1. 初期生い立ちと背景
1.1. 生い立ちと教育
佐藤光留は1980年7月8日に岡山県岡山市で佐藤弘明として生まれた。岡山学芸館高等学校を卒業。血液型O型。中学時代は陸上部に所属し砲丸投げを行っていたが、3年時には相撲で県大会3位に入賞した。高校ではレスリングに打ち込み、3年時にはフリースタイルとグレコローマンの70kg級で全国大会3位に入賞するなど、学生時代からその非凡な運動能力を発揮していた。
1.2. 家族関係
佐藤光留には実弟がおり、彼はindigo la Endのドラマーである佐藤栄太郎である。
2. 総合格闘技キャリア
2.1. デビューと初期活動
佐藤は美濃輪育久の試合に触発され、数々のアマチュア大会を経て1999年5月にパンクラスの入門テストに合格し、同団体で総合格闘技のトレーニングを開始した。2000年2月27日、ミドル級で渡辺大介を相手にプロデビュー戦を飾ったが、判定負けを喫した。しかし、同年4月30日の2戦目ではマイケル・サ・ジン・クォークをアームバーで破り、プロ初勝利を挙げた。
初期のキャリアでは、猫耳を付けたりメイド服を着用してリングインするなど、その風変わりなパーソナリティで注目を集めた。2007年2月28日には藤井陸平を破り、キャリア初の勝ち越しとなる17勝16敗3分けの戦績を記録した。
2.2. 主要な試合とトーナメント
2001年には、ネイサン・マーコート、長南亮、KEI山宮といった著名な選手と立て続けに対戦した。特に、同年1月18日にはGMC(グレイテスト・コモン・マルチプル)主催の「DEMOLITION MIDDLE WEIGHT 4MEN TOURNAMENT」で中村大介を破り、トーナメント優勝を果たした。この勝利後、彼はリング上でパンクラス無差別級王者のジョシュ・バーネットに宣戦布告し、注目を集めた。
2007年12月22日には、ついにジョシュ・バーネットとキャッチレスリングルールで対戦したが、チョークスリーパーで一本負けを喫した。プロレスへの転身後も総合格闘技の試合を続けており、2017年2月5日の試合ではジョナサン・アイビーをTKOで破り、公式戦績は最終的に24勝26敗4分けを記録した。
2.3. 総合格闘技戦績
佐藤光留の総合格闘技における公式戦績は、24勝26敗4分けである。
勝敗 | 戦績 | 対戦相手 | 試合結果 | 大会名 | 開催年月日 | ラウンド | 時間 | 場所 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
× | 24-26-4 | Kanto Fuchigami | TKO(パンチ) | Pancrase: 322 | 2021年6月27日 | 1 | 3:32 | 東京、日本 | スーパーヘビー級戦 |
× | 24-25-4 | Doo Hwan Kim | サブミッション(アームトライアングルチョーク) | Top FC 18 | 2018年5月25日 | 1 | 2:21 | ソウル、大韓民国 | ライトヘビー級戦 |
× | 24-24-4 | 桜井隆多 | TKO(パンチ) | Pancrase: 289 | 2017年8月20日 | 2 | 0:23 | 東京、日本 | |
○ | 24-23-4 | ジョナサン・アイビー | TKO(パンチ) | Pancrase: 284 | 2017年2月5日 | 1 | 1:18 | 東京、日本 | 無差別級戦 |
× | 23-23-4 | Sergei Martynov | サブミッション(アームバー) | Pancrase: 275 | 2016年1月31日 | 1 | 2:03 | 東京、日本 | |
○ | 23-22-4 | シャノン・リッチ | サブミッション(アームバー) | Pancrase: 269 | 2015年8月9日 | 1 | 1:36 | 東京、日本 | ライトヘビー級戦 |
○ | 22-22-4 | 藤沼弘秀 | サブミッション(スカーフホールドアームロック) | Deep: Dream Impact 2014: Omisoka Special | 2014年12月31日 | 1 | 2:10 | 埼玉、日本 | 無差別級戦 |
× | 21-22-4 | 高山善廣 | KO(スラム) | U-Spirits: Again | 2013年3月9日 | 1 | 4:26 | 東京、日本 | 論争あり。プロレスの試合として報告される場合もある。 |
× | 21-21-4 | 一慶 | 判定(ユナニマス) | Pancrase: Progress Tour 1 | 2012年1月28日 | 2 | 5:00 | 東京、日本 | |
○ | 21-20-4 | 渋谷修身 | サブミッション(スカーフホールドアームロック) | ZST: Battle Hazard 4 | 2010年7月3日 | 1 | 2:22 | 東京、日本 | |
○ | 20-20-4 | 大堀竜二 | サブミッション(ヒールホールド) | Pancrase: Changing Tour 1 | 2009年2月1日 | 1 | 3:46 | 東京、日本 | ライトヘビー級戦 |
× | 19-20-4 | Min Suk Heo | TKO(コーナーストップ) | Deep: Gladiator | 2008年8月16日 | 1 | 1:08 | 岡山、日本 | |
○ | 19-19-4 | Jerry Nelson | サブミッション(ヒールホールド) | Pancrase: Real 2008 | 2008年6月29日 | 1 | 2:37 | 北谷、日本 | ライトヘビー級戦 |
× | 18-19-4 | Alavutdin Gadjiev | KO(パンチ) | Pancrase: Shining 2 | 2008年3月26日 | 1 | 1:20 | 東京、日本 | |
△ | 18-18-4 | 佐藤豪志 | 引き分け | Kingdom of Grapple: Live 2007 | 2007年11月25日 | 2 | 5:00 | 東京、日本 | |
○ | 18-18-3 | 阿部健太郎 | サブミッション(リアネイキッドチョーク) | Pancrase: Rising 8 | 2007年10月14日 | 2 | 2:27 | 東京、日本 | |
× | 17-18-3 | 福田力 | KO(パンチ) | Pancrase: 2007 Neo-Blood Tournament Finals | 2007年7月27日 | 1 | 1:09 | 東京、日本 | |
× | 17-17-3 | Bryan Rafiq | TKO(パンチ) | Pancrase: Rising 4 | 2007年4月27日 | 2 | 2:16 | 東京、日本 | |
○ | 17-16-3 | 藤井陸平 | 判定(マジョリティ) | Pancrase: Rising 2 | 2007年2月28日 | 2 | 5:00 | 東京、日本 | |
○ | 16-16-3 | Sviatoslav Matafonov | 判定(ユナニマス) | Pancrase: Blow 11 | 2006年12月10日 | 2 | 5:00 | 東京、日本 | |
○ | 15-16-3 | 岩見谷智義 | 判定(ユナニマス) | Pancrase: Blow 9 | 2006年10月25日 | 2 | 5:00 | 東京、日本 | |
× | 14-16-3 | 竹内出 | 判定(ユナニマス) | Pancrase: Blow 6 | 2006年8月27日 | 3 | 5:00 | 横浜、日本 | ミドル級復帰。 |
○ | 14-15-3 | 花澤大介13 | サブミッション(トーホールド) | Pancrase: Blow 2 | 2006年3月19日 | 2 | 2:01 | 大阪、日本 | ライト級デビュー。 |
× | 13-15-3 | 桜木裕司 | TKO(サッカーキック) | Pancrase: Blow 1 | 2006年1月26日 | 1 | 0:55 | 東京、日本 | |
△ | 13-14-3 | 佐々木恭介 | 引き分け | Pancrase: Spiral 10 | 2005年12月4日 | 1 | 10:00 | 東京、日本 | |
× | 13-14-2 | ポアイ菅沼 | 判定(ユナニマス) | Pancrase: Spiral 8 | 2005年10月2日 | 2 | 5:00 | 横浜、日本 | |
○ | 13-13-2 | 松本天心 | サブミッション(リアネイキッドチョーク) | Pancrase: Z | 2005年9月3日 | 1 | 2:43 | 熊本、日本 | |
○ | 12-13-2 | 小椋誠志 | サブミッション(リアネイキッドチョーク) | Pancrase: Spiral 5 | 2005年7月10日 | 1 | 4:16 | 横浜、日本 | |
○ | 11-13-2 | 小谷野澄雄 | TKO(コーナーストップ) | Pancrase: Spiral 1 | 2005年2月4日 | 1 | 2:57 | 東京、日本 | ヘビー級復帰。 |
× | 10-13-2 | 久松勇二 | 判定(ユナニマス) | Pancrase: Brave 11 | 2004年11月26日 | 2 | 5:00 | 東京、日本 | |
△ | 10-12-2 | 佐々木恭介 | 引き分け | Pancrase: Brave 9 | 2004年10月12日 | 2 | 5:00 | 東京、日本 | |
× | 10-12-1 | 井上克也 | TKO(パンチ) | Pancrase: Brave 6 | 2004年6月22日 | 1 | 3:53 | 東京、日本 | |
○ | 10-11-1 | 中西裕一 | 判定(マジョリティ) | Pancrase: Brave 3 | 2004年3月29日 | 3 | 5:00 | 東京、日本 | |
○ | 9-11-1 | 中村大介 | 判定(ユナニマス) | GCM: Demolition 040118 | 2004年1月18日 | 2 | 5:00 | 東京、日本 | デモリションミドル級4人トーナメント優勝。 |
○ | 8-11-1 | 外山慎平 | TKO(パンチ連打) | GCM: Demolition 030923 | 2003年9月23日 | 1 | 2:29 | 東京、日本 | |
× | 7-11-1 | 長谷川秀彦 | 判定(スプリット) | Pancrase: Hybrid 7 | 2003年6月22日 | 2 | 5:00 | 大阪、日本 | |
○ | 7-10-1 | エレクトロ・ショック | サブミッション(ヒールホールド) | Deep: 9th Impact | 2003年5月5日 | 2 | 0:57 | 東京、日本 | ライトヘビー級戦 |
○ | 6-10-1 | 柴田寛 | サブミッション(トーホールド) | GCM: Demolition 030323 | 2003年3月23日 | 1 | 2:36 | 東京、日本 | |
× | 5-10-1 | 岡見勇信 | 判定(ユナニマス) | Pancrase: Hybrid 1 | 2003年1月26日 | 2 | 5:00 | 東京、日本 | |
△ | 5-9-1 | 山崎進 | 引き分け(ユナニマス) | Pancrase: Spirit 7 | 2002年10月29日 | 2 | 5:00 | 東京、日本 | |
× | 5-9 | 小島正也 | 判定(ユナニマス) | KF 2: Kushima's Fight 2 | 2002年7月23日 | 3 | 5:00 | 長崎、日本 | |
○ | 5-8 | 冨宅飛駈 | 判定(マジョリティ) | Pancrase: Spirit 4 | 2002年5月11日 | 2 | 5:00 | 大阪、日本 | |
○ | 4-8 | 大久保一樹 | 判定(マジョリティ) | Pancrase: Spirit 2 | 2002年2月17日 | 2 | 5:00 | 大阪、日本 | |
× | 3-8 | 岩崎英明 | KO(パンチ) | Pancrase: Proof 6 | 2001年10月30日 | 2 | 4:20 | 東京、日本 | |
× | 3-7 | KEI山宮 | 判定(ユナニマス) | Zero1: Shingeki Chapter 2 | 2001年8月30日 | 2 | 5:00 | 東京、日本 | |
× | 3-6 | 三崎和雄 | サブミッション(リアネイキッドチョーク) | Pancrase: 2001 Neo-Blood Tournament Opening Round | 2001年5月5日 | 1 | 4:08 | 東京、日本 | ミドル級復帰。 |
○ | 3-5 | 長南亮 | 判定(ユナニマス) | Pancrase: 2001 Neo-Blood Tournament Eliminations | 2001年5月5日 | 3 | 5:00 | 東京、日本 | ヘビー級デビュー。 |
× | 2-5 | ネイサン・マーコート | サブミッション(リアネイキッドチョーク) | Pancrase: Proof 2 | 2001年3月31日 | 1 | 1:53 | 大阪、日本 | |
○ | 2-4 | 佐東伸哉 | 判定(ユナニマス) | Pancrase: Trans 8 | 2000年12月9日 | 1 | 10:00 | 青森、日本 | ライトヘビー級戦 |
× | 1-4 | 柴田寛 | 判定(ユナニマス) | Pancrase: Trans 6 | 2000年10月31日 | 1 | 10:00 | 東京、日本 | |
× | 1-3 | 石川英司 | サブミッション(リアネイキッドチョーク) | Pancrase: 2000 Neo-Blood Tournament Second Round | 2000年8月27日 | 1 | 2:43 | 大阪、日本 | |
× | 1-2 | 星野勇二 | 判定(ユナニマス) | Pancrase: 2000 Neo-Blood Tournament Opening Round | 2000年7月23日 | 2 | 3:00 | 東京、日本 | |
○ | 1-1 | マイケル・サ・ジン・クォーク | サブミッション(アームバー) | Pancrase: Trans 3 | 2000年4月30日 | 1 | 2:23 | 横浜、日本 | ミドル級デビュー。 |
× | 0-1 | 渡辺大介 | 判定(ユナニマス) | Pancrase: Trans 2 | 2000年2月27日 | 1 | 10:00 | 大阪、日本 |
グラップリング戦績
勝敗 | 対戦相手 | 試合結果 | 大会名 | 開催年月日 |
---|---|---|---|---|
× | ジョシュ・バーネット | サブミッション(チョークスリーパー) | PANCRASE 2007 RISING TOUR | 2007年12月22日 |
△ | 花井岳文 | 5分1R終了 判定0-0 | PANCRASE 2006 BLOW TOUR | 2006年5月2日 |
3. プロレスリングキャリア
3.1. DDTプロレスリング時代
2008年3月、佐藤はパンクラス創設者の一人である鈴木みのるの下でプロレスのトレーニングを開始した。同年5月24日、DDTプロレスリングの派生ブランドである「ハードヒット」のイベントで、石川修司を破りプロレスデビューを果たした。ハードヒットは、総合格闘技とプロレスの要素を融合させ、よりリアルな試合スタイルを追求するプロジェクトである。
デビュー後も、佐藤はメイド服を着用して試合を行うなど、その個性的なキャラクターを維持した。同年8月には中澤マイケルを相手にハードヒットルールで勝利し、DDTで定期的に活動を開始。中澤とはタッグパートナーとしても活動した。
2010年2月28日、自身初の自主興行となる『佐藤光留デビュー10周年記念興行「BEST SNIPE ~変態狙撃祭り」』を新宿FACEで開催した。この興行のメインイベントでは師匠である鈴木みのるとタッグを組み、NOSAWA論外&MAZADA組と対戦。ボーナスマッチとして鈴木とのシングルマッチも行われたが、ゴッチ式パイルドライバーで敗れた。
2009年2月22日、KO-D無差別級王座の初挑戦権を獲得するが、3月15日の王座戦では王者高木三四郎に敗れた。同年9月29日にはUWA世界6人タッグ王座を獲得し、自身初のプロレスタイトルを手に入れた。この時、彼は男色ディーノ、マサ高梨と「ベルとハンター×ハンター」というユニットを結成していた。
2010年には、石井慧介、ヨシヒコ(ラブドール)とのタッグでUWA世界6人タッグ王座を再獲得した。同年11月3日には、中澤マイケル、松永智充と組んだ「シット・ハート♥財団」としてDDT自由が丘6人タッグ王座、日本海6人タッグ王座、UWA世界6人タッグ王座の「トリプルクラウン」を達成。さらにその9日後、HARASHIMAを破りKO-D無差別級王座を獲得する快挙を成し遂げたが、わずか14日後にディック東郷に敗れ王座を失った。
2011年2月27日には、シット・ハート♥財団のリーダーとなった高尾蒼馬との敗者髪切りマッチに敗れ、丸坊主になった。同年9月30日には、DDTプロレスリングが行った「DDT48総選挙2011」で堂々の1位を獲得したが、賞金の100万円は怪我をした選手のためにDDTに返還した。この際、DDT社長の高木三四郎に直訴し、「ハードヒット」の権利を譲り受け、自身のプロデュース興行として本格的に始動させることになった。
2013年5月3日には、坂口征夫とのタッグでKO-Dタッグ王座を獲得し、同年6月23日には彰人と竹下幸之介を破り、3度目の防衛に成功した。同年8月18日、年間最大の興行「両国ピーターパン2013」でヤンキー二丁拳銃(木高イサミ&宮本裕向)に敗れ、KO-Dタッグ王座を失った。
2014年1月、DDTプロレスリングとのレギュラー契約を満了し、DDT所属選手としての活動は一旦区切りとなった。
3.2. 全日本プロレス時代
2010年7月25日、佐藤は全日本プロレスの「ジュニア・ヘビー級リーグ戦」で初参戦し、大和ヒロシを投げっぱなしジャーマンで破った。2011年には菊タローと組んで「ジュニア・タッグリーグ戦」に、2012年には大和ヒロシと組んで再び同リーグ戦に出場した。
2013年1月3日には、大和ヒロシと組んで金本浩二と田中稔の「ジュニア・スターズ」が保持するアジアタッグ王座に挑戦表明。同年1月26日、タッグチーム「情熱変態バカ」としてジュニア・スターズを破り、アジアタッグ王座を獲得し、全日本プロレスでの初タイトルとなったが、わずか15日後の2月10日に再び金本&田中に敗れ王座を失った。
2014年2月、佐藤は全日本プロレスのユニット「Evolution」に加入し、諏訪魔、ジョー・ドーリングと共闘。これにより、全日本プロレスでの活動を本格化させた。同年10月22日、青木篤志と組んで「2014 Jr. TAG BATTLE OF GLORY」で優勝。2015年と2016年にも青木と組んで同大会を制し、大会史上初の3連覇を達成した。
2016年6月19日、青木篤志を破り、自身初の世界ジュニアヘビー級王座を獲得した。同年7月24日には、大日本プロレスの大会で青木篤志と組んでヤンキー二丁拳銃(木高イサミ&宮本裕向)を破り、アジアタッグ王座を再獲得し、二冠王となった。しかし、同年8月28日にはDDT「両国ピーターパン2016」で高尾蒼馬に敗れ、世界ジュニアヘビー級王座を失った。同年11月27日、大仁田厚と渕正信のタッグに敗れ、アジアタッグ王座を失った。
2017年4月28日、石井慧介を破り、2度目の世界ジュニアヘビー級王座を獲得。同年6月20日には、青木篤志と組んで大仁田&渕のタッグを破り、アジアタッグ王座を奪還し、再び二冠王となった。しかし、同年7月30日にはTAJIRIに敗れ世界ジュニアヘビー級王座を失い、8月には諏訪魔とのグラップリングマッチを経て、Evolutionからの脱退を発表した。同年8月27日、ブラック・タイガーVIIとTAKAみちのくのタッグに敗れ、アジアタッグ王座を失った。
その後も全日本プロレスには参戦を続け、2019年には岡田佑介、2020年には田村男児と組んで「Jr. TAG BATTLE OF GLORY」で優勝を果たしている。
3.3. その他の団体活動と「ハードヒット」プロジェクト
DDTとの契約満了後も、佐藤はユニオンプロレス、東京愚連隊など様々なプロモーションで活動している。
2014年5月18日、ユニオンプロレスの最高位タイトルであるユニオンMAX王座を木高イサミから獲得し、同年12月17日にFumaに敗れるまで防衛した。
2014年7月7日、東京愚連隊の「東京インターコンチネンタルタッグ王座」を望月成晃と組んで獲得。2016年4月4日にもロッキー川村と組んで同タイトルを再獲得した。
2019年にはプロレスリング我闘雲舞で里歩と組んで「ゴーゴーグリーンカレーコップンカップ」に優勝。琉球ドラゴンプロレスリングではロッキー川村と組んで「御万人王座「双琉王」」を獲得した。
2023年5月5日には、ガンバレ☆プロレスで前口太尊と組んで初代「スピリット・オブ・ガンバレ世界タッグ王座」を獲得。
天龍プロジェクトでも活動しており、鈴木秀樹と組んで「UNタッグ王座」、矢野啓太と組んで「インターナショナルジュニアヘビー級タッグ王座」を獲得し、自身も「インターナショナルジュニアヘビー級王座」を保持している。
2023年12月27日、TAKAみちのくが提唱した「史上最大のインディJr.祭」に参戦し、1日5試合を勝ち抜き、第38代インディペンデント・ワールド・ジュニアヘビー級王座を獲得した。
佐藤は自身がプロデュースする「ハードヒット」プロジェクトに特に力を入れている。2011年11月、DDTからハードヒットの運営を任され、2012年3月には独自のルールを導入し、DDTのサブランドとしての位置づけを明確にした。2015年6月4日には、ハードヒットの全権利をDDTから譲り受け、完全に独立したプロモーションとして再出発させた。
3.4. キャラクターとファイトスタイル
佐藤光留は、そのリング内外でのユニークなキャラクターで知られている。特に有名なのは、デビュー初期から現在に至るまで、メイド服を着用して入場したり、時にはそのまま試合を行うこともある点である。この奇抜な行動は、対戦相手や観客から様々な反応を引き出し、彼のトレードマークとなっている。
彼のファイトスタイルは、長年の総合格闘技経験に裏打ちされた「リアル」な要素と、プロレス特有のエンターテイメント性が融合している。打撃では、MMA仕込みの的確なパンチやハイキック、そして師匠鈴木みのる譲りの張り手を繰り出す。この張り手は、大ぶりなフォームから放たれる激しい音で観客を沸かせることが多い。
フィニッシュ・ホールドとしては、アンクルホールド、腕挫十字固(特に足取り腕十字)を多用する。アンクルホールドを極める際には、鈴木みのると同様に舌を出すことがある。また、蟹挟から各種関節技への連携も得意としている。
投げ技では、デスバレーボム、ジャーマンスープレックス、バックドロップといった大技も使いこなす。
2023年3月1日開催の「ジュニア夢の祭典 ~ALL STAR Jr. FESTIVAL 2023~」では、童貞を殺すセーター姿で入場し、田口隆祐、今成夢人と共に「変態トリオ」を結成し、その個性的な存在感を示した。同年8月26日には自主興行「変態は夢を見た」を開催し、メインイベントで新日本プロレスのエル・デスペラードと時間無制限一本勝負で対戦した。
4. 獲得タイトルと受賞歴
佐藤光留が総合格闘技およびプロレスリングの両分野で獲得した主要なタイトルと業績は以下の通りである。
- 総合格闘技
- グレイテスト・コモン・マルチプル
- DEMOLITION MIDDLE WEIGHT 4MEN TOURNAMENT (2004) 優勝
- プロ・アマオープンキャッチレスリングトーナメント100kg未満級 (2005) 優勝
- プロレスリング
- 全日本プロレス
- 世界ジュニアヘビー級王座 (3回)
- アジアタッグ王座 (5回) - 大和ヒロシ (1), 青木篤志 (2), 田村男児 (2)
- 全日本プロレスTV認定6人タッグ王座 (1回、現行) - 阿部史典、青柳優馬
- Jr. TAG BATTLE OF GLORY (2014年、2015年、2016年) - 青木篤志
- Jr. TAG BATTLE OF GLORY (2019年) - 岡田佑介
- Jr. TAG BATTLE OF GLORY (2020年) - 田村男児
- DDTプロレスリング
- KO-D無差別級王座 (1回)
- KO-Dタッグ王座 (1回) - 坂口征夫
- アイアンマンヘビーメタル級王座 (2回)
- 自由が丘6人タッグ王座 (1回) - 中澤マイケル、松永智充
- 日本海6人タッグ王座 (1回) - 中澤マイケル、松永智充
- UWA世界6人タッグ王座 (3回) - 男色ディーノ、マサ高梨 (1), 石井慧介、ヨシヒコ (1), 中澤マイケル、松永智充 (1)
- DDT48 (2011年)
- 世界佐藤級王座 (1回)
- ガンバレ☆プロレス
- スピリット・オブ・ガンバレ世界タッグ王座 (初代) - 前口太尊
- 紅白プロレス合戦
- 世界佐藤級王座 (第2代)
- 天龍プロジェクト
- 天龍プロジェクトインターナショナルジュニアヘビー級王座 (1回)
- インターナショナルジュニアヘビー級タッグ王座 (1回) - 矢野啓太
- ユナイテッド・ナショナル・タッグ王座 (1回、現行) - 鈴木秀樹
- 天龍プロジェクト世界6人タッグ王座 (1回、現行) - 橋本大地、SUSHI
- 東京愚連隊
- 東京インターコンチネンタルタッグ王座 (2回) - 望月成晃 (1), ロッキー川村 (1)
- ユニオンプロレス
- ユニオンMAX王座 (1回)
- プロレスリング我闘雲舞
- ゴーゴーグリーンカレーコップンカップ (2019年) - 里歩
- 琉球ドラゴンプロレスリング
- 御万人王座「双琉王」 (1回) - ロッキー川村2
- インディJr.祭
- インディペンデント・ワールド・ジュニアヘビー級王座 (第38代)
- 日本インディー大賞
- 特別賞(2010年)
- 全日本プロレス
- グレイテスト・コモン・マルチプル
5. 試合外活動と人物像
5.1. 執筆活動
佐藤光留は、多忙な試合活動の傍ら、複数のメディアプラットフォームでコラムを連載しており、その執筆活動は多岐にわたる。
- 連載中**
- 全日本プロレス・プロレスリング・ノア公式モバイルサイト「プロレス/格闘技DX」『オマーン国際空港からの手紙』: 2018年2月より連載開始のウェブ日記で、毎週火曜日更新。
- モバイルSPA!内コラム『佐藤光留のデカ盛りチャンピオンカーニバル』: 2008年8月開始。プロレスラーとして相応しい肉体を目指し、大盛り料理に挑むというテーマ。
- モバイル映画情報サイト「映画秘宝クラブ」内コラム『残糞感映画批評』: 格闘家の視点から映画を批評するというユニークな試み。
- パンクラス公式ファンクラブ「HYBRID CLUB」『佐藤光留の世界居場所発見』
- 過去の連載**
- 「週刊プロレス」誌上『読者参加型サバイバルコラム』(2008年10月 - 2009年9月): 読者投票で連載継続を競う形式。
- 月刊DMM DVD レビュー執筆(廃刊により終了)。
- モバイルSPA!内コラム『佐藤光留の君の瞳に変してる』: 棚橋弘至も愛読していたことで知られる。
- モバイルゴング内コラム「光留の女子プロ☆パラダイス」: 人気女子プロレスラーをゲストに招き、メイド服姿で対談する企画。
- 王道!SP-777内コラム『佐藤光留のパーラー妄想脳内一族』: パチンコに関するコラム。
- モバイルサイト「格闘王国」内コラム『佐藤光留の陸の孤島通信』
5.2. メディア出演
佐藤はテレビ番組にも出演経験がある。2008年3月1日放送のテレビ東京「釣りロマンを求めて」では、師匠である鈴木みのるのアシスタントとしてゲスト出演し、釣りに興じる姿を披露した。
5.3. 入場テーマ曲
- PIANO Renovation.(MUSH UP ANTHEM) feat. 吉田兄弟 / DAISHI DANCE - 現在使用中
- 恋しさと せつなさと 心強さと/篠原涼子
- サバンナ・チャンス-Savachan Mega Mix
- エレクトロワールド/Perfume(勝負試合限定)
- MOONLIGHT/踊る大捜査線(新生ハードヒットではこちらを使用。新生ハードヒットのテーマ曲でもある)
- 蒼い夕陽/ THE BOOM(大和ヒロシとのタッグチーム「情熱変態バカ」のテーマ曲)
5.4. 鈴木みのるとの関係
佐藤光留と鈴木みのるの関係は、師弟関係を超えた特別な絆で結ばれている。佐藤は2008年にプロレス転向を決意する際、パンクラス創設者の一人である鈴木の下でトレーニングを開始した。鈴木は公の場では佐藤のプロレス転向を直接手助けしないと語っていたが、実際には全日本プロレスの道場に出稽古に行けるよう手配したり、自身の20周年興行でも佐藤に試合を組ませるなど、影ながらサポートを続けていた。
特に有名なエピソードとして、2004年10月12日のパンクラス後楽園ホール大会での出来事が挙げられる。この日、佐々木恭介との試合を終えた佐藤はマイクを握り、会場にいない鈴木に対し「研いでない、切れない刀はただの鉄だ!何でパンクラスの若手とは戦ってくれないんですか?」と公然と挑発した。この発言は、鈴木が新日本プロレスに移籍し、パンクラスでの試合が減っていた時期に向けられたものだった。すると、バックステージにいた鈴木が突如現れ、佐藤に襲い掛かるという一幕があった。この「事件」により鈴木は減俸処分を受けたが、この一件を機に二人の師弟関係はより強固なものとなった。
佐藤は、鈴木が自身が戦うプロレスも戦いであり、格闘技とプロレスをジャンル分けする必要はないという信念を持っている。彼は鈴木が「伝説なんかじゃない。ずっと生きてる」存在であることを確かめ、戦いたいという思いを抱いていた。
また、2013年11月1日に新宿FACEで行われたTAKAみちのくとタイチの自主興行では、「反鈴木軍同盟X」としてリングに上がった。この「同盟」を名乗った理由として、鈴木みのるのオフィシャルネットショップ「パイルドライバー」の仕事が忙しいからだと説明し、ユーモアを交えつつも師匠への敬意を示した。
5.5. 主なエピソードと特筆事項
佐藤光留はリング内外での数々のエピソードで知られている。
- 彼は熱狂的なアイドルファンであり、特に広末涼子のデビュー当時からの大ファンである。中学生時代には、広末に会うために岡山県から高知県まで自転車で向かい、自宅前で広末の父親に写真を撮ってもらい、広末とのツーショットを収めることに成功した。この写真をプリントしたTシャツを着用していた時期もある。
- ジョシュ・バーネットや桜木裕司といったヘビー級選手と対戦するなど、無差別級での闘いに美学を見出している。
- 2002年3月30日のDEEP2001大会での乱闘騒ぎの際、失くしたメガネをリッキー・マルビンが拾って届けてくれたという心温まるエピソードがある。
- 2006年8月14日、探偵ファイルの企画で秋葉原の公園で山木陽介と公開練習を行った際には、メイド服姿で登場し、その格好のままスパーリングを行うという大胆なパフォーマンスを見せた。
- 週刊ゴングの携帯サイトで女子プロレスラーとの対談コラム「光留の女子プロ☆パラダイス」を連載していた。この中で、春日萌花とはメイドカフェで「メイド服対談」を実現させ、意気投合。後に春日が佐藤の試合でメイドセコンドを務めることもあった。
- 試合中にメイド服で入場することについては、賛否両論があった。山本"KID"徳郁は激怒してセコンドの選手に「殺せ!」と命じることもあったが、海外の選手からは「ジョークガイは好きだね」と好意的に受け止められることもあった。
- 2004年7月23日には、横浜市内のパチンコ店で店員ともめていた不審人物を目撃。警察官と協力して追跡し、取り押さえることに貢献した。その人物は不法滞在の外国人であったことが判明し、後に伊勢佐木警察署より感謝状が贈呈された。佐藤はこの行動について、「格闘技の競技者としてルールを守って闘っているので、社会でもルールを守らないような奴は許せないという気持から夢中だった」とコメントしている。
- 現在もパンクラスのオフィシャルジム「P's LAB横浜」でインストラクターを務め、一般生徒やちびっこレスリングの指導にあたっている。また、パンクラスの大会ではリングアナウンサーも務めることがある。
- 2013年3月17日、スピードパートナーズによる全日本プロレス買収発表後初のビッグマッチとなった両国国技館大会で、新オーナーの白石伸生をリング上で襲撃した。この行動について「プロレスをナメた人間がいるなら、所属じゃないけど行くしか(なかった)」「社会人としては間違った行動で申し訳ない。でもプロレスラーとしては悪いとは思わない」と語り、プロレスへの強い情熱を示した。
6. 評価と影響
佐藤光留は、日本のプロレスリングおよび総合格闘技界において、そのユニークな存在感と「二刀流」のキャリアで特筆すべき評価を受けている。彼は単なるファイターに留まらず、その個性的なキャラクターと、競技の垣根を越えた活動によって、両分野に新たな視点をもたらした。
総合格闘技においては、パンクラスを主戦場とし、数々の強豪選手と渡り合ってきた。彼の試合は、時に感情的でありながらも、確かな技術に裏打ちされた「リアル」な闘いとして評価されている。特に、キャッチレスリングへの傾倒や、師匠鈴木みのるとの関係性から、「UWF」系の流れを汲む「Uスタイル」を現代に体現する数少ない選手の一人とも見なされている。
プロレスラーとしては、DDTプロレスリングでの初期の活動から、全日本プロレスでのEvolution加入、そして自身の「ハードヒット」プロジェクトに至るまで、常に既存の枠に囚われないアプローチでファンを魅了してきた。メイド服着用や「変態」を自称するキャラクターは、プロレス界のエンターテイメント性を高めると同時に、彼の真剣なファイトスタイルとのギャップが、多くの観客にとって忘れがたい印象を与えている。
彼がプロデュースする「ハードヒット」は、シュート的な要素を取り入れたリアル志向のプロレスを追求し、多くの若手選手や総合格闘家が参加する場となっている。これは、プロレスと格闘技の境界線を曖昧にし、両ジャンルの架け橋となる役割を担っている。佐藤は、伝統的なプロレスの枠組みを超え、新しい試みを積極的に取り入れることで、プロレス界の多様性を広げることに貢献している。
Pro Wrestling Illustrated誌の「PWI 500」では、2016年に世界のシングルレスラー上位500人のうち184位にランクインするなど、国際的な評価も獲得している。
彼の試合外での活動、特に執筆活動やメディア出演、そして警察に協力して犯人を逮捕したエピソードなどは、彼が単なるリング上の人物ではなく、社会との関わりを持つ多面的な人間であることを示している。これらの活動は、彼の人間的な魅力を際立たせ、より広範な層からの支持を得る要因となっている。
全体として、佐藤光留は、その唯一無二のキャラクター、総合格闘技とプロレスの両方で築き上げた確かな実績、そして常に挑戦し続ける姿勢によって、日本の格闘技・プロレス界に大きな影響を与え続けている。