9日に「特例2022」で出場選手登録を抹消された。4月28日に一軍復帰を果たすと、翌29日の西武戦でプロ初ホールドを記録した。しかし、5月7日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦では1回4安打2失点と打ち込まれ、翌8日に出場選手登録を抹消された。その後は二軍での調整が続き、7月23日に開催されたフレッシュオールスターに選出され、当日は3番手として1イニングを無失点に抑えた。8月31日に出場選手登録されて以降はポストシーズンも含め、シーズン終了まで一軍に帯同した。レギュラーシーズンでは16試合に登板し、0勝0敗5ホールド、防御率3.14を記録した。オフには800.00 万 JPY増となる推定年俸1600.00 万 JPYで契約を更改した(当初は推定年俸1000.00 万 JPYと報じられたが、実際は1600.00 万 JPYであったことが翌2023年の契約更改で公表された)。
2.2.2. オリックス・バファローズ時代 (2023年)
2023年シーズンは春季キャンプをAグループでスタートしたが、開幕は二軍で迎えた。二軍では岸田護投手コーチからチェンジアップを教わり、4月29日に出場選手登録された。翌30日の千葉ロッテマリーンズ戦では、同点の延長11回表からシーズン初登板。1イニングを無失点に抑えると、直後の攻撃でチームがサヨナラ勝ちを収め、小木田にプロ初勝利が記録された。その後、5月24日に一度出場選手登録を抹消されるも、翌25日に「特例2023」の代替指名選手として再登録された。5月29日に再度登録抹消となるも、6月1日に特例2023の代替指名選手として再登録されて以降は一軍に帯同した。後半戦開幕となった7月22日の北海道日本ハムファイターズ戦では、「ブルペンデー」の一番手としてプロ初先発登板。しかし、2回表に宜保翔の失策を皮切りに二死二・三塁のピンチを招き、2本の適時打を許した上、中川圭太の緩慢な動きもあって4失点を喫し、この回限りで降板した。この登板は2回4安打1四球3奪三振4失点(自責点0)という内容で、勝敗は付かなかった。8月には2週間ほど二軍再調整期間があったものの、シーズンを通じてイニング途中での起用、ロングリリーフ、ピンチでの火消しなど、多くの役割を担った。チームがリーグ3連覇を決めた9月20日のロッテ戦では、2回1/3を無失点と好投し、チームの逆転を呼び込んで勝利投手となった。9月は7試合の登板で2勝0敗2ホールド、防御率0.00を記録。レギュラーシーズン全体では38試合(1先発)に登板し、4勝0敗7ホールド、49回1/3を投げて防御率2.19を記録し、チームのリーグ優勝に貢献した。ポストシーズンでも合計6試合に登板して無失点に抑える活躍を見せた(ロッテとのクライマックスシリーズ ファイナルステージに2試合、阪神との日本シリーズに4試合登板)。オフには2000.00 万 JPY増となる推定年俸3600.00 万 JPYで契約を更改した。
2.2.3. オリックス・バファローズ時代 (2024年)
2024年シーズンは春季キャンプ終盤に体調不良で練習を欠席することがあったものの、2年ぶりに開幕を一軍で迎えた。開幕からは主に7回のセットアッパーを務め、4月2日の西武戦からは11試合連続無失点を記録した。5月5日終了時点でチーム最多の13試合に登板し、1勝1敗8ホールド、防御率1.38を記録していたが、右肘に痛みを覚え、検査の結果「右肘尺側手根屈筋の筋損傷」と診断され、翌6日に出場選手登録を抹消された。8月2日の二軍戦で実戦復帰を果たしたが、古傷の右肩痛が再発した影響で再び実戦から離れ、そのままシーズンを終えることとなった。オフには600.00 万 JPY減となる推定年俸3000.00 万 JPYで契約を更改した。
3. 投球スタイル
小木田敦也は最速153 km/hのストレートと鋭く曲がるスライダーを武器としている。その他にもスプリット、カットボール、カーブ、ツーシーム、チェンジアップと多彩な球種を操る。身長は173 cmとプロ野球選手としては比較的小柄な部類に入る。
投球の際には、球種によってセットポジションに入る直前のグラブの動きが異なる癖がある。このため、現在は意識的に全球種でグラブを動かすようにしているという。
4. 人物
小木田敦也はドラフト指名直後の2021年12月25日に高校時代の同級生だった女性と結婚し入籍した。このため、一旦はオリックス・バファローズの寮に入寮したものの、翌4月には家族と同居するため退寮している。
名前の「敦也」は、東京ヤクルトスワローズの選手だった古田敦也にあやかって名付けられた。彼の愛称は「コーギー」。
温厚で親しみやすい性格でチームメイトから慕われており、オリックスでは同学年の山本由伸、宇田川優希、山﨑颯一郎の3人から愛情を込めて「小木田世代」(命名者は宇田川優希)と筆頭で呼ばれている。なお、「小木田世代」にちなんだ球団公式グッズも発売されており、小木田は「グッズも出ているので、それに恥じない投球をして、もっと名前を広められるように」と語っている。
5. 詳細情報
5.1. 年度別投手成績
年 度 | 球 団 | 登 板 | 先 発 | 完 投 | 完 封 | 無 四 球 | 勝 利 | 敗 戦 | セ 丨 ブ | ホ 丨 ル ド | 勝 率 | 打 者 数 | 投 球 回 | 被 安 打 | 被 本 塁 打 | 与 四 球 | 故 意 四 球 | 与 死 球 | 奪 三 振 | 暴 投 | ボ 丨 ク | 失 点 | 自 責 点 | 防 御 率 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2022 | オリックス | 16 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | ---- | 63 | 14.1 | 16 | 1 | 6 | 0 | 0 | 13 | 1 | 0 | 5 | 5 | 3.14 | 1.53 |
2023 | 38 | 1 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 7 | 1.000 | 193 | 49.1 | 37 | 4 | 13 | 0 | 0 | 37 | 1 | 0 | 16 | 12 | 2.19 | 1.01 | |
2024 | 13 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 8 | .500 | 46 | 13 | 9 | 0 | 0 | 0 | 0 | 11 | 0 | 0 | 2 | 2 | 1.38 | 0.68 | |
通算:3年 | 67 | 1 | 0 | 0 | 0 | 5 | 1 | 0 | 20 | .833 | 302 | 76.2 | 62 | 5 | 19 | 0 | 0 | 61 | 2 | 0 | 23 | 19 | 2.23 | 1.05 |
- 2024年度シーズン終了時
5.2. 年度別守備成績
年 度 | 球 団 | 投手 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | ||
2022 | オリックス | 16 | 1 | 3 | 0 | 0 | 1.000 |
2023 | 38 | 7 | 9 | 0 | 0 | 1.000 | |
2024 | 13 | 0 | 5 | 0 | 1 | 1.000 | |
通算 | 67 | 8 | 17 | 0 | 1 | 1.000 |
- 2024年度シーズン終了時
5.3. 初記録
- 初登板:2022年3月26日、対埼玉西武ライオンズ2回戦(ベルーナドーム)、6回裏に2番手で救援登板、1回無失点
- 初奪三振:2022年3月29日、対東北楽天ゴールデンイーグルス1回戦(京セラドーム大阪)、9回表に鈴木大地から空振り三振
- 初ホールド:2022年4月29日、対埼玉西武ライオンズ7回戦(京セラドーム大阪)、6回表に2番手で救援登板、1回無失点
- 初勝利:2023年4月30日、対千葉ロッテマリーンズ5回戦(京セラドーム大阪)、11回表に6番手で救援登板・完了、1回無失点
- 初先発登板:2023年7月22日、対北海道日本ハムファイターズ12回戦(ほっともっとフィールド神戸)、2回4失点(自責点0)で勝敗つかず
6. 背番号
- 56(2022年 - )
7. 外部リンク
- [https://www.buffaloes.co.jp/team/player/detail/2024_00001635.html 56 小木田 敦也 選手名鑑] - オリックス・バファローズオフィシャルサイト
- [https://sp.baseball.findfriends.jp/player/19980097/ 選手情報] - 週刊ベースボールONLINE
- [https://www.instagram.com/kogita56 小木田敦也 (@kogita56)] - Instagram
- [https://npb.jp/bis/players/11915155.html 小木田敦也] - 日本野球機構