1. 概要
瀬古 歩夢(Ayumu Sekoセコ アユム英語、2000年6月7日 - )は、大阪府大阪市大正区出身の日本のプロサッカー選手。ポジションはディフェンダー(主にセンターバックだが、守備的ミッドフィールダーとしてもプレーする)。利き足は両足。現在はスイス・スーパーリーグのグラスホッパー・クラブ・チューリッヒに所属している。身長は186 cm、体重は81 kg。
瀬古は、幼少期にセレッソ大阪のユースアカデミーに入団し、その後のキャリアをスタートさせた。セレッソ大阪では、若くしてトップチームに昇格し、J1リーグでのデビューを果たした後、不動の主力ディフェンダーとして活躍。特に2019年には年間最少失点記録に貢献し、2020年にはルヴァンカップのニューヒーロー賞とJ1リーグのベストヤングプレーヤー賞をダブル受賞するという快挙を成し遂げた。その後、活躍の場をスイスへ移し、グラスホッパー・クラブ・チューリッヒでも主力選手としてチームを支えている。国際舞台では、各年代別日本代表としてFIFA U-20ワールドカップや東京オリンピックに出場。2023年には日本A代表に初招集され、キリンチャレンジカップのウルグアイ代表戦でデビューを果たした。
2. 幼少期とユース時代
瀬古歩夢は、幼なじみの池田昌生がセレッソ大阪のジュニアユースに入団したことをきっかけに、セレッソ大阪U-12のセレクションを受け、合格して入団した。その後、セレッソ大阪のユースアカデミーで着実に成長を遂げ、プロサッカー選手への道を歩んでいった。
2.1. ユースクラブでの成長
瀬古は2010年にセレッソ大阪U-12に加入し、2013年にはU-15、2016年にはU-18へと段階的に昇格した。U-18在籍中の2016年には、トップチームに2種登録選手として登録され、J3リーグに所属するセレッソ大阪U-23の選手として公式戦に出場する機会を得た。J3リーグでのプレーは、体の大きな選手を相手にする経験を積む上で貴重な機会となり、トップチーム昇格後にJ1リーグのプレースタイルに早く適応することに繋がったと本人は語っている。
2017年には、当時のトップチーム監督であるユン・ジョンファンに高く評価され、飛び級でトップチームの練習にも参加するようになった。同年5月24日に行われたルヴァンカップグループステージ第6節のヴィッセル神戸戦で、16歳11か月というクラブ史上最年少でのカップ戦デビューを果たした。
3. クラブ経歴
瀬古はセレッソ大阪のユースで育ち、プロ契約後も主力選手として活躍した。その後、スイスへ活躍の場を移し、海外での挑戦を続けている。
3.1. セレッソ大阪
2018年10月19日、瀬古はセレッソ大阪とプロ契約を結んだことが発表された。
2019年シーズンには、5月4日のJ1リーグ第10節松本山雅FC戦でJ1リーグデビューを飾った。当時のロティーナ監督からは、その低い軌道のロングパスやビルドアップ能力を高く評価され、出場機会を増やしていった。同年9月1日、J1リーグ第25節の川崎フロンターレ戦では、J1初ゴールを記録した。このシーズン、セレッソ大阪は年間総失点数25というJリーグの全カテゴリーを含めても最少失点記録(Jリーグ歴代2位、クラブ史上最少失点記録)を達成し、瀬古もその守備の安定に大きく貢献した。
2020年シーズンには、開幕戦からマテイ・ヨニッチとセンターバックでコンビを組み、スターティングメンバーに定着。体を張った守備と持ち前の低軌道ロングフィードを駆使し、攻守両面でチームを牽引した。この年のルヴァンカップでは4試合に出場し、その活躍が評価されて11月2日に2020年度のニューヒーロー賞を受賞。セレッソ大阪からの選出は史上初の快挙となった。さらにリーグ戦でも27試合に出場し、12月21日には同シーズンのJ1リーグベストヤングプレーヤー賞を受賞した。Jリーグとルヴァンカップの新人賞をダブル受賞したのは、井手口陽介以来史上4人目の偉業である。
2021年シーズンは、瀬古と同じくセレッソ大阪の下部組織出身である西尾隆矢とセンターバックコンビを組んだ。20歳と19歳という若さながら、両者ともにクラブ生え抜き選手によるこのコンビは異例の構成として注目を集めた。同年12月7日には、二人揃って日本A代表に初招集された。
3.2. グラスホッパー・クラブ・チューリッヒ
2022年1月18日、瀬古はスイスのグラスホッパー・クラブ・チューリッヒへ完全移籍で加入した。
移籍後も主力選手としてプレーし、2022-23シーズンには守備的ミッドフィールダーとしても起用されるなど、その戦術的な多様性を示した。
2023-24シーズンには、リーグ戦36試合に出場し、レギュラーとして活躍を続けた。本人はセンターバックでの出場を希望しているものの、チームに同ポジションの選手が多いため、ダブルボランチのアンカーに近い役割でプレーすることが多かった。
4. 代表経歴
瀬古歩夢は、各年代別の日本代表に選出され、国際大会での経験を積んできた。
4.1. 各年代別代表
瀬古は、U-15からU-24までの各年代別日本代表に選出され、国際舞台での経験を重ねてきた。
2015年にはU-15日本代表としてAFC U-16選手権・予選やバル・ド・マルヌU-16国際親善トーナメントに参加。2016年にはU-16日本代表としてU-16インターナショナルドリームカップ、AFC U-16選手権、COPA UC 2016に出場した。
しかし、2017年のFIFA U-17ワールドカップのメンバー発表では、怪我の影響により惜しくも落選。この経験が彼のその後の成長の原動力となった。
2019年5月、FIFA U-20ワールドカップのメンバーに選出され、2年前のU-17ワールドカップでの落選の悔しさを乗り越え、ついに世界の舞台に立つことができた。
U-22日本代表としては、北中米遠征やブラジル遠征、キリンチャレンジカップに参加。U-23日本代表としてJFA夢フィールドキャンプにも招集された。
2021年にはU-24日本代表としてSAISON CARD CUP 2021に出場し、同年開催された東京オリンピック代表チームには当初バックアップメンバーとして招集されていたが、大会規定の変更により本大会メンバーに昇格した。しかし、オリンピック本大会での出場機会はなかった。
4.2. A代表
2021年12月7日、瀬古は日本A代表に初招集された。2022年1月21日に予定されていたウズベキスタン代表との親善試合(キリンチャレンジカップ)でデビューを飾る可能性があったが、日本サッカー協会により新型コロナウイルス感染症の規制のため試合が中止となり、デビューは叶わなかった。
2023年3月、森保一監督率いる日本代表に再び招集され、同月行われたウルグアイ代表とコロンビア代表との親善試合のメンバーに入った。そして、2023年3月24日のキリンチャレンジカップ2023、ウルグアイ代表戦で日本代表として国際Aマッチデビューを果たし、フル出場で1-1の引き分けに貢献した。同年6月20日のペルー代表戦では、後半36分から途中出場している。国際Aマッチには2023年以降、通算4試合に出場している(2024年11月19日現在)。
5. プレースタイルと評価
瀬古歩夢は、主にセンターバックとしてプレーするが、守備的ミッドフィールダー(アンカー)としても起用されるなど、戦術的な多様性を有している。
彼のプレースタイルの最大の特徴は、正確かつ低い軌道のロングパスである。このパスは、ビルドアップの局面で相手の守備ラインを効果的に突破し、攻撃の起点となる。また、両足を遜色なく使える能力を持つ「両利きCB」としても評価されており、左右どちらのサイドからのパス供給も可能で、プレーの選択肢を広げている。
守備面では、体を張った対人守備に優れ、相手の攻撃を食い止める堅実さを持つ。セレッソ大阪時代には、マテイ・ヨニッチや西尾隆矢といったパートナーと共に、リーグ最少失点に貢献した実績がある。スイス移籍後も、守備の要としてチームに貢献しており、特にグラスホッパー・クラブ・チューリッヒでは、センターバックと守備的ミッドフィールダーの両方をこなすことで、チームの守備バランスを安定させている。若くしてプロとして経験を積んできたことから、精神的な成熟度も高く評価されている。
6. タイトル・個人タイトル
6.1. クラブ
- 高円宮杯U-15サッカーリーグ関西 サンライズリーグ: 1回(2014年)
- 高円宮杯 JFA 全日本U-15サッカー選手権大会: 1回(2015年)
- Jリーグカップ: 1回(2017年)
- 天皇杯全日本サッカー選手権大会: 1回(2017年)
- FUJI XEROX SUPER CUP: 1回(2018年)
6.2. 個人
- 日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会・大会優秀選手(2015年)
- ルヴァンカップ・ニューヒーロー賞(2020年)
- J1リーグ・ベストヤングプレーヤー賞(2020年)
7. 個人成績
クラブにおける出場記録および得点。
クラブ | シーズン | リーグ | 国内カップ | 大陸大会 | その他 | 合計 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ディビジョン | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | ||
セレッソ大阪 | 2017 | J1 | 0 | 0 | 3 | 0 | - | - | 3 | 0 | ||
2018 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | - | 0 | 0 | ||||
2019 | 13 | 1 | 6 | 0 | - | 1 | 0 | 20 | 1 | |||
2020 | 27 | 1 | 4 | 0 | - | - | 31 | 1 | ||||
2021 | 27 | 0 | 3 | 0 | 5 | 0 | 3 | 0 | 38 | 0 | ||
合計 | 67 | 2 | 16 | 0 | 5 | 0 | 4 | 0 | 89 | 2 | ||
セレッソ大阪U-23 | 2018 | J3 | 16 | 1 | - | - | - | 16 | 1 | |||
2019 | 7 | 0 | - | - | - | 7 | 0 | |||||
合計 | 23 | 1 | - | - | - | 23 | 1 | |||||
グラスホッパー | 2021-22 | スーパーリーグ | 13 | 0 | - | - | - | 13 | 0 | |||
2022-23 | 31 | 0 | 2 | 2 | - | - | 33 | 2 | ||||
2023-24 | 26 | 0 | 1 | 0 | - | - | 27 | 0 | ||||
合計 | 70 | 0 | 3 | 2 | - | - | 73 | 2 | ||||
キャリア通算 | 160 | 3 | 19 | 2 | 5 | 0 | 4 | 0 | 188 | 5 |
- その他: Jリーグカップでの出場(2019年)、AFCチャンピオンズリーグでの出場(2021年)、天皇杯での出場(2019年、2021年)
国際Aマッチ出場記録。
年 | 出場 | 得点 |
---|---|---|
2023 | 3 | 0 |
2024 | 1 | 0 |
通算 | 4 | 0 |
国際Aマッチ詳細。
No. | 開催日 | 開催都市 | スタジアム | 対戦国 | 結果 | 監督 | 大会 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1. | 2023年3月24日 | 東京 | 国立競技場 | ウルグアイ | △1-1 | 森保一 | キリンチャレンジカップ2023 |
2. | 2023年3月28日 | 大阪 | ヨドコウ桜スタジアム | コロンビア | ●1-2 | ||
3. | 2023年6月20日 | 吹田 | パナソニックスタジアム吹田 | ペルー | ○4-1 |