1. 概要
牧太一郎(まき たいちろう、Taichiro Maki英語、1980年3月19日 - )は、日本のプロレスラー、YouTuberである。旧リングネームの石狩太一(Taichi Ishikari英語)から短縮され、現在は「タイチ」(Taichi英語)のリングネームで知られている。現在は新日本プロレス(NJPW)に所属し、ユニット「Just 5 Guys」のメンバーとして活動している。
タイチはこれまでに、NEVER無差別級王座に2度、IWGPジュニアタッグ王座に2度、IWGPタッグ王座に3度(ザック・セイバーJr.とのタッグで)輝いている。また、悪役ユニット「鈴木軍」の創設メンバーの一人として、2011年の結成から2022年の解散まで所属した。さらに、KOPW王座(プロビジョナルチャンピオン)を2022年と2023年に獲得している。彼のキャリアを通じて、全日本プロレス(AJPW)、CMLL、ハッスル、ノア、TNAなど、様々なプロレス団体で活動してきた。
2022年2月25日にはYouTubeチャンネル「聖帝タイチのゲーム実況チャンネル」を開設し、YouTuberとしても活動を開始。活動ジャンルは主にエンターテイメントとゲーム実況である。2024年7月4日時点で登録者数は4.36万人、総再生回数は827万回に達している。本記事では、彼のプロレスラーとしてのキャリア、人物像、レスリングスタイル、およびプロレス界に与えた影響を包括的に記述する。
2. 初期キャリアと背景
タイチの幼少期からプロレスデビュー前の人生、そしてプロレスラーを志すきっかけとなった学生時代のアマチュアレスリングでの経験と成果を詳述する。
2.1. 幼少期と教育
中学時代からプロレスファンであり、一人でトレーニングを積んでいた。中学3年生の時には、札幌で開催されたパンクラスの入門テストに合格したが、両親の反対により北海道岩見沢農業高等学校へ進学した。大学に進学したものの、授業にはほとんど出席せず、パチンコ店に入り浸る生活を送っていた。そのままアルバイト店員として働き続け、大学を中途退学している。
2.2. アマチュアレスリング時代
高校時代は、道内でも有数の強豪校であったレスリング部に所属。その実力を遺憾なく発揮し、1997年の国体北海道大会予選では63kg級で準優勝の成績を収め、インターハイにも出場を果たした。高校時代にプロレスラーになることを志していたタイチにとって、アマチュアレスリングの経験はプロとしての基礎を築く上で重要な期間となった。
3. プロレスキャリア
タイチのプロレスデビューから現在までの活動を時系列に沿って詳細に記述する。
3.1. 全日本プロレス及びフリーランス時代 (2002年-2005年)
2001年、全日本プロレスが夏に開催した第1回BATTキャンプに参加し、コーチを務めていた馳浩に直訴して入門を許可された。そして、2002年12月2日、新潟県長岡市厚生会館大会で「石狩太一」としてプロレスデビューを果たした。当初は1年で体重を10 kg増やすという条件でデビューが内定していたが、選手の欠場が相次いだため、条件を満たさないまま土方隆司戦でリングに上がることになった。彼の入場曲には、出身地の北海道にちなんで松山千春の「季節の中で」が採用された。
プロデビューから約半年後の2003年5月12日には、ヘビー級の河野真幸から自身初のシングル勝利を収めた。同年3月には、全日本プロレス退団を控えていた天龍源一郎とのシングルマッチが組まれた。天龍本人の希望により実現したこの初対戦では、天龍サイドのセコンドに大仁田厚が全日本プロレスのジャージ姿で登場するという異例の光景が見られた。試合後、天龍は「物足りなかったから、もう一回石狩太一と再戦したいね」とコメントを残している。
2004年2月には、ジュニア戦線の主要選手として大阪プロレス主催の『スーパーJカップ』に全日本代表として出場したが、1回戦で村浜武洋に敗れた。同年、川田利明とタッグを組み、「秋祭記念タッグトーナメント」で優勝し、初のトーナメントタイトルを獲得した。この頃、タイチは全日本プロレスにとって久々のジュニアヘビー級有望株として注目されており、その素早い動きと闘志溢れるファイトで頭角を現していた。2005年初頭には、TAKAみちのくが保持する世界ジュニアヘビー級王座に挑戦したが、奪取には至らなかった。
2005年2月、師である川田利明の退団に伴い、全日本プロレスを退団してフリーランスとして活動を開始した。彼は多くの団体を転々としながら新たな定住先を探し、ハッスルや短命に終わったキングスロードなどの団体に参戦した。2005年9月1日には、地元北海道札幌メディアパーク・スピカでTAKAみちのくの保持する世界ジュニアヘビー級王座に挑戦したが、再び敗れた。
ハッスルでは、不遜で非常識な言動で先輩選手たちに怒られるというキャラクターで注目を集め、「控え室のスーパースター」と呼ばれた。川田が高田モンスター軍に寝返った後、彼との間で愛憎師弟対決を4度行ったが、全て返り討ちに遭っている。また、一時期は女子レスラー風の衣装と化粧を施し、「石狩太子(たいこ)」というリングネームを使用していた。しかし、バラエティ色がエスカレートするハッスルについていけなくなり、自ら契約を打ち切って離脱。その後は旧友の宮本和志が所属していたキングスロード、そして一時的にZERO-ONE MAXに参戦した。2004年5月26日には、Total Nonstop Action Wrestling(TNA)の「2004 World X Cup」にTeam Japanの一員として参戦し、バトルロイヤルとラダーマッチに出場した。2008年のTeam Japanにも参加が噂されたが、代わりにプーマが選出されている。
3.2. 新日本プロレス初期及びメキシコ遠征 (2005年-2010年)
2006年6月、新日本プロレスの単発興行「WRESTLE LAND」に邪道、外道とトリオを組み、「北海道」のリングネームで出場した。同年中盤からは新日本プロレスの大会に頻繁に登場するようになり、2009年には正式に所属選手となった。2006年7月には総合格闘技イベント「MOVE ON! Kings!」で総合格闘技に初挑戦する予定だったが、腰のヘルニアと右肩腱鎖関節損傷のため欠場した。
2008年、ミラノコレクションA.T.と共にTNAへ遠征したが、試合に出場することなく早期に帰国した。帰国後、ミラノの得意技であるロープパラダイスや透明犬(後に「ミケコ」と命名)のギミックを真似るようになり、ミラノとの抗争に発展。シングルマッチを2度行ったがいずれも敗れた。しかし同年11月、犬猿の仲であったミラノと和解し、タッグチーム「ユニオーネ」を結成。このタッグで「G1 TAG LEAGUE」に初出場したが、1勝に終わった。
2009年1月4日には、レッスルキングダムIIIの第0試合に出場。同年4月よりリングネームを「石狩太一」から現在の「タイチ」へと改名した。同年6月には2年ぶりに「BEST OF THE SUPER Jr.」に出場した。6月20日のDOMINION6.20では、IWGPジュニアタッグ王座挑戦権を賭けてApollo 55(田口隆祐&プリンス・デヴィット組)と対戦し、熱戦を展開したが敗れた。7月20日には、札幌大会でIWGPジュニアタッグ王座を奪還したApollo 55の初防衛戦の相手として、ミラノと共にIWGPジュニアタッグ王座に初挑戦したが、ミラノがフォールを奪われ、王座獲得はならなかった。その後、ミラノが目の負傷で長期欠場(後に引退)したため、金本浩二とタッグを結成した。
2010年1月19日、CMLLへの長期遠征が発表され、同年2月15日にメキシコへ出発した。2月19日(現地時間)にはアレナメヒコ大会のセミファイナルでCMLLデビューを果たし、内藤哲也、レイ・メンドーサ・ジュニアと組んでストロングマン、ミステル・ニエブラ、マキシモ組を2-0のストレートで破った。3月21日のアレナコリセオ大会で対戦相手のラ・マスカラのマスクを剥いだことから、両者の間で因縁が勃発した。
同年5月7日、棚橋弘至、OKUMURAと組んでラ・マスカラ、イホ・デル・ファンタズマ、エクトール・ガルサ組とCMLL世界トリオ王座を賭けて対決。これに勝利し、自身初のタイトル獲得となった。しかし、5月21日の初防衛戦で同王座を陥落させ、短命政権に終わった。5月23日にはマキシモのキス攻撃を受けてしまったことから再び因縁が勃発。同年6月6日、CMLLのビッグイベント「シン・サリダ」のメインイベントでカベジェラ・コントラ・カベジェラマッチとしてマキシモと対戦し、パワーボムで敗れて丸坊主となった。しかし、この試合によってメキシコプロレス界での知名度を一躍高めた。その後、一度新日本プロレスに帰国した後、同年10月には再びCMLLに2ヶ月間滞在した。

3.3. 鈴木軍時代: ジュニアヘビー級での活動 (2010年-2017年)
2010年12月、メキシコ遠征から帰国したタイチは、TAKAみちのく、NOSAWA論外と共に、新日本プロレスに復帰した小島聡の下に集い、ユニット「小島軍(仮)」を結成した。この時期、タイチはセコンドとして頻繁に試合に介入し、小島を過剰に絶賛する「太鼓持ち」として活躍した。しかし、「NEW JAPAN CUP」以降、小島が真壁刀義との抗争を通じて1対1の真剣勝負にこだわるようになり、試合開始直前にリングから追い出されるようになったことで、タイチは小島に対し不信感を抱くようになった。
2011年1月30日、本来はTAKAみちのく&NOSAWA論外組が挑戦する予定だったApollo 55(田口隆祐&プリンス・デヴィット)の保持するIWGPジュニアタッグ王座に、TAKAの負傷によりタイチが代理出場した。同年3月20日には、TAKAと共に再びApollo 55のIWGPジュニアタッグ王座に挑戦したが、デヴィットのブラディサンデーに敗れ、王座奪取はならなかった。4月29日には広島大会で田口の保持するCMLL世界ウェルター級王座に挑戦したが、田口の新技に敗れた。
2011年5月3日、真壁と小島の試合後、タイチはTAKAと共に小島を襲撃。乱入した鈴木みのると共闘を宣言し、新たなヒールユニット「鈴木軍」を結成した。この頃からタイチも鈴木の異名である「世界一性格の悪い男」になぞらえて、「世界一性格の小ズルい男」と称されるようになった。同年9月11日、タイチはTAKAとのタッグでApollo 55のIWGPジュニアタッグ王座に三度挑戦。前日から田口の膝を負傷寸前まで追い込み優位に試合を進めたものの、最後は田口のラ・マヒストラルに敗れ、王座奪取には至らなかった。同年12月9日のJ SPORTS CROWN~ドリームマッチ~では、ファン投票でジュニアヘビー級ワーストワンとなり、ヘビー級ワーストワンとなったヒデオ・サイトーとのシングルマッチが組まれたが、ヒデオではなくキャプテン・ニュージャパンが登場し、タイチはキャプテンのデビュー戦の相手を務めることになった。
2012年6月、BEST OF THE SUPER Jr.最終戦の6人タッグマッチで、タイチは獣神サンダー・ライガーのマスクの角と髪の毛をむしり取るという暴挙を敢行。最後はタイチ式外道クラッチでライガーから3カウントを奪取した。同年6月16日からはTAKAと組んで空位となったIWGPジュニアタッグ王座を巡り、ライガー&タイガーマスク組と対戦。前回同様にライガーのマスクを破ったが、その下から現れた「鬼神ライガー」に赤の毒霧を浴びせられ、さらにテーブルへのパワーボムを喰らった。最終的にTAKAがタイガーからフォールを奪われ敗戦した。同年8月には、最近の連敗をTAKAの責任とするようになり、TAKAみちのくのプロレス団体KAIENTAI DOJO主催の大会で、敗者が鈴木軍を追放されるというマッチメイクが組まれた。しかし、試合中に鈴木みのるが乱入し、両者を和解させ、ノーコンテストとなった。同年9月5日、タイチはメキシコへ再遠征し、CMLLで再び「ラ・オラ・アマリージャ」への加入を打診されたが、鈴木みのると鈴木軍への忠誠を誓い、これを断った。9月7日のCMLL復帰戦では、棚橋弘至、ナマハゲ、OKUMURAと組んで日本vsメキシコチームによる「トルネオ・シベルネティコ」に出場。自身はラ・マスカラに敗れ脱落したが、試合に介入し棚橋が勝利するのを手助けした。同年10月14日に日本へ帰国した。
2013年1月、交通事故により膝を負傷し、長期欠場を余儀なくされた。同年4月に復帰した際、膝装具を装着し、これをレフェリーの目を盗んで攻撃に利用。新たな膝蹴り技「邪外殺し」を開発した。同年5月24日、「BEST OF THE SUPER Jr. 2013」に出場し、最初の4試合をすべて勝利するという好スタートを切った。これらの勝利には、TAKAみちのくの介入や、獣神サンダー・ライガーを建物から締め出してカウントアウト勝ちを収めるなどの「ズル賢い」戦術が用いられた。しかし、5戦目でCMLLのティタンに敗れると、その後の3試合もすべて落とし、惜しくも準決勝進出を逃した。同年7月20日には、TAKAとのタッグで再びIWGPジュニアタッグ王座に挑戦したが、王者組のフォーエバー・フーリガンズ(ロッキー・ロメロ&アレックス・コズロフ組)に敗れた。7月26日には再びメキシコCMLLに遠征し、マキシモとの抗争を再燃させた。同年9月29日のDestructionでは、IWGPジュニアタッグ王座の次期挑戦者決定戦でTIME SPLITTERS(アレックス・シェリー&クシダ組)に敗れ、王座挑戦権を逃した。しかし、シェリーが負傷欠場したため、TAKAとタイチに急遽チャンスが与えられ、同年10月14日のKing of Pro-Wrestlingでフォーエバー・フーリガンズを破り、第36代IWGPジュニアタッグ王座を獲得。タイチにとって新日本プロレスでの初のタイトルとなった。11月1日には、自主興行「TAKAタイチ興行」で外道&邪道組を相手に初防衛に成功した。しかし、わずか26日後の11月9日、POWER STRUGGLEでヤング・バックス(マット・ジャクソン&ニック・ジャクソン組)に敗れ、王座を失った。
2014年5月、「BEST OF THE SUPER Jr. 2014」では4勝3敗の成績を収め、ブロック首位および準優勝者と同点の勝ち点であったが、直接対決の結果により惜しくも準決勝進出を逃した。しかし、ブロック勝者のアレックス・シェリーが肩の負傷で欠場したため、タイチが繰り上げで準決勝に進出。同年6月8日、準決勝でクシダに敗れ、トーナメントから敗退した。翌6月9日、週刊誌による不倫報道を受け、新日本プロレスから2ヶ月間の出場停止と30%の減俸処分が発表された。同年8月10日に謹慎から復帰し、9月5日には復帰戦として鈴木軍の新メンバーであるエル・デスペラードと新たなタッグチームを結成した。この頃から、タイチはマイクを持ち、歌いながらリングに入場するようになった。9月23日のDestruction in OkayamaでIWGPジュニアタッグ王座に挑戦したが、TIME SPLITTERSに敗れた。11月8日のPOWER STRUGGLEではIWGPジュニアヘビー級王座に挑戦したが、田口隆祐に敗れた。
2015年1月、鈴木軍はプロレスリング・ノアへ侵攻するというストーリーラインを開始。タイチもこの侵攻の一環としてノアに参戦し、同年3月15日、小峠篤司を破りGHCジュニアヘビー級王座を獲得した。その後、同年中には4度の防衛に成功したが、12月23日に石森太二に敗れ王座を失った。この12月23日の防衛戦で、タイチは初めてあべみほをディーヴァとして帯同させ、妖艶な演出で入場した。これは、テレビ番組で共演していたあべみほが同じ北海道出身であることを知り、ラブコールを送ったのがきっかけであった。2016年6月18日、タイチとTAKAみちのくが主催する興行で、試合中、あべみほのブラジャーのホックが外れるというハプニングが発生し、放送事故寸前の惨事となった。しかし、その後の対応が「神対応」と称され、数々のネットニュースで話題となった。2017年に新日本プロレスに戦場を戻してからも、タイチは積極的にあべみほを試合に介入させ、リングサイドから妖艶な魅力と独特のファイトスタイルで、主に田口隆祐を翻弄した。
2016年6月24日、TAKAとタイチがプロデュースした興行で、タイチは4人制のリーグ戦を勝ち抜き、「2016 Super J-Cup」の出場権を獲得した。同年7月20日、新日本プロレスに戻りSuper J-Cupに出場。1回戦で全日本プロレスの青柳優馬を破り、8月21日には2回戦で獣神サンダー・ライガーを破ったが、準決勝で当時のIWGPジュニアヘビー級王者であったKUSHIDAに敗れ、トーナメントから敗退した。鈴木軍のノア侵攻ストーリーラインは2016年12月に終了し、同ユニットは2017年1月5日に新日本プロレスへ帰還した。
2017年3月6日、金丸義信と組んでロッポンギ・バイスを破り、IWGPジュニアヘビー級タッグ王座を獲得。しかし、4月27日の2度目の防衛戦でロッポンギ・バイスに敗れ王座を失った。翌5月、「BEST OF THE SUPER Jr. 2017」に出場し、4勝3敗の成績を収めたが、決勝進出はならなかった。
3.4. ヘビー級転向と台頭 (2018年-2022年)
2018年1月23日、後楽園ホールで行われた「タカタイチマニア」でのデビュー15周年記念試合で内藤哲也と対決。試合はデスティーノに敗れたものの、バックステージで内藤がタイチの試合ぶりを称賛し、ヘビー級転向を勧めた。同年2月10日、大阪大会でYOSHI-HASHIを破った内藤を花道で背後から襲撃し、タイチのヘビー級転向が確実なものとなった。2月26日、新日本プロレスワールドで春の最強戦士決定戦『NEW JAPAN CUP2018』への出場が発表され、初戦は棚橋弘至とのシングルマッチが組まれた。
2018年3月6日、大田区総合体育館で行われた新日本プロレス旗揚げ記念興行で正式にヘビー級へ転向し、内藤と再戦。ヘビー級転向後最初の技は奇襲攻撃による場外乱闘から、内藤を花道へ引きずり出してのステップキック、そしてパワーボムホイップを放ったが、最後は自身のスタンドマイクを脳天に振り下ろされ、デスティーノに敗れた。その後、ヘビー級転向後初のトーナメント戦となる「NEW JAPAN CUP2018」に初出場。3月10日、愛知県体育館大会でのNEW JAPAN CUP2018 1回戦では、新日本プロレス所属後初のメインイベントで棚橋と対決したが、ハイフライフローに沈んだ。
同年6月9日の大阪城ホール大会「Dominion」では、NEVER無差別級王座をめぐり、王者後藤洋央紀とマイケル・エルガンを含めた3wayマッチで対戦したが、エルガンが後藤をピンフォールしたため、王座獲得には至らなかった。同年7月から8月にかけて開催された「G1 CLIMAX」にはエントリーされなかったため、SNS上では賛否両論が渦巻いた。同年9月17日、別府ビーコンプラザにて後藤洋央紀を破り、NEVER無差別級王座を奪取。ヘビー級転向後、初の王座戴冠となった。同年11月3日のPOWER STRUGGLEでは、後藤洋央紀との再戦でNEVER無差別級王座を失い、47日間の短い王座保持期間に終わった。11月17日から12月9日にかけて、鈴木軍の盟友ザック・セイバーJr.と組んで「WORLD TAG LEAGUE 2018」に初出場。8勝5敗の成績で、惜しくも決勝進出はならなかった。
2019年1月5日、「New Year Dash」の後楽園ホール大会で行われた10人タッグマッチで、内藤哲也チームと対戦し、最後はベルト攻撃からのブラックメフィストで勝利を収めた。この実力行使により、同年2月3日の札幌大会で内藤の保持するIWGPインターコンチネンタル王座への挑戦が内定した。2月3日、北海道立総合体育センター(北海きたえーる)大会で行われたIWGPインターコンチネンタル選手権試合では、入場中の内藤を飯塚高史によって襲撃させ、一時はドクターチェックに追い込むなど、試合中盤まで内藤を圧倒した。しかし、終盤に内藤に挽回され、21分31秒、デスティーノからの片エビ固めで敗れ、王座奪取はならなかった。2月19日には『ジャイアント馬場没後20年追善興行』第4試合に出場。試合後、馬場元子への愛憎入り混じったコメントと感謝を述べた。同年2月21日に行われた飯塚高史の引退試合では、鈴木みのると共に飯塚のタッグパートナーを務めた。試合後には、場内を徘徊する飯塚を呼び止め、マイクを握るよう促したが、飯塚は応じなかった。また、リング上に残されたアイアンフィンガー・フロム・ヘルを回収し、事実上、飯塚からタイチへ継承された形となった。
同年5月3日の福岡大会にて、ジェフ・コブを下し、自身2度目のNEVER王座戴冠を果たす。しかし、6月9日の大阪大会で石井智宏に敗れ、初防衛はならなかった。昨年は選出されなかった「G1 CLIMAX」にBブロックでエントリー。過去にシングル戦では一度も勝利したことがなかった内藤や石井に勝利を収めるなど、存在感を示したが、結果は4勝5敗と負け越しで予選敗退となった。G1後、内藤哲也との短い抗争を開始。DOUKIと組んでKing of Pro-Wrestlingで内藤&鷹木信悟組に反則負けを喫し、POWER STRUGGLEでは内藤とのシングルマッチに敗れた。同年「WORLD TAG LEAGUE 2019」では、再びザック・セイバーJr.とタッグを組み、「デンジャラス・テッカーズ」や「ゴッドスピード・ユー!ザック・エンペラー」と非公式に名乗り、9勝6敗の18ポイントで大会を終えた。
2019年12月、レッスルキングダム14への出場が発表された。2020年1月4日、鈴木軍のメンバー(鈴木みのる、ザック・セイバーJr.、エル・デスペラード)と共に、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(EVIL、SANADA、鷹木信悟、BUSHI)を相手に8人タッグマッチで勝利を収めた。1月5日には、プレショーの「ガントレットマッチ」でデスペラード、金丸義信と組んでNEVER無差別級6人タッグ王座に挑戦したが、奪取には至らなかった。
2020年2月2日、THE NEW BIGGING in SAPPOROの北海きたえーる大会メインイベントで、12年ぶりにオカダ・カズチカとシングルマッチを戦った。結果的に3カウントを奪われたものの、かつてのジャンボ鶴田や師である川田利明をも彷彿とさせる動きを見せ、解説のミラノコレクションA.T.からは「一人全日本か」と評されるほどの凄みを発揮し、観客を魅了した。2月21日、後楽園大会のメインイベント終了後、IWGPタッグ王座を獲得した棚橋弘至&飯伏幸太組をザック・セイバーJr.と共に襲撃し、次期挑戦をアピール。しかし、その後に新型コロナウイルス感染拡大防止のため興行活動が完全停止されたことから、挑戦は先送りとなった。
2020年7月12日、大阪城ホールで開催された「DOMINION in OSAKA-JO HALL」の第6試合で、ザック・セイバーJr.とのタッグで、棚橋弘至&飯伏幸太組のIWGPタッグ王座に挑戦し、合体技で棚橋に3カウントを奪取。第87代IWGPタッグ王座を獲得した。同年7月31日付で正式に返上されたNEVER無差別級6人タッグ選手権の新王者組を決定するトーナメントが8月6日から8月9日にかけて後楽園ホール4連戦で開催され、ザックと金丸をパートナーに出場したが、8月7日に行われた1回戦で、抗争中のゴールデンエース(棚橋&飯伏)&マスター・ワト組に敗れた。8月29日、SUMMER STRUGGLE in JINGUのセミファイナルで前王者組とのリマッチに臨み、王座初防衛に成功した。同年「G1 CLIMAX」にも2年連続でエントリー。地元北海道での公式戦で鈴木みのるとの同門対決に勝利した他、飯伏幸太との最終戦では蹴り技だけで試合を組み立てるなど、4勝5敗と負け越したものの、存在感を示した。11月にはIWGPタッグ王者として「WORLD TAG LEAGUE 2020」にエントリー。リーグ戦を勝ち越しで終えたが、予選で敗退した。
2021年1月4日、東京ドーム大会でゲリラズ・オブ・デスティニーに敗れ、タッグ王座とアイアンフィンガー・フロム・ヘルを奪われてしまう。2月10日、広島サンプラザホール大会にてリマッチが決定したが、アイアンフィンガー・フロム・ヘルを取り戻すも、王者組に地獄突きを行い反則負けとなり、王座奪還とはならなかった。3月、NEW JAPAN CUP 2021にエントリーするも、後藤洋央紀に敗北し、1回戦で姿を消した。5月3日、福岡国際センターにて、タマ・トンガとのアイアンフィンガー・フロム・ヘル争奪ラダーマッチが決定した。最後はアイアンフィンガーを獲得し勝利。この試合は「獲得したアイアンフィンガーは封印する」というルールの下で行われたため、試合後には以前の持ち主であった飯塚高史のテーマ曲が流れた。翌5月4日にはIWGPタッグ王座への再挑戦を表明した。5月24日、自身が新型コロナウイルスに感染していたことを公表した。6月1日、ザック・セイバーJr.とのタッグで、後楽園ホール大会にてIWGPタッグ選手権に勝利し、王座奪還に成功した。
同年7月11日、真駒内屋内競技場大会にて、内藤哲也&SANADA組を相手に初防衛戦を行うも、パートナーのザック・セイバーJr.が内藤のデスティーノで敗れ、王座から陥落。試合終了後、勝利コメント中の内藤&SANADA組の前に現れ、東京ドーム大会でのリマッチを表明。これにより2週間後の東京ドーム大会でのIWGPタッグ選手権、そして7月22日、23日の大阪大会2連戦で前哨戦スペシャルシングルマッチ(22日vs内藤、23日vsSANADA)が決定した。7月22日、大阪大会初日では内藤に勝利するも、翌23日の2日目ではSANADAに敗北という結果となった。7月25日、東京ドーム大会にてIWGPタッグ選手権を行い、最後はザック・セイバーJr.が内藤をヨーロピアンクラッチで丸め込み勝利。わずか2週間で王座奪還を果たした。9月5日、西武ドーム大会にて内藤&SANADA組、後藤洋央紀&YOSHI-HASHI組との3wayマッチが行われ、タイチがYOSHI-HASHIにブラックメフィストを決め、王座防衛を果たした。
2022年1月4日、東京ドーム大会で後藤洋央紀&YOSHI-HASHI組に敗れ、IWGPタッグ王座を失った。1月8日、横浜アリーナ大会で行われたノアとの対抗戦では、鈴木みのる&TAKAみちのくとタッグを組み、杉浦貴&桜庭和志&矢野通組(矢野は当初出場予定だったKENTAの負傷欠場による代替)と対戦した。
3.5. Just 5 Guys結成と近年の活動 (2023年-現在)
2022年2月25日、長年の夢であったYouTubeでのゲーム実況を開始するため、『聖帝タイチのゲーム実況チャンネル』を開設し、YouTuberデビューを果たした。当初は新日本プロレスのモバイルゲーム「新日SS」のソロ配信が中心だったが、後にチームメイトのエル・デスペラード、金丸義信、DOUKI、TAKAみちのくも出演するようになった。ゲームコンテンツも原神やFall Guysなどに広がり、視聴者のスーパーチャットへのツッコミも誕生した。
2022年3月2日から開催された「NEW JAPAN CUP 2022」では、初戦で矢野通に勝利するも、3回戦でオカダ・カズチカに敗れた。同年4月9日の両国国技館大会では、矢野通が保持するKOPW2022に挑戦。タイチが提案した「ノーロープ場外押し出しマッチ」が採用され、タイチが矢野を場外に押し出して勝利し、KOPW2022第3代保持者となった。しかし、4月25日の広島サンプラザホール大会にて、鷹木信悟を挑戦者にKOPW2022防衛戦を行った。タイチ提案の「30カウントピンフォールマッチ」(トータルで30カウントを獲得した選手の勝利)が採用されたが、激戦の末、鷹木に30カウントを奪取され、防衛失敗に終わった。5月6日、後楽園ホールにて「タカタイチマニア2.5」を開催。タイチはヨシ・タツと「タイチ&ヨシタツ デビュー20周年記念スペシャルシングルマッチ」を行い勝利を収めた。同年9月12日に国立代々木競技場第二体育館で開催されたTAKAみちのく30周年記念大会では、タイチとヨシ・タツがタッグを組み、後藤洋央紀・田口隆祐組と対戦したが、ヨシ・タツがフォール負けを喫した。6月12日の大阪城ホール大会「DOMINION in OSAKA-JO HALL」にて、鷹木信悟へのKOPW2022リマッチに挑戦。「鷹木式10分無制限ピンフォールマッチ」(10分間でのピンフォールカウントが多い選手が勝利)にて敗れた。同年7月16日から開催された「G1 CLIMAX 32」ではBブロックにエントリーし、2勝4敗・勝ち点4で敗退した。10月には、初代NJPW WORLD認定TV王座を決定するトーナメントに出場したが、1回戦でSANADAに敗れ、敗退した。12月19日、国立代々木競技場第二体育館にて開催された「タカタイチ2人合わせて50周年記念興行」(タカタイチマニア最終興行)のメインイベントで、鷹木信悟の保持するKOPW2022に挑戦。「鷹木式ラストマン・スタンディング・ランバージャックデスマッチ」という特殊ルールでの激闘となったが、鷹木に敗れ、鷹木がKOPW2022年間覇者となった。
同年12月14日、仙台サンプラザホール大会の試合後に、鈴木みのるが2022年限りでの鈴木軍解散を発表した。12月23日、新日本プロレス年内最終興行である後楽園大会にて、メインイベントで「鈴木軍ファイナル」と銘打ったラストマッチが行われ、鈴木軍は正式に解散した。試合後には飯塚高史が乱入し、鈴木軍の旗が掲げられたリング上で9人全員がポーズを取るという感動的な結末を迎えた。
2023年1月4日、レッスルキングダム17の「ニュージャパンランボー」に出場したが、最後の4人には残れなかった。翌1月5日のNew Year Dash!!大田区総合体育館大会にて、TAKAみちのく、DOUKI、金丸義信と共に新ユニット「Just 4 Guys」を結成した。このユニットはUNITED EMPIRE(フランチェスコ・アキラ、TJP、ウィル・オスプレイ)に勝利を収めた。3月2日から開催された「NEW JAPAN CUP 2023」では、初戦でSANADAと対戦し、敗れたものの、互いにリスペクトを示す場面が見られた。
同年3月17日の後楽園ホール大会にて、NEW JAPAN CUP2回戦で内藤哲也との同門対決に勝利したSANADAが、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンを脱退し、Just 4 Guysへの加入を表明した。これにより5人組となったため、ユニット名を「Just 5 Guys」に改めた。3月21日、SANADAがNEW JAPAN CUPを制覇し、タイチとJust 5 Guysのメンバーと共にリング上で祝福した。
SANADAのLIJ離脱をきっかけに、LIJとJust 5 Guysの間で抗争が勃発。タイチはKOPW王者である鷹木信悟との抗争を開始した。同年4月29日、鹿児島県西原商会アリーナ大会「レスリング薩摩の国」にて、鷹木信悟が保持するKOPW2023に挑戦。タイチ提案の「鷹木式トライアドマッチ」(ピンフォール、ギブアップ、KO、TKO、リングアウトの5つの中から3本先取した選手が勝利)が採用され、43分40秒の激闘の末、3-2でタイチが勝利し、KOPW2023第2代保持者となった。同年7月15日から開催された「G1 CLIMAX 33」にはBブロックでエントリーし、3勝4敗・勝ち点6で敗退した。G1後、8月13日にJust 5 GuysはHOUSE OF TORTURE(H.O.T)との抗争を開始。9月25日の神戸ワールド記念ホール大会にて、SHOを挑戦者にKOPW2023防衛戦を行った。タイチ提案の「時間無制限セコンド手錠拘束マッチ」が採用されたが、欠場中の金丸義信の裏切りにより防衛に失敗。金丸はJust 5 Guysを離脱し、H.O.Tに加入した。これによりユニット名は一時Just 4 Guysとなったが、新メンバー"X"の加入が確定したことでJust 5 Guysに戻った。10月9日の両国国技館大会「DESTRUCTION in RYOGOKU」にて、"X"こと、インパクト・レスリングに海外遠征していた上村優也がJust 5 Guysに加入。タイチ、DOUKI、上村のタッグでH.O.Tの金丸、SHO、高橋裕二郎組に勝利を収めた。
同年11月7日、山形県山形ビッグウイング大会「NEW JAPAN ROAD」にて、SHOへのKOPW2023リマッチに挑戦。SHO考案とファン投票による「金丸義信レフェリーマッチ」で、金丸のレフェリングに苦戦するもSHOの誤爆で金丸を排除し、最後は代理で入ったレッドシューズ海野の3カウントで勝利し、KOPW2023第4代保持者となった。12月21日の後楽園ホール大会「JRA有馬記念 presents Road to TOKYO DOME」にて、金丸義信を挑戦者にKOPW2023防衛戦を行った。タイチ提案の「ウィスキーボトルラダーマッチ」(ラダーを使用し、ウィスキーボトルを最初に手にしたものが自由に使える)が採用された。金丸にウィスキーボトルを獲得され、Just 5 GuysとH.O.Tの総力戦の様相となったが、最後はブラックメフィストで金丸から3カウントを奪取。タイチがKOPW2023を防衛し、KOPW2023年間覇者となった。
2024年2月24日、北海きたえーる大会「THE NEW BIGGING in SAPPORO」2日目にて、Just 5 Guysとロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンによる5番勝負が行われ、タイチは鷹木信悟と「負けたほうがYouTubeチャンネルを削除」という条件でのシングルマッチを戦った。タイチがバックドロップホールドで勝利し、自身のチャンネルを守った。バックステージでは、タイチは鷹木がチャンネルを削除する代わりに、タイチのチャンネルに鷹木が出演することを提案した。2月28日には、北海きたえーる大会の結果を受け、タイチのYouTubeチャンネルにて「鷹木ケジメ生配信」と題した配信を実施。鷹木を招いて視聴者参加型の『Fall Guys』対決を行った。3月1日には鷹木が自身のチャンネルにて、チャンネル継続の報告とファンへの謝罪を行った。3月6日から開催された「NEW JAPAN CUP 2024」では、H.O.Tの乱入により初戦で成田蓮に敗れた。同年7月3日、後楽園ホール大会「NEW JAPAN SOUL 2024」にて、「G1 CLIMAX 34 Bブロック出場者決定トーナメント」に出場。準決勝でTJPを下すも、7月5日の東京武道館大会の決勝でボルチン・オレッグに敗れ、G1出場を逃した。
4. レスリングスタイルと得意技
タイチは、試合中に積極的に戦おうとせず頻繁にリングアウトしたり、「正々堂々とやる」と見せかけてサミングを行う、マスクマンに対してマスク剥ぎや中の人のリングネームで呼ぶなど、姑息で「ズル賢い」ファイトスタイルが特徴である。その一方で、時に躍動感のある動きや、師である川田利明を彷彿とさせるハードヒットな蹴り技を駆使した闘い方も見せる。ヘビー級転向後は、よりハードヒットなスタイルが強くなり、反則に頼らないクリーンな勝利を挙げる試合も多くなっている。
4.1. フィニッシュ・ホールド
- ブラックメフィスト(Black Mephisto英語)
現在のタイチのフィニッシュ・ホールド。CIMAの得意技であるシュバインのように、相手を逆さまにかつぎ、相手の足を交差させてマットに垂直落下気味に落とし、脳天から後頭部にかけてダメージを与える変形の水車落とし。CIMAのシュバインが胴タックルから抱え上げるのに対し、タイチのブラックメフィストは相手の股に頭を突っ込んで持ち上げる。技名の由来は、タイチの師匠である川田利明の海外遠征時代のリングネームから来ている。タイチの最上位のフィニッシュホールドとして、後述の天翔十字鳳、タイチ式ラストライド、タイチ式外道クラッチを全てキックアウトされた場合の切り札として使用される。
- 天翔十字鳳(てんしょうじゅうじほう) / トラース・キック(Tras Kick英語)
タイチがヒールターンしてからも愛用し続ける蹴り技の一つ。タイチの場合は、コスチュームのロングタイツを剥ぎ取ってショートタイツに変身する際に放つが、剥ぎ取るまでに時間が掛かり、相手に余裕を与えて返り討ちに遭うこともある。
2016年頃より、両腕を横に広げる独特の構えから繰り出すトラース・キックを天翔十字鳳の名前で使用している。相手に避けられることも多いが、命中した場合は3カウントを取れる場合もある。技名の由来は漫画『北斗の拳』の敵、聖帝サウザーの拳法・南斗鳳凰拳奥義から取られており、トラースキックを放つ際の構えもサウザーが技を出す際の構えを模倣したものである。
- タイチ式ラストライド(Taichi-style Last Ride英語)
ラストライドを決めてから、自身の体を滑らせるように相手に乗せ、エビ固めで固める技。タイチの師匠である川田利明の渾身パワーボムと同様の固め方である。この技で3カウントを取れることもあり、フィニッシュホールドとしても使用される。
- 垂直落下式パワーボム(すいちょくらっかしきパワーボム) / 三冠パワーボム(さんかんパワーボム)
タイチの師匠である川田利明のオリジナル技で、ヘビー級転向後に使用されている。
- タイチ式外道クラッチ(Taichi-style Gedo Clutch英語)
外道クラッチと同型のフォール技。尾崎仁彦リングアナウンサーが外道クラッチとアナウンスしたところ、タイチのパートナーのTAKAみちのくが「牧クラッチだよ!」と抗議することがあった。それ以降は何度か呼び名が移り変わり、現在の技名に定着した。タイチの場合は、レフェリーのブラインドを突いて急所攻撃を見舞ってから移行するのが主流となっている。
- 地獄突き(じごくづき) / アイアン・フィンガー・フロム・ヘル(Iron Finger From Hell英語)
引退した飯塚高史が使用していた鉄製グローブをはめての地獄突き。凶器攻撃の一種のため、基本的にレフェリーのブラインドを突いて行われ、発見された場合は即反則負けとなってしまう。だが、2021年5月3日のタイチVSタマ・トンガとのアイアンフィンガー・フロム・ヘル争奪マッチにおいてタイチが勝利し、アイアンフィンガーは封印された。
4.2. 打撃技
- エルボー
- エルボー・スタンプ
- バックエルボー
- 横綱式カチ上げエルボー(よこづなしきカチ上げエルボー)
2021年7月22日の内藤哲也戦で初披露。同年の大相撲七月場所で復活優勝を飾った白鵬関が千秋楽結びの一番で見せたかち上げを模倣した技。四股を踏み、立会いの状態から相手に突進をかけ見舞うエルボー。試合の最終盤、タイチのフィニッシュ・ホールドへ繋げる際に多用される。2022年のNEW JAPAN CUP以降は、相手を仕留めるフィニッシュ技として使用する機会も増えた。
- 逆水平チョップ
- ジャンピングハイキック
対戦相手の顔面をジャンプして蹴りつける荒技。師匠である川田利明を彷彿とさせる技の一つで、時折、師匠ばりの叫び声を上げながら蹴りつける。
- スライディングキック
ロープへ跳んで助走をつけ、尻餅を着かせた相手の左側頭部を足の甲で捕らえる。時折、フィニッシュ技としても用いられる。
- バズソーキック
中腰の相手に放つ側頭部への回し蹴り。試合中盤に放つケースが多い。
- フロントハイキック
タイチの師である川田利明が得意とするコーナーへの串刺し式も使用している。
- アックスボンバー
大森隆男から採用した技で、「アックスボンバー!」と叫びながら串刺し式で繰り出す。タッグマッチの際は、両腕で二人同時に叩きつける型も見せる。鈴木軍の試合では、タイチの串刺し式アックスボンバーを皮切りに他のメンバーが「アックスボンバー!」と叫びながら、フロントハイキックやフライングエルボーなど、アックスボンバーとは関係のない技を串刺し式で浴びせていく連携も行われた。
- 邪外殺し(じゃがいごろし)
膝装具を身に着けての膝蹴り。2013年上半期より使用していた技である。
- ドロップキック
タイチのドロップキックは打点が高く、フォームも美しい。ヒール転向後は全く見られなくなったが、2020年2月2日のオカダ・カズチカ戦で放った。
- ステップキック
これもタイチの師である川田利明が得意とする蹴り技の一つ。相手の頭を抑えつけ、顔面を小刻みに蹴り上げる。
- サッカーボールキック
- 各種キック
- ローキック
- ミドルキック
- ハイキック
- ローリング・ソバット
- マトリックス(Matrix英語)
相手をコーナーにスルーし、助走をつけながらセカンドロープに足を乗せながらロープを踏み台にして軽く跳躍した後、振り上げた足の甲で相手の側頭部を捕らえる。
- マトリックス2(Matrix 2英語)
マトリックスの改良版。上述の通りに跳躍し、ドロップキック気味に相手の胸を蹴り上げる。
4.3. 投げ技とパワー技
- ブレーンバスター
- 雪崩式ブレーンバスター
- パワーボム
- タイチ式ライガーボム(Taichi-style Liger Bomb英語)
タイチの数少ない力技の一つ。対角コーナーから走り叩きつけるサンダー・ライガーボムの形になることも少なくない。
- ダークメタモルフォーゼ(とも~み推し)(Dark Metamorphose (Tomoomi Oshi)英語)
トップロープの反動を利用した2段階式パワーボム。技名の由来はタイチが元AKB48の河西智美のファンであることから、河西のニックネームにちなんで名付けられた。
- デンジャラス・バックドロップ(Dangerous Backdrop英語)
ヘビー級転向後に使われ出した技。タイチの場合、頭から急角度に落とすことが多い。ジャンボ鶴田の一連のパフォーマンスからバックドロップホールドも放つことがある。
- スイングDDT
試合中盤で放つことが多い技。回転途中に右手でサードロープを掴んで自身の身体を振り上げ、落差を増す。
- フランケンシュタイナー
相手に側方から飛び付いて旋回しつつ身体を捻って投げ捨てる。ヒール転向後は全く見られなくなった。
- タイチ式ラスト・オブ・ザ・ドラゴン(Taichi-style Last of the Dragon英語)
- タイチ式俺が田上(Taichi-style Ore ga Taue英語)
- 上手投げ
4.4. 関節技
- 聖帝十字陵(せいていじゅうじりょう)
ストレッチプラムと同型の関節技。時折フィニッシュホールドとして用いられることもある。こちらもトラースキックと同様に技名は、北斗の拳に登場するサウザーが劇中で作った(正確には作らせた)、ピラミッドを模した師の墓の名前が由来。
- 鬼葬(おにそう)
飛びついて腕と足を極める複合サブミッション。
4.5. 反則技術
タイチは、その「ズル賢い」キャラクター像を反映し、試合中に様々な反則技術を駆使する。
- ロー・ブロー
- ロー・ブロー・キック
- 凶器攻撃
主に入場時に使用しているマイクスタンドを、試合中にレフェリーのブラインドをついて使用する。また、場外では椅子や机、ゴングを叩く木槌、中継カメラの配線コードで首を絞めるなどを使うことも多い。飯塚高史の引退後からは2019年の引退時まで飯塚が使用していたアイアンフィンガー・フロム・ヘルを携行していた。
- チョークスリーパー攻撃
- 喉輪(のどわ)
2020年以降、試合の展開に関係なく多用している技。自身が好角家であることや、自らのルーツである全日本プロレスで活躍した元力士・田上明の得意技であったことから、使用・その名が付いているが、実際は反則のチョーク攻撃である。レフェリーはチョーク攻撃として反則カウントを取るが、タイチは「お前新人だろ!」「今のはチョークじゃねえ。チョークはこうだ!」と言ってさらに相手にダメージを重ねる展開が一種の「お約束」となっている。この際「新人だろ」と言う相手は、レフェリーが本当に新人であろうとベテランであろうと関係なく言い放つ(マーティー浅見レフェリーにも普通に言ったりする)。
4.6. タッグチーム連携技
タイチは、長年のキャリアの中で様々なパートナーとタッグを組み、独自の連携技を披露してきた。
- ミラノコレクションA.T.
- スーパースクラップキック(Super Scrap Kick英語)
サンドイッチ式のトラースキック。膝をつきグロッキーになった相手の両脇を陣取り、同時にトラースキックを発射し相手の頭部を挟み打つ。
- ユニオーネの竜巻(ユニオーネのたつまき)
タイチが羽交い絞めにし、その隙にミラノがドラゴンスクリューを放つ。羽交い絞めにされ身動きが取れなくなった相手は、ドラゴンスクリューの適切な受身を取ることができないため、靭帯へのダメージは相当なものとなる。
- TAKAみちのく
- みちのくメフィスト(Michinoku Mephisto英語)
ブラックメフィストとみちのくドライバーIIの複合技。ブラックメフィストの要領で担ぎ上げたタイチの正面に回ったTAKAがみちのくドライバーIIの形で相手を抱え込み、相手を頭から落下させる。
- トレイン式アックスボンバー(Train-style Axe Bomber英語)
タイチがコーナーにいる相手にアックスボンバーを放ち、TAKAが膝蹴りを放つ。これにデスペラードが加わるとキャノンボールを放つ。タイチ以外の鈴木軍メンバーが「アックスボンバー!」と叫びながら、全く違う技(ニーバット、エルボー、ボディスプラッシュなど)を串刺し式で放つパターンもあり、最終的には対戦相手も「アックスボンバー!」と叫びながら別の技を繰り出して返されることもある。
- 鈴木みのる
- ローフライフロー(Low Fly Flow英語)
タッグマッチ時、鈴木のアシストで放たれる低空式ボディプレス。試合権利があるタイチがダウンしている時、鈴木が介入して相手をゴッチ式パイルドライバーなどでダメージを与え、タイチを強引に相手の上に投げ飛ばしそのままフォールさせる。名称は、棚橋弘至のフィニッシュホールドであるハイフライフローのオマージュ。
- エル・デスペラード
- 13y5(トレッセイシンコ、13y5 (Tresse Cinco)英語)
デスペラードがギターラ・デ・ラ・ムエルタの体勢に入ったところからタイチが背後からブラックメフィストの体勢を取り、タイミングをあわせ同時に相手をマットに叩きつける連携技。
- 金丸義信
- ハイボールW(ハイボールダブル、Highball Double英語)
タイチがラストライドを決めてから金丸がディープインパクトを決める連携技。
- 白角(はっかく、Hakukaku英語)
タイチがパワーボムで相手を寝かせ、金丸がトップロープからムーンサルトプレスを決める連携技。
- ザック・セイバーJr.
- 天翔ザックドライバー(てんしょうザックドライバー、Tensho Zack Driver英語)
ザックがザックドライバーで持ち上げ、タイチが相手の頭部に天翔十字鳳を決めたあと頭から落下させる合体技。
- ザックメフィスト(Zack Mephisto英語)
上記のみちのくメフィストと同型。
- 俺とザック(おれとザック、Ore to Zack英語)
俺が田上をもじったもの。タイチが喉輪落とし、ザックはバックドロップの形で相手を捉え、同時に投げ叩きつける連携技。
5. 獲得タイトルと功績
タイチのプロレスラーとしてのキャリアにおいて獲得した主要なチャンピオンシップタイトルと、その他の注目すべき功績や受賞歴を以下に一覧で記述する。
- 新日本プロレス
- NEVER無差別級王座(第20代、第25代)
- IWGPジュニアタッグ王座(第36代: w / TAKAみちのく、第50代: w / 金丸義信)
- IWGPタッグ王座(第87代、第89代、第91代: w / ザック・セイバーJr.)
- KOPW2022保持者(第3代)
- KOPW2023覇者(第2代、第4代保持者)
- Road to the Super Jr. 2days Tournament(2011年)
- 全日本プロレス
- 熊秋祭記念タッグトーナメント 優勝(2004年: w / 川田利明)
- プロレスリング・ノア
- GHCジュニアヘビー級王座(第29代)
- CMLL
- CMLL世界トリオ王座(第21代: w / 棚橋弘至 & OKUMURA)
- プロレスリング・イラストレーテッド
- PWI 500(2019年)でシングルレスラー89位
- PWI Tag Team 50(2021年)でタッグチーム3位(w / ザック・セイバーJr.)
- Taka & Taichi Box Office
- Super J-Cup Qualifying League(2016年)
- 東京スポーツ
- 最優秀タッグチーム賞(2021年: w / ザック・セイバーJr.)
6. 人物
タイチは北海道石狩市出身で、血液型はO型である。私生活では、元プロレスラーのOfuneと結婚し、2人の子供がいる。
彼の趣味は大相撲観戦、ゲーム、スロットである。好きな力士は稀勢の里、若元春、若隆元を贔屓にしている。特に白鵬とは面識があり、2021年7月場所千秋楽の照ノ富士戦で物議を醸したかち上げを、品格面を問われた白鵬の勝利への執念と捉え擁護しつつも、その激しさには呆然としていたという。その後、この取組をモチーフにした「横綱式カチ上げエルボー」を自身の技に取り入れている。この他にも、四股を踏む、上手投げといった相撲の動きを試合中に取り入れることがある。好きなゲームは『GTA5』、『地球防衛軍5』、『大相撲ごっつぁんバトル』、『ファイヤープロレスリングワールド』。好きなスロット台はアナザーゴッドハーデスで、最高獲得枚数は20,914枚を記録している。
『陸海空 こんな時間に地球征服するなんて』に出演したことがきっかけでドローンを購入している。鈴木軍時代はあべみほをディーヴァとして起用し、常に帯同させていた。スターダムに所属していた山口菜緒は、あべみほの試合を観戦したことがきっかけでプロレスラーを志し、デビュー戦ではタイチ直伝のアックスボンバーを放った。
タイチは独特のヒールファイトが特徴で、かつては観衆から「タイチは帰れ!」というブーイングを浴びせられていたが、2018年にヘビー級に転向してからは「レッツゴータイチ!」のチャントが起きるようになった。彼は『北斗の拳』の登場人物サウザーの技名や台詞をギミックの一部に取り入れている。
鈴木軍時代は金丸義信、エル・デスペラードと酒を飲んでいる様子を頻繁にTwitterに投稿していた。また、金丸、デスペラードとはTwitter上で頻繁にリプライや引用リツイートのやり取りをしており、トータルテンボスのYouTubeチャンネル「SUSHI★BOYS」にも3人でゲスト出演している。上記の金丸、デスペラード以外にも、Twitter上では後藤洋央紀、田口隆祐などとも頻繁にリプライや引用リツイートのやりとりをしている。2019年にはゴーストリコン ブレイクポイントでSANADAそっくりのキャラクターを作成してこれを「サナやん」と呼称し、これにSANADA本人が「#sanaやん」のタグで反応するといったやりとりも見せている。また、田口隆祐のブログに登場する「巨乳ちゃん」という架空のキャラクターを使って、田口、SANADAとブログ上でクロスオーバー現象も起こしている。
飛行機が苦手で、地方興行の際は陸路移動を好んでおり、北海道に帰省する際も同様に鉄道を利用している。
7. 入場テーマ曲
タイチが試合入場時に使用してきたテーマ曲の一覧と、それぞれの曲にまつわるエピソードや背景について説明する。
- 「pageant」(pageantペイジェント英語、Moi dix Mois)
現在のテーマ曲。鈴木軍結成後は鈴木みのるの入場曲である「風になれ」とミックスされたバージョンや、飯塚高史の入場曲とミックスされたバージョンも使用した。2014年6月まではインストゥルメンタル版を使用していたが、同年6月以降はボーカル入り版を使用し、エアボーカルパフォーマンスをするようになった。新日本プロレスワールドでは、当初は著作権の影響で2015年までは無音で、2016年から2017年1月末までは別の曲に差し替えられていたが、2017年2月5日からはボーカル入り版が通常通りに流れるようになった。
- 「forbidden」(forbiddenフォビドゥン英語、Moi dix Mois)
- 「季節の中で」(松山千春)
デビュー当初に使用された。
- 「OBSCURE」(OBSCUREオブスキュア英語、Dir en grey)
8. メディア出演
タイチが出演したテレビ番組、ウェブドラマ、その他のメディア活動について一覧で記述する。
8.1. テレビ
- 『陸海空 こんな時間に地球征服するなんて』(テレビ朝日)
- 『簡単なお仕事です。に応募してみた』第4話(日本テレビ)
- 『新日ちゃん。』(テレビ朝日)
- 『新日ちゃんぴおん。』(テレビ朝日)- 定期出演
8.2. Web
- dTVオリジナルドラマ『不能犯』(2017年12月、dTV) - 箕輪 修役
9. ルチャ・デ・アプエスタス戦績
メキシコのルチャリブレにおいて、髪の毛やマスクを賭けて行われる「ルチャ・デ・アプエスタス」形式の試合におけるタイチの戦績を以下に整理する。
勝者(賭け) | 敗者(賭け) | 場所 | 大会名 | 日付 |
---|---|---|---|---|
マキシモ(髪の毛) | タイチ(髪の毛) | メキシコシティ | 『シン・サリダ』 | 2010年6月6日 |
10. 外部リンク
- [https://www.njpw.co.jp/profile/709 新日本プロレス 公式プロフィール]
- [https://ishikari.blog.ss-blog.jp/ 新・石狩生活] - 公式ブログ
- [https://twitter.com/taichi0319 @taichi0319] - Twitter
- [https://www.youtube.com/channel/UCMUzMcfAHy9IVBFhIlI-jjw YouTubeチャンネル] - YouTube
- [https://www.youtube.com/channel/UCwDVXDCl-YKr385wKWxObJw 聖帝タイチのゲーム実況チャンネル] - YouTube