1. 概要
マシュー・ジョン・ジャーマン(Matthew John Jurman英語、1989年12月8日 - )は、オーストラリア・ウロンゴン出身のサッカー選手。ポジションはセンターバック。現在、AリーグのマッカーサーFCに所属している。
ジャーマンは、ウェストフィールズスポーツ高校とAISでユース時代を過ごした後、シドニーFCのユースチームでプレーし、2008年には同クラブの初のユースチャンピオンシップ獲得に貢献した。プロとしてはシドニーFCでデビューし、その後ブリスベン・ロアーを経て再びシドニーFCに復帰。Kリーグ1の水原三星ブルーウィングスでは、2017年にKリーグ新人賞を受賞する活躍を見せた。サウジアラビアのアル・イテハド、ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ、ギリシャのクサンティ、ニューカッスル・ジェッツといった国内外の多くのクラブで経験を積んできた。
オーストラリア代表としては、2017年にA代表デビューを果たし、2018 FIFAワールドカップの最終メンバーにも選出された。
2. 幼少期とユース時代
マシュー・ジャーマンは、1989年12月8日にオーストラリアのウロンゴンで生まれた。プロサッカー選手となる前は、地元のウーロンゴン・ウルブスやパッラマッタFCのユースで基礎を築いた。
2.1. ユースでの経歴
2007年にウェストフィールズスポーツ高校を卒業した後、ジャーマンはAISでサッカーの才能をさらに磨いた。AISでは2006年から2007年にかけてプレーし、11試合に出場した。その後、2008年にはシドニーFCのユースチームと契約を結んだ。
シドニーFCユースでの最初のシーズンでは、ジャーマンはクラブ史上初のユースチャンピオンシップ優勝に貢献。この活躍が評価され、当時の監督であったジョン・コズミナの下でシドニーFCとプロ契約を締結した。ユース契約期間は2008年から2011年までとされている。
3. プロクラブ経歴
マシュー・ジャーマンは、キャリアを通じて国内外の複数のクラブでプレーし、それぞれのチームで重要な役割を担ってきた。
3.1. シドニーFC (初期)
ジャーマンは、2007年9月9日のパース・グローリー戦でシドニーFCのトップチームでプロデビューを果たした。この試合では途中出場であった。シドニーFCでの初期の在籍期間中に、リーグ戦で22試合に出場したほか、AFCチャンピオンズリーグ2011でもいくつかの試合に出場した。AFCチャンピオンズリーグでは、鹿島アントラーズとのアウェー戦で2対1と敗れた試合で、シドニーFCでの唯一のゴールを記録した。
2010-11シーズン終盤にはレギュラーに定着し、チームの好調な成績に貢献した。このシーズン中、ゴールドコースト・ユナイテッド戦でチームメイトのジュホ・マカラが得点後、ファンと喜びを分かち合うためにフェンスを飛び越えた際、続いて飛び越えたジャーマンがフェンスの崩落に巻き込まれる事故が発生した。フェンスがジャーマンの足に直撃し、骨折の恐れがあったが、試合後には中程度の腫れと打撲のみで、大きな損傷はなかったと確認された。

3.2. ブリスベン・ロアー
2011年2月10日、ジャーマンがAリーグのブリスベン・ロアーと2年契約を結んだことが確認された。彼は2011-12シーズンからチームに合流し、最初のシーズンでリーグチャンピオンシップを獲得した。ブリスベン・ロアーでは合計34試合に出場し、中心選手として活躍したが、2シーズン後にシドニーFCへ復帰するために退団した。
3.3. シドニーFC (復帰後)
2013年5月2日、ジャーマンは1年契約でシドニーFCへの復帰を発表し、2度目の在籍が始まった。2013-14シーズンでは、メルボルン・ハートとのアウェー戦でブレット・エマートンに代わって64分から出場し、シドニーFCの2対0での勝利に貢献した。2014年3月8日には、シドニーダービーで小野伸二の先制点によって1対1の同点となる59分にヘディングでゴールを決め、これが彼のAリーグでの初ゴールとなった。この試合はシドニーFCが3対1で勝利し、ダービーで初のホームでの勝利を飾った。シドニーFCでの2度目の在籍期間中に、彼はさらに74試合に出場し、2ゴールを挙げている。
3.4. 水原三星ブルーウィングス
2017年1月3日、シドニーFCはジャーマンの退団を認め、彼が韓国のKリーグ1に所属する水原三星ブルーウィングスへ移籍することが確定した。水原三星ブルーウィングスでの登録名はマテュー(매튜韓国語)であった。彼は水原での素晴らしいシーズンを経て、Kリーグ新人賞を受賞した。水原三星ではリーグ戦25試合に出場し2得点を記録したほか、AFCチャンピオンズリーグでも3試合に出場した。
3.5. アル・イテハド
2018年7月9日、サウジアラビアのプロリーグに所属するアル・イテハドが、ジャーマンが2018-19シーズンにチームに加わることを発表した。アル・イテハドではリーグ戦11試合、カップ戦1試合、AFCチャンピオンズリーグ6試合に出場している。
3.6. ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ
アル・イテハドを退団後、ジャーマンはオーストラリアに戻り、ウェスタン・シドニー・ワンダラーズに加入した。2019-20シーズンにはリーグ戦24試合に出場した。
3.7. クサンティ
2020-21シーズン、ジャーマンはギリシャのスーパーリーグ・ギリシャ2に所属するクサンティへ移籍した。クサンティではリーグ戦23試合に出場したほか、その他の試合にも2試合出場した。
3.8. ニューカッスル・ジェッツ
ギリシャでのプレーを経て、ジャーマンは再びAリーグへと戻り、ニューカッスル・ジェッツに加入した。2021-22シーズンにはリーグ戦22試合に出場し、カップ戦にも1試合出場した。2022-23シーズンではリーグ戦20試合に出場し1ゴールを記録したほか、カップ戦にも2試合出場している。ニューカッスル・ジェッツでの合計出場は45試合で1ゴールを記録した。
3.9. マッカーサーFC
現在、マシュー・ジャーマンはAリーグのマッカーサーFCに所属している。2023年4月29日更新の統計によると、マッカーサーFCでは16試合に出場し、ゴールは記録していない。
4. 代表経歴
マシュー・ジャーマンは、ユースレベルではオーストラリアU-20代表として26試合に出場し、2008 AFF U-19ユース選手権で優勝を経験した。また、オーストラリアU-23代表としても6試合に出場している。
A代表には2017年8月に初めて招集された。2017年10月5日、2018 FIFAワールドカップ・アジア4次予選のシリア戦でA代表デビューを果たし、試合は1対1の引き分けに終わった。2018年5月には、ロシアで開催される2018 FIFAワールドカップのオーストラリア代表最終23名に選出された。A代表としては、2017年から2019年にかけて国際Aマッチ8試合に出場している。
5. キャリア統計
マシュー・ジャーマンのクラブおよび国家代表としてのキャリア統計を以下に示す。最新の記録は2023年4月29日時点のものである。
| クラブ | シーズン | リーグ | カップ | 大陸 | その他 | 合計 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ディビジョン | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | ||
| シドニーFC | 2007-08 | Aリーグ | 1 | 0 | - | - | - | 1 | 0 | |||
| 2008-09 | 6 | 0 | - | - | - | 6 | 0 | |||||
| 2009-10 | 7 | 0 | - | - | - | 7 | 0 | |||||
| 2010-11 | 8 | 0 | - | 6 | 1 | - | 14 | 1 | ||||
| 合計 | 22 | 0 | - | 6 | 1 | - | 28 | 1 | ||||
| ブリスベン・ロアー | 2011-12 | Aリーグ | 19 | 0 | - | 3 | 0 | - | 22 | 0 | ||
| 2012-13 | 15 | 0 | - | - | - | 15 | 0 | |||||
| 合計 | 34 | 0 | - | 3 | 0 | - | 37 | 0 | ||||
| シドニーFC | 2013-14 | Aリーグ | 21 | 1 | - | - | - | 21 | 1 | |||
| 2014-15 | 17 | 1 | 2 | 0 | - | - | 19 | 1 | ||||
| 2015-16 | 25 | 0 | 2 | 0 | 7 | 0 | - | 34 | 0 | |||
| 2016-17 | 11 | 0 | 5 | 0 | - | - | 16 | 0 | ||||
| 合計 | 74 | 2 | 9 | 0 | 7 | 0 | - | 90 | 2 | |||
| 水原三星ブルーウィングス | 2017 | Kリーグ1 | 25 | 2 | 0 | 0 | 3 | 0 | - | 28 | 2 | |
| 2018 | 4 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | - | 5 | 0 | |||
| 合計 | 29 | 2 | 0 | 0 | 4 | 0 | - | 33 | 2 | |||
| アル・イテハド | 2018-19 | サウジ・プロリーグ | 11 | 0 | 1 | 0 | 6 | 0 | - | 18 | 0 | |
| ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ | 2019-20 | Aリーグ | 24 | 0 | 0 | 0 | - | - | 24 | 0 | ||
| クサンティ | 2020-21 | スーパーリーグ・ギリシャ2 | 23 | 0 | 0 | 0 | - | 2 | 0 | 25 | 0 | |
| ニューカッスル・ジェッツ | 2021-22 | Aリーグ・メン | 22 | 0 | 1 | 0 | - | - | 23 | 0 | ||
| 2022-23 | 20 | 1 | 2 | 0 | - | - | 22 | 1 | ||||
| 合計 | 42 | 1 | 3 | 0 | - | - | 45 | 1 | ||||
| キャリア合計 | 259 | 5 | 13 | 0 | 26 | 1 | 2 | 0 | 300 | 6 | ||
リーグの統計にはAリーグファイナルシリーズの統計が含まれる。大陸の統計には、グループステージ中に終了したシーズン(例:ACL 2007とAリーグ2006-07シーズンなど)のAFCチャンピオンズリーグの統計が含まれるほか、2005 OFCクラブ選手権の統計も含む。
6. 栄誉
マシュー・ジャーマンが獲得した主な栄誉と功績は以下の通りである。
クラブ
- シドニーFC
- Aリーグチャンピオンシップ: 2009-10
- Aリーグプレミアシップ: 2009-10
- ブリスベン・ロアー
- Aリーグチャンピオンシップ: 2012-13
国家代表
- オーストラリア
- AFF U-19ユース選手権: 2008
個人
- Kリーグ新人賞: 2017年
- シドニーFCシーズン最優秀選手: 2015-16