1. 概要
富居大樹は、1989年8月27日に埼玉県浦和市(現在のさいたま市浦和区)で生まれた日本の元プロサッカー選手である。ポジションはゴールキーパーを務めた。ザスパクサツ群馬でプロキャリアを開始し、その後モンテディオ山形、湘南ベルマーレ、水戸ホーリーホック(期限付き移籍)に所属した。特に東京国際大学初のJリーガーとして注目され、2023年にはJ1リーグの月間最優秀選手(MVP)に選出されるなどの実績を残した。2024年シーズンをもって現役を引退した。
2. プロ入り前
2.1. ユース時代
富居は幼少期に浦和木崎サッカースポーツ少年団でサッカーを始め、その後浦和レッズの下部組織である浦和レッドダイヤモンズジュニアユースに2003年から2005年まで所属した。
2.2. 高校・大学時代
2006年から2008年まで武南高等学校でプレーし、高校2年時には第85回全国高等学校サッカー選手権大会に出場し、その活躍が認められて大会優秀選手に選出された。また、日本高校選抜にも選ばれている。
高校卒業後、一度は別の大学に進学したが、事情により1年で中途退学した。その後、サッカー部の強化を進めていた東京国際大学からの誘いを受け、同大学に入学した。大学では1年生時からレギュラーの座を獲得し、チームの主将も務めるなど中心選手として活躍した。3年生時には関東大学選抜に選出されている。大学時代の活躍により、富居は東京国際大学出身者として初めてのJリーガーとなった。
3. プロクラブ経歴
3.1. ザスパクサツ群馬
2013年、富居はJリーグのザスパクサツ群馬に入団し、プロキャリアをスタートさせた。入団1年目となる2013年シーズンは、北一真や内藤圭佑に次ぐ第3ゴールキーパーという位置付けであり、公式戦での出場機会はなかったものの、シーズン終盤にはベンチ入りする機会が増加した。
2年目の2014年シーズンも第3ゴールキーパーとしてスタートしたが、正ゴールキーパーの北一真と内藤圭佑が共に精彩を欠く状況の中、J2リーグ第22節の水戸ホーリーホック戦(0-2)でプロ初出場を果たした。この試合以降はスタメンに定着し、シーズン終了までその座を守り抜き、リーグ戦で21試合に出場した。2015年シーズンも引き続き正ゴールキーパーとしてチームを支え、キャリアハイとなるリーグ戦40試合に出場し、安定したパフォーマンスを見せた。
3.2. モンテディオ山形
2016年、富居はモンテディオ山形へ完全移籍した。ここでは、当時の正ゴールキーパーであった山岸範宏の控えとなり、リーグ戦での出場は1試合に留まった。しかし、天皇杯では2試合に出場した。山岸の退団後も、新たに児玉剛が加入したため、2017年シーズンもリーグ戦での出場は4試合に留まった。
3.3. 湘南ベルマーレ
2018シーズンより、富居は湘南ベルマーレへ完全移籍した。移籍初年度は、主にルヴァンカップでの出場機会を得て2試合に出場した。2019年シーズンに入っても控えゴールキーパーとしての生活が続いたが、同年11月9日に行われたJ1リーグ第31節のセレッソ大阪戦でJ1リーグ初先発・初出場を果たした。この試合以降、富居は秋元陽太からポジションを奪い、レギュラーとして起用されるようになった。
2020年シーズンには、秋元がFC町田ゼルビアへ期限付き移籍したことに伴い、背番号を1に変更した。シーズン開幕から正ゴールキーパーを務めたが、チームの状況が好転せず、ガンバ大阪から期限付き移籍で加入した谷晃生にポジションを奪われ、シーズン中盤には控えに降格した。さらにシーズン終盤には、第2ゴールキーパーの座も後藤雅明に譲り、ベンチからも外れることがあった。
2021シーズンには、背番号1を谷に譲り、自身はプロ初年度につけていた23番に戻した。開幕から後藤の移籍に伴い第2ゴールキーパーに復帰し、ルヴァンカップ第1節の浦和レッズ戦で、約6ヶ月ぶりの公式戦出場を果たした。同年5月19日のルヴァンカップ第6節の柏レイソル戦では、柏の猛攻を受けながらも自身の好セーブによって失点を0に抑え、湘南のプレーオフステージ進出に貢献した。この年は谷がレンタル元の都合で出場できないガンバ大阪戦など、リーグ戦で4試合に出場した。
2023シーズンには、谷がガンバ大阪に復帰し、代わりにソン・ボムグンが加入した。引き続き第2ゴールキーパーを務めていたが、ソン・ボムグンが負傷した際には好パフォーマンスを見せ、同年10月度のJ1月間MVPを獲得した。
3.4. 水戸ホーリーホック (期限付き移籍)
2024年7月26日、富居は水戸ホーリーホックへ期限付き移籍することが発表された。水戸では同年シーズン終了までプレーした。
4. 現役引退
水戸ホーリーホックへの期限付き移籍期間が2024年シーズンいっぱいで終了したことに伴い、富居大樹は2025年1月7日にプロサッカー選手としての現役引退を発表した。
5. 所属クラブ
- 浦和木崎サッカースポーツ少年団(さいたま市立木崎小学校)
- 2003年 - 2005年 浦和レッドダイヤモンズジュニアユース(さいたま市立木崎中学校)
- 2006年 - 2008年 武南高等学校
- 2009年 - 2012年 東京国際大学
- 2013年 - 2015年 ザスパクサツ群馬
- 2016年 - 2017年 モンテディオ山形
- 2018年 - 2024年 湘南ベルマーレ
- 2024年7月 - 12月 水戸ホーリーホック(期限付き移籍)
6. 個人成績
クラブ経歴 | リーグ戦 | カップ戦 | リーグカップ | 合計 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
年度 | 所属クラブ | 背番号 | リーグ | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 |
2010 | 東京国際大 | - | - | 1 | 0 | - | - | 2 | 0 | ||
2013 | 群馬 | 23 | J2 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | 0 | 0 | |
2014 | 21 | 0 | 3 | 0 | - | 24 | 0 | ||||
2015 | 40 | 0 | 0 | 0 | - | 40 | 0 | ||||
2016 | 山形 | 31 | 1 | 0 | 2 | 0 | - | 3 | 0 | ||
2017 | 23 | 4 | 0 | 1 | 0 | - | 5 | 0 | |||
2018 | 湘南 | 21 | J1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 | 0 | 4 | 0 |
2019 | 4 | 0 | 0 | 0 | 6 | 0 | 10 | 0 | |||
2020 | 1 | 6 | 0 | - | 2 | 0 | 8 | 0 | |||
2021 | 23 | 4 | 0 | 1 | 0 | 8 | 0 | 13 | 0 | ||
2022 | 2 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 6 | 0 | |||
2023 | 8 | 0 | 3 | 0 | 3 | 0 | 14 | 0 | |||
2024 | 4 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 5 | 0 | |||
水戸 | 25 | J2 | 3 | 0 | - | - | 3 | 0 | |||
J1通算 | 28 | 0 | 25 | 0 | 6 | 0 | 59 | 0 | |||
J2通算 | 69 | 0 | - | 5 | 0 | 74 | 0 | ||||
その他通算 | - | - | 2 | 0 | 2 | 0 | |||||
総通算 | 97 | 0 | 25 | 0 | 13 | 0 | 135 | 0 |
- 公式戦初出場 - 2014年7月12日 天皇杯2回戦 vs栃木SC(栃木県グリーンスタジアム)
- J2リーグ初出場 - 2014年7月20日 J2第22節 vs水戸ホーリーホック(ケーズデンキスタジアム水戸)
- J1リーグ初出場 - 2019年11月9日 J1第31節 vsセレッソ大阪(ヤンマースタジアム長居)
7. タイトル・受賞
7.1. クラブタイトル
- 東京国際大学
- 埼玉県大学サッカーリーグ1部:2回 (2011年、2012年)
- 埼玉県大学サッカーリーグ2部:1回 (2009年)
- 湘南ベルマーレ
- Jリーグカップ:1回(2018年)
7.2. 個人賞
- 全国高等学校サッカー選手権大会 大会優秀選手:1回 (2006年)
- J1リーグ・月間MVP:1回 (2023年10月)
8. 代表・選抜チーム経歴
- 2007年 日本高校選抜
- 2012年 関東大学選抜
9. 外部リンク
- [http://www.montedioyamagata.jp/profile/2016/player/31/ モンテディオ山形選手プロフィール]