1. 概要
高雄恵利加(たかお えりか、1987年10月12日 - )は、千葉県習志野市出身の元女子プロテニス選手である。現役時代は北日本物産に所属し、マネジメントはレプロエンタテインメントが担当した。身長150 cm、体重52 kgと、女子プロテニス選手の中では際だって小柄な体格であったが、強打を武器に活躍した。WTAツアーのシングルス自己最高ランキングは128位(2006年11月6日付)、ダブルス自己最高ランキングは270位(2011年10月31日付)。主な実績としては、全日本テニス選手権女子シングルスで2006年と2012年の2度優勝を果たしたことが挙げられる。2013年の全日本テニス選手権を最後に現役を引退した。
2. 生い立ちと背景
高雄恵利加は、幼少期にテニスと出会い、長塚京子に師事しながらその才能を育んだ。学業面では通信制課程を修了している。
2.1. 幼少期
高雄恵利加は1987年10月12日に千葉県習志野市で生まれた。7歳からテニスを始め、幼少期からその才能を育んだ。1998年からは、かつて日本の女子テニス界で活躍した長塚京子の指導を受け始めた。この師弟関係は10年間続き、彼女の選手としての基礎を築く上で重要な期間となった。
2.2. 学歴
高雄恵利加は、渋谷教育学園幕張中学校・高等学校に在学していたが、その後中途退学し、千葉県立千葉東高等学校の通信制課程を経て、最終的には学芸館高等学校の通信制課程を卒業した。
3. 選手経歴
高雄恵利加のプロテニス選手としてのキャリアは、ITFサーキットでの活動を経て、全日本テニス選手権での2度の優勝やフェドカップ出場といった主要な業績を挙げた。
3.1. プロ転向とキャリア初期
高雄恵利加は、2005年2月にプロテニス選手として転向した。キャリアの初期段階においては、主にITF女子サーキットを中心に活動し、経験を積んだ。2008年には、10年間にわたって指導を受けてきた長塚京子との師弟関係に区切りをつけ、活動拠点を大阪に移して新たな環境でキャリアを継続した。
q=大阪市|position=left
3.2. 主要タイトル
高雄恵利加は、日本の主要な国内トーナメントである全日本テニス選手権において、女子シングルスで2度の優勝を飾っている。
- 2006年: 第2シードとして初めて決勝に進出し、第1シードの中村藍子を7-6, 6-4で破り、初の全日本タイトルを獲得した。
- 2012年: 山外涼月を破り、6年ぶり2度目の優勝を果たした。
3.3. WTAツアーおよびグランドスラムでの成績
高雄恵利加のWTAツアーでの成績と、グランドスラム大会での挑戦について以下の通りである。
- WTAランキング:**
- シングルス自己最高ランキング: 128位(2006年11月6日付)
- ダブルス自己最高ランキング: 270位(2011年10月31日付)
- 生涯獲得賞金:** 14.79 万 USD
- キャリア通算成績:**
- シングルス: 230勝165敗
- ダブルス: 55勝57敗
- グランドスラム予選:**
- 2006年の全米オープンから全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドン選手権といった4大大会の予選会に挑戦を開始したが、いずれも本戦出場は叶わなかった。
- 2007年のウィンブルドン選手権予選では2回戦まで進出したが、同じ日本の森田あゆみに1-6, 7-6, 1-6で敗れた。
3.4. ITFサーキット決勝戦記録
高雄恵利加は、ITF女子サーキットトーナメントでシングルス4勝11敗、ダブルス2勝4敗の成績を残している。
3.4.1. シングルス決勝
結果 | No. | 日付 | トーナメント | サーフェス | 対戦相手 | スコア |
---|---|---|---|---|---|---|
準優勝 | 1. | 2004年10月31日 | 東京、日本 | ハード | 瀬間友里恵(日本) | 6-3, 6-7(4-7), 0-6 |
準優勝 | 2. | 2005年4月24日 | 山口、日本 | クレー | ローレン・ブレッドモア(オーストラリア) | 3-6, 2-6 |
準優勝 | 3. | 2005年7月24日 | 久留米、日本 | グラス | 謝淑薇(チャイニーズタイペイ) | 2-6, 3-6 |
準優勝 | 4. | 2005年9月25日 | 茨木、日本 | ハード | ペトラ・チェトコフスカ(チェコ) | 6-2, 5-7, 3-6 |
優勝 | 1. | 2006年5月7日 | 岐阜、日本 | カーペット | 中村藍子(日本) | 6-1, 5-7, 6-1 |
優勝 | 2. | 2006年7月9日 | 名古屋、日本 | ハード | 久松志保(日本) | 4-6, 6-2, 6-0 |
優勝 | 3. | 2006年7月16日 | 宮崎、日本 | カーペット | 米村知子(日本) | 7-5, 6-3 |
準優勝 | 5. | 2006年8月6日 | 十勝、日本 | カーペット | 森田あゆみ(日本) | 3-6, 6-4, 6-7(6-8) |
準優勝 | 6. | 2006年10月22日 | 牧之原、日本 | カーペット | 荘佳容(チャイニーズタイペイ) | 0-6, 4-6 |
準優勝 | 7. | 2007年4月15日 | ホーチミン市、ベトナム | ハード | 岡本聖子(日本) | 1-6, 2-6 |
準優勝 | 8. | 2007年7月22日 | 久留米、日本 | グラス | 森田あゆみ(日本) | 1-6, 1-3 途中棄権 |
優勝 | 4. | 2008年5月25日 | 長野、日本 | カーペット | イ・ジナ(韓国) | 6-4, 6-1 |
準優勝 | 9. | 2009年6月14日 | 東京、日本 | ハード | 瀬間詠里花(日本) | 4-6, 0-6 |
準優勝 | 10. | 2010年6月13日 | 東京、日本 | ハード | 青山修子(日本) | 6-7(3-7), 3-6 |
準優勝 | 11. | 2012年1月15日 | 平果、中国 | ハード | ジャオ・イージン(中国) | 2-6, 4-6 |
3.4.2. ダブルス決勝
結果 | No. | 日付 | トーナメント | サーフェス | パートナー | 対戦相手 | スコア |
---|---|---|---|---|---|---|---|
優勝 | 1. | 2011年2月4日 | バーニー、オーストラリア | ハード | 浜村夏美(日本) | オリビア・ロゴフスカ(オーストラリア) サリー・ピアーズ(オーストラリア) | 6-2, 3-6, [10-7] |
準優勝 | 1. | 2011年5月28日 | 昌原、韓国 | ハード | 瀬間友里恵(日本) | 詹皓晴(チャイニーズタイペイ) 鄭賽賽(中国) | 2-6, 6-4, [9-11] |
準優勝 | 2. | 2011年9月3日 | つくば、日本 | ハード | キム・ソジョン(韓国) | 詹謹瑋(チャイニーズタイペイ) 許文馨(チャイニーズタイペイ) | 1-6, 1-6 |
準優勝 | 3. | 2012年8月10日 | ブルサ、トルコ | クレー | 手塚玲美(日本) | メラニー・クラフナー(オーストリア) ラウラ・ヨアナ・アアンドレイ(ルーマニア) | 2-6, 2-6 |
優勝 | 2. | 2012年8月18日 | イスタンブール、トルコ | ハード | 手塚玲美(日本) | ニーチャ・レルピタックシンチャイ(タイ) ピアングタルン・プリプエチ(タイ) | 2-6, 7-6, [10-3] |
準優勝 | 4. | 2013年5月25日 | 軽井沢、日本 | グラス | 宮村美紀(日本) | 秋田史帆(日本) 石津幸恵(日本) | 5-7, 6-7(8-10) |
3.5. フェドカップ出場
高雄恵利加は、2007年7月14日から15日にかけて豊田市で開催されたフェドカップ(現ビリー・ジーン・キング・カップ)の「ワールドグループ・プレーオフ」対ドイツ戦において、初めて日本代表に選出された。この大会で、当時世界ランキング73位と格上であったアンゲリク・ケルバーに対し、6-3, 6-2のストレートで勝利を収めた。しかし、チームとしては2勝3敗でドイツに敗れ、ワールドグループ残留は果たせなかった。
q=豊田市|position=right
4. プレースタイル
高雄恵利加は、身長150 cm、体重52 kgという小柄な体格ながら、右利きで、バックハンド・ストロークは両手打ちであった。現役の女子プロテニス選手の中では際だって小柄な選手として知られていたが、その体格に反して強烈なショット、特に強打を武器とするアグレッシブなプレースタイルで活躍した。
5. 引退
高雄恵利加は2013年11月7日、同年の全日本テニス選手権を最後にプロテニス選手としての現役を引退することを発表し、10年間のキャリアに幕を下ろした。
6. 評価と影響
高雄恵利加は、その小柄な体格にもかかわらず強打を武器とするユニークなプレースタイルで、日本のテニス界において特異な存在感を示した。全日本テニス選手権における2度の女子シングルス優勝は、彼女が日本のトップ選手の一人であったことを明確に証明するものであり、国内大会でのその実力は高く評価されている。また、フェドカップで当時格上であったアンゲリク・ケルバーに対して勝利を収めたことは、国際舞台における彼女の潜在能力と、世界のトップレベルの選手と渡り合える実力を示した貴重な経験であった。彼女のキャリアは、テニス選手が体格のハンディキャップを技術と精神力で乗り越え、成功を収めることが可能であることを示唆するものであった。
7. 関連項目
- 長塚京子
- 中村藍子
- 森田あゆみ
- アンゲリク・ケルバー
- 全日本テニス選手権
- 女子テニス協会
- 国際テニス連盟
- ビリー・ジーン・キング・カップ
8. 外部リンク
- [https://www.lespros.co.jp/artists/erika-takao/ レプロエンタテインメントによるプロフィール]
- [http://spora.jp/takao_e/ 高雄恵利加ブログ](旧ブログ)
- [https://web.archive.org/web/20191222155256/https://yaplog.jp/lp-taka/ 高雄恵利加ブログ (Wayback Machineによるアーカイブ)]
- [https://www.wtatennis.com/ 女子テニス協会(WTA)公式サイト]
- [https://www.itftennis.com/ 国際テニス連盟(ITF)公式サイト]
- [https://www.billiejeankingcup.com/ ビリー・ジーン・キング・カップ公式サイト]