1. 生涯
ステファン・ボワイエは、レユニオンのサン=ドニで生まれ、プロバレーボール選手として輝かしいキャリアを築いてきた。彼のキャリアはフランス国内のクラブから始まり、その後イタリア、カタール、ポーランドのトップリーグへと活躍の場を広げた。また、フランス代表として、世界の舞台で数々のタイトルを獲得し、主要な大会でチームの攻撃の要として貢献している。

1.1. 幼少期と背景
ステファン・ボワイエは1996年4月10日にフランスの海外県であるレユニオンのサン=ドニで、フルネームをピエール・ジャン・ステファン・ボワイエ(Pierre Jean Stéphen Boyerピエール・ジャン・ステファン・ボワイエフランス語)として生まれた。彼の幼少期については詳しい情報は少ないが、この島でバレーボールを始めたとされている。
1.2. クラブ経歴
ボワイエのクラブキャリアは、フランスの国内リーグから始まり、イタリア、カタール、ポーランドのトップクラブへと移籍し、各リーグで数々の成功を収めてきた。
1.2.1. 初期クラブ活動 (2012-2018)
ボワイエは2012年に「France Avenir 2024」へ入団し、プロバレーボール選手としてのキャリアをスタートさせた。
2014年には「GFCアジャクシオ・バレーボール」(GFC Ajaccio Volley-BallGFCアジャクシオ・バレーボールフランス語)へ移籍し、2014-2015シーズンではリーグ6位を記録した。
2015年からは「ショーモン・バレーボール52」(Chaumont Volley-Ball 52ショーモン・バレーボール52フランス語)に3年間在籍。この期間に、彼はチームを2016-2017シーズンのフランスリーグ優勝へと導いた。2016-2017シーズンにはCEVチャレンジカップで準優勝を経験している。
2017-2018シーズンにはフランススーパーカップで優勝。また、このシーズンはフランスリーグとフランスカップで準優勝となり、ボワイエ自身はフランスリーグのMVP、ベストオポジット賞、ベストサーバー賞の3冠を達成した。
1.2.2. 主要クラブ活動 (2018-現在)
2018年からはイタリアのセリエA1に所属する「ヴェローナ・バレー」(Verona Volleyヴェローナ・バレー英語)で2年間プレーした。
2020年にはカタールの「アル・アラビ・ドーハ」(Al Arabi Dohaアル・アラビ・ドーハ英語)に移籍。
2021年には同じくカタールの「アル・ライヤン」(Al Rayyanアル・ライヤン英語)に短期間在籍し、2020-2021シーズンのエミールカップで優勝を果たした。
2021年6月にはポーランドの「ヤストジェンブスキ・ヴェンギエル」(Jastrzębski Węgielヤストジェンブスキ・ヴェンギエルポーランド語)と契約。このクラブでは2021-2022シーズンのポーランドPlusLigaで準優勝を経験し、2021-2022シーズンと2022-2023シーズンのポーランドスーパーカップで連続して優勝を飾った。また、2022-2023シーズンにはポーランドPlusLigaで優勝し、CEVチャンピオンズリーグでは準優勝を果たした。
2023年からは同じくポーランドの「アセッコ・レソヴィア」(Asseco Resoviaアセッコ・レソヴィアポーランド語)に所属し、2023-2024シーズンにはCEVカップで優勝し、自身もMVPに輝いた。
1.3. 代表チーム経歴
ステファン・ボワイエは、フランスの年代別代表からシニア代表まで、国際舞台で主要な役割を担ってきた。
1.3.1. 年齢別代表チーム
ボワイエは、フランスU-20代表として2014年のU-20欧州選手権に参加し、金メダルを獲得した。
また、2015年にはメキシコで開催されたU-21世界選手権に出場している。
1.3.2. シニア代表チーム
2016年に初めてフランスシニア代表に選出された。
2017年からは代表チームのオポジットスパイカーを務め、同年のFIVBワールドリーグでは、ベストスコアラー部門とベストサーバー部門で1位となる活躍を見せ、チームの金メダル獲得に大きく貢献した。
2018年には世界選手権に出場し、FIVBネーションズリーグでは銀メダルを獲得した。
2019年には欧州選手権でベストスコアラー部門1位に輝いた。
2021年に開催された東京オリンピックでは、フランス代表として金メダルを獲得した。
2022年にはFIVBネーションズリーグで金メダルを獲得し、再び世界選手権に出場した。
その他、2017年のグラチャンにも出場している。
2. プレースタイル
ステファン・ボワイエは、その強力なスパイクと効果的なサーブを特徴とするオポジットスパイカーである。彼の身体的特徴としては、身長が1.96 m、体重が90 kgであり、スパイク到達点は355 cm、ブロック到達点は334 cmである。利き手は右利き。
特に、2017年のFIVBワールドリーグではベストスコアラーとベストサーバーに輝き、2019年の欧州選手権でもベストスコアラーとなるなど、得点能力とサーブの精度は国際レベルでも高く評価されている。ポーランドのメディアからは「ボンバルディエ」(爆撃機)と称されるほどの強力なアタッカーであり、チームの攻撃の要として決定的な役割を果たすことが多い。
3. 受賞と栄誉
ステファン・ボワイエはプロキャリアを通じて、クラブおよび代表チームで数々の賞とタイトルを獲得している。
3.1. クラブでの受賞
- CEVチャンピオンズリーグ
- 銀メダル: 2022-23 (ヤストジェンブスキ・ヴェンギエル)
- CEVカップ
- 金メダル: 2023-24 (アセッコ・レソヴィア)
- CEVチャレンジカップ
- 銀メダル: 2016-17 (ショーモン・バレーボール52)
- 国内大会
- フランス選手権
- 金メダル: 2016-17 (ショーモン・バレーボール52)
- フランススーパーカップ
- 金メダル: 2017-18 (ショーモン・バレーボール52)
- エミールカップ (カタール)
- 金メダル: 2020-21 (アル・ライヤン)
- ポーランドスーパーカップ
- 金メダル: 2021-22 (ヤストジェンブスキ・ヴェンギエル)
- 金メダル: 2022-23 (ヤストジェンブスキ・ヴェンギエル)
- ポーランド選手権
- 金メダル: 2022-23 (ヤストジェンブスキ・ヴェンギエル)
- フランス選手権
3.2. 代表チームでの受賞
- オリンピック
- 金メダル: 2020 東京
- FIVBワールドリーグ
- 金メダル: 2017 クリチバ
- FIVBネーションズリーグ
- 金メダル: 2022 ボローニャ
- 銀メダル: 2018 リール
- 銅メダル: 2021 リミニ
- U-20欧州選手権
- 金メダル: 2014
3.3. 個人受賞
- 2016年: フランス選手権 - ベストオポジット
- 2017年: フランススーパーカップ - 最優秀選手 (MVP)
- 2018年: フランス選手権 - 最優秀選手 (MVP)
- 2018年: フランス選手権 - ベストオポジット
- 2024年: CEVカップ - 最優秀選手 (MVP)
3.4. 記録と統計
- 2017年: FIVBワールドリーグ - ベストスコアラー、ベストサーバー
- 2019年: 欧州選手権 - ベストスコアラー
- 2022-23: PlusLiga - ベストサーバー (77エース)
4. 評価
ステファン・ボワイエは、そのキャリアを通じてフランスバレーボール界、そして国際的なクラブバレーボールにおいて極めて重要な存在として評価されている。特に、彼のオポジットスパイカーとしての攻撃力とサーブは、チームの勝利に直結する決定的な要素であり、その能力はワールドリーグや欧州選手権での個人タイトルに裏付けられている。
彼のリーダーシップと、重要な局面での得点能力は、フランス代表が2020年東京オリンピックで金メダルを獲得する上で不可欠な貢献であった。また、クラブレベルでもフランス、カタール、ポーランドのリーグでタイトル獲得に貢献しており、その適応能力と一貫したパフォーマンスは高く評価されている。彼は単なる得点源にとどまらず、チーム全体に影響を与える存在として、現代バレーボールにおけるトップクラスのオポジットスパイカーの一人として広く認識されている。