1. 経歴
河野竜生の野球キャリアは、学生時代から社会人野球、そしてプロ入り後の各シーズンにおける活躍を経て、段階的に発展してきました。
1.1. プロ入り前
河野竜生は、プロ入りする前の学生時代から社会人野球まで、その才能を発揮し、ドラフト指名へと至りました。
1.1.1. 高校時代
鳴門高校に在学中、野球部に所属し、通算3度夏の甲子園大会に出場しました。最高成績は3年時の第98回大会でのベスト8入りでした。当時の同級生には、のちに日本ハムでもチームメイトとなる中山晶量がいました。
1.1.2. 社会人野球時代
高校卒業後、河野はJFE西日本に入社し、社会人野球の世界に進みました。入社1年目の都市対抗野球では三菱重工広島の補強選手として出場しました。続く2年目の都市対抗野球ではJR西日本の補強選手として出場。3年目の都市対抗野球では、自チームであるJFE西日本として出場を果たしました。

2018年11月に行われた第44回社会人野球日本選手権大会では2試合連続完封勝利を記録する活躍を見せ、同大会の決勝戦では三菱重工名古屋を相手に9回1失点と好投しましたが、チームは延長戦の末に敗れ準優勝となりました。
2019年10月17日に行われたドラフト会議では、石川昂弥を抽選で外したオリックス・バファローズと、佐々木朗希を抽選で外した北海道日本ハムファイターズの2球団から1位指名を受けました。抽選の結果、日本ハムが交渉権を獲得し、プロ入りが決定しました。同年11月11日には、日本ハムと契約金1.00 億 JPY(出来高5000.00 万 JPY含む)、年俸1500.00 万 JPYで契約を結びました。背番号は28に決定しました。
1.2. 北海道日本ハムファイターズ時代
北海道日本ハムファイターズ入団後、河野竜生はプロ野球選手としてのキャリアをスタートさせ、各シーズンで様々な経験を積み重ねていきました。
1.2.1. 2020年
プロデビューシーズンとなった2020年は、開幕ローテーション入りを果たし、6月24日の東北楽天戦でプロ初登板初先発を経験しました。この試合では5回4安打5四球4失点の内容で敗戦投手となりました。しかし、4試合目の登板となった7月19日の千葉ロッテ戦では、8回2失点と好投しプロ初勝利を挙げました。シーズン序盤は存在感を発揮したものの、その後はスタミナ不足と要所での制球難に苦しむ場面が目立ち、夏場はファームでの再調整が続きました。10月4日の福岡ソフトバンク戦で一軍へ再昇格しましたが、2/3回を3安打4四球4失点の内容で降板するなど、シーズン中盤以降は奮いませんでした。ルーキーイヤーは一軍で12試合全てに先発登板し、3勝5敗、防御率5.07という成績でした。オフには推定年俸1750.00 万 JPY(250.00 万 JPY増)で契約を更改しました。
1.2.2. 2021年
2021年も開幕ローテーション入りし、本拠地開幕戦となった3月30日の埼玉西武戦でシーズン初登板初先発となりましたが、2本の2点本塁打を打たれて4失点を喫し、3回0/3で降板しました。その後、開幕からわずか2先発で中継ぎへと配置転換されました。しかし、プロ初のリリーフ登板となった4月16日の東北楽天戦で3回パーフェクトの好救援を見せ、プロ初ホールドを記録しました。同30日の埼玉西武戦から6月22日のオリックス戦で失点を喫するまで18試合連続無失点を記録するなど、中継ぎとして安定した投球を見せました。28試合のリリーフ登板で2勝0敗8ホールド、防御率0.29という好成績を収め、後半戦からは先発へ再転向しました。再転向後8度目の先発登板となった9月28日の東北楽天戦でようやくシーズン初の先発勝利を挙げましたが、以降は白星を挙げることができず、先発機会の無くなったシーズン最終盤では再びリリーフに回りました。最終的にこの年は11先発で1勝6敗、防御率4.42と先発としては苦しい投球が続きましたが、シーズン全体では40試合の登板で3勝6敗9ホールド、防御率2.99を記録しました。オフには推定年俸3000.00 万 JPY(1250.00 万 JPY増)で契約を更改しました。
1.2.3. 2022年
2022年は、新監督であるBIGBOSSの方針により開幕カードで小刻みな継投が行われました。河野は3月26日に出場選手登録され、同日の福岡ソフトバンク戦に3番手として登板しましたが、2回5失点(自責点4)で敗戦投手となりました。4月3日のオリックス戦でシーズン初先発も6回2失点で勝敗は付かず、続く同9日の東北楽天戦では3回7安打5失点で敗戦投手となりました。その後は中継ぎへ配置転換されましたが、4月24日の福岡ソフトバンク戦で2回6失点を喫すると、翌25日に出場選手登録を抹消されました。抹消後は先発として調整を続けていましたが、宮西尚生や堀瑞輝が不調であったチーム事情もあり、中継ぎとして6月17日に一軍へ昇格しました。中継ぎとして登板を重ねると、7月23日の千葉ロッテ戦ではブルペンデーの1番手として先発し3回1失点で勝敗は付かず、翌24日に出場選手登録を抹消されました。9月8日に中継ぎとして一軍へ再昇格すると、同10日の埼玉西武戦、1点リードの延長10回裏一死一塁から登板し、鈴木将平を二ゴロ併殺に打ち取ってプロ初セーブを挙げました。その後はシーズン終了まで一軍に帯同しましたが、この年は21試合(3先発)の登板で0勝2敗1ホールド1セーブ、防御率4.41という成績にとどまりました。オフには推定年俸2700.00 万 JPY(300.00 万 JPY減)で契約を更改し、プロ初の減額提示となりました。
1.2.4. 2023年
2023年は開幕を二軍で迎えたものの、4月18日に出場選手登録されました。翌19日の千葉ロッテ戦でシーズン初登板を果たしてから、5月14日の千葉ロッテ戦でシーズン初失点を喫するまで8試合連続無失点を記録しました。ホールド機会が増加したものの、交流戦最終戦となった6月19日の横浜DeNA戦で救援失敗を喫し、リーグ戦再開後の2週間(6月23日 - 7月6日)では2敗を喫しました。前半戦終了時点では30試合に登板して0勝3敗8ホールド、防御率1.75という成績でした。しかし、後半戦は20試合の登板のうち、失点を喫したのは2試合のみと安定した投球を披露し、7回のセットアッパーに定着しました。この年は50試合の登板で1勝4敗20ホールド、防御率1.70を記録しました。オフには推定年俸5000.00 万 JPY(2300.00 万 JPY増)で契約を更改しました。
1.2.5. 2024年
2024年はリリーフとしては自身初の開幕一軍入りを果たし、この年もセットアッパーを務めました。開幕から15試合連続無失点を記録するなど、交流戦開始前の時点では19試合に登板し1勝1敗14ホールド、防御率0.48を記録していました。しかし、交流戦では救援失敗が目立ち、リーグ戦再開となった6月21日の東北楽天戦でも1点リードの8回表、二死無走者から代打の阿部寿樹に同点ソロ本塁打を被弾しました。

ファン投票でオールスターゲームに初選出され、球宴第1戦に4番手として7回表から登板し、3者連続奪三振の快投を披露しました。しかし、後半戦は8月に入ってから再び救援失敗が目立つようになり、8月31日の埼玉西武戦では1点リードの8回裏二死三塁、代打の栗山巧に決勝の逆転2点本塁打を被弾し敗戦投手となりました。翌9月1日に出場選手登録を抹消されましたが、9月15日に再登録されました。この年は52試合の登板で1勝4敗33ホールド、防御率2.13、リーグ最多の34ホールドポイントを記録し、自身初タイトルとなる最優秀中継ぎ投手を獲得しました。34ホールドポイントでのタイトル獲得は、2008年の川﨑雄介(31ホールドポイント)に次ぎ、パ・リーグ史上2番目の少なさでした。ポストシーズンでは、千葉ロッテとのクライマックスシリーズファーストステージで3連投となり、全試合で無失点に抑える活躍を見せました。
2. 選手としての特徴
河野竜生の投球スタイルは、その独特なフォームと多彩な球種によって特徴づけられます。
「後ろが小さくてピッと来る」という独特なテイクバックから速い腕の振りで打者のタイミングを狂わせる投球フォームが特徴である。カーブ、スライダー、カットボール、ツーシーム、チェンジアップと多彩な変化球を操る。ストレートの最速は社会人時代に151 km/hを計測し、プロ入り後は2021年8月18日のオリックス戦の初回に153 km/hを記録している。
球種 | 配分 % | 平均球速 km/h |
---|---|---|
ストレート | 48.3 | 146.2 |
カットボール | 38.9 | 135.9 |
カーブ | 6.4 | 104.8 |
チェンジアップ | 3.5 | 130.5 |
スライダー | 2.3 | 127.8 |
ツーシーム | 0.7 | 139.8 |
2023年シーズンの投球データによると、ストレートが全体の約半数を占め、それに次いでカットボールが主要な球種となっています。それぞれの球種は、打者のタイミングをずらすために効果的に使用されています。
3. 記録・表彰
河野竜生がこれまでに獲得した主要なタイトルや個人記録、その他の特筆すべき情報を以下にまとめます。
3.1. タイトル
河野竜生はプロ野球選手として、以下の公式タイトルを獲得しています。
- 最優秀中継ぎ投手:1回(2024年)
3.2. 個人記録
河野竜生はプロキャリアを通じて、様々な個人記録を達成してきました。
3.2.1. 初記録
プロ野球選手としてのキャリアにおける最初の重要な記録は以下の通りです。
- プロ初登板・初先発登板:2020年6月24日、対東北楽天2回戦(楽天生命パーク宮城)、5回4失点で敗戦投手。
- プロ初奪三振:上記同上、3回裏に茂木栄五郎から空振り三振。
- プロ初勝利・プロ初先発勝利:2020年7月19日、対千葉ロッテ6回戦(札幌ドーム)、8回4安打2失点7奪三振。
- プロ初ホールド:2021年4月16日、対東北楽天4回戦(東京ドーム)、4回表に2番手で救援登板、3回無失点。
- プロ初セーブ:2022年9月10日、対埼玉西武22回戦(ベルーナドーム)、10回裏一死に5番手で救援登板・完了、2/3回無失点。
3.2.2. その他の記録
初記録以外にも、河野竜生は以下の特筆すべき記録や出来事を経験しています。
- オールスターゲーム出場:1回(2024年)。
- 1球敗戦投手:2023年5月23日、対福岡ソフトバンク9回戦(エスコンフィールドHOKKAIDO)、6回表に柳田悠岐に右越え本塁打を被弾。これは史上26人目、28度目の記録です。
3.3. 背番号
プロ野球選手として使用してきた背番号とその期間に関する情報は以下の通りです。
- 28(2020年 - )
3.4. 登場曲
試合出場時に使用している登場曲は以下の通りです。
- 「ECHO」Little Glee Monster(2020年 - )
4. 年度別成績
河野竜生のプロ野球キャリア全体にわたる投球成績と守備成績を年ごとに詳細な表形式で提示します。
4.1. 投手成績
各シーズンにおける投球イニング、勝敗、防御率、奪三振数など、詳細な投球成績を一覧で示します。
年 度 | 球 団 | 登 板 | 先 発 | 完 投 | 完 封 | 無 4 球 | 勝 利 | 敗 戦 | セ | ブ | ホ | ル ド | 勝< 率 | 打 者 | 投 球 回 | 被 安 打 | 被 本 塁 打 | 与 四 球 | 敬 遠 | 与 死 球 | 奪 三 振 | 暴 投 | ボ | ク | 失 点 | 自 責 点 | 防 御 率 | WHIP |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2020 | 日本ハム | 12 | 12 | 0 | 0 | 0 | 3 | 5 | 0 | 0 | .375 | 269 | 60.1 | 63 | 9 | 30 | 2 | 3 | 43 | 1 | 0 | 40 | 34 | 5.07 | 1.54 |
2021 | 40 | 11 | 0 | 0 | 0 | 3 | 6 | 0 | 9 | .333 | 376 | 90.1 | 74 | 7 | 31 | 2 | 4 | 68 | 4 | 0 | 35 | 30 | 2.99 | 1.16 | |
2022 | 21 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 1 | .000 | 150 | 34.2 | 36 | 3 | 11 | 0 | 3 | 25 | 3 | 0 | 24 | 17 | 4.41 | 1.36 | |
2023 | 50 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 4 | 0 | 20 | .200 | 164 | 42.1 | 30 | 1 | 9 | 0 | 3 | 35 | 0 | 0 | 9 | 8 | 1.70 | 0.92 | |
2024 | 52 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 4 | 0 | 33 | .200 | 168 | 42.1 | 33 | 5 | 11 | 4 | 1 | 33 | 4 | 0 | 10 | 10 | 2.13 | 1.04 | |
通算:5年 | 175 | 26 | 0 | 0 | 0 | 8 | 21 | 1 | 63 | .276 | 1127 | 269.3 | 238 | 25 | 92 | 8 | 14 | 204 | 12 | 0 | 118 | 99 | 3.94 | 1.23 |
- 2024年度シーズン終了時
- 各年度の太字はリーグ最高
4.2. 守備成績
各シーズンにおける守備記録(出場試合数、刺殺、補殺、失策、併殺、守備率)を一覧で示します。
年 度 | 球 団 | 投手 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | ||
2020 | 日本ハム | 12 | 2 | 5 | 0 | 1 | 1.000 |
2021 | 40 | 9 | 18 | 0 | 1 | 1.000 | |
2022 | 21 | 1 | 5 | 0 | 1 | 1.000 | |
2023 | 50 | 3 | 9 | 2 | 2 | .857 | |
2024 | 52 | 6 | 8 | 0 | 0 | 1.000 | |
通算 | 175 | 21 | 45 | 2 | 5 | .971 |
- 2024年度シーズン終了時