1. 概要
松田 力(まつだ りき)は、1991年7月24日に大阪府大阪市で生まれたプロサッカー選手。ポジションはフォワードで、Jリーグのカターレ富山に所属している。インドネシア人の父と日本人の母の間に生まれ、双子の兄である松田陸もまたヴィッセル神戸に所属するプロサッカー選手である。
松田力は、びわこ成蹊スポーツ大学在学中に大分トリニータの特別指定選手として登録され、J1リーグで4得点を記録。これは特別指定選手としてのJ1リーグ最多得点記録として知られている。キャリアを通じて、名古屋グランパス、ジェフユナイテッド市原・千葉、アビスパ福岡、ヴァンフォーレ甲府、セレッソ大阪といった複数のJリーグクラブでプレー。特に愛媛FCに在籍した2023シーズンには、チームのエースとして活躍し、自身初のシーズン二桁得点を達成。FC今治との伊予決戦で決勝点を挙げ、愛媛FCをJ3リーグ優勝とJ2リーグ昇格に導いた。この活躍により、J3リーグ最優秀選手賞とJ3ベストイレブンを受賞し、その才能と貢献が広く認められた。
2. 成長過程と背景
2.1. 生い立ちと家族
松田力は、1991年7月24日に大阪府大阪市で誕生した。インドネシア人の父と日本人の母の間に生まれ、幼少期の小学校1年生からサッカーを始めた。双子の兄である松田陸もプロサッカー選手であり、ヴィッセル神戸に所属している。
2.2. 学歴とユース・大学時代
立正大学淞南高等学校を卒業後、びわこ成蹊スポーツ大学へ進学した。大学時代には、双子の兄である松田陸と共にチームを牽引する中心選手として活躍。特に3年次には、関西学生サッカーリーグ1部で25得点を挙げ、同リーグの得点王に輝いた。
大学在学中には、その突出した才能が認められ、数々の個人賞や選抜歴を獲得している。
- 関西学生サッカーリーグ1部 新人賞(2010年)
- 関西学生サッカーリーグ1部 優秀選手賞(2012年、2013年)
- 関西学生サッカーリーグ1部 得点王(2012年)
- デンソーカップチャレンジサッカー ベストイレブン(2012年)
- 関西大学選抜(2012年、2013年)
3. クラブキャリア
松田力のプロサッカーキャリアは、特別指定選手としてJリーグでの活動を開始して以来、様々なクラブで経験を積んできた。
3.1. 大分トリニータ
2013年5月、びわこ成蹊スポーツ大学に在学中の松田力は、JFA・Jリーグ特別指定選手として大分トリニータに登録された。同年5月22日、Jリーグカップ予選リーグのサガン鳥栖戦で先発出場し、プロ公式戦デビューを果たした。この試合は2-3で敗れたものの、その後の活躍が期待された。
J1リーグでは、7月6日の横浜F・マリノス戦でリーグ初出場を飾り、この試合の31分には初得点を記録した。大学のリーグ戦への参加を考慮し、8月末までの実質的な帯同期間ではあったが、リーグ戦9試合に出場し、チーム内で2位となる4得点を挙げた。この4得点という記録は、特別指定選手としてJ1リーグで記録された最多得点記録として、現在も保持されている。
3.2. 名古屋グランパス
複数のJリーグクラブとの獲得競争を経て、2013年11月1日に、2014シーズンから名古屋グランパスへ入団することが内定した。名古屋グランパスは、松田力が大分トリニータの特別指定選手として在籍していた前年に、彼から2得点を献上されている。
2014年3月1日、J1リーグ開幕戦の清水エスパルス戦で名古屋グランパスでのリーグデビューを飾った。同年3月23日にはヴィッセル神戸戦で、試合終盤の87分に加入後初となるリーグ戦でのゴールを記録した。2015シーズン途中までプレーした後、期限付き移籍を挟んで2016年1月12日に名古屋グランパスへの復帰が発表された。また、2016年2月には吉本興業とマネジメント契約を結び、活動の幅を広げた。
3.3. ジェフユナイテッド市原・千葉 (期限付き移籍)
2015年8月、名古屋グランパスからジェフユナイテッド市原・千葉へ期限付き移籍した。この時の背番号38は、かつて大分トリニータに特別指定選手として在籍した際にも着用していた番号である。
千葉加入後、同年8月8日のセレッソ大阪戦でリーグデビュー。同年8月15日のV・ファーレン長崎戦では、32分に加入後初得点を記録した。加入当初の8試合で4得点という好成績を収め、チームが長年課題としていた夏の得点力不足を解消する大きな要因となった。最終的には、リーグ戦で計15試合に出場し、チームに貢献した。
3.4. アビスパ福岡
2016年12月20日、J2リーグのアビスパ福岡へ完全移籍することが発表された。2017年2月26日の大分トリニータ戦でリーグデビューを飾り、新天地でのスタートを切った。
同年5月21日にはツエーゲン金沢戦で、73分と87分の2度にわたってゴールを決め、福岡での初得点を記録した。加入後はチームの主力選手として活躍し、2019シーズンにはキャリアハイとなる8得点を記録。これはチームの得点王にも輝く活躍であった。しかし、2019年11月26日、契約満了に伴いアビスパ福岡を退団することが発表された。
3.5. ヴァンフォーレ甲府
2020年1月6日、ヴァンフォーレ甲府へ移籍することが発表された。同年2月23日、FC町田ゼルビア戦でヴァンフォーレ甲府でのリーグデビューを果たした。同年7月29日には水戸ホーリーホック戦で、試合開始28分に加入後初得点を記録した。
3.6. セレッソ大阪
2021年1月5日、兄である松田陸が当時所属していたセレッソ大阪へ完全移籍することが発表された。背番号は22番となり、兄の陸は2番を着用していた。
同年3月3日、川崎フロンターレ戦でセレッソ大阪でのリーグデビューを飾った。同年9月8日には北海道コンサドーレ札幌戦で、試合開始51分に加入後初となる得点を記録した。しかし、2022年1月6日、契約満了に伴いセレッソ大阪を退団することが発表された。
3.7. 愛媛FC
2022年1月20日、前年にJ3リーグへ降格した愛媛FCへ加入することが発表された。同年3月13日のカターレ富山戦で愛媛FCでのリーグデビューを飾った。同年6月18日には松本山雅FC戦で、27分に加入後初得点を記録した。
2023シーズンからは背番号を10番に変更し、チームのエースとしてその役割を担った。このシーズンでは、自身初となるシーズン二桁得点(13得点)を記録し、チームの得点源として活躍。同年11月11日に行われたJ3リーグ第35節のFC今治との「伊予決戦」では、試合終盤の49分に先制点となるヘディングシュートを決め、これが決勝点となりチームは1-0で勝利した。この勝利によって愛媛FCはJ3リーグの優勝を決め、2024シーズンからのJ2リーグ昇格を決定した。この顕著な活躍が評価され、同シーズンではJ3リーグの最優秀選手賞とJ3ベストイレブンを同時受賞した。
2024年11月13日、愛媛FCからの契約満了による退団が発表された。
3.8. カターレ富山
2024年12月25日、J2リーグに昇格したカターレ富山へ完全移籍することが発表された。2025シーズンからの加入となる。
4. 個人生活
松田力はインドネシア人の父と日本人の母の間に生まれた。双子の兄である松田陸もまたプロサッカー選手であり、ヴィッセル神戸に所属している。2016年2月には吉本興業とマネジメント契約を結び、サッカー以外の分野でも活動を展開した。利き足は右足であり、身長は175 cm、体重は70 kgである。
5. 統計
松田力のプロキャリアにおけるクラブごとの成績を以下の表に示す。
2024年12月25日現在
クラブ成績 | リーグ戦 | 天皇杯 | リーグカップ | その他 | 合計 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
シーズン | クラブ | リーグ | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 |
2013 | 大分 | J1 | 9 | 4 | - | 1 | 0 | - | 10 | 4 | ||
2014 | 名古屋 | J1 | 31 | 1 | 4 | 3 | 6 | 1 | - | 41 | 5 | |
2015 | 11 | 1 | 4 | 1 | - | - | 15 | 2 | ||||
千葉 | J2 | 15 | 4 | 2 | 1 | - | - | 17 | 5 | |||
2016 | 名古屋 | J1 | 14 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 14 | 1 | |
2017 | 福岡 | J2 | 31 | 4 | 2 | 0 | - | 2 | 0 | 33 | 4 | |
2018 | 37 | 6 | 1 | 0 | - | 1 | 0 | 38 | 6 | |||
2019 | 36 | 8 | 1 | 0 | - | 1 | 0 | 37 | 8 | |||
2020 | 甲府 | 36 | 4 | - | - | - | 36 | 4 | ||||
2021 | C大阪 | J1 | 20 | 1 | 4 | 1 | 1 | 0 | - | 25 | 2 | |
2022 | 愛媛 | J3 | 29 | 8 | - | - | - | 29 | 8 | |||
2023 | 34 | 13 | - | - | - | 34 | 13 | |||||
2024 | J2 | 32 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 32 | 3 | ||
2025 | 富山 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 2 | 0 | ||
キャリア通算 | 337 | 58 | 11 | 4 | 15 | 3 | 4 | 0 | 367 | 65 |
- 2013年は特別指定選手としての出場。
- その他の欄は、2017年のJ1昇格プレーオフ(2試合0得点)と2014年のトヨタプレミアカップ(1試合0得点)を合算。
公式戦初出場:
- 2013年5月22日 ナビスコ杯予選リーグ第7節 対サガン鳥栖(ベストアメニティスタジアム)
Jリーグ初出場(J1)およびJリーグ初得点:
- 2013年7月6日 J1第14節 対横浜F・マリノス(ニッパツ三ツ沢球技場)
6. 受賞歴
6.1. クラブタイトル
- 関西学生選抜
- デンソーカップチャレンジサッカー (2012年)
- 愛媛FC
- J3リーグ:1回(2023年)
6.2. 個人タイトル
- 関西学生サッカーリーグ1部 新人賞 (2010年)
- 関西学生サッカーリーグ1部 優秀選手賞 (2012年、2013年)
- 関西学生サッカーリーグ1部 得点王 (2012年)
- デンソーカップチャレンジサッカー ベストイレブン (2012年)
- J3ベストイレブン:1回 (2023年)
- J3最優秀選手賞:1回 (2023年)
7. 外部リンク
- [http://www.avispa.co.jp/club-info/fw8riki アビスパ福岡|FW8 松田 力]
- [https://www.kataller.co.jp/topteam_player/%e6%9d%be%e7%94%b0-%e5%8a%9b/ カターレ富山公式ウェブサイト 松田 力]
- [https://data.j-league.or.jp/SFIX04/?player_id=11450 Jリーグ選手データ]
- [https://int.soccerway.com/players/riki-matsuda/297442/ Soccerway プロフィール]