1. 幼少期とユース時代
イ・ヨンジェは1994年9月13日、大韓民国のソウル特別市で生まれました。身長は174 cm、体重は60 kgで、利き足は左です。
ユース年代では、2007年から2009年まで一東中学校で、2010年から2011年まで長薰高等学校でプレーしました。2012年には河南FC(河南高等学校)に所属し、2013年から2014年には龍仁大学校でその才能を磨きました。この期間に培われた基礎技術と戦術理解が、後のプロキャリアの土台を築きました。
2. クラブキャリア
イ・ヨンジェは、プロキャリアを通じて複数のクラブで活躍し、その都度チームに貢献してきました。各クラブでの経験は、彼の選手としての成長とプレースタイルの確立に大きな影響を与えています。
2.1. 蔚山現代FC
2014年12月9日、イ・ヨンジェは2015年のKリーグドラフトにおいて新人自由契約選手としてKリーグ1の蔚山現代FCに入団しました。なお、Kリーグドラフトはこの年を最後に完全に廃止されています。
彼は2015年7月5日に行われた全南ドラゴンズ戦でリーグデビューを果たし、同年10月25日には再び全南ドラゴンズとの試合でプロ初ゴールを記録しました。蔚山現代に復帰後の2017年には、チームが韓国FAカップで優勝を果たす重要な一員となりました。
2.2. 釜山アイパーク (期限付き移籍)
2016年1月7日、イ・ヨンジェはトレードの一環としてKリーグ2に降格した釜山アイパークへ期限付き移籍しました。このトレードでは、釜山から李庭協が蔚山現代へ期限付き移籍しています。
釜山アイパークでは2016年4月2日に行われた江原FCとの試合で、移籍後初ゴールを記録しました。この期限付き移籍期間中、彼はリーグ戦17試合に出場し1得点、カップ戦2試合に出場し1得点を記録するなど、チームに貢献しました。
2.3. 慶南FC
2019年1月5日、イ・ヨンジェはAFCチャンピオンズリーグ2019に出場する慶南FCへ移籍しました。この移籍は、金承俊と共に慶南FCの中盤を補強する目的で行われました。慶南FCでは、11試合に出場し2得点を挙げています。
2.4. 江原FC
2019年7月15日、イ・ヨンジェは江原FCへ移籍しました。この移籍は、江原FCがウロシュ・ジェリッチを慶南FCに放出し、移籍金に加えてイ・ヨンジェを獲得するという形で実現しました。江原FCでは、2019年から2020年にかけて合計36試合に出場し8得点を記録し、チームの攻撃を牽引しました。
2.5. 水原FC
江原FCとの契約期間が残り1年となった2020年12月、イ・ヨンジェとKリーグ1へ昇格する水原FCとの間で、安柄俊との交換トレードが浮上しました。安柄俊に関してはメディカルチェックで問題が見つかったためトレードは破談となりましたが、イ・ヨンジェは水原FCが移籍金を支払う形で予定通り獲得することになり、2021年1月19日に正式に水原FCへの移籍が発表されました。水原FCでは、2021年に30試合に出場し5得点を記録しました。
2.6. 金泉尚武FC (兵役)
2021年12月7日、イ・ヨンジェは国軍体育部隊が発表した金泉尚武FCの第5期メンバー「2022年1次国軍代表(尚武)運動選手」最終合格者4名の一人に選ばれました。彼は同年12月27日に忠清南道論山市にある大韓民国陸軍訓練所に入所し、兵役義務を遂行しました。金泉尚武FCでは、2022年から2023年の2シーズンにわたって合計50試合に出場し4得点を記録しています。
2.7. 全北現代モータース
2023年6月26日、イ・ヨンジェを含む金泉尚武FCの第5期メンバー4名が予定通り18ヶ月の服務を終えて除隊し、水原FCに復帰しました。その後、2024年1月8日には全北現代モータースへの移籍が発表されました。全北現代は、彼を「左足の魔法使い」と称しており、その高い技術と創造性に大きな期待を寄せています。全北現代では、2024年シーズンに34試合に出場し4得点を挙げる活躍を見せています。
3. 代表キャリア
イ・ヨンジェは、ユース年代から各世代の大韓民国代表として国際舞台で活躍し、その経験は彼の選手としての成長に不可欠なものでした。
3.1. ユースおよびオリンピック代表
2015年2月、イ・ヨンジェはタイ王国のキングスカップに出場するU-23韓国代表に選出されました。また、2016年リオデジャネイロオリンピックのアジア最終予選を兼ねたAFC U-23選手権2016にも出場し、1月4日に行われたアラブ首長国連邦との評価戦ではゴールも記録しています。しかし、残念ながらリオ五輪の本戦メンバーには選出されませんでした。U-23韓国代表としては、合計20試合に出場し4得点を記録しています。
3.2. A代表
2019年11月28日、イ・ヨンジェはEAFF E-1サッカー選手権2019に出場する韓国代表メンバーに招集されました。同年12月11日に行われた香港代表戦で、後半40分に金甫炅との交代で出場し、A代表デビューを果たしました。彼はこの大会で優勝を経験しています。
4. 個人成績
イ・ヨンジェのプロキャリアにおけるクラブおよび国際大会での詳細な成績は以下の通りです。
クラブパフォーマンス | リーグ | カップ | アジア | 昇降格プレーオフ | 合計 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
シーズン | クラブ | リーグ | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 |
韓国 | リーグ | 韓国FAカップ | アジア | Kリーグ昇降格プレーオフ | 合計 | |||||||
2015 | 蔚山現代 | Kリーグ1 | 10 | 1 | 0 | 0 | - | - | 10 | 1 | ||
2016 | 釜山アイパーク (期限付き移籍) | Kリーグ2 | 17 | 1 | 2 | 1 | - | - | 19 | 2 | ||
2017 | 蔚山現代 | Kリーグ1 | 30 | 2 | 6 | 1 | 5 | 0 | - | 41 | 3 | |
2018 | 22 | 2 | 4 | 0 | 5 | 2 | - | 31 | 4 | |||
2019 | 慶南FC | 11 | 2 | 3 | 1 | 3 | 0 | - | 17 | 3 | ||
江原FC | 13 | 6 | - | - | - | 13 | 6 | |||||
2020 | 23 | 2 | 3 | 3 | - | - | 26 | 5 | ||||
2021 | 水原FC | Kリーグ1 | 30 | 5 | 0 | 0 | - | - | 30 | 5 | ||
2022 | 金泉尚武 (兵役) | Kリーグ1 | 37 | 3 | 1 | 0 | - | 2 | 0 | 40 | 3 | |
2023 | Kリーグ2 | 13 | 1 | 0 | 0 | - | - | 13 | 1 | |||
2023 | 水原FC | Kリーグ1 | 3 | 0 | 0 | 0 | - | - | 3 | 0 | ||
2024 | 全北現代モータース | Kリーグ1 | 34 | 4 | - | - | - | 34 | 4 | |||
合計 | 韓国 | 240 | 29 | 19 | 6 | 13 | 2 | 2 | 0 | 274 | 37 | |
通算合計 | 240 | 29 | 19 | 6 | 13 | 2 | 2 | 0 | 274 | 37 |
5. プレースタイル
イ・ヨンジェは、ミッドフィールダーとして、その「左足の魔法使い」と称される高い技術と戦術眼を兼ね備えています。彼のプレースタイルは、精度の高いパス供給と視野の広さ、そして攻撃的な創造性によって特徴づけられます。特に左足から放たれる正確なクロスやスルーパスは、多くの得点機を演出します。
また、単なる攻撃的な選手に留まらず、守備への献身性も持ち合わせており、豊富な運動量で攻守の切り替えに貢献します。中盤でボールを奪い、素早く攻撃に転じる能力は、チームのテンポを上げ、相手に脅威を与える重要な要素です。彼の戦術的な役割は、チーム全体のバランスを保ちながら、個人の技術で試合の流れを変えることができる、現代サッカーにおいて理想的なミッドフィールダー像を体現しています。

6. タイトル
イ・ヨンジェが個人として、またはチームの一員として獲得した主要なタイトルと栄誉は以下の通りです。
; クラブ
- 蔚山現代FC
- 韓国FAカップ: 2017年
; 代表チーム
- 韓国U-23代表
- キングスカップ: 2015年
- 韓国代表
- EAFF E-1サッカー選手権: 2019年
- EAFF E-1サッカー選手権: 準優勝 2022年