1. Overview

松村亮選手は、1994年6月15日に京都府宇治市で生まれた日本のプロサッカー選手である。そのキャリアは、日本のJリーグでヴィッセル神戸を皮切りに、栃木SC、徳島ヴォルティス、AC長野パルセイロといった複数のクラブでのプレー経験を持つ。その後、タイのタイ・リーグ2に挑戦し、ラヨーンFCやチエンマイFCでその実力を発揮。特にBGパトゥム・ユナイテッドFCではタイランド・チャンピオンズカップでの優勝に貢献し、大会MVPにも選出された。2022年からはインドネシアのリーガ1へと活躍の場を移し、ペルシス・ソロを経て、現在はプルシジャ・ジャカルタに所属している。彼のプレースタイルは「神戸のメッシ」という愛称で知られるほどのドリブル能力と得点感覚が特徴である。若年期にはU-17サッカー日本代表にも選出されるなど、早くからその才能を認められてきた。
2. Early life and youth career
松村亮選手は、京都府宇治市で生まれ育ち、幼少期からサッカーを始めた。2001年から2006年まで伊勢田サッカークラブ(宇治市立宇治小学校に所属)でサッカーの基礎を学んだ。その後、2007年から2009年まで宇治FCジュニアユース(宇治市立宇治中学校に所属)に在籍し、技術を磨いた。
2010年、松村はヴィッセル神戸U-18に加入。このユースチームでは、後にプロサッカー選手となる岩波拓也、前田凌佑、和田倫季といった選手たちと同期としてプレーし、切磋琢磨した。
2011年には、U-17日本代表に選出され、メキシコ遠征に参加するなど、国際的な経験を積む機会を得た。しかし、同年開催された2011 FIFA U-17ワールドカップの最終代表メンバーからは惜しくも落選した。同年、松村が所属するヴィッセル神戸U-18は、第35回日本クラブユースサッカー選手権 (U-18)大会で準優勝という好成績を収めた。さらに、高円宮杯U-18サッカーリーグ プリンスリーグ関西1部で優勝を飾り、参入戦を勝ち抜いてプレミアリーグウエストへの昇格を果たした。このプリンスリーグでは、松村はチームの総得点の半数以上に関わる12得点14アシストを記録し、リーグMVPに選出されるという顕著な活躍を見せた。
2012年には、プリンスリーグウエストで得点ランキング首位を独走し、計22得点を挙げて得点王に輝いた。この活躍がトップチーム昇格への道を拓いた。
3. Professional club career
松村亮選手のプロサッカー選手としてのキャリアは、ヴィッセル神戸での2種登録選手としてのデビューから始まり、日本国内の複数のクラブを経て、タイ、そしてインドネシアへと活躍の場を広げてきた。
3.1. Vissel Kobe
2012年5月11日、松村はヴィッセル神戸に2種登録選手として登録され、トップチームでのプレー機会を得た。そのわずか5日後の5月16日、ナビスコカップグループリーグ第4節の清水エスパルス戦で、後半17分から途中出場し、公式戦デビューを果たした。さらに、出場からわずか2分後の後半19分には得点を挙げ、当時小川慶治朗が保持していたクラブ最年少得点記録(17歳11か月1日)を更新する快挙を達成した。
2013年、松村はユース時代の同期である前田凌佑、和田倫季と共にヴィッセル神戸のトップチームへ正式に昇格を果たした。同年、J2第32節のギラヴァンツ北九州戦でリーグ戦初得点を記録した。
2014年、前年限りで現役を退いたクラブのレジェンドであり、当時アカデミースタッフとして松村を指導していた吉田孝行から直々に指名を受け、彼の背番号「17」を受け継いだ。同年、開幕戦となったJ1第1節の川崎フロンターレ戦に途中出場し、J1初得点を記録した。
2016年2月、ヴィッセル神戸の沖縄キャンプ中に右ハムストリング肉離れで全治約8週間の負傷を負った。その後、復帰したが同年10月31日の練習中に再び右腸骨筋肉離れで全治5~6週間の診断を受け、リハビリに入ったままシーズンを終えることとなった。
3.2. Loans and transfers in Japan
2015年、松村は栃木SCへ期限付き移籍した。この移籍期間は2015年末で満了し、2016年からはヴィッセル神戸に復帰した。
2017年には、徳島ヴォルティスへ期限付き移籍した。同年12月6日、徳島ヴォルティスとの期限付き移籍期間が満了により退団することが発表され、同時に所属元のヴィッセル神戸からも契約満了が発表された。神戸退団後、同年12月に行われたJリーグ合同トライアウトに出場し、次の所属先を模索した。
2018年、松村はAC長野パルセイロへ移籍し、J3の舞台でプレーしたが、同年11月28日に契約満了に伴い退団することが発表された。
3.3. Career in Thailand
2019年1月、松村はタイ・リーグ2に所属するラヨーンFCへ移籍し、初めて海外でのプレー経験を積んだ。このシーズン、彼はリーグ戦32試合に出場して10得点を挙げ、チームのタイ・リーグ1昇格に大きく貢献した。
同年12月には、同じくタイ・リーグ2のチエンマイFCへの移籍を発表した。チエンマイFCでは、2020年から2021年にかけて34試合に出場し、16得点を記録した。
2021年、松村はタイ・リーグ1の強豪BGパトゥム・ユナイテッドFCへ移籍した。同年9月には、タイランド・チャンピオンズカップ決勝で貴重な決勝点を挙げ、チームのタイトル獲得に貢献するとともに、自身も大会MVPに選出されるという活躍を見せた。
その後、2021年12月から2022年5月までの期間、ポリス・テロFCへ期限付き移籍した。
3.4. Career in Indonesia
2022年8月5日、松村はインドネシアのリーガ1に所属するペルシス・ソロへ期限付き移籍での加入を発表した。ペルシス・ソロでは、28試合に出場し11得点を記録した。
2023年5月26日には、同じくリーガ1の強豪プルシジャ・ジャカルタに3年契約で完全移籍での加入が発表された。プルシジャ・ジャカルタでは、2023-24シーズン終了時点で33試合に出場し10得点を記録している。また、2024年8月にはリーガ1の「月間最優秀ゴール」に選出された。
4. Playing style
松村亮選手は「神戸のメッシ」という異名を持つほどのドリブラーとして知られている。そのプレースタイルは、世界的名選手リオネル・メッシを彷彿とさせるもので、特に初速の速さ、鋭く細やかな反転、そして重心移動を巧みに活かしたドリブルが持ち味である。左右どちらのサイドからでも単独で局面を打開し、自らシュートまで持ち込むことができる高い得点能力も兼ね備えている。主に攻撃的ミッドフィールダーやウイングのポジションで起用され、攻撃の起点となることが多い。身長は168 cm、体重は58 kgと小柄ながら、その敏捷性と技術で相手守備を翻弄する。
5. National team career
松村亮選手は、ユース年代で複数回サッカー日本代表に選出され、国際大会での経験を積んでいる。
2010年にはU-16日本代表に選出され、サニックス杯国際ユースサッカー大会に出場した。
2011年にはU-17日本代表に選出され、メキシコ遠征に参加したが、2011 FIFA U-17ワールドカップの最終代表メンバーには選出されなかった。
6. Honours
松村亮選手は、プロキャリアを通じてチームおよび個人の両方で複数の栄誉を獲得している。
6.1. Club honours
- ヴィッセル神戸U-18
- 高円宮杯U-18サッカーリーグ プリンスリーグ関西1部:2011年
- BGパトゥム・ユナイテッドFC
- タイランド・チャンピオンズカップ:2021年
6.2. Individual honours
- 高円宮杯U-18サッカーリーグ プリンスリーグ関西1部 - MVP:2011年
- 高円宮杯U-18サッカーリーグ プレミアリーグウエスト - 得点王:2012年
- タイランド・チャンピオンズカップ - MVP:2021年
- リーガ1 - 月間最優秀ゴール:2024年8月
7. Career statistics
松村亮選手のプロキャリアにおける詳細な出場および得点記録を以下に示す。
7.1. Club statistics
クラブ成績 | リーグ | カップ戦 | リーグカップ | その他 | 合計 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
シーズン | クラブ | リーグ | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 |
日本 | ||||||||||||
2012 | ヴィッセル神戸 | J1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 2 | 1 |
2013 | J2 | 9 | 1 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | 9 | 1 | ||
2014 | J1 | 17 | 1 | 0 | 0 | 7 | 1 | 0 | 0 | 24 | 2 | |
2015 | 栃木SC | J2 | 23 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | 23 | 0 | |
2016 | ヴィッセル神戸 | J1 | 6 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0 |
2017 | 徳島ヴォルティス | J2 | 4 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | 4 | 0 | |
2018 | AC長野パルセイロ | J3 | 22 | 0 | 0 | 0 | - | 2 | 0 | 24 | 0 | |
タイ | ||||||||||||
2019 | ラヨーンFC | T2 | 32 | 10 | 1 | 0 | - | 3 | 3 | 36 | 13 | |
2020 | チエンマイFC | T2 | 34 | 16 | 0 | 0 | - | 3 | 3 | 37 | 19 | |
2021 | BGパトゥム・ユナイテッドFC | T1 | 6 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | 6 | 0 | |
2021-22 | ポリス・テロFC | T1 | 10 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | 10 | 0 | |
インドネシア | ||||||||||||
2022-23 | ペルシス・ソロ | リーガ1 | 28 | 11 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | 28 | 11 | |
2023-24 | プルシジャ・ジャカルタ | リーガ1 | 33 | 10 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | 33 | 10 | |
総通算 | 225 | 49 | 1 | 0 | 12 | 2 | 8 | 6 | 246 | 57 |
- 2012年は2種登録選手として出場。
- 「その他」はタイ・リーグカップ等のカップ戦およびタイ・チャンピオンズカップの出場記録。
7.2. Japan U-22 Selection statistics
シーズン | クラブ | リーグ | 出場 | 得点 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
日本 | ||||||
2014 | J-22 | J3 | 2 | 1 | 2 | 1 |
2015 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
総通算 | 2 | 1 | 2 | 1 |
7.3. Appearance records
松村亮選手の主要な公式戦における出場および得点記録日は以下の通りである。
- 公式戦初出場・初得点 - 2012年5月16日 ナビスコカップグループリーグ第4節 清水エスパルス戦(ホームズスタジアム神戸)
- Jリーグ初出場 - 2012年11月24日 J1第33節 柏レイソル戦(日立柏サッカー場)
- Jリーグ初得点 - 2013年9月1日 J2第32節 ギラヴァンツ北九州戦(北九州市立本城陸上競技場)