小林悠輔

2.1. 幼少期と柔道入門

小林悠輔は1993年8月12日、埼玉県上尾市で生まれました。6歳の時に上尾警察署ひまわり柔道教室で柔道を始め、この初期の経験が彼の柔道家としての土台を形成しました。彼の組み手は左組みで、得意技は大内刈です。また、兄の小林大輔も100kg級の柔道家であり、兄弟揃って柔道の道を歩みました。身長は175 cm、血液型はB型です。

2.2. 学生時代の柔道歴

小林悠輔は、学生時代を通じて数々の実績を残しました。

• 中学時代**: 埼玉栄中学3年時には、全国中学校柔道大会の90kg級に出場しましたが、3回戦で敗退しました。
• 高校時代**: 埼玉栄高校に進学後も柔道を続け、1年時には高校選手権の90kg級で3位に入賞しました。2年時には金鷲旗で3位、3年時にはインターハイの個人戦と団体戦でともに3位となりました。
• 大学時代**: 2012年に筑波大学へ進学し、後に81kg級で世界チャンピオンとなる永瀬貴規と同期となりました。
  • 1年時(2012年)には、全日本ジュニアの準決勝で、当時高校柔道界で快進撃を続けていた東海大浦安高校3年のベイカー茉秋を内股で破るも、決勝では大牟田高校3年の大町隆雄に有効で敗れ2位に留まりました。また、アジアジュニアでは優勝を飾り、体重別団体では2位でした。
  • 2年時(2013年)には、兄の大輔とともに全日本選手権に出場し、3回戦まで進出しました。全日本ジュニアでは、昨年敗れた山梨学院大学1年の大町を背負投で破り優勝を飾りました。世界ジュニアの個人戦では5位でしたが、団体戦では3位となりました。体重別団体では決勝で東海大学と対戦し、ベイカーに反則負けを喫するも、永瀬などの活躍によりチームは優勝を飾りました。
  • 3年時(2014年)には、学生体重別と講道館杯でともに3位となりました。
  • 4年時(2015年)には、優勝大会で大会8連覇を狙う東海大学と決勝で対戦し、ベイカーと引き分けるなどして代表戦にもつれ込みました。最終的に永瀬が100kg級のウルフ・アロンを指導2で破ったことにより、筑波大学は国公立大学として初の優勝という快挙を成し遂げました。この年の講道館杯では決勝まで進むも、日本エースサポートの大辻康太に指導3で敗れ、2位に終わりました。

3.1. 所属と初期の活動

2016年には旭化成に所属し、プロ柔道選手としてのキャリアをスタートさせました。この時期から、国際大会での経験を積み始め、自身の柔道スタイルを確立していきました。その後、2021年に結婚し、現在の所属である有限会社渡邊電設に移籍しました。この所属変更は、彼の私生活における大きな決断と深く関連しています。

3.2. 主要大会における活動

小林悠輔は、プロ転向後も国内外の主要大会で安定した成績を収めました。

• 2016年**: アジア選手権の個人戦では決勝でタジキスタンのコムロンショフ・ウストピリヨンに敗れ2位でしたが、団体戦では3位となりました。
• 2017年**: 4月の体重別では初戦でリオデジャネイロオリンピック金メダリストであるJRAのベイカーと対戦し、グランドスラム中にベイカーが右肩を負傷したために棄権勝ちしましたが、準決勝で日本大学4年の向翔一郎に敗れ3位でした。8月の実業個人選手権では優勝しました。10月のグランプリ・ザグレブでは準々決勝でハンガリーのトート・クリスティアーンに敗れ3位、11月の講道館杯でも3位となりました。12月のグランドスラム・東京では決勝まで進むも、パーク24の長澤憲大に開始早々の内股巻込で敗れ、2位に終わりました。
• 2018年**: 体重別では準決勝で長澤に反則負けを喫し3位でしたが、アジア大会の団体戦代表に選出されました。8月のグランプリ・ブダペストでは2回戦でキューバのイバン・フェリペ・シルバ・モラレスに反則負けしました。9月のアジア競技大会男女混合団体戦では、初戦の韓国戦で郭同韓に技ありで敗れるもチームは勝利し、準決勝の中国戦と決勝のカザフスタン戦ではともに勝利を収め、チームの優勝に貢献しました。
• 2021年**: 有限会社渡邊電設の所属として全日本選手権に出場しましたが、3回戦で旭化成の羽賀龍之介に反則負けを喫しました。
• 2022年**: 4月の全日本選手権では2回戦で100㎏超級の選手であるJRAの影浦心に有効で敗れました。

5.1. 結婚と家族関係

2021年2月、小林悠輔は高校時代の同級生であるプロゴルファーの渡邉彩香と入籍しました。特筆すべきは、小林が渡邉家に婿入りする形での結婚であったことです。この決断は、男性が女性の姓を名乗り、女性側の家族に入ることについて、伝統的な慣習に縛られない現代的な家族関係のあり方を示すものとして注目されました。さらに、彼はそれまで所属していた旭化成を退職し、渡邉の実家が経営する有限会社渡邊電設に入社することを明らかにしています。この選択は、彼のキャリアパスと家族への深いコミットメントを両立させるものであり、個人の生き方において柔道家としての競技生活を終えた後も、新たな形で社会と家庭に貢献する彼の姿勢を明確に示しています。