村川大介

2.1. キャリア初期と台頭

プロ入り後のキャリア初期には、まず非公式戦で頭角を現した。2005年に第7回本因坊秀策杯で優勝。2006年には第32期碁聖戦で自身初の七大棋戦本戦進出を果たすも、初戦で山下敬吾に敗れた。2009年には第6回中野杯U20選手権で優勝し、翌2010年の第7回でも優勝して2連覇を達成した。

2010年には、国際棋戦である第15回三星杯で本戦出場を果たすなど、その活躍は目覚ましかった。国内では、第54期関西棋院第一位決定戦で結城聡第一位への挑戦権を獲得し、11月5日に2連勝で第一位を奪取した。10代の棋士が第一位の座に就くのは史上初の快挙であり、最年少記録を更新した。このタイトル獲得により、昇段規定で七段に飛付昇段した。同年には16連勝も記録しており、これらの活躍が評価され、関西棋院賞利仙賞(敢闘賞)及び連勝賞を初受賞した。

2011年9月22日には、第7回産経プロアマトーナメント戦決勝で倉橋正行を破り優勝。これに続き、9月26日には第36期新人王戦で安斎伸彰との決勝三番勝負を2連勝で制し、関西棋院に結城聡以来18年ぶりの新人王タイトルをもたらした。しかし、第55期関西棋院第一位決定戦では坂井秀至の挑戦を受け、11月19日に0勝2敗で敗れ防衛はならなかった。新人王位獲得や年間最多勝(35勝)などが評価され、関西棋院賞の最優秀棋士賞を初受賞した。

2.2. タイトル挑戦と主要な勝利

2012年2月、国際戦の第4回BCカード杯予選で、伊田篤史とともに本戦入りを果たした。日本勢のBCカード杯予選突破は史上初の快挙であった。6月には、中国乙級リーグに初めて参戦する日本チームの一員として参加したが、チームは最下位に終わり丙級へ降格した。10月4日には、関西棋院第一位決定戦で第一位坂井秀至に挑むも2連敗で奪取ならず。31日には、第8回産経プロアマトーナメント決勝で中野泰宏を破り2連覇を達成した。11月8日、第38期名人戦最終予選で小松英樹を破り、自身初の三大棋戦リーグ入りを果たした。

2013年3月28日、第38期棋聖戦最終予選で坂井秀至を破り、棋聖戦初のリーグ入りを果たした。これにより、日本の三大リーグのうち2つに同時に在籍することとなった。同年12月から8月にかけて行われた第38期名人戦リーグでは4勝4敗で6位となり残留した。10月5日、第20期阿含・桐山杯決勝で、同年の誕生日が8日違いの志田達哉を破り、全員参加棋戦での初優勝を果たす。この優勝は、関西棋院所属棋士として初の阿含・桐山杯優勝となった。第38期棋聖戦ではBリーグで4勝1敗と序列最下位ながら首位となり挑戦者決定戦に進出したが、11月14日、Aリーグ1位の山下敬吾に敗れた。

2014年、第10回春蘭杯にシード選手として出場。中国の連笑に勝利しベスト16に進出するも、時越に敗れた。第39期名人戦リーグでは残留を果たした。9月11日、第62期王座戦本戦決勝で林漢傑を破り、井山裕太六冠(当時)への挑戦権を獲得した。これが自身初の七大タイトル挑戦となった。10月30日には、瀬戸大樹を破り、2年ぶり通算3度目の産経プロアマトーナメント優勝を果たした。第39期棋聖戦では挑戦者決定戦に進出したものの、11月13日、前年に続き山下敬吾に敗退した。10月21日に開幕した第62期王座戦五番勝負では、井山裕太六冠を相手に第2局、第4局に勝利し、12月16日の第5局も制して王座を奪取した。初七大タイトル挑戦で奪取に成功し、第29期王座の橋本昌二以来となる関西棋院所属棋士による王座位獲得(4人目)となった。また、木谷一門・平成四天王・井山裕太以外の棋士が王座を獲得するのは、2002年の王銘琬以来12年ぶりのことであった。

2015年、4段階リーグ方式が施行された第40期棋聖戦では前期成績によりSリーグ入りを果たした。第40期名人戦リーグに残留し、第40期碁聖戦では本戦ベスト4に進出した。棋聖戦Sリーグでは3勝2敗で2位となり挑戦者決定トーナメントに進出。山田規三生に勝利したが、11月9日、山下敬吾(Sリーグ1位)に挑んだが敗れ挑戦手合進出はならなかった。11月19日、第63期王座防衛戦は井山裕太四冠とのリターンマッチとなり、0勝3敗と完敗し失冠した。

2016年3月1日、第17回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦の第10戦で、中国のトップ棋士である古力を破る金星を挙げた。5月18日、山下敬吾に勝利し第41期碁聖戦の挑戦権を手にしたが、7月28日、井山裕太七冠に3連敗し敗退した。第41期名人戦リーグでは、挑戦権を獲得した高尾紳路に唯一の黒星をつけたものの、6勝2敗で2位。第41期棋聖戦Sリーグは3位で残留した。天元戦本戦ではベスト4に進出した。

2.3. 近年の活動

2017年、第42期名人戦リーグでは4勝4敗で残留したが、第42期棋聖戦Sリーグは2勝3敗の5位で降格となった。第38期棋聖戦でリーグ入りして以降、初の降格であった。一方で、5月15日には非公式戦である第8回おかげ杯で自身初の優勝を遂げた。

2018年1月25日、第56期十段戦本戦決勝で志田達哉七段に勝利し挑戦手合進出。井山裕太七冠に挑んだものの、4月12日、3連敗し敗退した。第43期棋聖戦Aリーグは四者が5勝2敗で並ぶ展開となり、序列1位の村川が1位となった。挑戦者決定トーナメントでは、10月8日、Cリーグ1位の大西竜平に敗退した。12月18日、第14回産経プロアマトーナメント戦決勝戦で清成哲也を破り、同棋戦4年ぶり4回目の優勝を果たした。産経プロアマ戦はこの第14回で休止となり、村川は最後の優勝者となった。

2019年、第57期十段戦で前期に引き続き、井山裕太五冠への挑戦権を得る。井山との直近の挑戦手合では3連続で全敗を喫していたが、4月19日、3勝1敗で十段位を奪取した。5年ぶりの七大タイトル獲得で通算2期目となり、翌日には九段に昇段した。この十段戦は、平成最後のタイトル戦でもあった。第44期棋聖戦Sリーグでは1位から4位までが3勝2敗で並んだが、序列により村川は4位にとどまった。

2020年、第58期十段戦では芝野虎丸名人王座の挑戦を受ける。井山裕太以外の棋士との七大タイトル挑戦手合は初めてだったが、6月25日、1勝3敗で失冠した。第45期名人戦リーグでは、2勝6敗の8位で陥落。第46期最終予選でも決勝で本木克弥に敗れ、2012年から続いていた名人戦リーグ在位は連続8期で途絶えた。11月5日、3連覇中の余正麒第一位に挑んだ第64期関西棋院第一位決定戦は2連敗で敗退した。

2021年は、前年の第45期棋聖戦Sリーグが3勝2敗の3位、第59期十段戦で1月14日に余正麒に敗れ本戦ベスト4などに終わり、4年ぶりに七大タイトル挑戦手合出場はならなかった。第68回NHK杯では自己最高のベスト4に進出した(3月14日、準決勝で余正麒に敗退)。第46期棋聖戦Sリーグでは、前年に続き3勝2敗の3位となった。

2022年、第47期棋聖戦Sリーグは1勝4敗の6位で陥落。第66期関西棋院第一位決定戦では5連覇中の余正麒第一位に挑むも、10月17日に2連敗で敗れた。12月11日の関西囲碁オープン2022(非公式戦)では、トップクラスの決勝戦で井山裕太に半目勝ちし優勝した。

2023年、第48期棋聖戦Sリーグでは1勝4敗の6位で陥落した。

4.1. 獲得タイトルと優勝

村川大介がキャリア全体を通して獲得した公式および非公式のタイトル、そして優勝歴を以下に示す。

• 総獲得タイトル数：9期(うち七大タイトル2期)
• 王座：1期(2014年・第62期)
• 十段：1期(2019年・第57期)
• 阿含・桐山杯：1期(2013年・第20期)
• 関西棋院第一位：1期(2010年・第54期)
• 新人王：1期(2011年・第36期)
• 産経プロアマトーナメント戦：4回(2011年・第7回、2012年・第8回、2014年・第10回、2018年・第14回)

非公式戦での優勝歴は以下の通り。

• おかげ杯：1回(2017年・第8回)
• 中野杯U20選手権：2回(2009年・第6回、2010年・第7回)
• 関西囲碁オープン トップクラス：1回(2022年・第3回)
• ペア碁選手権戦：2回(2016年・第22回 王景怡とのペア、2020年・第26回 奥田あやとのペア)

4.2. 主要棋戦での成績

村川大介の主要なプロ囲碁大会における成績は以下の通りである。

• 棋聖戦：リーグ入り通算8期
  • 2リーグ方式(第25-39期)：挑戦者決定戦進出 2期(第38-39期)、リーグ入り2期(第38-39期)
  • 4段階リーグ方式(第40期-)：挑戦者決定トーナメント進出 3期(第40、43、49期)、Sリーグ入り6期(第40-42、44-46期)
• 名人戦：リーグ入り9期(第38-45、50期)
• 碁聖戦：挑戦敗退1回(2016年・第41期 対井山裕太)
• 十段戦：挑戦敗退1回(2018年・第56期 対井山裕太)
• 関西棋院第一位決定戦：挑戦敗退4回(2012年・第56期 対坂井秀至、2016年・第60期 対結城聡、2020年・第64期 対余正麒、2022年・第66期 対余正麒)
• 産経プロアマトーナメント戦：準優勝2回(2015年・第11回、2016年・第12回)

4.3. 受賞歴

村川大介がキャリア全体を通して受賞した賞と栄誉は以下の通り。

• 関西棋院賞
  • 最優秀棋士賞：4回
  • 利仙賞：6回
  • 日本文化会館(連勝)賞：1回
  • 永井(将来性)賞：3回
  • 吉田賞：3回
  • 新人賞：1回