1. 来歴
徐庸徳のサッカーキャリアは、幼少期から始まり、韓国のユース年代でその才能を開花させました。
1.1. ユース時代
徐庸徳は小学校4年生の時にサッカーを始めました。彦南高校在学中には、2007年の大統領金杯全国高校サッカー大会で決勝点を挙げるなど、チームの優勝に貢献しました。高校卒業後は延世大学校に進学し、ここでもサッカーを続けました。
国際舞台では、U-18韓国代表として2007年のAFC U-19選手権2008 (予選)に出場し、U-19韓国代表としては2008年の仙台カップ国際ユースサッカー大会で4位、AFC U-19選手権2008でベスト4の成績を収めました。2009年には2009年夏季ユニバーシアード(ベオグラード)のサッカー競技にユニバーシアード韓国代表として出場し、6位となりました。同年、U-20韓国代表に選出され、2009 FIFA U-20ワールドカップに出場し、チームのベスト8進出に大きく貢献しました。延世大学校では、崔正漢や金民友が同期でした。
1.2. プロフェッショナルキャリア
大学卒業を待たずにプロ入りを決意した徐庸徳は、日本、韓国、ベトナムのリーグでそのキャリアを築きました。
1.2.1. 日本リーグ時代
2009年6月、徐庸徳はJリーグの大宮アルディージャにプロC契約で加入しました。Jリーグデビューは2009年7月18日、J1リーグ第18節のFC東京戦で、44分に途中出場しました。しかし、彼が尊敬するチャン・ウェリョン監督が解任されたこともあり、多くの出場機会は得られませんでした。
2010年7月にはFC東京へ期限付き移籍しました。移籍後初出場は2010年8月4日のスルガ銀行チャンピオンシップでしたが、その後は負傷もあり、なかなか出場機会に恵まれず、アジア競技大会に臨むU-21韓国代表からも外れました。しかし、プロ入り後初の先発出場となった天皇杯4回戦のジェフ千葉戦では、大熊清監督から武器として認められていたドリブルから2得点に絡む活躍を見せました。同年限りでFC東京との期限付き移籍期間が満了となり、退団しました。
2011年からはカターレ富山へ完全移籍しました。ここでは中盤の軸の一人としてコンスタントに出場を続け、鋭いドリブルと正確なクロス、ミドルシュートを武器に攻撃に変化を生み出すエースへと成長しました。2013年にはJ2リーグ第37節の熊本戦で、ゴールまで約40 mの位置から無回転シュートを突き刺し、J2月間ベストゴールに選出されるなど、その攻撃センスを発揮しました。
1.2.2. 韓国リーグ時代
2014年7月、徐庸徳は退団したラフィーニャや兵役中の韓相云に代わるアタッカーを求めていた蔚山現代FCへ完全移籍し、母国韓国でのキャリアをスタートさせました。Kリーグデビューは2014年7月6日の城南FC戦で、先発出場を果たしました。Kリーグでの初得点は2014年9月7日に行われた慶南FCとのホームゲームで記録しました。
2016年にはFC安養へ移籍しました。この移籍は、蔚山の尹晶煥監督と安養の李永敏監督が東亜大学校在学時の先輩後輩の仲であったことが一因とされています。この年、FC安養は徐庸徳以外にも金民均、安進範、朴乘一といった選手を蔚山から獲得しました。2017年には兵役中のプレーが認められている牙山ムグンファFCへ移籍し、2018年10月まで所属しました。兵役終了後の2018年10月からは釜山アイパークでプレーし、2019年まで在籍しました。
1.2.3. ベトナムリーグ時代
2020年2月20日、徐庸徳はベトナムのホーチミン・シティFCと契約を結び、Vリーグでの新たなキャリアを開始しました。
2. 所属クラブ
- 彦南高校
- 延世大学校
- 2009年6月 - 2010年 大宮アルディージャ
- 2010年7月 - 12月 FC東京 (期限付き移籍)
- 2011年 - 2014年6月 カターレ富山
- 2014年7月 - 2015年 蔚山現代FC
- 2016年 - 2018年10月 FC安養
- 2017年 - 2018年10月 牙山ムグンファFC (兵役)
- 2018年10月 - 2019年 釜山アイパーク
- 2020年 ホーチミン・シティFC
3. 個人成績
3.1. クラブ成績
徐庸徳のクラブ別公式戦成績は以下の通りです。
クラブ成績 | リーグ | カップ戦 | リーグカップ | 通算 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
シーズン | クラブ | リーグ | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | |
韓国 | リーグ | FAカップ | - | 通算 | |||||||
2008 | 延世大 | - | - | - | - | 2 | 0 | ||||
日本 | リーグ | 天皇杯 | Jリーグカップ | 通算 | |||||||
2009 | 大宮 | J1 | 4 | 0 | - | 0 | 0 | 4 | 0 | ||
2010 | 1 | 0 | 0 | 0 | - | 1 | 0 | ||||
FC東京 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | |||
2011 | 富山 | J2 | 29 | 1 | 1 | 0 | - | 30 | 1 | ||
2012 | 38 | 5 | 0 | 0 | - | 38 | 5 | ||||
2013 | 35 | 7 | 1 | 0 | - | 36 | 7 | ||||
2014 | 16 | 0 | - | - | 16 | 0 | |||||
韓国 | リーグ | FAカップ | Kリーグカップ | 通算 | |||||||
2014 | 蔚山 | Kクラシック | 13 | 1 | 0 | 0 | - | 13 | 1 | ||
2015 | 7 | 0 | 0 | 0 | - | 7 | 0 | ||||
2016 | 安養 | Kチャレンジ | 34 | 3 | 0 | 0 | - | 34 | 3 | ||
2017 | 牙山 | Kチャレンジ | 19 | 0 | 0 | 0 | - | 19 | 0 | ||
2018 | 釜山 | K2 | 10 | 0 | 0 | 0 | - | 10 | 0 | ||
ベトナム | リーグ | カップ戦 | リーグカップ | 通算 | |||||||
2020 | ホーチミン・シティ | Vリーグ1 | 13 | 1 | 0 | 0 | - | 13 | 1 | ||
総通算 | 177 | 17 | 5 | 0 | 1 | 0 | 183 | 17 |
3.2. 出場歴
- 2009年7月18日:Jリーグ初出場 - J1 第18節 vs FC東京 (NACK5スタジアム大宮)
- 2011年7月11日:Jリーグ初得点 - J2 第20節 vs サガン鳥栖 (ベストアメニティスタジアム)
- 2014年7月6日:Kリーグクラシック初出場 - 第13節 vs 城南FC (炭川総合運動場)
- 2014年9月7日:Kリーグクラシック初得点 - 第24節 vs 慶南FC (蔚山文殊サッカー競技場)
- その他の国際公式戦:
- 2010年 スルガ銀行チャンピオンシップ 1試合0得点
4. 代表歴
- U-18韓国代表
- 2007年 - AFC U-19選手権2008 (予選)
- U-19韓国代表
- 2008年 - 仙台カップ国際ユースサッカー大会 (4位)、AFC U-19選手権2008 (ベスト4)
- ユニバーシアード韓国代表
- 2009年 - ユニバーシアード・ベオグラード大会 (6位)
- U-20韓国代表
- 2009年 - 2009 FIFA U-20ワールドカップ (ベスト8)
- 2009 FIFA U-20ワールドカップ 韓国代表メンバー: 李範永、呉宰碩、金民友、林宗垠、金英權、洪正好、具滋哲 (主将)、徐庸徳、金東燮、曺永哲、徐訂晋、金承奎、丁東浩、文起韓、崔誠根、張碩元、尹錫榮、李昇烈、金甫炅、朴喜成、金多帥。監督は洪明甫。
- 2009年 - 2009 FIFA U-20ワールドカップ (ベスト8)
- U-21韓国代表
- 2010年
5. 個人タイトル
- J2 Exciting 22 (2012年、2013年)
6. 人物
6.1. プレースタイル
徐庸徳の主なポジションはミッドフィールダー(MF)です。彼は右足を利き足とし、鋭いドリブル、正確なクロス、そして強烈なミドルシュートを武器としていました。試合においては、これらの技術を活かして攻撃に変化をもたらし、チームの得点機会を創出する役割を担いました。特に、ドリブルはFC東京の大熊清監督からもその有効性を認められていたほどです。
6.2. エピソード・その他
徐庸徳は日本でのプレー経験を通じて日本語を習得しており、日常会話や試合後のヒーローインタビューでは通訳を介さずに問題なくコミュニケーションをとっていました。
彦南高校時代には2007年の大統領金杯で決勝点を挙げており、延世大学校では崔正漢、金民友と同期でした。
また、蔚山現代FCからFC安養へ移籍した際には、蔚山の尹晶煥監督と安養の李永敏監督が東亜大学校在学時の先輩後輩の間柄であったことが移渡の一因となりました。FC安養はこの移籍期間中に、徐庸徳以外にも金民均、安進範、朴乘一といった選手を蔚山から獲得しています。