1. 生い立ちとユース時代
松永一慶は1977年11月13日に大分県中津市で生まれた。幼少期からサッカーを始め、大分県立中津工業高等学校で1993年から1995年までユース選手として活動した。高校時代にはフォワードとしてその才能を磨き、後のプロキャリアの基礎を築いた。身長は190 cm、体重は89 kgで、右足が得意な選手だった。
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2. プロ選手経歴
松永一慶は、日本のトップリーグから地域リーグ、さらには海外リーグまで、多様なクラブを渡り歩いたキャリアを持つ。
2.1. Jリーグ初期
高校卒業後、松永は1996年にJ1リーグのサンフレッチェ広島と練習生契約を結び、後にその活躍が認められプロ契約へと至った。しかし、在籍期間中には久保竜彦や高橋泰といった同ポジションの選手の台頭や度重なる負傷に悩まされ、出場機会は限られた。
2000年にはアビスパ福岡へ移籍したが、ここでも出場機会に恵まれず、わずか1年で退団した。
2.2. 移籍と海外での経験
2001年、松永はJリーグ入りを目指して設立された地域リーグのクラブ、プロフェソール宮崎FCに加入した。翌2002年にはシンガポールのSリーグに所属するジュロンFCへ移籍し、海外でのプレーを経験。しかし、同年中にプロフェソール宮崎FCに復帰した。この時期、プロフェソール宮崎FCは給与の未払いなど運営上の問題を抱え、クラブが混乱状態に陥ったため、松永は同年限りで退団することとなった。
2003年にはJFLの栃木SCへ移籍し、2シーズンにわたり主力選手として活躍した。2005年には同じくJFLのアローズ北陸へ移籍するが、ここでは出場機会は少なかった。
2006年には地域リーグのバンディオンセ神戸(現在のCento Cuore HARIMA)に加入。2007年からは三菱自動車水島FCでプレーし、2008年シーズンをもって現役を引退した。
3. 代表選出経歴
松永一慶は、プロ選手としてのキャリアの中で、国際舞台での経験も持っている。栃木SCに在籍していた2004年には、第8回国際親善サッカー大会「アブドゥラ・アルファイサル・プリンス・カップ」において、JFL選抜チームの一員として日本代表に選出された。これは、彼の選手としての実力が評価された証である。
4. 引退と指導者経歴
2008年シーズンをもって現役を引退した松永一慶は、その後サッカー指導者の道に進んだ。2016年時点では明光サッカースクール西船橋校でコーチを務めていた。2017年にはレノファ山口FCレディースのコーチに転身し、女子サッカーの指導に携わることとなった。そして、2018年には同チームの監督に就任し、指導者としてのキャリアを着実に積み上げている。
5. クラブ別成績
クラブパフォーマンス | リーグ | 天皇杯 | リーグカップ | 合計 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
シーズン | クラブ | リーグ | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 |
日本 | リーグ | 天皇杯 | Jリーグカップ | 合計 | ||||||
1996 | サンフレッチェ広島 | J1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
1997 | 3 | 1 | 2 | 2 | 0 | 0 | 5 | 3 | ||
1998 | 8 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 9 | 1 | ||
1999 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
2000 | アビスパ福岡 | J1 | 3 | 2 | 0 | 0 | 2 | 1 | 5 | 3 |
2001 | P宮崎 | 地域リーグ | - | - | - | |||||
2002 | JFL | 12 | 2 | 2 | 0 | - | 14 | 2 | ||
シンガポール | リーグ | カップ戦 | リーグカップ | 合計 | ||||||
2002 | ジュロン | Sリーグ | - | - | - | |||||
日本 | リーグ | 天皇杯 | Jリーグカップ | 合計 | ||||||
2003 | 栃木SC | JFL | 29 | 9 | 1 | 1 | - | 30 | 10 | |
2004 | 19 | 5 | 1 | 0 | - | 20 | 5 | |||
2005 | アローズ北陸 | JFL | 2 | 0 | 0 | 0 | - | 2 | 0 | |
2006 | バンディオンセ神戸 | 地域リーグ | 7 | 3 | 0 | 0 | - | 7 | 3 | |
2007 | 三菱自動車水島FC | JFL | 14 | 1 | 0 | 0 | - | 14 | 1 | |
2008 | 13 | 2 | - | - | 13 | 2 | ||||
総通算 | 110 | 26 | 6 | 3 | 3 | 1 | 119 | 30 |
6. 評価
松永一慶は、長身を活かしたフォワードとして、日本のサッカー界に足跡を残した選手である。サンフレッチェ広島やアビスパ福岡といったJリーグクラブでのキャリアの初期には、度重なる怪我や若手選手の台頭により出場機会に恵まれなかったが、その後はJFLや地域リーグで多くの経験を積み、主力選手として活躍した時期もあった。特に栃木SCでの2シーズンは、レギュラーとしてチームに貢献し、得点能力を発揮した。また、シンガポールのSリーグでの海外経験や、JFL選抜としての国際親善サッカー大会への参加は、彼のキャリアにおける貴重な経験として評価される。
現役引退後もサッカーへの情熱は衰えることなく、指導者として次世代の育成に尽力している点は特筆すべきである。レノファ山口FCレディースの監督を務めるなど、女子サッカーの発展にも貢献しており、その活動は日本サッカー界全体への継続的な貢献として高く評価される。