1. 生い立ちとユースキャリア
イ・サンミン選手は1998年1月1日に大韓民国の釜山で生まれた。幼少期からサッカーに情熱を注ぎ、その才能を早くから開花させた。
1.1. ユースクラブと大学でのキャリア
イ・サンミンは、蔚山現代高等学校(2013年-2015年)でユースキャリアを積み、その後、崇実大学校(2016年-2017年)に進学し、サッカーを続けた。高校時代からその守備能力とリーダーシップは際立っており、韓国U-17代表や韓国U-20代表ではキャプテンを務めるなど、中心選手として活躍した。特に2015 FIFA U-17ワールドカップや2017 FIFA U-20ワールドカップといった国際舞台で、彼はチームの精神的支柱となった。
2. クラブキャリア
イ・サンミンは、ユース時代から注目される選手として、プロサッカーの世界へと足を踏み入れた。彼のキャリアは、韓国国内外の複数のクラブでの経験によって形作られている。
2.1. 蔚山現代とV・ファーレン長崎
2018年、イ・サンミンはKリーグ1の強豪蔚山現代FCに加入し、プロとしてのキャリアをスタートさせた。しかし、2018シーズンは公式戦での出場機会はなかった。
翌2019シーズン、出場機会を求めてJ2リーグのV・ファーレン長崎へ期限付き移籍した。この移籍は、同じく蔚山現代FCに所属していたイ・ジョンホと共に発表された。長崎では、2019年4月27日の鹿児島ユナイテッド戦でプロデビューを果たし、スターティングメンバーとして出場した。このシーズン、彼はJ2リーグで16試合に出場し、天皇杯で4試合、Jリーグカップで5試合に出場するなど、合計25試合に出場したが、得点は記録されなかった。
2.2. ソウルイーランドFC
2020シーズンを前に、イ・サンミンはKリーグ2のソウルイーランドFCへ期限付き移籍した。この移籍は、彼がU-23韓国代表でキャプテンを務め、チームをAFC U-23選手権初優勝に導いた直後であり、そのリーダーシップと守備能力への期待が大きかった。このシーズン、彼はKリーグ2で26試合に出場し、FAカップで1試合に出場した。
2021シーズンには、ソウルイーランドFCへ完全移籍を果たした。このシーズンも主力として活躍し、Kリーグ2で28試合に出場し1得点を記録、FAカップでも1試合に出場した。
2.3. FCソウルと金泉尚武
2022年、イ・サンミンはKリーグ1のFCソウルに完全移籍した。FCソウルでは、リーグ戦で25試合に出場し1得点を挙げ、FAカップでも5試合に出場するなど、加入初年度からチームの守備の要として貢献した。
2023年からは、兵役義務履行のためKリーグ2の金泉尚武FCへ期限付き移籍した。金泉尚武では、2023シーズンにKリーグ2で27試合に出場し2得点を記録するなど、軍隊チームでも安定したパフォーマンスを維持している。
3. 代表キャリア
イ・サンミンは、韓国の各年代別代表チームで重要な役割を担い、国際舞台での経験を豊富に積んできた。そのリーダーシップは、特にキャプテンとしてチームを牽引する場面で発揮された。
3.1. ユース代表チーム
イ・サンミンの代表キャリアは、2012年の韓国U-14代表から始まった。彼は2試合に出場している。
その後、2013年から2015年にかけては韓国U-17代表に選出され、24試合に出場し1得点を記録した。2015年には2015 FIFA U-17ワールドカップの最終メンバーに選ばれ、この大会ではチームのキャプテンを務めた。また、2014年のAFC U-16選手権では、チームは準優勝を果たしている。
2016年から2017年には韓国U-20代表でプレーし、15試合に出場した。彼がキャプテンを務めた2017 FIFA U-20ワールドカップでは、チームは開催国として注目を集めた。2016年にはドイツ遠征にも参加している。
さらに、2017年から2021年にかけては韓国U-23代表として22試合に出場し1得点を挙げている。2017年にはユニバーシアード代表としても5試合に出場した。彼はAFC U-23選手権2018やAFC U-23選手権2020予選(2019年)に参加。特に2020 AFC U-23選手権ではキャプテンとしてチームを牽引し、韓国代表をこの大会初の優勝へと導いた。この活躍が評価され、彼は2020年東京オリンピックのU-23韓国代表メンバーにも選出され、グループリーグ初戦のニュージーランド戦に出場した。
3.2. フル代表チーム
2022年7月、イ・サンミンは2022年EAFF E-1サッカー選手権に出場する韓国A代表に初めて招集された。しかし、彼はCOVID-19に感染したため、出場機会は得られなかった。同年11月には、2022 FIFAワールドカップに向けた国内組の招集リストにも名を連ね、再びA代表に選出された。
3.3. 特筆すべき出来事:心肺蘇生法
イ・サンミンのキャリアにおいて、特筆すべき出来事として、2017年3月27日に清州総合運動場で行われた韓国U-20代表とザンビアU-20代表の親善試合での人命救助がある。試合中、チームメイトの鄭泰旭(チョン・テウク)選手が相手選手との競り合いで頭を打ち、意識を失い痙攣を起こした際、イ・サンミンはいち早く状況を察知し、気道確保と心肺蘇生法(CPR)を行った。彼の迅速かつ的確な処置により、チョン・テウク選手は意識を取り戻し、命を救われた。
この勇気ある行動に対し、イ・サンミンは2017年に保健福祉部長官表彰を受賞した。この出来事は、単なるスポーツ選手の枠を超え、イ・サンミンが社会貢献においても模範となる存在であることを示した重要な事例である。彼の行動は、スポーツ界だけでなく社会全体に大きな感動と教訓を与え、緊急時の対応の重要性を再認識させる機会となった。
4. キャリア統計
イ・サンミン選手のクラブおよび代表チームでの試合出場記録、得点などの詳細な統計情報は以下の通りである。
クラブ成績 | リーグ | カップ | リーグカップ | 合計 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
シーズン | クラブ | リーグ | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 |
2018 | 蔚山現代 | Kリーグ1 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | |
2019 | V・ファーレン長崎 (期限付き移籍) | J2リーグ | 16 | 0 | 4 | 0 | 5 | 0 | 25 | 0 |
2020 | ソウルイーランド (期限付き移籍) | Kリーグ2 | 26 | 0 | 1 | 0 | - | 27 | 0 | |
2021 | ソウルイーランド | 28 | 1 | 1 | 0 | - | 29 | 1 | ||
2022 | FCソウル | Kリーグ1 | 25 | 1 | 5 | 0 | - | 30 | 1 | |
2023 | 金泉尚武 (兵役のため期限付き移籍) | Kリーグ2 | 27 | 2 | 0 | 0 | - | 27 | 2 | |
キャリア通算 | 122 | 4 | 11 | 0 | 5 | 0 | 138 | 4 |
5. 獲得タイトルと個人賞
イ・サンミン選手は、その優れたプレーとリーダーシップにより、チームタイトルおよび個人賞の両方で実績を収めている。
5.1. チームタイトル
- 韓国U-23代表**
- AFC U-23選手権: 優勝(2020年)
- 韓国U-16代表**
- AFC U-16選手権: 準優勝(2014年)
5.2. 個人賞
- 大韓サッカー協会 ベストヤングプレイヤー賞**: 2015年
- 保健福祉部長官賞**: 2017年(心肺蘇生法による人命救助に対する表彰)
- AFC U-23 ベストイレブン**: 2020年