1. 幼少期と奨励会時代
斎藤慎太郎は幼少期に将棋と出会い、プロ棋士を目指して日本将棋連盟の奨励会に入会し、厳しい研鑽を積んだ。この期間は、彼がプロ棋士となるための重要な基盤を築いた時期である。
1.1. 幼少期と将棋との出会い
斎藤慎太郎は1993年4月21日に奈良市で生まれた。彼は羽生善治の著書を読んで将棋を学び始めた。小学校3年生の時には、後に彼の師匠となる畠山鎮棋士から指導対局を受ける機会があった。小学校4年生になると、斎藤は畠山に直接手紙を書いて正式な指導を願い出た。
1.2. 奨励会での成長
2004年9月、畠山鎮の門下として日本将棋連盟の奨励会に6級で入会した。奨励会では着実に昇級・昇段を重ね、2006年11月には初段に昇段した。
2008年4月、彼は第43回三段リーグに参加したが、プロ入りまでには時間を要し、8期にわたるリーグ戦を経験した。そして、2012年3月に行われた第50回三段リーグでは、15勝3敗の成績を収めてリーグを突破し、念願の四段に昇段し、プロ棋士となった。
2. プロ棋士としてのキャリア
プロ棋士となって以降、斎藤慎太郎は数々の公式戦に出場し、主要なタイトル戦で挑戦者となるなど、目覚ましい実績を上げてきた。ここでは、彼のプロとしての歩みと主な功績を包括的に述べる。
2.1. 主要タイトル戦挑戦と実績
斎藤慎太郎が初めて主要タイトル戦に登場したのは2017年6月で、棋聖戦において羽生善治棋聖に挑戦した。彼は同年4月に糸谷哲郎を破り、挑戦権を獲得したが、タイトル戦は1勝3敗で敗れた。
2018年7月には、第66期王座戦で渡辺明を破り、中村太地王座への挑戦者となった。このタイトル戦は同年9月4日から10月30日にかけて行われ、斎藤は序盤2連勝でリードを奪ったが、中村がその後2連勝してタイに戻した。しかし、最終第5局を斎藤が制し、3勝2敗で自身の初の主要タイトルとなる王座を獲得した。
翌2019年の第67期王座戦では、永瀬拓矢叡王の挑戦を受け、0勝3敗で敗れ、初防衛はならなかった。
その後もタイトル戦に挑戦し、2021年4月から6月にかけて行われた第79期名人戦では、渡辺明名人に挑戦したが、1勝4敗で敗れた。さらに翌年の2022年4月から5月にかけての第80期名人戦でも、再び渡辺明名人に挑戦したが、前回と同じく1勝4敗で敗れた。
これまでに主要タイトル戦に5回登場し、そのうち1期でタイトルを獲得している。
2.2. 昇段履歴
斎藤慎太郎のプロ棋士としての昇段履歴は以下の通りである。
年月日 | 段位 |
---|---|
6級入会 | |
三段 | |
四段(プロ入り) | |
五段 | |
六段 | |
七段 | |
八段 |
2.3. 将棋大賞と表彰
斎藤慎太郎は、日本将棋連盟が授与する将棋大賞において、以下の賞を受賞している。
- 2015年: 新人賞、勝率一位賞
- 2016年: 勝率一位賞
2.4. 獲得賞金・対局料ランキング
プロ転向後、斎藤慎太郎は日本将棋連盟の年間獲得賞金・対局料ランキングで4度トップ10入りを果たしている。
- 2018年: 8位(2393.00 万 JPY)
- 2019年: 10位(1868.00 万 JPY)
- 2021年: 6位(2567.00 万 JPY)
- 2022年: 5位(2362.00 万 JPY)
3. 評価と影響
斎藤慎太郎は、若くして王座のタイトルを獲得し、棋聖戦や名人戦といった主要なタイトル戦で複数回挑戦者となるなど、現代将棋界のトップレベルで活躍する棋士の一人として高い評価を受けている。特に、その攻め将棋は多くのファンを魅了し、将棋界に大きな影響を与えている。彼の安定した成績と、常に上位に名を連ねる活躍は、若手棋士の目標となるだけでなく、将棋界全体の活性化にも貢献している。