1. 概要
ロベルト・ロペス・ウファルテ(Roberto López Ufarteスペイン語、1958年4月19日 - )は、モロッコのフェズ出身のスペイン人元プロサッカー選手である。主にフォワードとしてプレーし、「小さな悪魔」の愛称で親しまれた。彼の15年間のキャリアの大半をレアル・ソシエダで過ごし、12シーズン在籍した。この期間に、ラ・リーガ2回優勝を含む4つの主要タイトルを獲得し、クラブの黄金時代を築いた。レアル・ソシエダを離れた後も、アトレティコ・マドリードやレアル・ベティスでプレーし、キャリアを通じて公式戦通算418試合に出場し112得点を記録した。また、スペイン代表としても活躍し、母国開催の1982 FIFAワールドカップに出場した。彼はその勤勉さとチームへの貢献で知られ、恵まれない家庭環境から頂点へと駆け上がった彼のキャリアは、多くの人々に夢と希望を与えた。
2. 幼少期と背景
ロベルト・ロペス・ウファルテは1958年4月19日にモロッコのフェズで生まれた。彼の両親はそれぞれスペインのアンダルシア州とカタルーニャ州の出身で、第二次世界大戦中の1944年に仕事を求めてモロッコ(当時はスペイン領の一部)へ移住していた。彼が8歳の時、一家はモロッコでの約22年間の生活を終え、スペインのバスク州イルンへと戻り定住した。ウファルテの初期の生活環境は、両親の厳しい労働と移住の背景に裏打ちされたものであり、この経験が彼のサッカーキャリアにおける粘り強さの礎となった。
3. クラブキャリア
ロベルト・ロペス・ウファルテのプロサッカー選手としてのキャリアは、ユース時代から始まり、レアル・ソシエダでの輝かしい期間を経て、晩年には負傷に苦しみながらも高いレベルでプレーを続けた。
3.1. ユース時代と初期キャリア
ウファルテは、イルンに戻った後、地元のクラブであるレアル・ウニオンの下部組織でサッカーを始めた。1974-75シーズンには同クラブのトップチームでデビューを果たした。その後、1975年にギプスコア県最大のクラブであるレアル・ソシエダに移籍。わずか17歳だった1975-76シーズンにラ・リーガデビューを飾った。彼の初出場は1975年11月30日、アスレティック・ビルバオとのバスク・ダービーで、アウェイで0-2の敗戦を喫したが、この試合は彼のプロキャリアの重要な一歩となった。
3.2. レアル・ソシエダ
レアル・ソシエダでは12シーズンにわたってプレーし、クラブの歴史上最も成功した期間の一つを支えた。彼はすぐにトップチームの不可欠な一員となり、攻撃陣の中心選手として活躍した。特に、1980-81シーズンと1981-82シーズンのラ・リーガ2連覇では、2シーズン合計63試合に出場し16得点を記録するなど、チームの快挙に大きく貢献した。

1983年にはスーペルコパ・デ・エスパーニャで優勝。さらに、レアル・ソシエダでの最後のシーズンとなった1986-87シーズンには、リーグ戦で33試合に出場して10得点を挙げ、コパ・デル・レイ優勝という有終の美を飾った。レアル・ソシエダ在籍中に、彼は公式戦通算474試合に出場し129得点を記録。「Txuriurdinスペイン語(チュリウルディン、白と青の意)」という愛称で親しまれたクラブで、彼はその技術と得点能力でサポーターから絶大な支持を得た。
シーズン | 試合出場数 | 得点数 |
---|---|---|
1975-76 | 29 | 8 |
1976-77 | 30 | 7 |
1977-78 | 32 | 7 |
1978-79 | 33 | 10 |
1979-80 | 32 | 17 |
1980-81 | 33 | 11 |
1981-82 | 30 | 11 |
1982-83 | 32 | 13 |
1983-84 | 32 | 8 |
1984-85 | 27 | 7 |
1985-86 | 31 | 8 |
1986-87 | 33 | 10 |
3.3. 後期キャリア
1987年、長年在籍したレアル・ソシエダを離れ、アトレティコ・マドリードへ移籍した。1987-88シーズンにはアトレティコ・マドリードでリーグ戦27試合に出場し8得点を挙げ、チームのリーグ3位に貢献した。しかし、30歳を迎えた1988年にレアル・ベティスへ移籍した後、膝の負傷に苦しむようになる。1988-89シーズンにはレアル・ベティスがセグンダ・ディビシオン(2部リーグ)へ降格したこともあり、ウファルテは31歳で現役を引退した。負傷による引退は彼のキャリアの終焉を早めたが、彼はプロとしての情熱を最後まで持ち続けた。
4. 代表キャリア
ロベルト・ロペス・ウファルテは、1977年から1982年の5年間でスペイン代表として15試合に出場し、5得点を記録した。彼の代表デビューは1977年9月21日、スイス代表との親善試合で、この試合で代表初得点も挙げ、2-1の勝利に貢献した。
q=Mestalla Stadium|position=right
1981年10月14日のルクセンブルク代表戦では1試合2得点を達成し、チームの3-0の勝利に貢献した。そして、彼の代表キャリアのハイライトの一つは、母国スペインで開催された1982 FIFAワールドカップへの出場である。この大会では、ホンジュラス代表戦で得点を記録した。彼のスペイン代表での最終試合は、同大会の二次グループステージでの西ドイツ代表戦(1-2で敗北)となった。
4.1. 代表での得点
ロベルト・ロペス・ウファルテがスペイン代表として記録したゴールは以下の通り。
5. 引退後のキャリア
現役引退後、ロベルト・ロペス・ウファルテはサッカー界に留まり、指導者としての道を歩んだ。彼は古巣であるレアル・ソシエダで複数の監督のアシスタントマネージャーを務め、その経験を積んだ。その後、キャリアの出発点となったレアル・ウニオンでフットボールディレクターの要職に就任し、クラブの運営と強化に尽力した。彼の引退後の活動は、選手としての経験を次世代の育成やクラブの発展に還元しようとする強い意志の表れであった。
6. 獲得タイトル
ロベルト・ロペス・ウファルテが選手キャリアにおいて獲得した主要なタイトルは以下の通り。
- ラ・リーガ: 1980-81, 1981-82
- コパ・デル・レイ: 1986-87
- スーペルコパ・デ・エスパーニャ: 1983