1. 幼少期と司祭叙階
ギュイド・マリーニは幼少期にジェノヴァで教育を受け、司祭として叙階された後、ジェノヴァ大司教区で多様な司牧活動に従事した。
1.1. 出生と教育
マリーニは1965年1月31日にジェノヴァで誕生した。彼はリセオ・コロンボで学び、その後ジェノヴァの神学校で神学の学士号を取得した。さらに、教皇庁立ラテラン大学で教会法と民法の両方で博士号(J.U.D.)を取得し、20世紀初頭における政教分離問題に関する論文を執筆した。2007年には教皇庁立サレジオ大学でコミュニケーション心理学の学位も取得している。
1.2. ジェノヴァ大司教区での司牧活動
マリーニは1989年2月4日にジョバンニ・カネストリ枢機卿によって司祭に叙階された。司祭叙階後、彼はジェノヴァ大司教区で以下の職務を務めた。
- 大司教秘書: 1988年から2003年まで、ジョバンニ・カネストリ枢機卿(1988年-1995年)、ディオニージ・テッタマンジ枢機卿(1995年-2002年)、タルチジオ・ベルトーネ枢機卿(2002年-2003年)の3人の大司教に仕えた。
- 典礼責任者: 2003年から2007年まで。
- 教区司祭評議会委員: 1996年から2001年まで。
- ジェノヴァ神学校霊的指導者: 2004年から2007年まで。
- 教区財務管理者(チャンセラー): 2005年から2007年まで。
- 教会法教授: 1992年より北イタリア神学部ジェノヴァ支部および高等宗教学研究所で教鞭を執った。
司祭叙階以降、ジェノヴァとローマで説教や霊的指導を行い、時には若者グループや修道共同体と協力して活動した。2003年から2005年までは教区教育局長も務めた。
2. 教皇典礼儀式室長としての活動
ギュイド・マリーニは、教皇典礼儀式室長として、教皇ベネディクト16世と教皇フランシスコの時代にわたり、教皇庁の重要な典礼執行を担い、典礼の「改革の改革」を支持するなど、多くの儀式変更と典礼改革に取り組んだ。
2.1. 任命と主要職務
マリーニは2007年10月1日に教皇ベネディクト16世によって教皇典礼儀式室長に任命され、高位聖職者であるモンシニョールの称号を授与された。彼はさらに5年間の任期に任命され、2014年4月には教皇フランシスコによってその職務が確認され、2017年にもさらに5年間の任期に任命された。教皇フランシスコはまた、2014年2月19日に彼を東方教会省の委員に任命した。彼は2021年まで儀典長を務めた。
2.2. 典礼改革と儀式変更
儀典長に任命されて以来、マリーニは教皇庁の祭壇配置を変更し、祭壇の両脇に集まっていた7本のロウソクと十字架を祭壇に沿って一列に配置した。この配置は「ベネディクト式配置」として知られている。彼は自身が実施している変更について、前任者の下で執り行われていた典礼と比較して、「今はより簡素で、本質的な事柄により注意を払う異なるスタイルがある」と述べた。マリーニはまた、2008年1月13日に行われた、教皇による30年ぶりの公開アド・オリエンテム形式でのミサを補佐した。
2010年1月の演説では、マリーニは典礼の「改革の改革」を求める教会内の声に対し支持を表明した。彼は、「ここ数年、教会内では新たな典礼刷新の必要性について複数の声が聞かれている」と述べ、新たな刷新運動は「改革の改革を実践できる、あるいは典礼とその挙行の真の精神を理解する上で、もう一歩前進できる」ものになるだろうと付け加えた。また、彼は2010年5月16日にはサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂のサルス・ポプリ・ロマーニの祭壇で司教としてアド・オリエンテム形式でミサを執り行った。
マリーニは、グレゴリオ聖歌やルネサンス音楽の卓越性、典礼形式、教会芸術と建築、ひざまずいて舌で聖体拝領を受けること、連続性の意味、沈黙など、典礼における適切な姿勢といったテーマにも触れている。
2015年、教皇フランシスコは首都大司教へのパリウム授与の公開儀式に変更を加え、授与が単なる法的または儀式的なイベントではなく、教区全体の教会的なイベントであることを強調した。マリーニは、2015年6月29日以降、パリウム授与式はバチカンではなく、各首都大司教の出身教区で行われることになると述べた。
彼はまた、ミサやその他の教皇儀式における祭服の使用についても決定を下し、教皇儀式で奉仕する枢機卿の助祭にはダルマティカを着用させた。
2.3. 2013年教皇選挙コンクラーベ

マリーニは2013年教皇選挙コンクラーベで儀典長を務めた。2013年3月11日、コンクラーベの前日、カメルレンゴであるタルチジオ・ベルトーネ枢機卿が司宰する儀式で、マリーニは枢機卿以外の職員、支援スタッフ、その他コンクラーベで職務を持つ非選挙権者らを率いて、コンクラーベに関する秘密の宣誓を行った。
翌3月12日、システィーナ礼拝堂で選挙権を持つ枢機卿たちが宣誓を行った後、マリーニは「Extra omnesエクストラ・オムネスラテン語(全員退場)」と叫び、部外者が礼拝堂を退出するとドアを閉めた。
2.4. システィーナ礼拝堂聖歌隊の監督
2019年、教皇フランシスコは、それまで教皇庁内で独立して活動していたシスティーナ礼拝堂聖歌隊を、マリーニの教皇典礼儀式室の管轄下に置くことを決定した。
3. トルトーナ司教
教皇フランシスコによってトルトーナ司教に任命されたギュイド・マリーニは、司教叙階式を経て、新任の教区での活動を開始した。
3.1. 任命と司教叙階
2021年8月29日、教皇フランシスコはマリーニをトルトーナの司教に任命した。彼は10月17日にサン・ピエトロ大聖堂で教皇フランシスコによって司教に叙階された。この司教叙階式では、マルコ・タスカ大司教とヴィットリオ・フランチェスコ・ヴィオラ大司教が共同叙階者として奉仕した。
3.2. 司教としての活動
マリーニ司教のトルトーナ教区での着座式は2021年11月7日にトルトーナ大聖堂教会で執り行われた。司教としての彼の具体的な司牧方針や主要な活動は、今後注目される。
4. 典礼哲学と影響
ギュイド・マリーニは、典礼に対する深い理解と哲学を持っており、現代のカトリック教会の典礼に具体的な影響と貢献を与えた。彼は、典礼の「改革の改革」の必要性を繰り返し強調し、典礼がその本質的な精神に立ち返ることを目指した。
彼の典礼哲学は、具体的には以下の要素に焦点を当てていた。
- 祭壇の配置**: 教皇庁の祭壇配置を「ベネディクト式配置」と呼ばれる形に変更し、ロウソクと十字架を祭壇に沿って一列に並べることで、典礼の方向性をより明確にした。これは、司祭と信徒が共に神を向くという典礼の伝統的な姿勢を象徴するものであった。
- 典礼音楽**: グレゴリオ聖歌とルネサンス音楽を教会音楽の「永続的な基準」として尊重し、その重要性を強調した。
- 聖体拝領の様式**: ひざまずいて舌で聖体拝領を受ける伝統的な方法を奨励した。
- 祭服の着用**: 枢機卿の助祭にダルマティカの着用を義務付けるなど、祭服の使用に関する指針を定め、典礼の尊厳と伝統を重んじた。
- 「改革の改革」**: 彼は、第2バチカン公会議以降の典礼改革が意図したものから逸脱していると認識し、典礼の真の精神を理解し、その挙行をより深く進めるための「新たな典礼刷新」を訴えた。これは、典礼の本質的な要素への回帰と、その挙行の簡素化、そしてより内省的な姿勢を促すものであった。
これらの取り組みを通じて、マリーニは教皇庁の典礼に「より簡素で、本質的な事柄により注意を払う」スタイルをもたらし、多くのカトリック信徒や聖職者に対し、典礼の伝統と継続性の重要性を再認識させる影響を与えた。
5. 著作
ギュイド・マリーニ司教は、典礼や霊性に関する複数の書籍や論文を著述した。主な著作は以下の通りである。
- Dio mi basta. Monsignor Tommaso Reggioイタリア語 (2000年)
- Ascolta le parole della mia boccaイタリア語 (2001年)
- O Trinità che adoro! Il mistero di Dio rivelato da Gesùイタリア語 (2001年, 2020年)
- Conquistato dal Tuo mistero ti cercoイタリア語 (2004年)
- Per amore del cuore di Gesùイタリア語 (2007年)
- Sługa Liturgiiポーランド語 (2010年)
- La libertà è amore. Madre Eugenia Ravascoイタリア語 (2010年)
- Liturgical Reflections of a Papal Master of Ceremonies英語 (2011年)
- Liturgia. Gloria di Dio, santificazione dell'uomoイタリア語 (2013年)
- Alla luce Signore vediamo la luceイタリア語 (2016年)
- L'amore ci sospinge. Rinnovare il sì al Signore davanti alla sua Parolaイタリア語 (2018年)
- La gioia del Nataleイタリア語 (2018年)
- Il Rosario meditatoイタリア語 (2019年)
- La meraviglia della Pasquaイタリア語 (2019年)