1. 概要
ラウール・エルネスト・カルドーソ(Raúl Ernesto Cardozoラウール・エルネスト・カルドーソスペイン語、1967年10月28日生まれ)は、アルゼンチン・モロン出身の元サッカー選手であり指導者である。現役時代のポジションはディフェンダーで、「パチャ(Pachaパチャスペイン語)」あるいは「エル・パンチャ(El Pachaエル・パンチャスペイン語)」の愛称で知られている。CAベレス・サルスフィエルドの歴史において最も重要な選手の一人と見なされており、同クラブの黄金時代に大きく貢献した。彼はベレス・サルスフィエルドで通算411試合に出場し、1993年のクラブ初のプリメーラ・ディビシオン優勝、1994年のコパ・リベルタドーレスおよびインターコンチネンタルカップを含む9つの主要タイトル獲得に貢献した。また、サッカーアルゼンチン代表にも選出され、1997年にはコパ・アメリカ1997に出場し、計4試合でプレーした。
2. 選手経歴
ラウール・カルドーソの選手としてのキャリアは、彼の故郷であるアルゼンチンのモロンから始まり、CAベレス・サルスフィエルドでの華々しい時期を経て、複数のクラブと国際舞台で活躍した。
2.1. 生い立ちとクラブデビュー
ラウール・カルドーソは1967年10月28日にアルゼンチンのモロンで生まれた。「パチャ」という愛称で親しまれた彼は、1986-87シーズンにCAベレス・サルスフィエルドでプロ選手としてのキャリアをスタートさせた。カルドーソはディフェンダーとして、その後のクラブにおける伝説的な時期を支えることになる。ベレス・サルスフィエルドでの在籍期間中、彼は通算411試合に出場し、クラブにとって不可欠な存在となった。
2.2. ベレス・サルスフィエルドでの黄金期
1990年代半ばは、ラウール・カルドーソが在籍したCAベレス・サルスフィエルドにとって「黄金時代」と呼ばれ、数々のタイトルを獲得した。カルドーソは、1993年のプリメーラ・ディビシオンクラウスーラ(後期リーグ)でクラブに25年ぶりとなるリーグタイトルをもたらす上で重要な役割を果たした。翌シーズンには、南米クラブ王者を決めるコパ・リベルタドーレスで優勝を飾り、さらにその勢いのまま、同年には日本の国立競技場で開催されたインターコンチネンタルカップで、当時「世界最強」と謳われたイタリアのACミランを破り、世界クラブ王者となった。ベレス・サルスフィエルドは1995-96シーズンには、国内リーグのアペルトゥーラ(前期リーグ)とクラウスーラ(後期リーグ)の両方を制覇した。カルドーソにとってベレス・サルスフィエルドでの最後の主要タイトルは、1998年のプリメーラ・ディビシオン・クラウスーラ優勝であった。この黄金期を通じて、クラブは合計9つの主要タイトルを獲得している。
2.3. その他のクラブと代表経歴
1999年にCAベレス・サルスフィエルドを離れた後も、ラウール・カルドーソは複数のクラブでプレーを続けた。ニューウェルズ・オールドボーイズやチャカリタ・ジュニアーズといったアルゼンチンのトップリーグのクラブに加えて、ウルグアイのナシオナルでは2001年にリーグタイトルを獲得した。さらにパラグアイのオリンピア、そしてアルゼンチンの下位リーグに属するビジャ・ダルミネでもプレーし、ビジャ・ダルミネでは2002年にプリメーラCメトロポリターナ・アペルトゥーラ優勝を経験した。
国際舞台では、1997年にサッカーアルゼンチン代表に招集され、同年のコパ・アメリカ1997に出場した。この大会で彼はアルゼンチン代表として合計4試合の国際試合出場を記録した。
3. 指導者経歴
選手としてのキャリアを終えた後、ラウール・カルドーソは指導者としての道を歩み始めた。
3.1. アシスタントコーチおよび監督
カルドーソはまず、オマル・アサドのアシスタントマネージャーとして、ゴドイ・クルスおよびスポルティーボ・エストゥディアンテスで指導経験を積んだ。その後、2019年3月にはクラブ・アルミランテ・ブラウンの監督に就任したが、同年6月末には同クラブを離れている。
4. 獲得タイトル
ラウール・カルドーソは、選手キャリアを通じて数多くの重要なタイトルを獲得した。特にCAベレス・サルスフィエルドでの黄金期と、ウルグアイのナシオナルでの活躍が際立つ。
4.1. クラブ
- CAベレス・サルスフィエルド
- プリメーラ・ディビシオン:1993クラウスーラ、1995アペルトゥーラ、1996クラウスーラ、1998クラウスーラ
- コパ・リベルタドーレス:1994
- インターコンチネンタルカップ:1994
- コパ・インテルアメリカーナ:1994
- スーペルコパ・スダメリカーナ:1996
- レコパ・スダメリカーナ:1997
- ナシオナル
- プリメーラ・ディビシオン:2001
- ビジャ・ダルミネ
- プリメーラCメトロポリターナ・アペルトゥーラ:2002
5. 評価と影響
ラウール・カルドーソは、CAベレス・サルスフィエルドのクラブ史において、最も重要な選手の一人として高く評価されている。彼の約13年にも及ぶベレス・サルスフィエルドでの長きにわたる貢献は、特に1990年代半ばの「黄金時代」において、クラブが国内リーグ、コパ・リベルタドーレス、インターコンチネンタルカップといった主要な国内外のタイトルを次々と獲得する上で不可欠なものであった。彼は、ベレス・サルスフィエルドの歴史において、タイトル獲得の象徴的な選手として記憶されており、彼のプレーはクラブの成功と直結している。その堅実なディフェンスとリーダーシップは、チームの安定性に大きく寄与し、クラブが初めて南米王者、そして世界王者となる歴史的偉業を成し遂げる上で決定的な役割を果たした。