1. 概要

菅大輝(すが だいき日本語、1998年9月10日 - )は、北海道小樽市出身のプロサッカー選手。Jリーグのサンフレッチェ広島に所属しており、ポジションは主にフォワード(FW)とミッドフィールダー(MF)を務める。左足から放たれる「菅キャノン」と称される強力なミドルシュートを武器とする。
彼は、北海道コンサドーレ札幌在籍時にクラブ史上最年少でのJ1リーグ100試合出場、さらにはJ1リーグ史上最年少での200試合出場という記録を樹立し、その若さから日本サッカー界において注目される存在となった。また、札幌の下部組織出身選手として初めて日本代表に選出されるなど、若くして国際舞台も経験している。2025年シーズンからはサンフレッチェ広島へ移籍することが決定している。
2. 生い立ちとユース時代
菅大輝は、プロサッカー選手としてデビューする前の幼少期から、一貫して北海道コンサドーレ札幌の下部組織で育成されてきた。
2.1. ユースクラブ
菅は、まず小樽市立高島小学校在学中にコンサドーレ札幌U-12に所属し、サッカーの基礎を学んだ。その後、小樽市立末広中学校時代にはコンサドーレ札幌U-15で、そして飛鳥未来高等学校在学中には北海道コンサドーレ札幌U-18で研鑽を積んだ。この間、彼は将来のプロ選手としての土台を築き上げた。
2.2. プロ登録初期
2016年2月、菅はゼロックススーパーカップの前座試合として行われた『NEXT GENERATION MATCH』のU-18Jリーグ選抜メンバーに選出され、その才能を披露した。同年4月には、北海道コンサドーレ札幌の2種登録選手として承認され、アカデミーに所属しながらトップチームの試合に出場できるようになった。2種登録されてからわずか2日後の4月3日に行われたJ2リーグ第6節のFC町田ゼルビア戦で、早くもJリーグでの初出場を果たした。さらに、J2リーグ第7節のファジアーノ岡山FC戦では、17歳6か月30日で先発出場し、これは当時のクラブ史上最年少先発記録となった。同年10月26日には、2017シーズンからのトップチーム昇格が内定したことが発表され、正式にプロの道を歩むことになった。
3. クラブキャリア
菅大輝は、2017年に北海道コンサドーレ札幌でプロキャリアをスタートさせ、長年にわたりチームの主力選手として活躍。その後、2025年シーズンからのサンフレッチェ広島への移籍が決定している。
3.1. 北海道コンサドーレ札幌
2017年、菅は育成組織から北海道コンサドーレ札幌のトップチームに昇格した。同年8月5日、J1リーグ第20節のセレッソ大阪戦でJ1初ゴールを記録した。2018年シーズンはレギュラー選手としてチームに貢献し、その活躍が評価され、Jリーグアウォーズのベストヤングプレーヤー賞にノミネートされた。
2019年シーズンからは、クラブ史上初めてフォワード登録の選手として背番号「4」を着用することになった。この年、5月24日にはコパ・アメリカ2019に臨む日本代表に初選出され、北海道コンサドーレ札幌の下部組織出身者で在籍中にA代表に選ばれたのは、クラブ史上初の快挙となった。さらに同年12月7日には、負傷辞退した室屋成に代わってEAFF E-1サッカー選手権2019の日本代表に追加招集された。12月14日に行われた香港戦で、彼はA代表初出場を果たし、同時に代表初得点も記録した。
2020年8月29日、彼はJ1リーグでクラブ史上最年少となる21歳11か月20日で通算100試合出場を達成した。これは、当時のJリーグにおける最年少100試合出場記録(稲本潤一が2000年に達成した20歳10か月25日)に次ぐ若さでの記録である。
2023年6月24日には、J1リーグ史上最年少となる24歳9か月17日で通算200試合出場を達成。これは、これまでの記録保持者であった阿部勇樹(当時ジェフユナイテッド市原・千葉)が2006年に記録した24歳11か月20日を更新する偉業であった。
3.2. サンフレッチェ広島
2025年シーズンより、菅大輝はサンフレッチェ広島へ完全移籍することが決定している。
4. 代表キャリア
菅大輝は、日本の各年代別ユース代表チームで経験を積み、その後A代表にも選出され、国際舞台で活躍した。
4.1. ユース代表チーム
菅は、日本の世代別代表チームに継続的に選出されてきた。
- U-16日本代表: AFC U-16選手権2014に出場。
- U-17日本代表: 国際ユースサッカーin新潟2015に参加。
- U-18日本代表: バレンティン・グラナトキン国際トーナメント2016に派遣。
- U-19日本代表: SBSカップ国際ユースサッカー2016に出場。
- U-20日本代表: M-150カップ2017に参加。
- U-21日本代表: 「スポーツ・フォー・トゥモロー(SFT)プログラム 南米・日本U-21サッカー交流2018」、トゥーロン国際大会2018、ドバイカップU-23 2018に参加。
- U-22日本代表: 2019年の北中米遠征、キリンチャレンジカップ2019に招集された。
- U-23日本代表: AFC U-23選手権2020に出場。
4.2. A代表チーム
2019年5月24日、菅は森保一監督率いる日本代表に初めて選出され、コパ・アメリカ2019に臨むメンバーの一員となった。この代表チームは、2020年東京オリンピック世代の若手を中心に構成されていた。彼は北海道コンサドーレ札幌の下部組織出身選手として、在籍中に日本A代表に選出された初の選手となった。
同年12月7日には、怪我で辞退した室屋成の代替として、EAFF E-1サッカー選手権2019の日本代表に追加招集された。そして12月14日、韓国釜山広域市の九徳総合運動場で行われた香港代表との試合で、A代表としてのデビュー戦を飾り、同時に記念すべき代表初ゴールも決めた。
4.2.1. A代表試合出場記録
No. | 開催日 | 開催都市 | スタジアム | 対戦国 | 結果 | 大会 |
---|---|---|---|---|---|---|
1. | 2019年12月14日 | 釜山 | 釜山九徳スタジアム | 香港 | ○5-0 | EAFF E-1サッカー選手権2019 |
4.2.2. A代表ゴール記録
No. | 開催日 | 開催都市 | スタジアム | 対戦国 | 結果 | 大会 |
---|---|---|---|---|---|---|
1. | 2019年12月14日 | 釜山 | 釜山九徳スタジアム | 香港 | ○5-0 | EAFF E-1サッカー選手権2019 |
5. プレースタイル
菅大輝は、主にフォワードやミッドフィールダーとしてプレーし、左足から放たれる強力なシュートが特徴である。特にそのシュートは「菅キャノン」と称され、遠距離からのミドルシュートで数々のゴールを奪ってきた。攻撃的なポジションでの高い得点能力と、攻守にわたる豊富な運動量でチームに貢献する。
6. キャリア成績
菅大輝のクラブおよび代表チームでの詳細な試合出場記録と得点記録は以下の通りである。
6.1. クラブ成績
クラブ成績 | リーグ戦 | カップ戦 | リーグカップ | 通算 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
シーズン | クラブ | リーグ | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | |
日本 | リーグ戦 | 天皇杯 | Jリーグカップ | 通算 | |||||||
2016 | 札幌 | J2 | 5 | 0 | - | 2 | 0 | 7 | 0 | ||
2017 | J1 | 23 | 1 | 6 | 0 | 1 | 0 | 30 | 1 | ||
2018 | J1 | 33 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 35 | 1 | ||
2019 | J1 | 31 | 0 | 6 | 1 | 1 | 0 | 38 | 1 | ||
2020 | J1 | 29 | 2 | 3 | 0 | - | 32 | 2 | |||
2021 | J1 | 36 | 1 | 9 | 1 | 2 | 0 | 47 | 2 | ||
2022 | J1 | 31 | 4 | 7 | 0 | 1 | 0 | 39 | 4 | ||
2023 | J1 | 33 | 3 | 6 | 1 | 3 | 0 | 42 | 4 | ||
2024 | J1 | 34 | 1 | 4 | 2 | 1 | 0 | 39 | 3 | ||
J1通算 | 250 | 13 | 42 | 5 | 10 | 0 | 302 | 18 | |||
J2通算 | 5 | 0 | - | 2 | 0 | 7 | 0 | ||||
総通算 | 255 | 13 | 42 | 5 | 12 | 0 | 309 | 18 |
- 2016年は2種登録選手として出場。
- Jリーグ初出場 - 2016年4月3日 J2第6節 対FC町田ゼルビア(町田市立陸上競技場)
- Jリーグ初得点 - 2017年8月5日 J1第20節 対セレッソ大阪(キンチョウスタジアム)
6.2. 代表チーム成績
日本代表 | ||
---|---|---|
年 | 出場 | 得点 |
2019 | 1 | 1 |
通算 | 1 | 1 |
7. 評価と影響
菅大輝は、その若さにもかかわらず日本サッカー界に顕著な足跡を残してきた。特に、北海道コンサドーレ札幌在籍時に達成したJ1リーグでのクラブ史上最年少100試合出場、そしてJ1リーグ史上最年少200試合出場という記録は、彼の耐久性、継続的なパフォーマンス、そして若くしてトップレベルで活躍し続ける能力を証明するものである。これらの記録は、単なる個人成績に留まらず、若手選手の成長と活躍を促進する上でのロールモデルとなり、後進に大きな影響を与えている。
また、「菅キャノン」と称される彼の左足からの強力なシュートは、その技術的な特徴として多くのファンを魅了し、試合展開に大きな影響を与える武器となっている。札幌アカデミー出身者として初の日本A代表選出という快挙も、クラブの育成システムへの評価を高めるとともに、地域に根ざしたクラブからのスター選手の輩出という点で、社会的な貢献にも繋がっている。これらの要素が複合的に作用し、菅大輝は日本サッカー界における重要な存在として確固たる地位を築いている。