1. Overview
江戸川 コナン(えどがわ コナン)は、青山剛昌原作の漫画作品『名探偵コナン』、およびそれを原作とするテレビアニメなどのメディアミックス作品に登場する架空の人物であり、同作の主人公。本名は工藤 新一(くどう しんいち)。工藤新一/江戸川コナンは、『名探偵コナン』の主人公であり、高校生探偵の工藤新一が、秘密犯罪組織「黒ずくめの組織」によって試作段階の毒薬APTX4869を投与され、身体が幼児化してしまった姿である。彼は自身の正体を隠すため、アーサー・コナン・ドイルと江戸川乱歩にちなんで「江戸川コナン」と名乗り、幼なじみの毛利蘭とその父親である私立探偵の毛利小五郎の元に身を寄せながら、黒の組織の追跡と事件解決に尽力している。この記事では、彼の創造の経緯、複雑な生い立ち、知性と行動原理、そして彼を取り巻く人間関係や社会への影響まで、多角的に彼の人物像を深掘りする。彼の探偵としての正義と真実を追求する揺るぎない闘いは、物語全体を通して強調されており、どんな困難な状況下でも諦めずに人々の命を救い、犯罪を許さない彼の姿勢が、作品の核心をなしている。
2. Creation and Conception
工藤新一というキャラクターを子供にするというアイデアは、当初、三毛猫のシャーロック・ホームズを主人公にするという構想から生まれた。青山剛昌の初期のアイデアでは、猫が事件解決に必要な重要な証拠を示す役割を果たすとされていたが、それが幼児化した新一が周囲の捜査を助けるという形に発展した。
新一の名前は、テレビドラマ『探偵物語』の主人公である工藤俊作に由来している。この姓は元々、『探偵物語』の人物設定を手掛けた柏原寛司の高校時代の恩師の姓であり、柏原は『名探偵コナン』にも脚本家として参加経験がある。「新一」という名前は作家の星新一から取られたもので、作者のお気に入りの名前の一つであった。さらに、テレビ時代劇『必殺シリーズ』における工藤栄一の演出からも影響を受けているという。コナンという名前に関しては、編集者がアニメシリーズ『未来少年コナン』の主人公と同名であることを理由に反対し、代わりに「ドイル」という名前を提案したが、作者は「未来少年コナン」の知名度を超えるという信念から「コナン」という名前を押し通した。
「江戸川コナン」という偽名は、蘭に名前を尋ねられた際に、本棚で偶然目に入った小説家・江戸川乱歩とアーサー・コナン・ドイルの名前を組み合わせて名乗ったことが始まりである。江戸川乱歩のペンネームは、アメリカの小説家のエドガー・アラン・ポーの名を日本名にもじったものである。作中の予告編にて、高木刑事が「コナン君って漢字でどう書くの?」という質問に「胡蝶蘭の胡に無理難題の...」と答えたことがあるが、作中では「コナン」が正式名称となっている。
新一の有名な決め台詞である「真実はいつもひとつ!しんじつはいつもひとつ!日本語」は、アニメ版の脚本家によって考案され、同時期に漫画の第95話にも書き加えられた。英語版では「One Truth Prevails」と翻訳されている。
コナンの髪型は、青山剛昌の以前の漫画作品『YAIBA』のキャラクターに似ており、寝癖のように跳ねた髪の毛は『魔法使いサリー』のカブから着想を得ている。彼の服装は、青山自身が子供の頃に七五三の際に着用した衣装にインスパイアされており、紺色のジャケットに灰色の半ズボン、白いワイシャツに蝶ネクタイ型変声機という初期の服装が最も頻繁に登場する。コナンとしては常に大きな眼鏡(犯人追跡メガネ)を掛けているが、これは初めてコナンとして蘭に出会った際、正体がバレないようにと咄嗟に父・優作の眼鏡を掛けたのが始まりである。コナンの眼鏡はクラーク・ケントをモデルにしており、作中でも灰原哀が言及している。新一の話し方は、『あしたのジョー』の矢吹丈から影響を受けていると作者は語っている。
3. Life and History
工藤新一が江戸川コナンへと変貌を遂げ、その二重の生活の中で事件を解決し、黒の組織を追う彼の旅路は、幾多の困難と新たな出会いを伴う。
3.1. Early Life as Shinichi Kudo
工藤新一は、世界的に有名な推理小説家である父・工藤優作と、元人気女優である母・工藤有希子の一人息子として、良好な家庭環境に育った。両親は彼が14歳の時に米国へ移住し、それ以来彼は東京の自宅で一人暮らしをしていた。彼は幼い頃から非凡な才能を発揮し、父親から与えられた様々なパズルやゲームを通して、直感力と思考力を磨き上げていった。小学生の時にはすでに、小学校の図書室に所蔵されている全ての推理小説を読破していたという逸話を持つ。優作は新一を頻繁に犯罪現場に連れて行き、それが新一の刑事事件への興味を深めさせた。その結果、彼は友人たちから「ミステリー狂」と称されるほどになった。
帝丹高校2年生である彼は、その優れた推理力と解決実績により、「日本の警察の救世主」や「平成のシャーロック・ホームズ」と称され、「東の高校生探偵」として世間にその名を轟かせていた。高校1年生の時には、両親の住むロサンゼルスへ向かう飛行機内で発生した殺人事件を解決し、警察からも一目置かれるようになった。警察が把握する、過去に新一の推理で逮捕された犯人は、全員が刑務所に服役していることが判明している。
彼は中学時代、サッカー部のミッドフィールダーとして全国レベルの技術を持っていたが、高校1年生で探偵としての依頼が増えてからは退部した。彼はサッカーを続けていた理由として、自身の探偵能力を磨くための反射神経の訓練であると語っている。これは、彼のアイドルであるシャーロック・ホームズがアーチェリーを練習したのと同様の理由であった。
また、新一は歌うことが苦手な音痴として知られているが、絶対音感の持ち主であり、様々な楽譜の記号を理解することができる。この能力は、彼の探偵活動にしばしば役立っている。語学力も高く、英語はネイティブ話者と流暢に会話できるほど堪能である。作者によれば、彼は他にも多くの外国語を話せるという。しかし、当初はイタリア語やロシア語の読み書き、聞き取りは苦手だったが、後にロシア語は流暢に話せるレベルまで上達している。また、関西弁には難があり、話すと相手を怒らせてしまうこともしばしばある。点字も理解できるなど、多岐にわたる知識と技能を身につけている。
3.2. The Incident and Transformation
物語の始まりは、新一が幼なじみの毛利蘭をトロピカルランドでのデートに誘った日だった。このデートは、蘭が空手大会で優勝したお祝いと、以前新一が蘭の携帯電話を溝に落として失くしたため、代わりの携帯を買う他、蘭が空手大会で優勝したらお詫びにトロピカルランドに連れていくと約束していたことも兼ねていた。しかし、その帰り道、新一は遊園地近くの隠れた場所で「黒ずくめの組織」のメンバーであるジンとウォッカによる怪しげな取引を目撃する。ジンとウォッカは1億円相当の現金の恐喝を行っていた。新一が取引を盗み聞きしようとした際、ジンに背後から金属パイプで頭を殴られ、意識を失う。その後、彼は組織が試作中の毒薬「APTX4869」を強制的に飲まされる。ジンによれば、「死体から毒物が検出されない」ように設計されていたこの薬は、新一を殺す代わりに、彼の体を幼児化させるという稀な副作用を引き起こした。
意識を取り戻した新一は、体が6~7歳の子供の姿に変貌していることに気づき、絶望と混乱の中で隣人の阿笠博士の元へ駆け込んだ。阿笠博士は、黒の組織が新一が生きていることを知れば、彼だけでなく周囲の人間も危険に晒されると忠告したため、新一は自身の正体を隠すことを決意した。彼は、アーサー・コナン・ドイルと江戸川乱歩という二人の著名な推理小説家の名前を組み合わせ、「江戸川コナン」という偽名を名乗ることになった。
3.3. Life as Conan Edogawa
コナンとしての新生活は、阿笠博士の助言により、蘭とその父親である私立探偵の毛利小五郎の家に居候することから始まった。これは、探偵事務所に身を置くことで、黒の組織に関する手がかりを得られるかもしれないという期待からだった。蘭など一部の関係者には、新一は事件の依頼で遠方に行くことになったことにしており、その理由で学校も休学扱いとなった。マスコミの前から突然姿を消したため、新一について世間では消息不明または死亡したと噂されている。新一は、自身の行方不明を蘭に納得させるため、「難事件の解決のため遠方に出かけている」という嘘をつき続けることになるが、蘭は次第に彼の正体への疑念を抱き始める。
コナンは帝丹小学校1年B組に転入し、そこで吉田歩美、小嶋元太、円谷光彦と出会い、意図せずして「少年探偵団」を結成する。作中では、江戸川乱歩の「明智小五郎シリーズ」で活躍する少年探偵・小林芳雄と重ねられることも多い。少年探偵団の実質的リーダーや探偵団バッジの所有、様々な道具を使いこなすなど、共通する部分は数多い。明智小五郎が名前のモチーフとなっている毛利小五郎の元で居候している事からも、原作・アニメの両方において「小林君」「小林少年」と評されている。彼は幼い子供としての生活に適応しながら、阿笠博士が発明した様々なガジェットを駆使して、秘密裏に小五郎の事件解決を助けるようになった。これらのガジェットには、他人の声を模倣できる蝶ネクタイ型変声機、追跡や盗聴が可能な犯人追跡メガネ、キック力を増強するキック力増強シューズ、麻酔銃を内蔵した時計型麻酔銃、ソーラーエンジン搭載のターボエンジン付きスケートボード、ボール射出ベルト、伸縮サスペンダーなどがある。これにより、小五郎は「眠りの小五郎」として名声を得ることになった。
物語が進むにつれて、コナンは黒の組織の元メンバーであり、APTX4869の開発者である生化学者、灰原哀(本名:宮野志保)と出会う。彼女もまた組織によってAPTX4869を投与され、幼児化していた。灰原は解毒剤の研究を進め、コナンの貴重な協力者となる。風邪を引いた状態で中国酒・白乾児(パイカル)を飲むか、白乾児と風邪と同じ作用を起こす阿笠博士の発明した薬を併用するか、白乾児と他の酒を混ぜて作られたケーキを食べることで元に戻ったこともある。灰原が白乾児の成分を参考にして開発した試作段階の解毒剤によって、コナンは一時的に本来の新一の姿に戻れるようになり、蘭が彼の正体を疑う際にこの機会を利用して疑念を晴らすことがある。解毒剤で一時的に元の姿に戻る際は、阿笠や灰原、平次による偽装が行われる。しかし不自然な細胞の急成長による身体への負担は大きく、解毒薬の効果が切れてコナンの姿に戻るタイムリミットが近付くと、激しい動悸などの症状が出てしまう。
特に、ロンドンで起こった事件の最中、新一は蘭に自分の気持ちを告白し、修学旅行先の京都では蘭から頬にキスをされ、二人は正式な恋人関係となった。コナンとしての彼の身長は不明だが、体重は18 kgである。新一としての彼は17歳で、誕生日は5月4日。身長は174 cmである。住所は東京都米花町2丁目21番地で、これはシャーロック・ホームズが住んでいたとされるベーカー街221Bに由来する。
4. Personality and Beliefs
工藤新一/江戸川コナンは、非常に多面的な性格を持つキャラクターである。その心理的側面、価値観、倫理観は、彼が直面する様々な事件や状況を通して深く探求される。
4.1. Character Traits
新一/コナンは、基本的に温和で心優しく、他者の気持ちを深く慮ることができる性格の持ち主である。劇場版『ベイカー街の亡霊』では、命がけのゲームに恐怖する子供たちを鼓舞し、寒がる吉田歩美に自身のジャケットを貸すなど、その優しさが描かれている。彼は非常に献身的であり、蘭、灰原、少年探偵団を危険から守ろうと常に尽力し、可能な限り彼らを危険な場所から遠ざけ、自らリスクを背負おうとする。劇場版第6作『ベイカー街の亡霊』においては、蘭がゲームから脱落してしまったことへの絶望から打ちひしがれ、諦めの言葉を口にしたこともある。
しかし、親密な間柄の人物に対しては、時に無神経な発言をしてしまうこともある。例えば、小嶋元太の計算ができないことを厳しく指摘したり、灰原哀の好きな音楽を決めつけて揶揄したりすることがある。また、事件の犯人に対しては冷酷な態度をとることも少なくない。
彼はあらゆる犯罪行為の防止、犯人逮捕、そして人命救助のために日々奮闘する生真面目な正義漢である。「犯罪を決して許さない」「救える命は救う」というポリシーには非常に忠実で、この信念を曲げることは滅多にない。自身や周囲の人物が窮地に立たされても決して諦めない、強い精神力と行動力を持っている。
情熱的な一面を持ちながらも、些細なことで動じない冷静さと理性も兼ね備えている。武器を持った犯人や凶悪な犯人にも怖気づかない胆力があり、他者の挑発に乗って逆上することは滅多になく、罵られても言い返すことはしない。また、小五郎や元太の滑稽な言動には、心の中でツッコミを入れることが多い。
ただし、阿笠博士からは「頭は切れるが落ち着いて行動できないのが玉にキズ」と評されており、好奇心や感情に任せた行動が危機を招くことも少なくない。予想外の出来事に対しては動揺が顔に出やすく、挙動不審になったり、小さくなる前の自分しか知らないことを口にしてボロを出したりすることもある。推理やサッカーなど、自分の好きなものに対しては、少年探偵団のメンバーがいても等身大の純粋さを見せることが多い。
彼は優れた頭脳と推理力に自惚れるナルシスト的側面も持つ。状況を確認せずに推理を披露し、事態を悪化させることもある。例えば、犯人が複数いた場合、事件や問題を解決した隙を他の犯人に突かれることが多い。また、憶測で犯人や動機を決めつけて誤った推理をしてしまうこともある。肝心な時に危機管理能力や状況判断力が働かず、詰めを誤ったり、無謀な行動に出たりした結果、犯人に逃亡されたり、生命の危険に晒されることもある。
人一倍自己顕示欲が強く、かつては事件解決や人気・知名度を鼻にかけたり、探偵を続ける理由に「犯人を追いつめるスリルと快感がたまらない」と語ったりしていたが、物語が進むにつれてそのような言動は減少した。少年探偵団内では実質的なリーダーであり、的確な指示を出したり、喧嘩の仲裁に入ったりとまとめ役を務めている。
4.2. Stance on Crime and Justice
新一/コナンは、犯罪に対して揺るぎない道徳的原則と正義への献身を持っている。作者の青山剛昌やアニメ版のプロデューサーの諏訪道彦によると、「コナン(新一)は、感傷的になって泣いたり、犯人に同情しない」というルールがある。新一自身も「分かりたいとも思わねーよ。人が人を殺したいと思う気持ちなんてな」と語っている。犯人が無関係な人物を巻き込んだり、犯罪を軽視・正当化する場合には、動機の質に関わらず厳しく追及し、時には物を蹴り飛ばしてぶつけるなど、精神的・肉体的にダメージを与えることもある。また、心の中で愚痴をこぼしたり、追い詰められた犯人を刺激して暴れさせたりする場面も度々見られる。
しかし、命の危険に晒された犯人に情状酌量の余地があると訴えたり、恋人や家族を殺された恨みを持つ犯人に生きる気力を与えたり、殺された者のために罪を償うよう諭すなど、非常に切実な事情がある犯人には配慮することもある。このような犯人が自身の犯行を正当化しても非難しない場合もある。
尊敬する人物が犯人であっても、その犯行を白日の下に晒す厳格さを持つ一方で、殺人に至らない場合は事情を鑑みて犯人を見逃したり、嘘の供述を勧めることもある。
「ピアノソナタ『月光』殺人事件」では、犯人の自殺を阻止できずに死なせてしまうという苦い経験をした。この事件はコナンの心に深い影を落とし、以降彼は「推理で犯人を追い詰めて死なせてしまっては、殺人者と変わらない」と考え、「犯人は絶対に自殺させない」ことを探偵としての信条とするようになった。そのため、死と隣り合わせの危険な状況下でも犯人を救い出すことがあり、犯人の自殺意思を推理で察知して阻止することもある。たとえ自分や親しい人物の命を危険に晒すような犯人でも、死に追いやらないようにしている。
一方、作中ではコナン自身も法を犯すことがある。未成年飲酒、盗聴、窃盗、さらには黒の組織が絡む事件では、目くらましのためとはいえ放火や死体遺棄・損壊を行うこともある。
5. Abilities and Skills
工藤新一/江戸川コナンは、その卓越した知性と多様な実用的な能力を兼ね備えており、身体的な制約にもかかわらず、数々の難事件を解決に導いている。
5.1. Detective Prowess
コナン/新一は、頭脳明晰で豊富な知識量と柔軟な思考の持ち主であり、優れた観察眼を誇る。さらに、父親譲りの鋭い推理力と、母親譲りの高い演技力を兼ね備えている。身体が子供になってからも、彼の頭脳や技術は全く衰えていないため、これらを駆使して数々の難事件を解決している。
彼の功績から、工藤新一としては全国区の知名度を得ており、メディアからは「日本警察の救世主」と称されている。コナンとしても警視庁やFBIといった捜査関係者から厚い信頼を寄せられており、FBIのベテラン捜査官であるジェイムズ・ブラックからは「FBIにスカウトしたい」と評価されている。
同世代の探偵、例えば白馬探や「西の服部・東の工藤」と並び称される服部平次が誤った推理をした際にも、正しい推理を導き出したことがある。ただし、平次との推理勝負では常に引き分けに終わっている。蘭、世良真純、遠山和葉、灰原哀(宮野志保)といった同世代の女性たちも、「新一と平次は互角」と認識している。女子高校生探偵である世良真純ともコナンとして共同推理を行うが、コナン(新一)の方が能力は上である。同世代の探偵とは伯仲する実力を持つものの、父親の工藤優作には遠く及ばず、「まだまだ観察力が足りない」と指摘されている。
5.2. Investigative Methods
コナンは体が小さくなったことで声質も小学生当時に戻っている。コナンの姿では事件の真相を語っても小五郎など周囲の大人に相手にされないため、自身の正体を知らない者に対しては、時計型麻酔銃で眠らせてから、蝶ネクタイ型変声機でその対象の声を真似て真相を話すという手法を用いる。基本的に小五郎の引率で事件が起こるため、小五郎を眠らせ、彼の声を使うことが多い。小五郎がいない場合は、鈴木園子、阿笠博士、山村警部の声を借りることもある。また、劇場版では妃英理や七瀬美雪の声を借りて推理を披露したこともある。
時には、小五郎や目暮警部にヒントを与えて自力で解かせたり、蘭や有希子に推理を教え込んで真相を話させたり、推理力の高い面々(服部平次、沖矢昴、世良真純、安室透など)と協力して真相を話したりすることもある。黒の組織や怪盗キッドなど、犯人と一対一で対峙する場合は、自分で真相を話すこともある。少年探偵団のメンバーがいる時は、彼らにトリックの実演をさせたり、ヒントとなるキーワードを言わせて周囲に解決を促す。
周囲に自分の推理を話す際、素の状態(新一として)で推理を披露すると、彼の正体を知らない大人に怪しまれるため、子供のフリをして「あれれ~? おっかしいぞぉ~?」のような幼い口調で話す。また、大人でも知らないような知識をうっかり話してしまうことがあり、それに気づいた後には「(親戚という建前の)新一兄ちゃんから聞いた」「小五郎のおじさんから聞いた」「~ってテレビでやってた」と慌てて付け加えて誤魔化している。しかし、安室透(バーボン)にはその幼い口調や誤魔化しが通用せず、疑惑を持たれてしまった。また、「新一からの指示で動いた」と話すこともあるため、彼の正体を知らない人物には新一が「子供を危険に巻き込む非常識な人間」だと誤解されている。このように、身体が小さくなってからは周囲の人に正体を怪しまれないよう、自分が活躍したことが極力漏れないようにしているが、怪盗キッドとの対決など、江戸川コナンとしての活躍が大衆に広まってしまうことも少なくない。
事件に対する好奇心が一際強いことが災いしてか、度々誘拐・監禁されており、両親と阿笠によるドッキリだった場合や、比較的短時間で監禁場所から脱出した場合を含めると、その回数は15件以上にも及ぶ。
5.3. Physical and Other Skills
新一は帝丹中学のサッカー部所属時に1年生でミッドフィールダーとしてレギュラーに抜擢され、のちにJリーグにスカウトされるほどの技術の持ち主だった。蘭には「続けていれば国立競技場のヒーローになっていた」と言われている。あくまで探偵に必要な運動神経を養うためだけで行っていたらしく、高校1年生のときに探偵として依頼を受けるようになってからは退部している。しかし、反射神経が発達しており、足元にある物を犯人に蹴り飛ばして逃走を防ぐなど、サッカー部時代に鍛えた能力を犯人と対決するための戦闘力として探偵業に活かしている。
コナンの姿になってからは体力が小学生並みに戻ったものの、反射神経は衰えておらず、阿笠博士の発明品であるキック力増強シューズやどこでもボール射出ベルトを犯人逮捕時に使用している。そのため、危機一髪のところを警察や蘭、沖矢昴、世良真純たちに助けられることも少なくない。キック力増強シューズを用いて犯人に物を蹴り当てて気絶させる際には、男性の場合は顔面や後頭部、女性の場合は胴体や背中を狙う(ただし、女性でも極端に悪辣な犯人の場合には容赦なく顔面を狙うことがある)。利き足は基本は右だが左でも蹴れる両利きで、燃え落ちそうな吊り橋を一気に駆け抜けるスピードもある。ライターの深川峻太郎は、指導者からするとサイドアタッカーとして起用したくなるが、警察より先に事件解決したがる新一の性格からしてフォワード向きだと見ている。
その他にも、様々な分野において豊富な知識を持っており、推理の際に役立てている。英語はネイティブ話者とも普通に話せるほど堪能である。作者によれば、外国語は「いっぱい」話せるという。劇場版では拳銃や多くの乗り物(自動車、パラグライダー、ヘリコプター、ジャンボジェット機など)を自在に扱っており、本人は「ハワイで親父に教わった」と語っている。この台詞は、初期の劇場版で何度か使われていた。なお、コナン(新一)の優作への呼称は普段から「父さん」であるが、ハワイの話をする時のみ「親父」と呼んでいる。読唇術を披露したこともある。アニメでは犬を懐かせることにも長けており、デパート内のペットショップの何匹もの犬を短時間でしつけた後、犯人グループのメンバーの男を攻撃させたこともある。
体が小さくなってからの事件解決は「眠りの小五郎」の手柄となっていたが、怪盗キッドとの初対決を顔写真付きの新聞記事で報じられたことをきっかけに「キッドキラー」として知られるようになる。加えて、少年探偵団としての活躍も子供の力だけで事件を解決した功績で話題を広げていく。ロンドンでは、自称した「ホームズの弟子」という肩書きで都外にまでファンが発足するまでに及んでいる。
6. Preferences and Interests
工藤新一/江戸川コナンは、探偵業に直接関係しない様々な好みや特技を持っている。
6.1. Sherlock Holmes
彼はシャーロック・ホームズの大ファンであり、彼のことを「世界最高の探偵」と評している。一番好きな作品は『四つの署名』で、同作品中でホームズが述べる「全ての不可能を消去して、最後に残ったものがいかに奇妙なことであっても、それが真実となる("When you have eliminated the impossible, whatever remains, however improbable, must be the truth.")」という彼の推理論を好きな言葉として挙げている。
自分の好みの話題(特にホームズ関連)になると、一方的にその話を続けてしまう癖がある。遊園地のデートでも、話す内容が全てホームズのことばかりだと蘭に呆れられてしまい、そのため蘭からは「推理オタク」「大バカ推理之介」などと呼ばれることがある。ロンドン編では、芝の女王ミネルバ・グラスの弟アポロに自分の推理能力を信用させるために「ホームズの弟子」を自称した。
6.2. Sports
帝丹中学時代はサッカー部に所属しており、当初は探偵に必要な運動神経をつけるためにやっていただけだが、やっているうちに本心からサッカー好きになった。コナンになってからも、学校の授業でサッカーをするのを楽しみにしている。好きなサッカー選手はレイ・カーティスで、彼が殺人事件の犯人だと信じられず私情に駆られて否定するという、ホームズの推理論に反する行為を取ろうとしてしまったことがある。
少年探偵団と遊ぶときは野球をすることも多いが、本人はサッカーをしたいため不満そうにしている。野球に関する知識は乏しく、甲子園で事件が起こった際には、両翼や銀傘の意味がわからず、平次を呆れさせたこともある。ただし、特別編においては「ダイヤモンド」「刺し殺す」などといった野球用語について詳しく理解している描写もある。サッカー以外のスポーツに関しては特に言及したことはない。
6.3. Music
かなりの音痴で、音楽の授業は大の苦手である。中学時代は、リコーダーを吹けば教師の松本小百合にタクトでピシパシ叩かれ、歌を歌えば音程を外してばかりで、新一にとっては最悪だった様子。音楽の基礎知識にも乏しく、音楽記号の意味や「G線上のアリア」を知らない。しかし、絶対音感の持ち主である。作者は高山みなみとの対談で、「うっかり音痴っていう設定を忘れてたんだよね」と語っている。五線譜の音階は読める。また、ホームズが得意なヴァイオリンについては豊富な知識を持ち、弾くこともできるが、蘭によれば特徴的な弾き癖がある様子。
日本音響研究所の所長である鈴木松美は、音声科学や音響心理学から分析し、音痴なのに耳はいいことは矛盾ではなく、正しい音程を聞き取れるが声帯をきちんとコントロールできないタイプと見ている。また、楽器が苦手ながら絶対音感があるのも矛盾せず、耳で正しく音を拾えても操作ができていないからであると分析している。コナンの思考回路は、音楽を情緒的な感情としてではなく、暗号や数学のような理知的なことに結びつける傾向があり、音楽を楽しむことのできない性格であるとも見られている。
芸能界にはあまり興味がないようだが、ある事件をきっかけに知り合ったTWO-MIXの高山みなみからCDをもらってからは、カラオケボックスに行くといつもその歌を歌っているという。
6.4. Food and Other Interests
中学時代の先輩によればレモンパイが好物である。ただし、本人からの言及はない。また、『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』で、コナンが次元大介に会うためにバーに行った際に店員からレモンパイを試食で出されると「わ~、ありがとう!」と喜んでいた(演技が本心かは不明)。また、カレーライスやアイスコーヒーも好きである。キュウリをうまく切れずにつなげてしまうなど、料理は苦手な様子。作者は、彼が自分で食事を作ったり、蘭や阿笠博士が作ったりするため、料理ぐらいはできるのではないかと述べている。好きな花は蘭(モウリランの「蘭」にちなむ)である。嫌いな食べ物はレーズンとチョコレートだが、蘭が作ったチョコレートは喜んで食べる。
テレビゲームに関しては好んでいる描写があるが、元太たちに負けてしまったり、コナンだけクリアできていないステージがあったりと、あまり得意ではない様子。流行しているゲームの存在も知らないことがある。
7. Relationships
工藤新一/江戸川コナンは、彼の人生において重要な人物たちと深く複雑な関係性を築いている。
7.1. Relationship with Ran Mouri
毛利蘭とは13年前に蘭の保育園に転入してきた時からの付き合いであり、互いに素直になれずにいたが両想いの関係である。二人はお互いに保育園児であった時から好意を抱いており、新一は蘭の笑顔と性格の良さに、蘭は新一のぶっきらぼうな中の優しさと聡明さに、それぞれが「大好き」という感情を持つようになった。成長してからそれが恋愛感情だと自覚し始めた時期については、新一の方は初めて蘭に会った日に、わざと失くした桜のネームプレートを作って渡してくれた時の蘭の笑顔に一目惚れしていた。蘭の方は高校1年のときのニューヨークでのある事件からである。ロンドンにて蘭に対して「好きな女」と告げる形で告白することができた。修学旅行で訪れた清水寺で、蘭から頬にキスをされたことで恋人関係になった。その後、蘭からの「私たち付き合ってるってことでいいんだよね?」というメールに対し、新一は「付き合ってるに決まってるだろ」と返信し、公式に交際が始まった。
自分を想う蘭の恋心に関しては、服部平次が呆れ果てるほど鈍感だが、母・工藤有希子から「女」に関しての雑学を吹き込まれている影響から、他人の恋愛沙汰には敏感なため、恋愛感情が絡む事件の推理に不自由はない。蘭に対してはウブな一面もあり、混浴や風呂場で死体が発見された際に蘭の裸を見て鼻血を出したり、水着姿の蘭を見て赤面したりする。不意にパンツが見えそうになった時には覗こうとする(寸でのところで灰原に止められている)、ボールを蹴り返した際に見えたパンツに赤くなって不用意にその色を発言する(直後、蘭に怒られている)などの描写がある。新一が小学1年生の頃は、恥ずかしがって(少なくとも学校では)蘭のことを名字の「毛利」と呼び、自分のことも「工藤くん」と呼ばせようとしていた時期があったが、とある出来事がきっかけで、互いに再び下の名前で呼び合うようになった。
蘭には「厄介な事件に関わっているから解決するまで帰れない」ことにしている。蘭は、新一が「事件のため遠くに行ったまま」と信じているが、その消息を警察にも伏せるよう希望している理由について、「事件の犯人から追跡を知られないようにするため」と推測しており、「事件の犯人」と「黒ずくめの組織」、「追跡」と「生存」との違いはあるが、新一の「敵に悟られないようにしている」現状は看破している。蘭が心配しないように時々新一の声(蝶ネクタイ型変声機を使用)で電話をかけている。コナンとして同居しているため蘭の近況はほとんど聞かず、話すのは自分のことだけだという。なお、子供時代に蘭の母親の妃英理によく叱られたトラウマから、彼女に対して本能的に恐怖を感じてしまう。江戸川コナンとして、蘭の事を「蘭姉ちゃん」と呼んでいるが、興奮したときなどによって工藤新一の口調に戻り、「蘭」と呼び捨てしてしまうこともある。
7.2. Relationship with Ai Haibara
コナンと灰原哀の出会いは、コミックス18巻にて灰原が帝丹小学校の転入生として現れた時である。その日の帰り際、突然彼女から「APTX4869は黒ずくめの組織に命じられて自分が開発した薬」「自分もそれを飲んで小さくなった」ことを明かされる。
科学的分野(解毒剤開発など)や黒ずくめの組織に関する情報の提供など、様々な面から彼女のサポートを受けており、一方のコナンも時折灰原を気遣っている。このように互いに強い信頼関係で結ばれているが、蘭とは異なり、彼女に対して恋愛感情を抱いてはいない。
基本的には良好な間柄でありよく軽口を叩き合うが、蘭のパンツを覗こうとしているところを灰原に指摘・揶揄されて焦る、薬(解毒剤)をもらうために必死に懇願するも無下に断られるなどの描写があり、対等な立場ではあるものの、彼女に対してはやや頭の上がらない面もある模様。
7.3. Relationship with Kaito Kid
世間を賑わせている怪盗キッドこと黒羽快斗とは、工藤新一であったときから、様々な秘宝を巡って何度も対決をしている。ただし、新一であった頃の対決は『まじっく快斗』でのエピソードであり、『名探偵コナン』では新一とキッドが直接対決したことはない。父・工藤優作は、初代怪盗キッド(黒羽盗一)とその正体に気付いた上で宿命のライバル関係にあり、幾度にもわたって対決をしていたが、犯行を阻止したことはあっても、最後まで捕まえることはできなかった。作者によると、コナンとキッドの対決は作者がファンである『シャーロック・ホームズ対アルセーヌ・ルパン』をイメージして描いており、両方に勝たせたくないとのことである。
新一本人は当初、「泥棒に興味はない」と現代のキッドにほとんど無関心であったが、コナンになって対峙して以降は執念を燃やすようになった。現在は世代を超えた因縁のライバル関係となっており、対決の結果はこれまでのところ互角である。ベルツリー急行のエピソードでは、黒の組織に狙われている灰原を助けるために、下見に来ていたキッドおよび手下を見逃すことと引き換えに協力を仰いでいる。
コナンの関わったキッドの事件後、コナンはキッドから宝を守ったヒーローとして扱われることが多く、「お手柄小学生」、「キッドキラー」といった形で新聞記事に載っている。劇場版第19作『業火の向日葵』では、キッドキラーの通称が公認となっている。
7.4. Relationship with the Detective Boys
コミックス4巻(アニメでは第4話)から帝丹小学校の同級生である吉田歩美、小嶋元太、円谷光彦に誘われ、否応無しに少年探偵団のメンバーに組み込まれる。コナンは彼らのことを幼い子供として見ており、彼らが命の危険に関わる行動を取った場合には怒鳴りつけることもある。また初期のエピソードでは、白乾児で新一に再び戻れると思い込み(実際は抗体ができており戻れなかった)、理由も言わずに3人に別れを告げたこともある。少年探偵団内では実質的なリーダーで、元ネタである江戸川乱歩の少年探偵団と異なり、正式な団長は存在していない。なお、元太は団長を自称しているものの、他の4人には認められていない。
しかし、共に数々の事件を解決したことに加え、灰原共々3人の純粋さに動かされたりする描写もあり、次第に「仲間」として互いに全幅の信頼を置くようになる。また、はじめは年齢相応の口調で話すことも多かったものの、後に彼らの前では一貫して素の新一に近い口調で話すようになった。
5人揃って登下校する描写も多く、阿笠博士や蘭の引率で休日に遊びに出かけることも珍しくない。歩美はコナンに異性として明確な好意を寄せている。彼女を助けた際に頬にキスをされたこともあり、光彦と元太からは嫉妬されることもある。
7.5. Relationship with FBI and CIA
FBIのジェイムズ・ブラック、ジョディ・スターリング、アンドレ・キャメル及びCIAの水無怜奈(本堂瑛海)の4人は、コナンの正体こそ知らないが、子供ながら「黒の組織の壊滅」という共通の目的を持つ「探偵」として認識している。コナンも彼らの前では子供口調ではあるが無理な演技は行っておらず、素に比較的近い態度で接している。
コナンの黒の組織に対する捜査は、彼を在日アメリカ連邦捜査局(FBI)の存在を知ることへと導いた。FBIもまた組織を捜査していた。コナンとFBI捜査官であるジョディ・スターリング、赤井秀一の協力により、組織のメンバーであるキール(本堂瑛海)を捕らえることに成功する。彼女は実はCIAの潜入捜査官であることが判明し、組織内部からスパイを続けるために組織へ戻された。
8. Identity and Awareness
コナンの隠された正体は、物語の核心をなす要素であり、彼を取り巻く人々の認識も様々である。
8.1. Characters Who Know His True Identity
工藤新一の真の正体を知る人物は限られており、その状況も様々である。当初、阿笠博士からは「自分以外の他の人に正体を知られてはならない」と忠告されており、コナンもそれに従っていた。また、実際には蘭に何度か正体がバレたことがあるが、阿笠博士や母・有希子の機転などによって、同一人物ではないということが彼女に証明され、難を逃れている。
- 自らも正体を明かしている人物**
- 阿笠博士**: コナンの正体を最初に知った人物。コナン自らが推理を披露して怪しいと疑われて警察に連れていかれそうになったため、信じさせた。発明品などで彼の活動を協力している。
- 工藤優作・工藤有希子**: 阿笠博士からの説明で息子の正体を知った。阿笠は当初、コナンには「ワシと君だけの秘密じゃ」と言ったが、コナン(新一)の両親であるため、やむを得ず事情を明かした。優作は推理、有希子は変装などでコナンの捜査をサポートしている。
- 服部平次**: 持ち前の推理力でコナンの正体を半ば見抜き、彼が眠っている間に麻酔が切れてコナンの推理を聞いたことで確信に至った。コナンも観念して自ら事情を説明し、二人は互いに推理を出し合うことで協力する関係となった。
- 灰原哀 / 宮野志保**: 自身の調査でコナンの正体を半ば見抜き、APTX4869の服用者リストの新一の「不明」を「死亡」に書き換えていた。阿笠博士からの説明で江戸川コナンを名乗る事情も知った。科学者として解毒剤の研究などで協力している。
- 黒羽快斗 / 怪盗キッド(2代目)**: コナンと阿笠博士の通話を盗聴して正体を知ったことが劇場版で示唆されている。好敵手ながら互いに自分の母親の情報を話すなどのやり取りも交わす。
- ベルモット / シャロン・ヴィンヤード**: 自身の調査でコナンの正体を知ったが、新一がかつて自身を救った恩義や自身の思惑もあり、組織には報告していない。
- 本堂瑛祐**: 蘭への告白を防ぐため、やむを得ずコナン自ら正体を明かしたが、瑛助には半ば見抜かれてもいた。自身が新一であることは勢いで明かしてしまったが、毒薬APTX4869や黒の組織の存在などの詳しい事情は一切話していない。直後に渡米して去って行った。
- 宮野明美 / 広田雅美(故)**: コナンの状況判断により自ら正体を明かしたが、その時点で既にジンに拳銃で撃たれていたため、直後に死亡した。作者の青山は、「この人はもう助からないと思って、本当のことを喋ったんだよ。」と語っている。
- ノアズ・アーク / ヒロキ・サワダ(故)**: 仮想体感ゲーム機「コクーン」を乗っ取った人工知能。プレイ中のコナンから記憶情報を読み取ったことで正体を知った。直後に強欲な大人たちに自身の機能を悪用されることへの懸念を踏まえ、自らを消滅させた。
- アイリッシュ(故)**: 自身の調査で正体を知ったが、直後に戦闘用ヘリコプター内のジンたちの銃撃からコナンをかばって撃たれ、死亡した。
- ピンガ(故)**: 老若認証システムをハッキングしたことで正体を突き止めるが、そのことを伝える前にジンに嵌められる形で潜水艦の自爆に巻き込まれ死亡した。
- ルパン三世**: 調査で正体を知ったことが示唆されている。後の劇場版『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』では、蘭が小五郎の娘であることも含めて蘭を「新一の彼女」として解説しており、黒の組織の事や、その具体的なメンバーであるジンとウォッカの存在についても、新一がコナンになってしまった経緯の解説で把握していることを言及している。
- 峰不二子**: ルパン同様に調査で正体を知ったことが示唆されている。後の劇場版『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』では、組織在籍時の灰原(宮野志保)と既に面識がありコードネームで呼称するなど、コナンの正体を知る以前から黒の組織の存在を認識していたことが判明した。
- 次元大介・石川五ェ門**: ルパンによる説明で正体を知った。五ェ門は事情を説明されても、コナンの外見から最初は半信半疑だった。次元は後に自身も調査してコナンの口癖(「バーロー」や「江戸川コナン、探偵さ」)なども把握した。
- アラン・スミシー(故)**: 致命傷を負ったアランにコナンが自ら正体を明かしたが、直後に死亡した。
- 自らは正体を明かしていない人物**
- 赤井秀一 / 沖矢昴**: コナンが新一の声で蘭に電話しているところを目撃したことで正体を知り、半ば事情も察した。FBIメンバーとして協力しているが、コナンから「黒の組織を壊滅させて全て解決したら正体を明かす」と告げられたため、既に正体を知っている旨をコナンに伝えていない。コナン自身も赤井に正体を知られていることに薄々気付いている。優作と有希子も同様に赤井がコナンを新一と知っていることを察しつつあるが、新一と赤井双方の考えも考慮してコナンのことは他のFBI捜査官たちに通している「親戚の少年」と赤井の前でも告げた状態のままにしている。
- 世良真純**: コナンがイギリスへ行った際にテレビ中継で偶然映った姿を見て半ば正体を知り、真相の確かめと幼児化させられたメアリーの体を元に戻す方法を探るために日本に帰国し、コナンと幾つかの事件に共に関わり解決していく中で確信へと至った。修学旅行でコナンが新一の姿へ一時的に戻ったのを境に、コナンに直接正体を確認するようになり、コナンは必死で誤魔化し続けている。正体を隠すのに協力している平次も「バレとんのとちゃうか?」と心配しており、真純は平次がコナンの正体を知って協力している事も見抜いている。
- メアリー・世良 / 領域外の妹**: 真純同様にコナンがイギリスへ行った際にテレビ中継で偶然映った姿を見て半ば正体を知り、真相の確かめと幼児化させられた自身の体を元に戻す方法を探るために日本に帰国した。真純からの報告により確信へと至った。「眠りの小五郎」のトリックも見破っている。真純、赤井秀一、羽田秀吉と共に10年前に新一、蘭、工藤有希子と出会っている。ただし、真純には「江戸川コナンに気を許すな...10年前に会ったボウヤとはまるで別人」と伝え、コナンに対し「領域外の妹」と名乗り警戒している。
- 寺井黄之助**: 正体を知った経緯は言及がなく不詳。
8.2. Speech and Catchphrases
新一/コナンは、その話し方や決め台詞、周囲からの呼称によって、彼の多面的な人物像が形成されている。
8.2.1. First-person Pronouns and Mannerisms
新一/コナンの一人称は「オレ」もしくは「ボク」である。蘭や小五郎、警察関係者の前では「ボク」を用い、非常に子供らしく無邪気な口調で話す。ただし、自分の正体を知っており、なおかつ自らも明かしている相手(自分の両親、阿笠博士、灰原哀、服部平次、怪盗キッド(2代目)、ベルモット、本堂瑛祐など、ルパン一味(ルパン三世・次元大介・峰不二子・石川五エ門)に対しては正体が露見した直後は子供口調だったが、再会してからは素の口調で接する事もある)、少年探偵団のメンバー、悪の人物(黒の組織の仲間)の前、またモノローグ内では本来の工藤新一の一人称とほぼ同じく「オレ」を使い、クールでシリアスな口調になる。新一は目上の人物に対しての一人称が「僕」となる。推理中や切羽詰まった場面にもこのような話し方になることがあるため、普段とのギャップから、彼の正体を知らない者に違和感を覚えられるケースがある。
基本的に標準語を話すが、親しい者との日常会話には、しばしば江戸っ子特有の口調で話すことも多い。工藤新一(コナン)らしい口癖は「バーロ(、んなんじゃねーよ)」である。「バーロ」は江戸弁で「バカヤロー」の意味で、作者が「馬鹿野郎」というストレートな罵倒語を作中で用いることを避けたための表記である。青山作品に登場する他のキャラクター(毛利小五郎や黒羽快斗など)も使用する言葉である。また、類似の言葉として、「この野郎」を意味する「ニャロ」もある。少年探偵団の前でもその口調(歩美に対しては若干優しめな言葉遣いになることもある。)を使う。他に大人達の前で用いる「あれれ~」などがある。ただし、その幼すぎる口調を指摘されるのが恥ずかしいため、少年探偵団の前では使いたがらない。
また、大人でも知らないような知識をつい話してしまうことがあり、気付いた後には「(親戚という建前の)新一兄ちゃんから聞いた」「小五郎のおじさんから聞いた」「~ってテレビでやってた」と慌てて付け加えて誤魔化している。しかし、安室透(バーボン)にはその幼い口調や誤魔化しが通用せず、疑惑を持たれてしまった。また「新一からの指示で動いた」と話すこともあるため、彼の正体を知らない人物には新一が「子供を危険に巻き込む非常識な人間」だと誤解されている。このように、体が小さくなってからは周囲の人に正体を怪しまれないよう、自分が活躍したことが極力漏れないようにしているものの、怪盗キッドとの対決など、江戸川コナンとしての自分の活躍が大衆に広まってしまうこともしばしばある。
8.2.2. Catchphrases
普段の決め台詞は「江戸川コナン(工藤新一)...探偵さ...」。この決め台詞は、犯人や事件の関係者から当初普通の子供と思われていたコナンが、真の推理力を発揮した際に相手から何者か問われた時に名乗る台詞である。犯人と対峙した際には「探偵さ」が「探偵だ!!」になったこともある。灰原の姉である宮野明美が事切れる寸前のみ、「江戸川、いや...工藤新一...探偵さ...」と名乗っている。また、劇場版第7作『迷宮の十字路』でも解毒剤を飲んだ新一がこのセリフを「工藤新一」に置き換えている。劇場版第17作『絶海の探偵』のエピローグでは「探偵さ...」ではなく「ただの小学1年生だよ」と言って去っている。
劇場版での決め台詞は「真実はいつもひとつ!」で、テレビアニメでも19:00枠終了時のクロスプログラムにおいて使用されていた。放映開始初期はこのクロスプログラムや劇場版第1作『時計じかけの摩天楼』のTV用スポットCM等において「犯人はお前だ!」というキャッチコピーも用いられていたが、すぐに使われなくなった。テレビアニメ本編でも、例えば「外交官殺人事件」で似たような言葉が使用されたことはあるものの、多用はされていない。言い回しもその都度異なり、一字一句完全同一の台詞は使用されていない。テレビアニメ第1話「ジェットコースター殺人事件」では原作にはないシーンで新一が完全に同一の台詞を発している。
テレビアニメのオープニングでは毎回コナン自身によるナレーションがあり、シリーズの途中からは「たったひとつの真実見抜く、見た目は子供、頭脳は大人、その名は【名探偵コナン】!」が恒例となっている。劇場版のオープニングのコナンによるナレーションにおいても「小さくなっても頭脳は同じ、迷宮なしの名探偵、真実はいつもひとつ!」が毎回恒例となっており、テレビアニメ第1期オープニングのナレーションでも同様のフレーズが使用されたことがある。
8.2.3. Nicknames and Appellations
周囲の人物がコナンや新一を呼ぶ際の呼称は、それぞれの関係性や状況によって異なる。
- 江戸川コナンとしての呼称**
- 「コナン君」**: 毛利蘭・阿笠博士・吉田歩美・円谷光彦・世良真純・妃英理・遠山和葉・安室透・工藤両親・服部平次・目暮警部などの警察関係者・FBIメンバー関係者らからの大抵の呼び方。字幕版のテレビアニメ放送では「君(くん)」を平仮名で「コナンくん」となっていることもある。
- 「コナン」**: 小嶋元太、毛利小五郎。小五郎からは「コナン」と名前で呼ばれることもあるが、直接呼ばれることは比較的少なく、周囲に名前を出す時に呼ぶことの方が多い。コナンが小五郎の声で推理をする際には「コナン」と呼称する。
- 「(メガネの)ガキンチョ」**: 鈴木園子。初期の作品では「コナン君」と呼ぶことも多かったが、現在では滅多に呼ばなくなっている。ただし、コナンが園子の声で推理をする際は「コナン君」と呼称している。
- 「江戸川君」**: 灰原哀、小林澄子。
- 「(メガネの)ボウズ・ガキ・小僧等」**: 服部平次(「コナン君」と呼ぶ時はぎこちなく、思わず「工藤」と呼んでしまって周囲に訝しがられることも多く、その都度適当に他の言葉などで誤魔化している)、毛利小五郎、大和警部など。
- 「名探偵」**: 怪盗キッド(2代目)(「ボウズ」などと呼ぶこともある。劇場版第19作『業火の向日葵』では「探偵」と呼んでいる)。
- 「ボウヤ」**: 赤井秀一(赤井が変装時の「沖矢昴」として周囲と話す時は「コナン君」とも呼んでいるが、劇場版の『緋色の弾丸』などでは、赤井としての呼称と同様に「ボウヤ」とも呼ぶこともある)。
- 「クールキッド」**: ジョディ・スターリング。
- 工藤新一としての呼称**
- 「新一兄ちゃん」**: コナンとしての会話時。
- 「新一」**: 毛利蘭(保育園で出会った当初は「新一君」。帝丹小学生以来は「新一」と呼ばれ、何度か「大バカ推理之介」もしくは「推理オタク」と揶揄したこともある。小学生時代の新一が蘭に「工藤君」と呼ぶよう頼んだが、蘭は嫌がり、「新一」と呼称されている)、自分の両親、阿笠博士、毛利小五郎。
- 「新一君」**: 阿笠博士(原作では「新一君」、アニメでは「新一」の比率が多く、原作で「新一君」と呼称していた箇所はアニメ化の際に「新一」と置き換えられることもある)、妃英理、目暮警部などの警察関係者、鈴木園子、遠山和葉。
- 「工藤君」**: 灰原哀、鈴木園子(新一と話す場合は「工藤君」だが、蘭との会話で新一の話題になると「新一君」と呼称することが多い)、遠山和葉(原作では、蘭との会話で新一の話題になると時々「新一君」という呼び方もするが、アニメは「工藤君」で統一されている)、目暮警部などの警察関係者。
- 「工藤」**: 服部平次、帝丹高校の男子同級生など。
- 「新ちゃん」**: 工藤有希子。
- 「クールガイ」**: ベルモット。
9. Appearances in Media
工藤新一/江戸川コナンは、『名探偵コナン』シリーズの様々なメディア展開において中心的な役割を果たしている。
9.1. Anime Series, Films, and OVAs


工藤新一/江戸川コナンは、メインのテレビアニメシリーズ全話、全ての劇場版、オリジナルビデオアニメーション(OVA)シリーズ(『Shōnen Sunday Original animation』や『Magic Files』)、そして2時間スペシャルであるクロスオーバー作品『ルパン三世VS名探偵コナン』や『エピソード"ONE" 小さくなった名探偵』に登場している。
彼は全テレビアニメシリーズのエピソードに登場している唯一のキャラクターである。ただし、アニメ第1話ではコナンの姿としてはエンディング後のエピローグの1カットのみで台詞は感嘆詞のみであったり、アニメ782話「緋色の帰還」でのコナンは姿のみの登場で、オープニングの本編説明と次回予告を除いて一言も話していない。また、劇場版第23作『紺青の拳』のスピンオフであるアニメ第936話「フードコートの陰謀」では、少年探偵団の各イメージとして登場するのみで、コナン本人は直接には完全に未登場で、その回に起きた事件ともまったく関わっておらず、わずかにラストで劇場版との繋がりを示すコナンのナレーションが一言だけ入るのみであった。OVA作品では、これ以前にも「ロンドンからのマル秘指令!」や「工藤新一 謎の壁と黒ラブ事件」のように、コナンが冒頭やラストのモノローグを除いて本編にほぼ未登場のエピソードがある。工藤新一 謎の壁と黒ラブ事件では終始一貫して新一としての登場のみである。アニメは、以上のようにコナンが本編で台詞なしだったり姿を直接見せない回もあるが、担当声優の高山みなみは全話に出演している。一方原作では、新一に戻ったり新一としての回想など、そのエピソードの中間において「江戸川コナン」として登場しない回が稀にある。
9.2. Live-Action Adaptations
実写版のテレビドラマや映画では、彼の姿が様々な俳優によって演じられている。2006年から2007年にかけて放送された実写版ドラマシリーズでは、ティーンエイジャーの新一を小栗旬が、子供姿のコナンを藤崎直が演じた。コナンの声は高山みなみが吹き替えている。2011年の実写版映画およびテレビドラマシリーズでは、溝端淳平がティーンエイジャーの新一役を演じた。
9.3. Video Games and Novels
工藤新一/江戸川コナンは、『名探偵コナン』に関連する全てのビデオゲームで主人公として登場しており、シリーズの小説においても主要な役割を担っている。特に、PlayStation用ゲーム作品「3人の名推理」では、彼の読唇術が披露された。
10. Cast
工藤新一と江戸川コナンの声を担当する声優と、実写版で演じた俳優は以下の通りである。
10.1. Voice Actors
- 日本語版**:
- 工藤新一(中学生以降)**: 山口勝平
- 江戸川コナン、工藤新一(幼少時代)**: 高山みなみ
作者の青山剛昌は、高山みなみとの対談にて、「コナンは最初っから高山さんの声のイメージで描いてた」と語っている。
- 英語版(Funimation)**:
- Shinichi/Jimmy Kudo**: Jerry Jewell
- Conan Edogawa**: Alison Viktorin
- 英語版(Bang Zoom! Entertainment/Macias Group)**:
- Shinichi/Jimmy Kudo**: Griffin Burns
- Conan Edogawa**: Wendee Lee
- 韓国語版**:
- 工藤新一(中学生以降)**: カン・スジン
- 江戸川コナン**: チェ・ドクヒ(1期)、キム・ソネ(2期以降)
日本語版ではコナン自身の台詞や心の声も高山みなみが担当するが、韓国語版や英語版では、コナンの心の声の台詞を新一の声優が担当しており、工藤新一と江戸川コナンが同一人物であることが強調されている。
- インドネシア語版**:
- Conan Edogawa**: Ahmad Zulkifli Lubis、Leni M. Tarra
- タイ語版**:
- Shinichi**: ไกวัล วัฒนไกร(ビデオスア)、ภัทรวุฒิ สมุทรนาวี(TIGA)、นิรันดร์ บุญยรัตพันธุ์、ธนกฤต เจนคลองธรรม(Modernine)、ปิยะ ประวังสุข、สัจจะ กาญจน์นิรันดร์(TrueSpark)
- Conan**: อรุณี นันทิวาส(TIGA、Modernine)、นภัสวรรณ์ วัชรีวงศ์ ณ อยุธยา(TIGA、1019話以降)、นงลักษณ์ ฤทธิ์เรือง(TrueSpark)
10.2. Live-Action Actors
- 工藤新一(中学生以降)**:
- 小栗旬(2006年 - 2007年単発ドラマ)
- 溝端淳平(2011年単発ドラマ、連続ドラマ)
- 江戸川コナン**:
- 藤崎直(2006年 - 2007年単発ドラマ)
実写ドラマ作品では、コナンは藤崎直が演じ、声は高山みなみが吹き替えている。
11. Public Reception and Influence
工藤新一/江戸川コナンは、物語の外側においても非常に高い人気と社会的な影響力を持っている。
11.1. Popularity Rankings
彼はアニメおよび漫画コミュニティ内で行われた様々な人気投票やキャラクターランキングにおいて、継続的な人気を示している。
- 第1回キャラクター人気投票**: コナンが1位(1028票)、新一が2位(646票)。
- 2011年TV&劇場版15周年記念キャラクター人気投票**: コナンと新一の投票数を合わせて1位。
- 2012年連載800回記念キャラクター人気投票**: コナンが1位、新一が4位。
11.2. Cultural and Social Impact
コナンは、日本の社会において様々な形で活用され、文化的認知を得ている。
2006年には、日本国政府が子供たちの犯罪意識向上を目的としたキャンペーンにコナンを起用した。
外務省は、コナンとその仲間たちを2つのパンフレットに登場させた。1つは外務省の任務を促進するため、もう1つは2010年に日本で開催されたG8サミットを紹介するためであった。
2006年に日本郵便が発行した「アニメ・ヒーロー・ヒロインシリーズ」の記念切手第6弾にも、コナンと仲間たちが描かれている。
読売テレビの2代目社屋(ytv京橋ビル)の正面入口前にはコナンの銅像が建てられていた。また、鳥取県北栄町にある作者の出身地には、コナンの銅像が設置された「コナン大橋」や、コナンを題材とした展示物が展示されている「青山剛昌ふるさと館」が作られている。
12. Miscellaneous Information
工藤新一/江戸川コナンに関するその他の補足情報や、物語の背景を補完する詳細を以下にまとめる。
12.1. Basic Information
- 生年月日**: 5月4日。新一自身は自身の誕生日を忘れがちで、毎年蘭に思い出させられている。誕生日である「5月4日」のことを思い浮かべると、「『最後の事件』でシャーロック・ホームズがモリアーティ教授とライヘンバッハの滝に転落した日」と連想するだけで、自分の誕生日だということを忘れていることが多く、毎年蘭に思い出させられている。
- 年齢**: 初登場時は16歳だったが、劇場版第1作『時計じかけの摩天楼』で17歳となり、コナンとしては当初の6歳から7歳と言うようになった。
- 身長**: 新一は174 cm。コナンとしては約95 cm。新一の身長は作者の青山と同じである。
- 体重**: コナンは18 kg。新一は58~61kg。
- 血液型**: 不明だが、毛利蘭と同じO型である。
- 住所**: 東京都米花町2丁目21番地。これはシャーロック・ホームズが住んでいたとされるベーカー街221Bに由来する。
12.2. Practical Limitations due to Shrinking
身体が幼児化したことによる実生活上の制約も存在する。
- パスポートの不在**: 江戸川コナン名義のパスポートは所持しておらず(正確には無戸籍者であるため、取得できない)、そのため、物語の舞台は基本的に日本国内に限定されている。当初、ロンドンに行こうとした際にコナンはパスポートを偽造しようと提案するが、犯罪になることから阿笠博士に止められた。作者と高山みなみの対談では、「コナンのはパスポート取得は可能か」との高山の問いに対し、作者は「阿笠博士辺りがなんとかしてくれる」と語っている。例外として、新一として事件を解いたNY編や、解毒薬で一時的に新一に戻ることで出入国を果たしたロンドン編がある。アニメや劇場版では、現実世界のシンガポール(怪盗キッドによって磁気を通さないスーツケースに入れられて運搬されることで出入国しており、不法入国にあたる。パスポートや阿笠博士による装備も盗まれ、パスポートについてはキッドが新一に変装するために利用された。)や、バーチャルゲーム内のロンドン、架空の国家(ヴェスパニア王国。この際には、連れ去られた蘭を追いかけて離陸直前の王室専用機のタイヤ格納庫に潜り込み、高空による凍死寸前の状態に陥りながらの密航を経て、ヴェスパニアに渡った。帰路はルパン一味の手配した潜水艦で帰国した。)が舞台になったことはある。『名探偵コナン 特別編』では海外へも何度かコナンの姿で蘭たちと一緒に旅行しているが、これらは原作やアニメとはパラレルワールドであると見なされている。
- 小学校への入学**: 阿笠博士の手配で帝丹小学校に入学したが、戸籍がない状態のまま小学校に通っている。コナンの母親(新一の母・有希子)が「江戸川文代」として養育費を毛利家へ預けているという設定はあるものの、その事務的な継続処理の詳細は不明である。作者はこれについて「誰も困ってないんだから別にやばくないんじゃない?」とコメントしている。
- アニメ登場回数**: 全キャラクターの中で唯一、アニメシリーズ全話に登場している。
12.3. Design and Conception Details
キャラクターデザインにおける具体的なインスピレーション源が各所で語られている。
- 笑った時の口や足首の細さなどは、『ルパン三世』原作者のモンキー・パンチとの対談で、ルパン三世の影響を受けていることが語られている。
- 小さくてもシルエットで誰か判別できる特徴として、頭のヘタのようなものは『虹色とうがらし』の「七味」から、後ろ髪のハネは『魔法使いサリー』の「カブ」から、目は「あだち充」作品から、鼻は「ちばてつや」作品からの影響があったとされている。なお、同様のことを島本和彦に話したところ、「ならねーって! 断じてならねーっ!」と否定されている。
- 工藤新一と黒羽快斗が顔がそっくりな理由は、作者がスター・システムを採用している点が大きく、二人がそれぞれ父親似であるためとされている。
- 鈴木松美は、コナンの音痴なのに絶対音感があることについて、音声を正確に聞き取れるが声帯をコントロールできないタイプであり、楽器が苦手なのは耳で音を拾えても操作ができないからであると分析している。