1. Overview
水谷拓磨は、豊富な運動量と多彩なキックを武器とする日本のプロサッカー選手である。静岡県静岡市駿河区で1996年に生まれ、清水エスパルスのジュニアユース、ユースを経て、2014年にトップチームに昇格した。その後、FC今治への期限付き移籍を経験し、AC長野パルセイロで主力として活躍。2023年からはブラウブリッツ秋田でプレーしている。また、U-17サッカー日本代表として2013 FIFA U-17ワールドカップに出場するなど、日本代表の各年代で活躍した経験を持つ。ゴールキーパーとセンターバック以外の全てのポジションをこなせるユーティリティープレイヤーとしての多才さも彼の大きな特徴である。
2. 生い立ちとキャリア初期
水谷拓磨は1996年4月24日に静岡県静岡市駿河区で生まれた。幼少期からサッカーを始め、清水エスパルスが運営するサッカースクールである城北SSS(城北サッカー少年団)に所属し、サッカーの基礎を学んだ。その後、静岡市立城北小学校を経て、静岡市立観山中学校へと進んだ。この時期には、清水エスパルスジュニアユースに所属し、プロサッカー選手への道を歩み始めた。
2.1. ユースキャリア
水谷は清水エスパルスジュニアユースで著しい成長を見せた。中学校3年時には、飛び級で清水エスパルスユースのチームに帯同し、プレミアリーグEASTの試合にも出場した。ユース昇格後も、高校1年生からチームの主力として活躍。その才能は早くから認められ、2011年からは各年代別の日本代表に継続的に選出された。2014年には清水エスパルスの2種登録選手となり、プロの舞台での経験も積んだ。
3. クラブキャリア
水谷拓磨のプロクラブキャリアは、ユース時代を過ごした清水エスパルスから始まった。期限付き移籍や完全移籍を経験しながら、各クラブでその才能と多才なプレースタイルを披露してきた。
3.1. 清水エスパルス
2014年9月、水谷は清水エスパルスユースから2015年シーズンからのトップチーム昇格が内定したと発表された。彼はJリーグの舞台に立つ機会を得て、2014年8月30日に行われたJ1第22節のサガン鳥栖戦(ベストアメニティスタジアム)でJリーグ初出場を果たした。トップチームでは、特にセレッソ大阪戦で1アシストを記録するなど、攻撃面でも貢献を見せた。2016年には一時期限付き移籍するが、2018年1月に清水に復帰。2018年、2019年もJ1リーグでプレーした。清水エスパルスでの通算出場は、リーグ戦15試合0得点、カップ戦10試合0得点、リーグカップ6試合0得点、合計31試合0得点となった。
3.2. FC今治 (期限付き移籍)
2016年6月、水谷はFC今治へ期限付き移籍した。この移籍は、U-17サッカー日本代表時代の監督であった吉武博文がFC今治の監督を務めていた縁もあり、新たな環境での成長を求めてのことだった。FC今治では、全国地域サッカーチャンピオンズリーグの三菱自動車水島FC戦で1アシストを記録。また、2017年のJFLの奈良クラブ戦では、後半アディショナルタイムにミドルシュートを突き刺し、FC今治での初得点を挙げた。FC今治では、四国サッカーリーグで4試合0得点、JFLで16試合1得点、天皇杯で2試合0得点、合計22試合1得点を記録した。
3.3. AC長野パルセイロ
2019年12月26日、水谷はJ3のAC長野パルセイロへ完全移籍することが発表された。長野では主力選手として活躍し、2020年11月15日のカマタマーレ讃岐戦(Pikaraスタジアム)でJリーグでの初得点(J3初得点)を記録した。2021年には、藤枝MYFC戦、テゲバジャーロ宮崎戦、ガイナーレ鳥取戦でゴールを決めるなど、得点能力も発揮した。2022年にはチームの主将を務め、SC相模原戦やアスルクラロ沼津戦でもゴールを挙げた。AC長野パルセイロでの3シーズンで、リーグ戦91試合6得点、天皇杯4試合1得点、合計95試合7得点を記録した。
3.4. ブラウブリッツ秋田
2022年12月12日、水谷はブラウブリッツ秋田へ完全移籍することが発表された。J2リーグに舞台を移したブラウブリッツ秋田では、足元の技術を活かした攻撃の組み立てや、サイドからの攻撃に加え中央からの攻撃にも変化をつける役割を期待されている。2023年シーズンのJ2第5節水戸ホーリーホック戦では、三上陽輔に代わって先発出場し、中村亮太からのクロスに合わせてゴールを挙げた。スタメンに定着してからは、プレイスキッカーも任されており、チームの攻撃の要として活躍している。
4. 代表キャリア
水谷拓磨は、日本の各年代別代表に選出され、国際舞台での経験も積んでいる。

- U-15日本代表**
- AFC U-16選手権2012 (予選)
- U-16日本代表**
- 2012 AFF U-16ユース選手権
- AFC U-16選手権2012
- U-17日本代表**
- 2013年10月、2013 FIFA U-17ワールドカップのメンバーに選出された。背番号「10」を背負い、サイドバックとしてグループリーグ3試合全てに出場し、チームのベスト16入りに貢献した。
- U-18日本代表**
- U-19日本代表**
5. プレースタイルと特徴
水谷拓磨は、そのプレースタイルの多様性と豊富な運動量で知られる選手である。彼は「ゴールキーパーとセンターバック以外であればどこでもプレー可能」と評されるほどのユーティリティープレイヤーであり、試合展開やチームの戦術に応じて様々なポジションをこなすことができる。
彼の強みとしては、以下の点が挙げられる。
- 豊富な運動量**: ピッチを広くカバーし、攻守両面で貢献する。
- 多彩なキック**: 正確なパスや効果的なプレースキックを供給できる。
- 足元の技術**: ボールコントロールに優れ、攻撃に変化をもたらすことができる。
- 攻撃のアイデア**: サイドからの攻撃だけでなく、中央からの崩しにも絡むことができ、チームの得点機会を創出する。
- プレイスキッカー**: ブラウブリッツ秋田では、主力定着後、フリーキックやコーナーキックなどのセットプレーのキッカーを任されている。
これらの特徴により、水谷はチームにとって非常に戦術的なオプションの多い選手として重宝されている。
6. キャリア統計
水谷拓磨のプロクラブにおける詳細なキャリア統計を以下に示す。
クラブ成績 | リーグ | カップ | リーグカップ | 合計 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
シーズン | クラブ | リーグ | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | |
日本 | リーグ | 天皇杯 | Jリーグカップ | 合計 | |||||||
2014 | 清水 | J1 | 6 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 9 | 0 | |
2015 | 5 | 0 | 4 | 0 | 1 | 0 | 10 | 0 | |||
2016 | J2 | 0 | 0 | - | - | 0 | 0 | ||||
2016 | 今治 | 四国 | 4 | 0 | - | 1 | 0 | 5 | 0 | ||
2017 | JFL | 16 | 1 | - | 1 | 0 | 17 | 1 | |||
2018 | 清水 | J1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | |
2019 | 1 | 0 | 6 | 0 | 2 | 0 | 9 | 0 | |||
2020 | 長野 | J3 | 32 | 1 | - | - | 32 | 1 | |||
2021 | 28 | 3 | 2 | 1 | - | 30 | 4 | ||||
2022 | 31 | 2 | 0 | 0 | - | 31 | 2 | ||||
2023 | 秋田 | J2 | 32 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 33 | 1 | |
2024 | 23 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 24 | 0 | |||
総通算 | 181 | 8 | 10 | 0 | 12 | 1 | 203 | 9 |
クラブ成績 | リーグ | 合計 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
シーズン | クラブ | リーグ | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | |
日本 | リーグ | 合計 | |||||
2015 | J-22 | J3 | 3 | 0 | 3 | 0 | |
総通算 | 3 | 0 | 3 | 0 |
;出場歴
- Jリーグ初出場 - 2014年8月30日 J1第22節 vsサガン鳥栖(ベストアメニティスタジアム)
- Jリーグ初得点 - 2020年11月15日 明治安田生命J3リーグ第27節 対カマタマーレ讃岐(Pikaraスタジアム)
7. 栄誉と実績
水谷拓磨がプロキャリアにおいて獲得した主なタイトルおよび受賞記録は以下の通りである。
7.1. クラブ
- 清水エスパルスジュニアユース**
- 日本クラブユースサッカー選手権 (U-15)大会 (2010年、2011年)
- 東海地域リーグ (U-15) (2010年、2011年)
7.2. 代表
- U-16日本代表**
- AFF U-16ユース選手権 (2012年)
8. 人物・エピソード
水谷拓磨は、ピッチ上での活躍だけでなく、その人柄や趣味でも知られている。
- 愛称**: チームメイトやファンからは「タクマ」や「タク」と呼ばれている。
- 利き足**: 右足。
- 身長**: 162 cm
- 体重**: 62 kg
- 背番号**: 7(ブラウブリッツ秋田)
- 趣味・好きなもの**: カレー、肉団子、カフェが好きだと語っている。