1. Overview
松田美由紀は、1961年に東京都杉並区高円寺で生まれた日本の女優、写真家、作家、そして歌手である。1979年に女優としてデビューして以来、映画、テレビドラマ、舞台と幅広いジャンルで活躍し、多様な役柄を演じている。近年は写真家およびアートディレクターとしても精力的に活動しており、写真集の出版や夫である松田優作の関連作品の監修・ディレクションを手がけるなど、その芸術的才能を多方面で発揮している。また、エッセイの執筆や音楽活動にも取り組み、シャンソン歌手としての新たな一面も開拓している。さらに、環境保護や孤児支援、自殺防止、平和活動といった社会問題にも深く関与し、その貢献は多岐にわたる。
2. Personal Life
2.1. Childhood and Background
松田美由紀は1961年10月6日に東京都杉並区高円寺で生まれた。本名は旧姓の熊谷美由紀から結婚後も松田美由紀を名乗っている。彼女は三姉妹の末っ子であり、実姉には女優の熊谷真実がいるほか、一般人の姉もいる。10代の頃からモデルとして活動を開始し、そのキャリアをスタートさせた。
2.2. Marriage and Children
松田美由紀は、俳優の松田優作と1983年に結婚した。二人は松田優作が主演を務めたテレビドラマ『探偵物語』での共演をきっかけに関係を深め、松田優作が前妻と離婚した後に結ばれた。
二人の間には3人の子供がおり、長男の松田龍平は1983年に生まれ、後に俳優として活躍している。龍平の妻はモーガン茉愛羅である。次男の松田翔太は1985年に生まれ、彼もまた俳優の道に進み、妻は秋元梢である。長女の松田ゆう姫は1988年に生まれ、エレクトロニックユニット「Young Juvenile Youth」のボーカルとして活動している。松田優作とは死別するまで夫婦であり、その後の彼女の活動にも大きな影響を与えている。
3. Major Activities and Achievements
松田美由紀は女優業に留まらず、写真家、アートディレクター、作家、歌手と多岐にわたる分野でその才能を発揮し、多くの作品と活動を通じて芸術的貢献を果たしている。
3.1. Acting Career
松田美由紀は1979年につかこうへいに抜擢され、映画『金田一耕助の冒険』で女優デビューを果たした。以来、テレビドラマ、映画、舞台と広範な分野で活躍し、その表現力と幅広い役柄への対応力で知られている。特に、フジテレビの『北の国から』シリーズでは吉本つらら役を演じ、広く認知された。2014年には、第67回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された河瀬直美監督の映画『2つ目の窓』に出演するなど、国際的な作品にも参加している。
3.1.1. Film Appearances
松田美由紀は数多くの映画作品に出演し、その演技は高く評価されている。デビュー作の『金田一耕助の冒険』(1979年)ではマリア役を演じ、ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞した。その後も、『エレファントソング』(1994年)では水橋加奈子役を、『オーディション』(2000年)では青山良子役を演じ、強い印象を残した。
彼女の主な映画出演作には以下のようなものがある。
公開年 | タイトル | 役柄 |
---|---|---|
1979 | 金田一耕助の冒険 | マリア |
1980 | 不良少年 | 栄子 |
1980 | 鉄騎兵、跳んだ | 秋本洋子 |
1991 | バカヤロー!4 YOU! お前のことだよ 第二話「カラダだけの男」 | 白石輪子 |
1994 | エレファントソング | 水橋加奈子 |
1995 | BeRLiN | |
1997 | 林檎のうさぎ | お母さん |
1998 | 元気の神様 | 坂口真弓 |
1998 | モスラ3 キングギドラ来襲 | 園田幸江 |
1999 | のど自慢 | 荒木美代子 |
1999 | あの、夏の日 とんでろ じいちゃん | 大井香里 |
2000 | オーディション | 青山良子 |
2000 | GLOW 僕らはここに...。 | 美保子 |
2002 | クロエ | 日出美 |
2002 | パコダテ人 | 日野ちづる |
2003 | 棒たおし! | 高山弓子 |
2004 | 理由 | 佐藤秋江 |
2005 | ZOO 「カザリとヨーコ」 | ママ |
2007 | 世界はときどき美しい | 野枝 |
2007 | 犯人に告ぐ | 巻島園子 |
2007 | 東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~ | 中目黒の大家 |
2010 | 渋谷 | ユリカの母親 |
2011 | 管制塔 | |
2011 | MADE IN JAPAN ~こらッ!~ | 杉田春子 |
2011 | 恋谷橋 | |
2011 | オムライス | |
2012 | モンスターズクラブ | 垣内ユリエ |
2012 | 王様とボク | 三井景子 |
2012 | 女たちの都~ワッゲンオッゲン~ | ゆり子 |
2012 | friends after 3.11 劇場版 | ナビゲーター |
2014 | ホットロード | 春山の母 |
2014 | 2つ目の窓 | イサ |
2015 | 破れたハートを売り物に「この柔らかい世界」 | 珠里の母親 |
2015 | ラブ&ピース | 松井 |
2015 | ボクは坊さん。 | 白方真智子 |
2016 | ちはやふる 上の句 | 宮内妙子 |
2016 | ちはやふる 下の句 | 宮内妙子 |
2018 | ちはやふる 結び | 宮内妙子 |
2019 | 見えない目撃者 |
3.1.2. TV Drama Appearances
テレビドラマにおいても、松田美由紀は多様な役柄を演じ、その存在感を示している。デビュー初期の『探偵物語』(1979年)では、夫となる松田優作と共演し、第1話で夏子役、第18話で銀子役を演じた。また、『北の国から』シリーズ(1981年、1984年)では吉本つらら役を演じ、広く知られるようになった。
主なテレビドラマ出演作は以下の通りである。
放送年 | タイトル | 役柄 |
---|---|---|
1979 | 探偵物語 第1話 | 夏子 |
1979 | 探偵物語 第18話 | 銀子 |
1979 | 西部警察 第26話「友情の捜査線」 | 稲村ひろみ |
1980 | ちょっとマイウェイ 第19話「女を売りものにしないわよ」 | 女子高校生 |
1980 | 獅子の時代 | 平沼保子 |
1980 | 新・江戸の旋風 第7話「つっぱりすぎた慾の皮」 | お咲 |
1980 | 土曜ナナハン学園危機一髪「ガラスの動物園」 | |
1981 | 春まっしぐら! | サチ |
1981 | 北の国から | 吉本つらら |
1984 | 北の国から '84夏 | 吉本つらら |
1991 | 結婚しないかもしれない症候群 | |
1991 | 怪談・花屋敷 | 桃子 |
1993 | 愛しの刑事 第18話 | ゆきえ |
1993 | 事件1・なぜ夫は新妻の姉を殺したのか...? | 坂井ハツ子 |
1993 | 炎立つ | 常磐御前 |
1994 | ぽっかぽか | 八木文江 |
1995 | ぽっかぽか2 | 八木文江 |
1995 | セカンド・チャンス 第10話 - 最終話 | 野田真知子 |
1995 | 沙粧妙子-最後の事件- | 秋元早苗 |
1995 | 鬼平犯科帳 第6シリーズ 第6話「はさみ撃ち」 | おもん |
1995 | 正義は勝つ 第3話 | 松浦友子 |
1996 | ぽっかぽか3 | 八木文江 |
1996 | 火曜サスペンス劇場「やさしい遺言」 | 仁科奈美 |
1997 | 新・半七捕物帳 第9話「朝顔屋敷」 | お島 |
1997 | 月の輝く夜だから | 山本佳代子 |
1998 | 風になりたい | 悠子 |
1998 | みにくいアヒルの子・涙の卒業スペシャル | |
1999 | 女医 NOTHING LASTS FOREVER | 速水優子 |
1999 | ケイゾク 第3話 | 竹下美奈子 |
1999 | 魔女の条件 | 進藤医師 |
2000 | 新・天までとどけ1 | 杉本由美子 |
2001 | 新・天までとどけ2 | 杉本由美子 |
2002 | 私立探偵 濱マイク | サヨコ |
2002 | 新・天までとどけ3 | 杉本由美子 |
2003 | ラベル | |
2003 | 演技者。 | ケイコ |
2003 | 新・天までとどけ4 | 杉本由美子 |
2004 | 新・天までとどけ5 | 杉本由美子 |
2005 | わかば スペシャル | 矢島淳美 |
2006 | マチベン 第1話 | 河瀬みゆき |
2007 | 帰ってきた時効警察 第8話 | 佐伯多美子 |
2007 | ひとがた流し | 水沢牧子 |
2008 | GOTAISETSU | 涼子 |
2008 | 佐々木夫妻の仁義なき戦い 第5話 | 聡子 |
2008 | Tomorrow~陽はまたのぼる~ 第1話 | 安田早苗 |
2008 | 芸術祭参加ドラマ シュラバッ!~女の秘密と遺産バトル~ | 松本伊都子 |
2009 | 湯けむりスナイパー | スナック花子のママ |
2009 | 探偵M | ママ |
2010 | 湯けむりスナイパー お正月スペシャル | スナック花子のママ |
2010 | 鉄の骨 第2話・第3話・最終話 | 富島八重子 |
2013 | ビブリア古書堂の事件手帖 第10話 | 来城邦代 |
2013 | 夫婦善哉 最終話 | 『玉初』女将 |
2016 | いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう | 神谷嘉美 |
2017 | 楽園 | 土井崎向子 |
2018 | 犬神家の一族 | 犬神竹子 |
2021 | SUPER RICH 第3話・最終話 | 北別府恵子 |
2022 | TOKYO VICE 第7話 | イナバ |
2025 | フォレスト | 幾島鈴子 |
2025 | 家政夫のミタゾノ 第7シーズン 第7話 | 藤堂留美 |
3.1.3. Stage and Other Appearances
松田美由紀は舞台演劇にも精力的に出演しており、その活動は多岐にわたる。2005年には舞台『ドレッサー』に出演し、2009年には『三文オペラ』にも参加した。また、劇団EXILEの公演『DANCE EARTH~願い~』(2010年)や、小倉久寛のひとり立ち公演『チ・ヨ・コ・レ・イ・ト-ビターな大人のラブコメディ-』(2013年)など、様々な舞台でその演技力を披露している。
舞台以外の活動としては、ウェブドラマ『僕の手を売ります』(2023年)への出演や、江崎グリコのポッキー(1979年)、味の素冷凍食品のマザーセレクト(1999年)、ヤフーのYahoo!オークション(2015年)などのCMにも出演している。
ラジオドラマでは、NHK-FMの青春アドベンチャー『ハッピーバースデー』(2007年)で藤原静代役を、FMシアター『GOTAISETSU』(2007年)で涼子役を務めた。また、スマートフォン向けアプリ「こえほん」内で配信された電子絵本『きらきら星に贈る詩』(2011年)ではナレーションを担当している。
2022年にはNHK総合の『アナザーストーリーズ 運命の分岐点「松田優作 ブラック・レインに刻んだ命」』に出演し、夫である松田優作の遺作『ブラック・レイン』の収録で使われた大阪府庁(大阪市大手前)を訪れた様子が取材された。
3.2. Photography and Art Direction
近年、松田美由紀は写真家およびアートディレクターとしてもその才能を発揮している。2003年には、死別した夫である松田優作の生涯をまとめた『松田優作全集』の監修とアートディレクションを3年かけて務め上げ、これをきっかけに制作への表現の幅を広げた。また、2009年には夫の生涯と死を扱ったドキュメンタリー映画『Soul Red: Yusaku Matsuda』のエグゼクティブプロデューサーを務めた。
写真家としては、フリーペーパー『R』の制作・編集長を務めたほか、自身の暗室で35mmフィルムを現像し手がけた写真集『片山瞳×松田美由紀 写真集 私の好きな孤独』(2008年)を出版している。この写真集ではモデルの片山瞳を撮影した。また、「月刊シリーズ」(新潮社)では、太田莉菜、早乙女太一、中村中、大森南朋といった著名人を撮影している。雑誌『GENROQ』(三栄書房)では、グラビアページをフィルムで撮影する連載を7年間続けた。
映像監督としても活動し、『月刊NEO シリーズ』ではドキュメンタリーや短編映像の監督を務め、編集や音楽の全てを自身で手がけるなど、多才な一面を見せている。
3.3. Writing and Publishing
松田美由紀は作家としても活動しており、エッセイ集や写真集など複数の書籍を出版している。主な著書には、エッセイ集『子宮の言葉』(1992年)、『好き好き大好き! 明日を生きる言葉』(2011年)などがある。特に『子宮の言葉』では朗読会も開催するなど、その表現は多岐にわたる。
また、写真家としての活動の一環として、自身が撮影を手がけた写真集『片山瞳×松田美由紀 写真集 私の好きな孤独』(2008年)も出版している。夫である松田優作に関連する書籍としては、『DIAMOND 松田優作』(1998年)や、監修・アートディレクションを務めた『松田優作全集』(2005年)がある。
雑誌連載としては、『GENROQ』(三栄書房)で写真グラビアページを7年間担当したほか、『Harper's Bazaar』(エイチビー出版)でも連載を持っていた。
松田美由紀が執筆または撮影した書籍を以下に示す。
出版年 | タイトル | 出版社 | 備考 |
---|---|---|---|
1992 | 『子宮の言葉』 | 扶桑社 | エッセイ集 |
1998 | 『DIAMOND 松田優作』 | 幻冬舎 | |
2005 | 『松田優作全集』 | 幻冬舎 | 監修・アートディレクション |
2008 | 『片山瞳×松田美由紀 写真集 私の好きな孤独』 | リトル・モア | 撮影 |
2011 | 『好き好き大好き! 明日を生きる言葉』 | 講談社 | エッセイ集 |
3.4. Music Activities
松田美由紀は音楽分野でも活動しており、シャンソン歌手としての新たな顔も持っている。1980年5月1日には、CBS・ソニーからシングル「ダンシング・ドール」(B面は「だけど I LOVE YOU」)をリリースしている。
2015年1月14日には、ソニー・ミュージックダイレクトからリリースされたオムニバス・アルバム『アクトレス・ミラクルバイブル 鶴間エリ・朝加真由美・熊谷美由紀・白坂紀子・中島はるみ』に、CBS・ソニーで発表したシングル両面2曲が収録された。
近年では、音楽劇「シネマテックライブショー・愛とは花のように育てなければならないもの」で脚本と主演を務め、シャンソンを歌うことにも挑戦している。今後も歌手として活動を広げていく意向を示している。
3.4.1. Discography
松田美由紀の音楽作品を以下に示す。
4. Social Contribution Activities
松田美由紀は、自身の芸術活動と並行して、様々な社会問題に対する積極的な関与と貢献を行っている。彼女が取り組む主な社会貢献活動には、以下の分野が含まれる。
- 環境保護活動**: 地球環境の保全に対する意識を高め、具体的な行動を促すための活動に参加している。
- 発展途上国の孤児支援**: 貧困や紛争などで困難な状況にある発展途上国の孤児たちへの支援に尽力しており、彼らの生活改善や教育機会の提供に貢献している。
- 自殺防止問題への取り組み**: 自殺を考えている人々への支援や、自殺を未然に防ぐための啓発活動にも積極的に関わっている。
- エネルギーシフトと平和活動**: 持続可能な社会の実現に向けたエネルギー転換の推進や、世界平和を願う活動にも参加し、社会的なメッセージを発信している。
これらの活動を通じて、松田美由紀は単なる表現者としてだけでなく、社会に対する責任を果たす市民としての役割も果たしている。