1. 概要
日本の元サッカー選手である渡邉 大剛(わたなべ だいごう、Daigo Watanabe英語、1984年12月3日 - )は、長崎県南高来郡国見町(現・雲仙市)出身のミッドフィールダーおよびディフェンダーです。小学2年生でサッカーを始め、長崎県立国見高等学校では主力選手として数々のタイトル獲得に貢献しました。プロ選手としては、京都サンガF.C.、大宮アルディージャ、釜山アイパーク(韓国)、カマタマーレ讃岐、そしてアマチュアクラブの品川CC横浜に所属し、国内外のリーグで活躍しました。2019年に一度は現役引退を発表しましたが、アマチュア選手として復帰し、2020年に最終的に選手生活を終えました。引退後はJFA登録仲介人となり、アスリートのセカンドキャリア支援やサッカーコンサルティング会社でスタッフとして活動するなど、多岐にわたる分野でサッカー界に貢献しています。実弟の渡邉千真と渡邉三城もサッカー選手です。
2. 初期生い立ちとユース経歴
渡邉大剛は1984年12月3日に長崎県南高来郡国見町(現在の雲仙市)で生まれました。幼少期の小学2年生の時にサッカーを始め、その才能を開花させました。
彼は2000年から2002年まで長崎県立国見高等学校に在学し、同校が多くの栄光を掴んだ時期の主力選手として活躍しました。国見高校時代には学業とサッカー活動を両立させ、数々の主要大会で輝かしい成績を収めました。
主な大会成績は以下の通りです。
- 全国高校総体
- 2000年: 優勝
- 2001年: ベスト8
- 2002年: 準優勝
- 高円宮杯全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会
- 2000年: 出場
- 2001年: 優勝
- 2002年: 優勝
- 全国高校サッカー選手権
- 2000年: 優勝
- 2001年: 優勝
- 2002年: 準優勝
また、2002年にはU-18日本代表に選出され、同年の長崎県国体選抜にも名を連ねるなど、ユース年代でその実力を高く評価されていました。
3. クラブ経歴
渡邉大剛はプロサッカー選手として、日本国内の主要クラブである京都サンガF.C.と大宮アルディージャで長年にわたり活躍し、その後は韓国の釜山アイパークでプレーする経験も積みました。日本復帰後はカマタマーレ讃岐を経て、アマチュアクラブの品川CC横浜で選手経歴を終えました。彼のキャリアは、様々なポジションでの起用やチーム内での役割の変化を伴うものでした。
3.1. 京都サンガF.C.
2003年、渡邉大剛は京都サンガF.C.(当時の名称は京都パープルサンガ)に加入し、プロサッカー選手としてのキャリアをスタートさせました。初期のシーズンでは出場機会が限られていましたが、プロ2年目となる2004年からはトップチームでの出場数を増やし始めました。
2005年には当時の柱谷幸一監督によって、それまでのミッドフィールダーから右サイドバックへとコンバートされました。しかし、このコンバートにより出場試合数は一時的に減少しました。
チームがJ1リーグに昇格した2006年も同様の状況が続きましたが、シーズン途中に柱谷監督が解任され、美濃部直彦が新監督に就任すると転機が訪れます。美濃部監督のもと、渡邉は左サイドハーフとしてレギュラーの座を獲得し、チームの主力選手として不可欠な存在へと成長しました。彼は2010年まで京都サンガF.C.でプレーし、クラブに貢献しました。
3.2. 大宮アルディージャ
2011年、渡邉大剛は大宮アルディージャへ完全移籍することを発表し、新たな挑戦の場を求めました。大宮では、主にJ1リーグの舞台で活躍しました。
移籍初年度から主力の一員として多くの試合に出場し、チームの中盤を支える重要な選手となりました。特に2013年シーズンには自己最多となるJ1リーグ33試合に出場し、5得点を記録するなど、チームの攻撃面にも大きく貢献しました。彼は献身的な守備と攻撃参加を両立させ、チームの成績向上に貢献しました。
大宮アルディージャでは2015年シーズンまでプレーし、この年にはチームのJ2リーグ優勝とJ1リーグへの昇格を経験しました。
3.3. 釜山アイパークとカマタマーレ讃岐
2016年1月13日、渡邉大剛は韓国のKリーグチャレンジ(現:Kリーグ2)に所属する釜山アイパークへ完全移籍することを発表し、自身初の海外挑戦となりました。韓国での登録名は다이고韓国語(ダイゴ)でした。釜山アイパークでは約半年間プレーし、5試合に出場しました。
同年7月には、再び日本に戻り、カマタマーレ讃岐へ完全移籍で加入しました。讃岐では、移籍初年度の2016年シーズン後半戦でリーグ戦19試合に出場し、1得点を記録するなど、すぐにチームにフィットしました。2017年にはJ2リーグ38試合に出場し2得点、2018年には23試合に出場しました。しかし、2018年シーズン終了後に契約満了に伴い、カマタマーレ讃岐を退団することとなりました。
3.4. 品川CC横浜
カマタマーレ讃岐を退団した渡邉大剛は、2018年12月12日にフクダ電子アリーナで行われたJリーグ合同トライアウトに参加し、移籍先を模索しましたが、希望するオファーは得られませんでした。これにより、2019年2月18日、彼はプロサッカー選手としての現役引退を正式に発表しました。
しかし、引退発表から間もない2019年7月11日、彼は神奈川県社会人サッカーリーグ1部に所属するアマチュアクラブの品川CC横浜に加入し、選手として復帰することを発表しました。この加入は、アスリートのセカンドキャリア支援事業を行うリスタンダード株式会社が品川CC横浜のスポンサーを務めている縁によるものでした。渡邉は品川CC横浜で2020年までプレーし、同年12月28日に同クラブを退団。これにより、約1年半にわたるアマチュア選手としての活動も終了し、選手経歴に最終的な終止符が打たれました。
4. 引退と引退後の活動
2019年2月18日のプロ選手引退発表後、渡邉大剛はサッカー界における自身の経験を活かし、多岐にわたる活動を開始しました。
2019年5月には、大宮アルディージャOBとして大宮アルシェで開催されたeS-League(エスリーグ)主催のeSportsイベントにゲスト出演しました。同年5月からは、JFA登録仲介人として選手の代理人活動を開始し、新たなキャリアを築き始めました。
2019年7月には、アスリートのセカンドキャリア支援事業を展開するリスタンダード株式会社にブランディングアンバサダーとして入社し、引退後のアスリートが新たな道を見つけるためのサポートに尽力しました。
2021年4月からは、同じくJFA登録仲介人である柳田佑介が代表取締役を務めるグロボル・フットビズ・コンサルティングのスタッフとして勤務しています。ここでは、自身の選手としての経験と仲介人としての知識を活かし、サッカー界におけるコンサルティング業務に携わっています。
これらの活動を通じて、渡邉大剛は選手引退後も日本のサッカー界、特に選手のキャリア形成支援やビジネス面において重要な役割を果たし続けています。
5. 個人成績
渡邉大剛のシーズンごとの出場記録および得点状況、通算成績は以下の通りです。
クラブ成績 | リーグ | カップ | リーグカップ | その他公式戦 | 通算 | ||||||||
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シーズン | クラブ | 背番号 | リーグ | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 |
日本 | |||||||||||||
2002 | 国見高 | 11 | - | 3 | 0 | - | - | - | 3 | 0 | |||
2003 | 京都 | 24 | J1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2004 | 22 | J2 | 18 | 0 | - | 0 | 0 | - | 18 | 0 | |||
2005 | 4 | 0 | - | 1 | 0 | - | 5 | 0 | |||||
2006 | J1 | 18 | 0 | 5 | 1 | 1 | 0 | - | 24 | 1 | |||
2007 | J2 | 47 | 3 | - | 1 | 0 | 2 | 0 | 50 | 3 | |||
2008 | J1 | 34 | 3 | 5 | 1 | 2 | 0 | - | 41 | 4 | |||
2009 | 20 | 2 | 6 | 0 | 0 | 0 | - | 26 | 2 | ||||
2010 | 28 | 1 | 5 | 0 | 2 | 0 | - | 35 | 1 | ||||
2011 | 大宮 | 13 | J1 | 23 | 1 | 2 | 0 | 1 | 0 | - | 26 | 1 | |
2012 | 31 | 3 | 5 | 1 | 4 | 0 | - | 40 | 4 | ||||
2013 | 33 | 5 | 4 | 0 | 2 | 0 | - | 39 | 5 | ||||
2014 | 10 | J1 | 27 | 1 | 5 | 0 | 3 | 0 | - | 35 | 1 | ||
2015 | J2 | 34 | 2 | - | 1 | 1 | - | 35 | 3 | ||||
韓国 | |||||||||||||
2016 | 釜山 | 99 | Kチャレンジ | 5 | 0 | - | 0 | 0 | - | 5 | 0 | ||
日本 | |||||||||||||
2016 | 讃岐 | 5 | J2 | 19 | 1 | - | 1 | 1 | - | 20 | 2 | ||
2017 | 38 | 2 | - | 0 | 0 | - | 38 | 2 | |||||
2018 | 8 | 23 | 0 | - | 0 | 0 | - | 23 | 0 | ||||
2019 | 品川CC横浜 | 18 | 神奈川県1部 | - | - | - | |||||||
総通算 | 402 | 24 | 37 | 3 | 22 | 2 | 3 | 0 | 461 | 29 |
6. 主要な業績とタイトル
渡邉大剛が選手として所属したチームで達成した主な優勝記録および個人的な特筆すべき成果は以下の通りです。
- 国見高等学校
- 全国高校総体: 2000年 優勝
- 高円宮杯全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会: 2001年、2002年 優勝
- 全国高校サッカー選手権: 2000年、2001年 優勝
- 京都サンガF.C.
- J2リーグ: 2005年
- 大宮アルディージャ
- J2リーグ: 2015年
- 個人記録
- U-18日本代表: 2002年
- 長崎県国体選抜: 2002年