1. 概要
栁田大輝(栁田 大輝やなぎた ひろき日本語、2003年7月25日生まれ)は、日本の短距離走および走幅跳を専門とする陸上競技選手である。群馬県館林市出身で、現在は東洋大学に在学している。100メートル競走での自己ベストは10秒02であり、これは2023年にバンコクで記録されたものである。
彼の主な実績には、2023年のアジア陸上競技選手権大会男子100メートル競走での金メダル、2021年のワールドアスレティックスリレーズ男子4×100メートルリレーでの銀メダル、そして2022年のU20世界陸上競技選手権大会男子4×100メートルリレーでの金メダル獲得が含まれる。栁田は日本陸上競技界の新星として注目されており、今後の活躍が期待されている。
2. 生涯初期と背景
栁田大輝は群馬県館林市で生まれ育った。彼の姓は「栁田」と表記されることもある。プロの陸上競技選手としてのキャリアを始める前の教育課程では、館林市立第一小学校、館林市立第一中学校、そして東京農業大学第二高等学校に通った後、東洋大学文学部国際文化コミュニケーション学科に進学した。
2.1. 幼少期から学生時代
栁田は小学校中学年の頃に陸上競技を始めた。両親が陸上競技経験者であったことがきっかけとなった。中学校に進学すると、彼は種目を100メートル競走と走幅跳に絞り、専門的に取り組むようになった。この時期に、彼は全日本中学校陸上競技選手権大会の走幅跳で優勝、100メートル競走で2位という優れた成績を収めている。高校は東京農業大学第二高等学校に進学し、その後東洋大学文学部国際文化コミュニケーション学科で学んだ。東洋大学では、コーチである土江寛裕の指導を受けた。
2.2. 陸上競技との出会いと競技開始
栁田が陸上競技を始めたのは、両親の影響があったからである。小学校で陸上を始めて以来、彼は競技に没頭していった。特に中学生になってからは、自身の専門種目を100メートル競走と走幅跳に定めることになった。この2種目における彼の才能は早くから開花し、中学生時代にはすでに全国レベルの大会で優秀な成績を収めていた。
3. 高校時代の競技歴
高校時代の栁田大輝は、国内の主要な陸上競技大会で頭角を現し、将来のトップアスリートとしての可能性を示した。
3.1. 2019年シーズン
東京農業大学第二高等学校の1年生であった2019年、栁田は全国高等学校総合体育大会(インターハイ)の走幅跳で4位に入賞した。また、同年開催された第74回国民体育大会では、少年B部走幅跳で7.48 mを記録し、優勝を果たした。
3.2. 2020年シーズン
2年生となった2020年は、新型コロナウイルス感染症の流行により多くの大会が中止・縮小される中で、練習の一環として取り組んでいた100メートル競走の記録が急上昇した。同年8月のセイコーゴールデングランプリには高校生特別枠で出場し、100メートル競走で当時自己ベストとなる10秒27を記録し、注目を集めた。この記録は当時の高校歴代6位の好記録であった。この活躍により、彼は日本陸上競技連盟のダイヤモンドアスリートにも認定された。同年10月に開催された第104回日本陸上競技選手権大会の100メートル競走では決勝に進出し、7位の成績を収めた。この大会で高校生として唯一決勝に進出した選手であった。この年度、日本陸上競技連盟による「あなたが元気をもらった選手の名シーン」の投票において、中学・高校部門の2位に選出された。
3.3. 2021年シーズン
高校3年生の2021年6月、第105回日本陸上競技選手権大会の100メートル競走準決勝で、当時高校歴代2位タイとなる10秒22を記録した。同年にはポーランドのホジュフで開催された2021年ワールドアスレティックスリレーズに男子4×100メートルリレーのアンカーとして出場し、チームの銀メダル獲得に貢献した。この大会の日本チームは、リレー決勝で2位に入賞した。高校卒業後、栁田は東洋大学文学部国際文化コミュニケーション学科に進学した。
4. 大学・シニア時代の競技歴
大学進学後の栁田大輝は、国内のみならず国際舞台でも目覚ましい活躍を見せ、日本の短距離界を牽引する存在となった。
4.1. 2022年シーズン
大学に入学した2022年、栁田は4月に開催された陸上日本学生個人選手権で10秒30を記録し、大学デビュー戦で優勝を飾った。同年6月の第106回日本陸上競技選手権大会の100メートル競走では、準決勝で自己ベストを更新する10秒16を記録し、決勝では10秒19で3位に入賞した。
また、2022年世界陸上競技選手権大会では男子400メートルリレーの日本代表に選出され、予選ではアンカーを務めたものの、チームは2走から3走へのバトンパス違反により失格となった。同年8月にコロンビアのカリで開催された第19回U20世界陸上競技選手権大会では、男子100メートル競走に出場し、10秒24で6位入賞を果たした。さらに、同大会の男子4×100メートルリレーでは日本チームの一員として金メダルを獲得した。
4.2. 2023年シーズン
大学2年生として迎えた2023年、栁田は第107回日本陸上競技選手権大会の100メートル競走で、向かい風-0.2 m/sの中で10秒13を記録し、2位に入賞した。同年7月にバンコクで開催された2023年アジア陸上競技選手権大会では、決勝で自身の自己ベストを0.08秒縮める10秒02を記録し、男子100メートル競走で優勝を果たした。この記録は、同年のブダペスト世界陸上競技選手権大会の参加標準記録に0.02秒届かないものであった。
彼は2023年世界陸上競技選手権大会にも出場し、男子100メートル競走では準決勝に進出した。また、男子4×100メートルリレーでは日本チームの一員として決勝に進出し、5位入賞に貢献した。
4.3. 2024年シーズン
2024年5月にバハマナッソーで開催された2024年ワールドアスレティックスリレーズにおいて、栁田は男子4×100メートルリレーの日本代表として出場し、2024年パリオリンピックの出場権獲得に貢献した。彼はその功績により、2024年パリオリンピック男子4×100メートルリレーにも出場した。同年6月には、追い風参考記録ながらも9秒97をマークするなど、自己の限界に挑戦し続けている。
5. 私生活
栁田大輝は東洋大学文学部国際文化コミュニケーション学科に在籍しており、学業と競技生活を両立させている。大学では陸上競技部の指導者である土江寛裕コーチの指導を受けている。
6. 評価と展望
栁田大輝は、中学生時代から全国レベルで活躍し、高校、大学と進むにつれてその才能を開花させてきた日本の若手スプリンターである。特に100メートル競走においては、高校時代に急成長を遂げ、全国大会で上位入賞を果たすだけでなく、アジア選手権での優勝や世界大会での決勝進出など、国際舞台でも実績を積んできた。彼の100メートル競走における自己ベスト10秒02は、日本のトップレベルに位置する記録であり、今後の9秒台突入への期待が高まっている。
リレー種目においても、U20世界陸上競技選手権大会での金メダル、ワールドアスレティックスリレーズでの銀メダル、そして世界陸上競技選手権大会での入賞に貢献するなど、そのチームへの貢献度も高い。彼は若いながらも国際経験を豊富に持ち、パリオリンピックへの出場も果たしたことで、日本短距離界の将来を担う存在として大きな注目を集めている。今後も国内外の主要大会での活躍が期待されており、さらなる記録更新とメダル獲得が展望される。