1. 幼少期とアマチュア時代
キム・ヘソンは、アマチュア時代からその才能を高く評価され、プロ入り前から数々の栄誉に輝いている。
1.1. 出生と教育
キム・ヘソンは、1999年1月27日に大韓民国の京畿道高陽市で生まれた。学歴は、文村小学校(高陽市リトル)、仁川東山中学校を経て、東山高等学校を卒業した。
1.2. アマチュア経歴と初期の評価
東山高等学校在学中の2016年7月、第50回大統領杯全国高校野球大会でチームを優勝に導き、自身も功労賞を受賞した。同年には、高校週末リーグの後半戦(仁川・江原圏)で打撃賞と打点賞を獲得したほか、青龍旗全国高校野球選手権大会兼週末リーグ王中王戦では盗塁賞に輝いた。さらに、その年の高校野球で最も優秀な打者に贈られる李榮敏打撃賞を受賞し、韓国プロ野球引退選手の日には白仁天BIC 0.412賞を受賞するなど、高校生ながらその打撃と走塁能力は傑出していた。
これらの活躍が評価され、2017年のKBOリーグ新人ドラフトでは、2次ドラフト1巡目でネクセン・ヒーローズから指名され入団した。
2. プロ経歴
キム・ヘソンは、KBOリーグでの輝かしいキャリアを経て、メジャーリーグベースボールへの移籍を果たした。
2.1. KBOリーグ時代(ネクセン/キウム・ヒーローズ)
2017年シーズン前、ルーキーとしては李政厚と共に異例のネクセン・ヒーローズ(2019年からはキウム・ヒーローズに改称)のスプリングトレーニングに合流した。同年6月28日のNCダイノス戦(馬山総合運動場野球場)で途中出場し、プロデビューを果たした。この試合では3塁の守備をこなしたが、打席に立つ機会はなかった。同年9月17日のNC戦でプロ初安打、初打点、初得点を記録した。最終的に16試合に出場した。
2018年5月3日のNC戦で李在學からプロ初本塁打を記録。チームメイトの徐建昌の負傷に伴い、二塁手としての出場機会が増え、レギュラーに定着した。このシーズンは136試合に出場し、打率.270、5本塁打、33盗塁を記録する活躍を見せた。この年の新人王候補にも挙げられたが、29本塁打を記録したKTウィズの姜白虎に次ぐ得票数2位となった。
2019年には開幕から二塁手と遊撃手を兼任する形で起用された。前年と同様に、この年も二塁のレギュラーであった徐建昌が負傷した際には二塁手として起用され、徐の復帰後は主に遊撃手としてプレーした。この年は打率.276、20盗塁を記録した。
2020年5月30日のKTウィズ戦(高尺スカイドーム)では、KBOリーグ史上26度目(24人目)となるサイクル安打を達成した。このシーズンは142試合に出場し、打率.285、7本塁打、25盗塁を記録した。
2021年8月27日、当時のチーム主将であった朴炳鎬の後任として、チームの新たな主将に選出された。このシーズンは90%を超える高い盗塁成功率で46盗塁を記録し、自身初の盗塁王のタイトルを獲得した。また、この年に開催された東京オリンピック野球韓国代表に選出され、大会では4試合に「9番・二塁手」として先発出場した。シーズン全体では144試合に出場し、打率.303、3本塁打の成績を残した。
2022年には、129試合に出場し、打率.318、4本塁打、48打点、34盗塁を記録した。
2023年には、リーグ3位の打率.335、リーグ2位の186安打、7本塁打、57打点、25盗塁という好成績を記録した。また、9月から10月にかけて開催された2022年アジア競技大会の野球韓国代表に選出され、金メダルを獲得した。
2024年がKBOリーグでの最後のシーズンとなり、127試合に出場し、打率.326、キャリアハイとなる11本塁打、75打点、30盗塁を記録した。オフシーズンにはMLB挑戦を目指し、ポスティングシステムを申請した。この際、ロサンゼルス・ドジャース、シアトル・マリナーズ、ロサンゼルス・エンゼルス、シカゴ・カブスからオファーを受けたと報じられた。
2.2. メジャーリーグベースボール時代(ロサンゼルス・ドジャース)
2025年1月3日、ポスティング交渉期間の最終日となる交渉期限に、ロサンゼルス・ドジャースと3年契約を締結した。この契約は総額1250.00 万 USDが保証されており、さらに2028年と2029年の2年間の球団オプションが付帯し、その行使を含めると最大で総額2200.00 万 USDに達する可能性がある。ドジャースはキウム・ヒーローズに対し、別途250.00 万 USDのポスティング費用を支払った。
3. 国際大会出場歴
キム・ヘソンは、数多くの国際大会で韓国代表チームの一員として活躍している。
3.1. 韓国代表での参加
- BFA U-18アジア選手権大会(第11回): 韓国代表として出場。
- 2020年オリンピック野球韓国代表:本大会では4試合に「9番・二塁手」として先発出場した。
- 2022年アジア競技大会:野球韓国代表に選出され、6試合に出場し、打率.292、出塁率.500、長打率.370を記録。韓国の金メダル獲得に貢献した。
- 2023 ワールド・ベースボール・クラシック韓国代表:韓国代表として出場。
- 2023 アジア プロ野球チャンピオンシップ 韓国代表:韓国代表として出場。
4. 受賞と栄誉
キム・ヘソンは、その傑出した能力により、KBOリーグとアマチュア時代に数多くの個人タイトルと表彰を受けている。
4.1. 個人タイトル・表彰
- 盗塁王:1回(2021年)
- KBOゴールデングラブ賞:4回(2021年、2022年、2023年、2024年)
- 李榮敏打撃賞:1回(2016年)
- 第50回大統領杯全国高校野球大会功労賞:1回(2016年)
- 高校週末リーグ後半期(仁川・江原圏)打撃賞:1回(2016年)
- 高校週末リーグ後半期(仁川・江原圏)打点賞:1回(2016年)
- 青龍旗全国高校野球選手権大会兼週末リーグ王中王戦盗塁賞:1回(2016年)
- 韓国プロ野球引退選手の日白仁天BIC 0.412賞:1回(2016年)
4.2. 特筆すべき記録と特徴
- KBOリーグ史上初の遊撃手と二塁手の両部門でKBOゴールデングラブ賞を受賞した選手である。
5. 年度別成績
5.1. KBOリーグ成績
年度 | チーム | 打率 | 試合 | 打数 | 得点 | 安打 | 二塁打 | 三塁打 | 本塁打 | 塁打 | 打点 | 盗塁 | 盗塁死 | 四球 | 死球 | 三振 | 併殺 | 失策 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2017 | ネクセン | .188 | 16 | 16 | 1 | 3 | 2 | 0 | 0 | 5 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 6 | 0 | 1 |
2018 | ネクセン | .270 | 136 | 430 | 79 | 116 | 15 | 6 | 5 | 158 | 45 | 31 | 6 | 33 | 5 | 119 | 6 | 16 |
2019 | キウム | .276 | 122 | 348 | 57 | 96 | 16 | 7 | 0 | 126 | 32 | 20 | 3 | 29 | 2 | 85 | 4 | 15 |
2020 | キウム | .285 | 142 | 499 | 80 | 142 | 24 | 6 | 7 | 199 | 61 | 25 | 8 | 46 | 2 | 94 | 6 | 9 |
2021 | キウム | .303 | 144 | 559 | 99 | 170 | 20 | 3 | 3 | 205 | 66 | 46 | 4 | 65 | 1 | 97 | 8 | 35 |
2022 | キウム | .318 | 129 | 516 | 81 | 164 | 18 | 7 | 4 | 208 | 48 | 34 | 7 | 47 | 0 | 83 | 9 | 11 |
2023 | キウム | .335 | 137 | 556 | 104 | 186 | 29 | 6 | 7 | 248 | 57 | 25 | 3 | 57 | 3 | 77 | 6 | 17 |
2024 | キウム | .326 | 127 | 509 | 90 | 166 | 26 | 4 | 11 | 233 | 75 | 30 | 6 | 47 | 4 | 62 | 6 | 16 |
通算 | 8シーズン | .304 | 953 | 3433 | 591 | 1043 | 150 | 39 | 37 | 1382 | 386 | 211 | 36 | 325 | 17 | 623 | 45 | 120 |
- 太字はリーグ最多
5.2. メジャーリーグベースボール成績
2025年1月にロサンゼルス・ドジャースと契約したばかりのため、現時点でのメジャーリーグベースボールでの年度別成績はない。
6. 人物
キム・ヘソンの背番号は、ネクセン・ヒーローズ時代には2017年から2019年途中まで「4」を使用し、2019年途中からキウム・ヒーローズ時代の2024年までは「3」を着用した。ロサンゼルス・ドジャースでは背番号「6」を着用する。