1. 概要
杏ちゃむ(あんちゃむAnchamu日本語)は、長野県諏訪郡下諏訪町出身の日本のプロレスラーであり、グラビアアイドルとしても活動している。本名は藤木杏奈ふじき あんな日本語。現在はフリーランスとして活動しており、特に日本のプロレス団体であるアイスリボンや我闘雲舞での活動に加え、様々な日本のインディペンデントシーンでその名が知られている。彼女は、プロレスラーとグラビアアイドルの二足のわらじを履きながら、健康上の問題やキャリアの節目を乗り越え、自身のプロレス興行を主催したり、ファン交流イベントを企画したりするなど、多岐にわたる活動を展開している。
2. 略歴
杏ちゃむは2018年6月に信州ガールズプロレスリングに所属し、女子プロレスラーとしてのキャリアを開始するとともに、グラビアアイドルとしても活動を始めた。
2.1. 幼少期と初期活動
杏ちゃむは5月17日生まれで、出身地は長野県諏訪郡下諏訪町である。年齢は非公表としている。2018年6月より信州ガールズプロレスリングに所属し、プロレスラーとしての活動を開始。同時期にグラビアアイドルとしての活動もスタートさせた。
2.2. 健康上の問題
2020年8月30日、自身のX(旧Twitter)を更新し、子宮頸がんの手術を受けることを公表した。この健康問題は彼女のキャリアにおいて大きな節目となった。
3. プロレスリング経歴
杏ちゃむは、フリーランスとして数多くの日本のプロレス団体で活動を展開している。
3.1. 我闘雲舞 (2018年-2020年)
杏ちゃむは2018年7月28日、我闘雲舞の『おつかれサマー!板橋大会 ~この夏を泳ぎきれ~』でプロレスデビューを果たした。デビュー戦では自身の師であるさくらえみに敗れた。約2年間我闘雲舞に所属し、様々な形式の試合やギミックで活動した。2018年10月17日の『Gatoh Move Japan Tour #386』では、里歩が勝利したハロウィンバトルロイヤルに出場し、アントニオ本多、バリヤン・アッキ、趙雲子龍、高梨将吉、駿河メイ、紺乃美鶴、帯広さやか、水森由菜といった選手たちと対戦した。我闘雲舞での最後の試合は、2020年3月22日の『gtmv・42』で、駿河メイとのシングルマッチに敗れた。
3.2. インディペンデント団体 (2019年-現在)
杏ちゃむは、日本のインディペンデントシーンの多数のプロモーションで活躍している。
- 2021年12月19日、大仁田厚がプロモートするFMW-Eのイベント『FMW-E Carnival』で、大仁田厚が勝利したハードコアランブルマッチに出場。この試合には、アブドーラ小林、ブラーマン・ケイ、ブラーマン・シュウ、佐藤光留、ミスター・ポーゴ、リッキー・フジなど、主に男性の有名選手も多数参加した。
- 2022年2月8日、マーベラスの興行『~Coloful World in 新木場~』のメインイベント「黄色軍団タッグマッチ~イエローパニック~」において、くじ引きにより永島千佳世とタッグを組み、岡優里佳、宝山愛組に敗れた。このタッグはAAAタッグ王座のタッグリーグの一環で、両者はAブロックで合計3ポイントを獲得し、決勝進出はならなかった。
- 2022年2月24日から5月1日にかけて、マーベラスが復活させたAAAWタッグ王座のタッグリーグに出場。永島千佳世とタッグを組み、Aブロックで伊藤薫&渡辺智子組、ハイビスカスみぃ&彩羽匠組、そしてニッポン・ガンバレ・ユニオン(真瀬ゆな&YuuRI)と対戦し、合計3ポイントを獲得したが、決勝には進出できなかった。
- 2022年10月19日、スターダムの『New Blood 5』イベントで、鈴季すずと組み、Queen's Questの妃南とレディ・Cを破った。
- 2023年2月5日、プロレスリングWAVEが主催する『WAVE Detras De Lazona Vol. 9』イベントで、梅咲遥に敗れた。
- 2023年7月15日、信州ガールズプロレスリングの「SHINSYU GIRLS COLLECTION Vol.12」にて柳ケ瀬プロレスの沙恵からSGP無差別級王座を奪取し、悲願の初戴冠を果たした。
- 2023年9月22日、Sukebanが開催した初のイベントで、マヤ・マムシと「ザ・原宿スターズ」としてタッグを組み、「デンジャラス・ライアンス」のコマンダー・ナカジマとレディ・アントワネット組に敗れた。
- 2023年10月1日、PURE-Jの『大阪フェスティバル』で3wayマッチに出場し、救世忍者乱丸が勝利した試合でKAZUKIも参加した。
- 2024年10月13日、長野市の松代公民館で行われた信州プロレスの大会でSGP無差別級王座の初防衛戦を行い、ダンプママ友を相手に「あの日見た技の名前を僕はまだ知らない」で勝利し、初防衛に成功した。
3.3. アイスリボン (2021年-現在)
杏ちゃむは2021年8月9日の『Ribbon's 15th Anniversary』でアイスリボンにデビューした。この試合では朝陽、つくし、Yappyと組み、バニー及川、KOHGO、海樹リコ、新垣渚組と8人タッグマッチで対戦し敗れた。
2023年6月24日、YuuRIとの越境タッグチーム「QUEEN VALKYRIE(QV)」を結成し、アイスリボンで初勝利を飾った。同年11月3日には、アイスリボン『New Ice Ribbon #1311』でYuuRIと組み、星いぶきと松下楓歩を破り、空位となっていたインターナショナル・リボンタッグ王座を獲得した。
2024年9月には、アイスリボンのYappyとのタッグチーム「BAD BUTTS」を結成した。
2024年11月23日、アイスリボンラジアントホール大会にてYuuRIとのタッグチーム「QV」を解消した。
2025年1月4日には、アイスリボンラジアントホール大会で藤田あかねの持つFantast ICE王座への挑戦を表明している。
3.4. 自主興行
杏ちゃむは、自身のプロレス興行を主催している。2024年6月30日、沖縄県那覇市ぶんかテンブス館にて、自身初となる『ドレイク森松&杏ちゃむ合同自主興行』を実施した。この興行では、メインイベントとしてドレイク森松、加藤園子、Sareee組対杏ちゃむ、YuuRI、マリ卍組による6人タッグマッチが行われた。
4. タイトルと実績
杏ちゃむはプロレスラーとして、以下のタイトルを獲得している。
4.1. 獲得タイトル
- SGP無差別級王座 (第24代)
- インターナショナル・リボンタッグ王座 (第61代、パートナーはYuuRI)
4.2. 主要な得意技
杏ちゃむは様々な技を試合で披露するが、特に以下の技が知られている。
- ヒップアタック:通称「高尻圧」。
- ヒップドロップ
- クロスボディ:コーナーから場外へ放つこともある。
- 握手十字
- 各種関節技:
- 「あの日見た技の名前を僕はまだ知らない」(通称「あの技」):うつ伏せ状態の相手に対し、腰の上でクロスするように仰向けとなり、相手の左腕のリストを自身の左手でクラッチしながら左肘で相手の脚を押さえ、自身の右肘で相手の右肘を締めあげる複合関節技。
- ハニートラップ:相手からのハイキックを脚で迎撃し、そのまま脚を絡めSTFに移行するサブミッション。
- ミサイルキック
- 蒼魔刀
- フレアリングロータス:変型スクールボーイボム。トップコーナーで逆向きに座らせた相手の股から手を入れ、そのままマットに叩きつける。
- フィッシャーマンスープレックス
- ダイビング・ネックブリーカー・ドロップ
- ビールホールド:杏ちゃむの酒好きにちなんで名付けられたヒールホールド。
デスマッチも好み、蛍光灯や竹串を用いたラフファイトも行うことがある。
5. 人物・プライベート
杏ちゃむは、プロレスラーやグラビアアイドルとしての顔の他に、様々な個人的な側面を持っている。
5.1. 身体的特徴・特技
スリーサイズはB85、W60、H90。年齢は非公開。イメージカラーは黄色で、試合会場では黄・黒・金の紙テープが投げられる。
趣味はダーツ、プラネタリウム、野球観戦。好きな歌手は吉幾三。
特技は英語、チューバ、空手。また、2019年以降はイメージDVDを発売しており、12時間ぶっ通しの撮影を経験し「体力的にこういう動画を撮るのって辛いんだなぁって(笑)」と撮影の過酷さを語っている。コスチューム着用時には見えないが、臀部には蓮の花のタトゥーを入れている。
生粋の日本酒好きであり、2023年3月5日には唎酒師の資格を取得している。
5.2. 「杏ちゃむの酒飲み放浪記」イベント
日本酒好きが高じて、全国各地でファンとの交流会と称した飲み会を不定期で開催している。イベント名は自身の冠番組名に開催地名を加えた「杏ちゃむの酒呑み放浪記in〇〇」という形式で展開される。これまでに以下の場所で開催されている。
- 杏ちゃむの酒呑み放浪記in小松:2021年、2022年、2023年の年末に開催。
- 杏ちゃむの酒呑み放浪記in大阪:2023年に2回開催。
- 杏ちゃむの酒呑み放浪記in新潟:2023年、2024年に開催。
- 杏ちゃむの酒呑み放浪記in大分:2023年に開催。
- 杏ちゃむの酒呑み放浪記in広島:2023年に開催。
また、上記以外にも寧々∞D.a.i(暗黒プロレス組織666)が店長を務める西麻布のバーで月に一度の飲み会を開催している。
さらに、タッグチーム「QV」としても飲み会イベントを実施しており、第1回は伊藤薫が経営する居酒屋「心亭」で行われた。
6. 作品
杏ちゃむがグラビアアイドルとしてリリースした主要なイメージビデオは以下の通りである。
6.1. イメージビデオ
- ANgel(2019年4月26日、発売元:Fiction、販売元:グラッソ)
- あんずいろ(2019年7月26日、発売元:Fiction、販売元:グラッソ)
- 蓮カノ(2019年12月20日、発売元:Fiction、販売元:グラッソ)
- 濡蓮(2020年3月27日、発売元:Fiction、販売元:グラッソ)
- 杏ちゃむvs仮想エロス(2020年9月25日、エアコントロール)
7. 出演
杏ちゃむはプロレスやグラビア活動以外にも、様々なメディアに出演している。
7.1. ケーブルテレビ
- 信州美人が行くっ! (2022年4月、INC長野ケーブル)
7.2. ウェブテレビ
- DDT LIVE!~さよならとしまえん~ 大仁田厚 負けたら即引退SP 路上電流爆破 #大仁田としまえんで負けた引退(2020年8月27日、ABEMA)
7.3. インターネットラジオ
- 杏ちゃむの酒飲み放浪記(2022年8月15日~2023年12月21日、毎月第1、第3月曜23時~23時50分、鳥越アズーリFM、アシスタント:ビューティー吉田)