1. 経歴
1.1. プロ入り前
渡邉大樹は1997年6月7日に千葉県松戸市で生まれた。小学生時代は松戸市の小金原ビクトリーで野球を始め、中学時代は千葉県の硬式クラブチーム、松戸リトルシニアに所属し、自身の代ではキャプテンを務めた。中学3年生の時には200メートル走で全国大会に出場するほどの俊足であった。
専修大学松戸高等学校では1年秋から遊撃手のレギュラーに定着した。3年夏には第97回全国高等学校野球選手権大会に出場し、1回戦の花巻東戦では2安打を放ったが、チームは敗退し、渡邉自身が最後の打者となった。高校通算では17本塁打を記録している。当時のチームメイトには原嵩がいた。
1.2. プロ入り
2015年10月22日に行われた2015年ドラフト会議で、東京ヤクルトスワローズから6位指名を受けた。同年11月19日には契約金2500 JPY、年俸500 JPYで合意し、12月11日に新入団選手発表が行われた。入団時の背番号は49であった。
1.3. 東京ヤクルトスワローズ時代

2016年は一軍公式戦への出場機会はなかったが、二軍公式戦では74試合に出場し、3本塁打、10打点、4盗塁、打率.256の成績を残した。同年11月25日からは台湾で開催された2016アジアウインターベースボールリーグに、NPBイースタン選抜として出場した。
2017年5月にはイースタン・リーグで打率.362、25安打と活躍し、「スカパー!ファーム月間MVP賞」を受賞した。同年9月3日、明治神宮野球場で行われた対広島戦で、山本哲哉の代打として一軍公式戦に初出場を果たした。11月25日からは前年に続き2度目となる2017アジアウインターベースボールリーグに、NPBイースタン選抜として出場した。
2018年は、村上宗隆の加入により内野の競争が激しくなったことを受け、外野手に挑戦した。二軍での出場試合の大半で外野手としてプレーし、オフの契約更改では翌2019年シーズンから外野手への完全転向を表明し、登録ポジションも外野手に変更された。
2019年5月10日の読売ジャイアンツ戦では、プロ入り後初の安打と初本塁打を記録した。
2020年は主に代走として起用され、プロ入り後最高となる33試合に出場した。
2021年には、代走としてチーム最多の48試合に出場し、外野の守備固めとしても43試合でプレーした。これらの貢献により、チームの優勝と日本一に大きく貢献した。
2022年も前年同様に代走として22試合、外野の守備固めとして27試合に出場したが、徐々に新人の丸山和郁にその役割を奪われる形となった。
1.4. オリックス・バファローズ時代
2022年12月9日、同年から初めて実施された現役ドラフトでオリックス・バファローズから指名を受け、移籍することになった。背番号はヤクルト時代と同じく49を着用した。
2023年は、ウエスタン・リーグで48試合に出場し打率.211と不振に終わり、一軍出場はわずか1試合に留まった。同年10月5日に戦力外通告を受け、その後11月11日までに現役引退を決断した。
1.5. 現役引退後
現役引退後の2024年からは、古巣の東京ヤクルトスワローズでスコアラーを務めることが決まった。
2. 選手としての特徴・人物
2.1. プレースタイル
渡邉大樹選手は、俊足と堅実な守備力に加え、パンチ力を秘めた打撃が持ち味であった。特に、50メートル走では5秒9を記録するほどの俊足は、代走としての起用にもつながった。
2.2. 人物・エピソード
彼の愛称は「ナベ」である。サングラスをかけた姿がロックバンド「X JAPAN」のToshlに似ていることから、得点時には胸の前で腕をクロスさせる「Xポーズ」が東京ヤクルトスワローズの選手たちの間で浸透していた。
実家では猫を飼っているものの、渡邉自身は猫アレルギーである。
2021年7月には一般女性と結婚している。
3. 詳細情報
3.1. 出身学校
- 専修大学松戸高等学校
3.2. 年度別打撃成績
年 度 | 所 属 | 試 合 | 打 席 | 打 数 | 得 点 | 安 打 | 2 塁 打 | 3 塁 打 | 本 塁 打 | 塁 打 | 打 点 | 盗 塁 | 盗 塁 死 | 犠 牲 バ ン ト | 犠 牲 フ ラ イ | 四 球 | 故 意 四 球 | 死 球 | 三 振 | 併 殺 打 | 打 率 | 出 塁 率 | 長 打 率 | O P S |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2017 | ヤクルト | 2 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | .000 | .000 | .000 | .000 |
2019 | 16 | 9 | 7 | 5 | 1 | 0 | 0 | 1 | 4 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | .143 | .250 | .571 | .821 | |
2020 | 33 | 12 | 11 | 7 | 3 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 2 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 3 | 0 | .273 | .333 | .273 | .606 | |
2021 | 94 | 42 | 35 | 19 | 6 | 2 | 0 | 0 | 8 | 3 | 5 | 2 | 5 | 0 | 1 | 0 | 1 | 9 | 1 | .171 | .216 | .229 | .445 | |
2022 | 49 | 17 | 16 | 6 | 2 | 1 | 0 | 0 | 3 | 2 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | .125 | .125 | .188 | .313 | |
2023 | オリックス | 1 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | .000 | .000 | .000 | .000 |
通算:6年 | 195 | 84 | 73 | 37 | 12 | 3 | 0 | 1 | 18 | 6 | 10 | 5 | 7 | 0 | 2 | 0 | 2 | 21 | 1 | .164 | .208 | .247 | .454 |
3.3. 年度別守備成績
年 度 | 球 団 | 外野 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
試 合 | 刺 殺 | 補 殺 | 失 策 | 併 殺 | 守 備 率 | ||
2019 | ヤクルト | 10 | 7 | 0 | 0 | 0 | 1.000 |
2020 | 25 | 12 | 0 | 0 | 0 | 1.000 | |
2021 | 85 | 45 | 2 | 2 | 0 | .959 | |
2022 | 44 | 20 | 0 | 1 | 0 | .952 | |
2023 | オリックス | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1.000 |
通算 | 165 | 86 | 2 | 3 | 0 | .967 |
3.4. 記録
3.4.1. 初記録
- 初出場・初打席:2017年9月3日、対広島東洋カープ23回戦(明治神宮野球場)、4回裏に山本哲哉の代打で出場、岡田明丈から三飛
- 初安打・初打点・初本塁打:2019年5月10日、対読売ジャイアンツ7回戦(東京ドーム)、6回表に田口麗斗から左越ソロ
- 初盗塁:2019年8月1日、対横浜DeNAベイスターズ18回戦(横浜スタジアム)、9回表に二盗(投手:武藤祐太、捕手:戸柱恭孝)
3.5. 背番号
- 49(2016年 - 2023年)
3.6. 登場曲
- 『On My Mind』エリー・ゴールディング(2016年 - 2018年)
- 『Livin' On A Prayer』ボン・ジョヴィ(2019年)
- 『Forever Love』X JAPAN(2020年 - 2021年)
- 『Rusty Nail』X JAPAN(2021年 - )
4. 評価
渡邉大樹選手は、俊足と堅守を武器に、東京ヤクルトスワローズでユーティリティプレイヤーとして貢献した。特に、2021年には代走や守備固めとしてチームの日本一に大きく貢献し、その存在感を示した。オリックス・バファローズへの移籍後も期待されたが、新たな環境での活躍は限定的となり、惜しまれつつ現役を引退。しかし、引退後は古巣であるヤクルトのスコアラーとして、選手を支える立場から野球界に貢献を続けている。彼のキャリアは、プロ野球選手としての役割の変化や、チームにおける献身的なプレーの重要性を象徴している。
5. 関連項目
- 千葉県出身の人物一覧
- 東京ヤクルトスワローズの選手一覧
- オリックス・バファローズの選手一覧
6. 外部リンク
- [https://sp.baseball.findfriends.jp/player/19970029/ 選手情報] - 週刊ベースボールONLINE
- [https://draft.npb.jp/draft/2015/draftlist_s.html 2015年日本プロ野球新人選手選択会議 - 東京ヤクルトスワローズドラフト指名選手一覧] - 日本野球機構公式サイト