1. 初期生い立ちとユース経歴
山崎円美選手は、幼少期からサッカーに情熱を傾け、学生時代には学業と並行してユースクラブで顕著な成績を収めました。
1.1. 出生と幼少期
山崎円美は1990年6月9日に埼玉県で生まれました。7歳でサッカーを始め、幼い頃からサッカーに親しんでいました。
1.2. 学業とユースクラブ活動
山崎選手は、1998年から2002年まで安松FC/TSガールズに所属し、2003年から2004年にはラガッツァFCでプレーしました。2005年には所沢市立安松中学校サッカー部で活動しました。
高等学校時代は埼玉県立所沢中央高等学校に通いながら、2006年から2007年までASエルフェン狭山FC(当時、ASエルフェン埼玉)に在籍しました。この期間、2007年のなでしこリーグ ディヴィジョン2では24得点を挙げ、得点王に輝くなど、その得点能力を早くから示しました。その後、2008年には浦和レッズレディースユースに所属しました。
2009年にはアルビレックス新潟レディースに入団すると同時に、新潟医療福祉大学健康科学部健康スポーツ学科に進学し、サッカーと学業を両立させました。大学での同期には小原由梨愛、1年先輩には川村優理といった後に日本女子代表で活躍する選手たちがいました。
2. プロクラブ経歴
山崎円美選手は、日本の主要な女子サッカーリーグであるなでしこリーグやWEリーグの複数のクラブで活躍し、多くの試合に出場しました。
2.1. ASエルフェン狭山FC
山崎選手は、埼玉県立所沢中央高等学校在学中からASエルフェン狭山FCのシニアチームでプレーし、2006年から2007年まで在籍しました。特に2007年には、なでしこリーグ ディヴィジョン2で24得点を記録し、得点王を獲得するなど、若くしてチームの攻撃を牽引する選手として目覚ましい活躍を見せました。この期間のリーグ戦通算では20試合に出場し4得点を記録しました。
2.2. アルビレックス新潟レディース
2009年、山崎選手は浦和レッズレディースユースからアルビレックス新潟レディースに入団しました。ここでは2016年5月までの約7年間プレーし、チームの中心選手として活躍しました。リーグ戦では通算101試合に出場し、34得点を挙げました。
2.3. AC長野パルセイロ・レディース
2016年6月、山崎選手はアルビレックス新潟レディースからAC長野パルセイロ・レディースへ完全移籍しました。長野では2018年1月までの約1年半プレーし、リーグ戦20試合に出場して3得点を記録しました。
2.4. ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
2018年1月、山崎選手はAC長野パルセイロ・レディースからジェフユナイテッド市原・千葉レディースへ完全移籍しました。2020年までの3シーズンにわたり、リーグ戦35試合に出場し4得点を挙げました。2020年8月22日に行われたなでしこリーグ1部第6節のアルビレックス新潟レディース戦では、リーグ戦通算200試合出場を達成しました。
2.5. 大宮アルディージャVENTUS
2021年1月、山崎選手はWEリーグに参入した大宮アルディージャVENTUSへ完全移籍で加入しました。ここでは背番号7を背負い、WEリーグでのプロキャリアをスタートさせました。2021-22シーズンにはリーグ戦14試合に出場し、2022-23シーズンにはリーグ戦5試合に出場しました。2023年6月29日、山崎選手はプロサッカー選手としての現役引退を発表しました。
3. 代表経歴
山崎円美選手は、年代別代表からA代表まで、日本の代表チームで国際舞台を経験しました。
3.1. 年代別代表
山崎選手は、U-19日本女子代表に選出され、2009年に中国で開催されたAFC U-19女子選手権2009に出場しました。この大会では3試合に出場し、チームは優勝を果たしました。
3.2. 日本女子代表 (なでしこジャパン)
2013年2月、山崎選手はアルガルヴェ・カップ2013に出場するなでしこジャパンのメンバーに初選出されました。同年3月6日に行われたノルウェーとの試合で、A代表デビューを果たしました。この大会では、佐々木則夫監督のもと、ノルウェー戦の他にデンマーク戦、中国戦の計3試合に出場しました。さらに同年7月25日にはEAFF東アジアカップ2013の朝鮮民主主義人民共和国戦にも出場し、2013年には通算4試合で日本女子代表としてプレーしました。
4. プレースタイルとポジション
山崎円美選手は、主にミッドフィールダーとフォワードのポジションでプレーしました。利き足は右足です。身長は166 cm、体重は54 kgで、フィジカルにも恵まれていました。そのプレースタイルは、得点能力の高さと攻撃的な貢献に特徴があり、特にユース時代には得点王を獲得するなど、決定力に優れた選手として知られていました。チームメイトからは「マル」の愛称で親しまれていました。
5. サッカー選手引退とフットサル転向
2023年6月29日、山崎円美選手はプロサッカー選手としての現役引退を発表しました。長年のキャリアに幕を下ろすことになりましたが、引退から間もない同年7月12日、日本女子フットサルリーグに所属するさいたまSAICOLOへの加入が発表され、フットサル選手として新たなキャリアをスタートさせました。
6. 経歴統計
6.1. クラブ統計
山崎円美選手のプロクラブでのリーグ戦、カップ戦における出場記録と得点記録は以下の通りです。
年 | クラブ | 背番号 | リーグ | 出場 | 得点 | リーグカップ | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2006 | ASエルフェン狭山FC | 13 | なでしこ Div.2 | 20 | 4 | - | 2 | 0 | 22 | 4 | |
2007 | 18 | 18 | 24 | 3 | 1 | 2 | 0 | 23 | 25 | ||
2009 | アルビレックス新潟レディース | なでしこ Div.1 | 8 | 0 | - | 0 | 0 | 8 | 0 | ||
2010 | なでしこ | 12 | 0 | 4 | 0 | 3 | 0 | 19 | 0 | ||
2011 | 6 | 4 | 0 | - | 0 | 0 | 4 | 0 | |||
2012 | 17 | 8 | 5 | 1 | 1 | 1 | 23 | 10 | |||
2013 | 9 | 18 | 6 | 7 | 2 | 4 | 1 | 29 | 9 | ||
2014 | 21 | 11 | - | 2 | 2 | 23 | 13 | ||||
2015 | なでしこ1部 | 21 | 9 | - | 5 | 1 | 26 | 10 | |||
2016 | 0 | 0 | - | - | 0 | 0 | |||||
AC長野パルセイロ・レディース | 28 | 7 | 2 | 3 | 0 | 2 | 0 | 12 | 2 | ||
2017 | 9 | 13 | 1 | 5 | 2 | 1 | 0 | 19 | 3 | ||
2018 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース | 19 | 18 | 2 | 7 | 1 | 4 | 1 | 29 | 4 | |
2019 | 9 | 17 | 2 | 8 | 1 | 0 | 0 | 25 | 3 | ||
2020 | 6 | 10 | 1 | - | 3 | 0 | 13 | 1 | |||
2021-22 | 大宮アルディージャVENTUS | 7 | WE | 14 | 0 | - | 2 | 0 | 16 | 0 | |
2022-23 | 5 | 0 | 3 | 0 | 2 | 1 | 10 | 1 | |||
日本1部リーグ通算 | 185 | 42 | 42 | 7 | 29 | 7 | 256 | 56 | |||
日本2部リーグ通算 | 38 | 28 | 3 | 1 | 4 | 0 | 45 | 29 | |||
総通算 | 223 | 70 | 47 | 8 | 33 | 7 | 303 | 85 |
- 日本女子サッカーリーグにおける初出場は2006年5月21日、なでしこリーグ ディヴィジョン2のジェフユナイテッド市原・千葉レディース戦(秩父市影森グラウンド)。
- 初得点は2006年5月28日、なでしこリーグ ディヴィジョン2の福岡J・アンクラス戦(幸手市総合公園陸上グラウンド)。
- リーグ戦通算200試合出場は2020年8月22日、なでしこリーグ1部のアルビレックス新潟レディース戦(新発田市五十公野公園陸上競技場)で達成。
- WEリーグにおける初出場は2021年9月12日、第1節のINAC神戸レオネッサ戦(ノエビアスタジアム神戸)。
6.2. 代表統計
山崎円美選手の日本女子代表(なでしこジャパン)での出場記録と得点記録です。
日本女子代表 | ||
---|---|---|
年 | 出場 | 得点 |
2013 | 4 | 0 |
合計 | 4 | 0 |
6.2.1. 出場試合
# | 開催日 | 開催都市 | スタジアム | 対戦国 | 結果 | 監督 | 大会 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1. | 2013年3月6日 | ポルトガル領 パルシャル | ベラ・ヴィスタ市営スタジアム | ノルウェー | ● 0-2 | 佐々木則夫 | アルガルヴェ・カップ2013 |
2. | 2013年3月11日 | ポルトガル領 ファロ / ローレ | エスタディオ・アルガルヴェ | デンマーク | ○ 2-0 | ||
3. | 2013年3月13日 | 中国 | ○ 1-0 | ||||
4. | 2013年7月25日 | 韓国 華城 | 華城総合運動場 | 朝鮮民主主義人民共和国 | △ 0-0 | EAFF東アジアカップ2013 |
7. タイトルと個人記録
7.1. 代表
- U-19日本女子代表
- AFC U-19女子選手権: 1回(2009年)
7.2. 個人記録
- なでしこリーグ ディヴィジョン2 得点王(2007年、24得点)