1. 生い立ちとユース時代
酒本憲幸は和歌山県御坊市で生まれた。幼少期は「御坊キックマンjr.FC」に所属し、海南市立第三中学校でサッカーを続けた。高校は「初芝橋本高等学校」に進学し、ユース年代で活躍。当時セレッソ大阪のスカウト担当であった小菊昭雄の目に留まり、プロ入りのきっかけを掴んだ。
2. プロキャリア
酒本憲幸はキャリアの大部分をJリーグのクラブで過ごし、特にセレッソ大阪では長期間にわたってチームを支える存在として活躍した。
2.1. セレッソ大阪時代 (2003-2018)
2003年にセレッソ大阪に入団し、プロキャリアをスタートさせた。入団当初は急速に頭角を現したが、素行面で問題が生じたため、2005年の始動キャンプには参加できず、寺での修行を命じられた経験を持つ。
プロ初出場は2003年10月19日に行われたJ1 2ndステージ第10節のガンバ大阪戦(長居)である。2006年9月30日のJ1第25節、対鹿島アントラーズ戦(長居)でJリーグ初得点を記録した。2010年シーズン序盤は出場機会に恵まれなかったが、後半戦に高橋大輔の負傷離脱により空いた右サイドバックのポジションを埋め、クラブ史上初となるAFCチャンピオンズリーグ出場権獲得に大きく貢献した。この期間、酒本は2010年から2018年までセレッソ大阪のチーム最古参選手としてチームを牽引した。
2.2. 鹿児島ユナイテッドFC時代 (2019-2021)
2019年、長年所属したセレッソ大阪を離れ、鹿児島ユナイテッドFCへ完全移籍で加入した。鹿児島では主にフォワードとして起用されるようになり、新たなプレースタイルを開花させた。2020年7月25日に行われたJ3第6節の対セレッソ大阪U-23戦では、35歳にして自身プロキャリア初となるハットトリックを達成する活躍を見せた。この2020年シーズンにはリーグ戦で自己最高となる7得点を記録し、チームの攻撃を牽引した。
3. 代表歴
酒本憲幸は年代別の日本代表にも選出された経験を持つ。U-21日本代表として、2005年には国際大会であるトゥーロン国際大会に参加した。
4. プレースタイルとポジション
酒本憲幸はプロキャリアを通じて、複数のポジションをこなせるユーティリティプレーヤーとして知られていた。主にミッドフィールダーとしてプレーしたが、フォワードやディフェンダー(特に右サイド)としても高い能力を発揮した。
セレッソ大阪時代には、攻撃的なミッドフィールダーや右サイドバックとして、その運動量と献身的な守備、そして的確な攻撃参加で貢献した。鹿児島ユナイテッドFC移籍後は、より攻撃的なフォワードのポジションで起用される機会が増え、35歳でプロキャリア初のハットトリックを達成するなど、年齢を重ねても得点能力の高さを示した。彼のプレースタイルは、様々な戦術に対応できる柔軟性と、試合終盤まで走り続ける豊富な運動量が特徴であった。
5. 所属クラブ
- - 1996年 御坊キックマンjr.FC
- 1997年 - 1999年 海南市立第三中学校
- 2000年 - 2002年 初芝橋本高等学校
- 2003年 - 2018年 セレッソ大阪
- 2016年 - 2018年 セレッソ大阪U-23
- 2019年 - 2021年 鹿児島ユナイテッドFC
6. 個人成績
酒本憲幸のプロキャリアにおける個人成績を以下に示す。
| クラブ成績 | リーグ | カップ戦 | リーグカップ | 大陸選手権 | 合計 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| シーズン | クラブ | リーグ | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 |
| 日本 | リーグ | 天皇杯 | Jリーグカップ | AFC | 合計 | |||||||
| 2003 | C大阪 | J1 | 5 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | - | 9 | 0 | |
| 2004 | 16 | 0 | 3 | 0 | 1 | 0 | - | 20 | 0 | |||
| 2005 | 7 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | - | 11 | 0 | |||
| 2006 | 12 | 1 | 6 | 0 | 1 | 0 | - | 19 | 1 | |||
| 2007 | J2 | 22 | 3 | - | 2 | 0 | - | 24 | 3 | |||
| 2008 | 18 | 3 | - | 1 | 0 | - | 19 | 3 | ||||
| 2009 | 46 | 1 | - | 1 | 0 | - | 47 | 1 | ||||
| 2010 | J1 | 7 | 0 | 5 | 0 | 1 | 0 | - | 13 | 0 | ||
| 2011 | 22 | 2 | 1 | 0 | 4 | 0 | 3 | 0 | 30 | 2 | ||
| 2012 | 30 | 0 | 7 | 0 | 3 | 0 | - | 40 | 0 | |||
| 2013 | 29 | 1 | 4 | 0 | 2 | 0 | - | 35 | 1 | |||
| 2014 | 25 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 5 | 0 | 33 | 0 | ||
| 2015 | J2 | 25 | 0 | - | 0 | 0 | - | 25 | 0 | |||
| 2016 | 15 | 1 | - | 3 | 1 | - | 18 | 2 | ||||
| 2017 | J1 | 0 | 0 | 5 | 0 | 3 | 0 | - | 8 | 0 | ||
| 2018 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | - | 2 | 0 | |||
| 2019 | 鹿児島 | J2 | 40 | 2 | - | 0 | 0 | - | 40 | 2 | ||
| 2020 | J3 | 34 | 7 | - | - | - | 34 | 7 | ||||
| 2021 | 19 | 0 | - | 0 | 0 | - | 19 | 0 | ||||
| J1通算 | 153 | 4 | 32 | 0 | 27 | 0 | 8 | 0 | 220 | 4 | ||
| J2通算 | 166 | 10 | - | 7 | 1 | - | 173 | 11 | ||||
| J3通算 | 53 | 7 | - | - | - | 53 | 7 | |||||
| 総通算 | 372 | 21 | 32 | 0 | 34 | 1 | 8 | 0 | 446 | 22 | ||
| U-23クラブ成績 | リーグ | 合計 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| シーズン | クラブ | リーグ | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 |
| 日本 | リーグ | 合計 | ||||
| 2016 | C大23 | J3 | 1 | 0 | 1 | 0 |
| 2017 | 7 | 0 | 7 | 0 | ||
| 2018 | 1 | 0 | 1 | 0 | ||
| 総通算 | 9 | 0 | 9 | 0 | ||
- 2016年 J1昇格プレーオフ: 2試合0得点
7. タイトル
酒本憲幸がプロ選手生活中に所属クラブで獲得した主要なタイトルは以下の通りである。
;セレッソ大阪
- Jリーグカップ: 1回(2017年)
- 天皇杯: 1回(2017年)
- FUJI XEROX SUPER CUP: 1回(2018年)
8. 引退
酒本憲幸は2021年10月22日、2021年シーズン限りでの現役引退を発表した。長きにわたるプロサッカー選手としてのキャリアに幕を閉じた。
9. その他
酒本憲幸は、駒野友一や森下仁志と同じ中学校の出身である。また、2010年から2018年までセレッソ大阪のチームにおいて最古参選手として在籍していた。
10. 関連項目
- 和歌山県出身の人物一覧
- セレッソ大阪の選手一覧
- 鹿児島ユナイテッドFCの選手一覧