1. 生涯
1.1. 出身地・生い立ち
根本悠楓は2003年3月31日に北海道白老郡白老町で生まれた。幼少期から野球に親しみ、プロ初勝利の際には、可愛がってくれた祖父母にウイニングボールを贈りたいと語るなど、家族との絆が深い人物である。
1.2. 学生野球時代
根本は小学校1年生から野球を始めた。白老町立白翔中学校では軟式野球部に所属し、中学3年時の第39回全国中学校軟式野球大会では、決勝戦で完全試合を達成する快挙を成し遂げ、チームの全国制覇に貢献した。その数ヶ月後に行われた第9回U-15アジア野球選手権大会では、後に東京ヤクルトスワローズに入団する内山壮真とバッテリーを組み、日本の優勝に貢献した。この大会のチームメイトには、後にプロでチームメイトとなる山城航太郎のほか、寺西成騎、平尾柊翔もいた。
高校は苫小牧中央高等学校に進学。3年夏の大会では準々決勝で駒大苫小牧と対戦し、15奪三振を記録するも惜敗し、甲子園出場経験はなかった。2学年下には斉藤優汰が在籍していた。
2. プロ経歴
根本悠楓のプロ野球選手としての経歴は、2020年のドラフト会議で北海道日本ハムファイターズから指名を受けたことから始まる。
2.1. ドラフト・入団
2020年10月26日に行われたプロ野球ドラフト会議において、地元の北海道日本ハムファイターズから5位指名を受けた。同年12月2日には契約金2000.00 万 JPY、年俸520.00 万 JPY(推定)で仮契約を結び、背番号は「59」に決定した。
2.2. 2021年シーズン
プロ1年目の2021年シーズンは、3月31日のイースタン・リーグ、東京ヤクルトスワローズ戦で公式戦初登板を果たし、1イニングを無安打1四球1奪三振無失点に抑えた。7月中旬には腰の張りで一時離脱したものの、二軍で実戦登板を重ね、イースタン・リーグで12試合に登板し、1勝1敗、防御率1.82の成績を残した。シーズン終了後の10月11日からはみやざきフェニックス・リーグに参加し、11月3日から16日まで行われた秋季キャンプでは、精度が課題であったチェンジアップの改良に取り組んだ。オフには現状維持の推定年俸520.00 万 JPYで契約を更改した。
2.3. 2022年シーズン
2022年シーズンは、春季キャンプを一軍でスタートし、レギュラーシーズンの開幕も中継ぎとして一軍で迎えた。3月25日の福岡ソフトバンクホークスとの開幕戦でプロ初登板を果たし、1イニングを無安打2四死球3奪三振無失点に抑え、プロ初ホールドを記録した。4月1日のオリックス・バファローズ戦ではプロ初先発登板となったが、3回2/3を1失点で敗戦投手となり、翌2日に出場選手登録を抹消された。二軍調整を経て、5月29日の読売ジャイアンツ戦に先発登板し、5回5安打3四死球3奪三振2失点の内容でプロ初勝利を挙げた。
その後も登板機会の都合で登録抹消と再登録を繰り返しながらも、先発ローテーションの一角を担い、この年は一軍で13試合(11先発)に登板し、3勝3敗1ホールド、防御率2.52を記録した。イースタン・リーグでは10試合に登板し、2勝4敗、防御率2.23の成績を残し、オフの11月25日に開催されたNPB AWARDS 2022ではファーム優秀選手賞を受賞した。同29日の契約更改では、780.00 万 JPY増となる推定年俸1300.00 万 JPYで契約を結んだ。
2.4. 2023年シーズン
2023年シーズンは、体重と体脂肪を減らしてキャンプインしたが、本人は後に「いざ投げようってなったら、うまく体重が乗らない。キャンプ中から、どうも腕が振れなくて、ボールに力がない感じでした」と語るほど、投球に影響が出た。オープン戦でも打ち込まれる登板が続き、開幕を二軍で迎えた。徐々に体重を増やし、6月には前年の体重に戻り、二軍戦では自己最速の150 km/hを計測した。
二軍で14試合に登板し、2勝3敗、防御率3.53を記録すると、8月10日の埼玉西武ライオンズ戦でシーズン初登板初先発を果たした。5回表に同点3ランホームランを打たれたものの、チームが直後に3点を奪い勝利したため、5回3失点ながらも根本にシーズン初勝利が記録された。しかし、続く8月17日の千葉ロッテマリーンズ戦で左足首に打球が直撃し、打撲により翌18日に登録抹消された。9月2日の二軍戦で実戦復帰し、同17日のソフトバンク戦で一軍復帰を果たした。この年は一軍で5試合の先発登板で3勝1敗、防御率2.88の成績であった。シーズン終了後には第2回アジアプロ野球チャンピオンシップに日本代表として選出され、オフには300.00 万 JPY増となる推定年俸1600.00 万 JPYで契約を更改した。
2.5. 2024年シーズン
2024年シーズンは、テイクバックを小さくした投球フォームに変更して臨んだ。開幕前に出場した日本代表強化試合では第1戦にリリーフ登板し、1回1四球無失点に抑えた。チームへの合流後は開幕ローテーション入りを目指していたが、オープン戦では結果を残せず、開幕を二軍で迎えた。
4月14日のオリックス戦でシーズン初登板初先発となったが、チームが1回表に3点を先制した直後に3安打3四球で同点を許し、2回裏も2四死球と制球に苦しみ、この回限りで降板した。2回3失点で勝敗は付かなかったものの、試合後に二軍降格が決定した。降格後も制球を乱す場面が目立ち、5月18日の二軍戦ではリリーフ起用となったが、1回3安打3四死球4失点と乱調だった。その後も調子が上がらずにリリーフ起用が続いたが、6月末から先発に戻った。8月3日のソフトバンク戦でシーズン2度目の先発登板となったものの、制球が定まらず、2回1/3を4安打3四球5失点(自責点4)で降板。勝敗は付かなかったが、翌4日に出場選手登録を抹消された。その後の一軍再昇格は果たせず、この年は一軍で2試合の先発登板にとどまり、未勝利で防御率14.54の成績であった。オフには100.00 万 JPY減となる推定年俸1500.00 万 JPYで契約を更改した。
2.6. 選手としての特徴
根本悠楓は身長173 cmと、プロ野球選手としては小柄な体格の左腕投手である。しかし、最速150 km/hの力強いストレートに加え、スライダー、チェンジアップ、フォーク、カーブといった多彩な球種を操る。間合いやテンポを巧みに使い、打者と駆け引きしながら打ち取る投球スタイルが特徴である。
3. 代表経歴
3.1. 第2回アジアプロ野球チャンピオンシップ
2023年10月24日、2023 アジア プロ野球チャンピオンシップの日本代表に選出されたことが発表された。大会では第2先発として起用され、予選の台湾戦では同点の6回裏から登板し、3者凡退に抑えた。直後に森下翔太のソロ本塁打で日本が先制し、根本は7回裏も続投して2イニングを完全投球で抑え、勝利投手となった。韓国との決勝戦でも3回無失点と好投し、日本の同大会2連覇に大きく貢献した。
4. 記録・受賞歴
4.1. 主な記録
- 初登板・初ホールド:2022年3月25日、対福岡ソフトバンクホークス1回戦(福岡PayPayドーム)、4回裏に3番手で救援登板、1回無失点
- 初奪三振:同上、4回裏に松田宣浩から空振り三振
- 初先発登板:2022年4月1日、対オリックス・バファローズ1回戦(京セラドーム大阪)、3回2/3を1失点で敗戦投手
- 初勝利・初先発勝利:2022年5月29日、対読売ジャイアンツ3回戦(札幌ドーム)、5回2失点
4.2. 受賞歴
- 2022年 イースタン・リーグ優秀選手賞
5. 人物・エピソード
5.1. 愛称・周囲からの評価
根本悠楓の愛称は「ねもっちゃん」である。
苫小牧中央高等学校時代は3年間で怪我がなく、当時の渡辺宏禎監督は根本について「指示されたことを絶対に妥協しない。徹底してやれる。中学時代に日本一になったというおごりも全くない」と語り、準備やトレーニングに対する真摯な姿勢を高く評価していた。
6. 通算記録
6.1. 年度別投手成績
年 度 | 球 団 | 登 板 | 先 発 | 完 投 | 完 封 | 無 四 球 | 勝 利 | 敗 戦 | セ | ブ | ホ | ル ド | 勝 率 | 打 者 | 投 球 回 | 被 安 打 | 被 本 塁 打 | 与 四 球 | 故 意 四 球 | 与 死 球 | 奪 三 振 | 暴 投 | ボ | ク | 失 点 | 自 責 点 | 防 御 率 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2022 | 日本ハム | 13 | 11 | 0 | 0 | 0 | 3 | 3 | 0 | 1 | .500 | 254 | 60.2 | 52 | 8 | 24 | 0 | 4 | 53 | 1 | 0 | 19 | 17 | 2.52 | 1.25 |
2023 | 5 | 5 | 0 | 0 | 0 | 3 | 1 | 0 | 0 | .750 | 105 | 25.0 | 12 | 2 | 14 | 0 | 3 | 23 | 0 | 0 | 8 | 8 | 2.88 | 1.04 | |
2024 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | 29 | 4.1 | 7 | 0 | 7 | 0 | 1 | 4 | 1 | 0 | 8 | 7 | 14.54 | 3.23 | |
通算:3年 | 20 | 18 | 0 | 0 | 0 | 6 | 4 | 0 | 1 | .600 | 388 | 90.0 | 71 | 10 | 45 | 0 | 8 | 80 | 2 | 0 | 35 | 32 | 3.20 | 1.29 |
- 2024年度シーズン終了時
6.2. 年度別守備成績
年 度 | 球 団 | 投手 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | ||
2022 | 日本ハム | 13 | 3 | 10 | 0 | 1 | 1.000 |
2023 | 5 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1.000 | |
2024 | 2 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1.000 | |
通算 | 20 | 4 | 14 | 0 | 1 | 1.000 |
- 2024年度シーズン終了時
7. その他
7.1. 背番号
- 59(2021年 - )
7.2. 登場曲
- 「空はまるで」Monkey Magic(2022年 - )
8. 外部リンク
- [https://www.fighters.co.jp/team/player/detail/2024_00001364.html 59 根本 悠楓 選手名鑑] - 北海道日本ハムファイターズオフィシャルサイト