1. 経歴・人物
上田春佳は、競泳選手としてのキャリアを通じて数々の功績を残し、特に日本記録を更新するなど、日本競泳界において重要な役割を果たした。その経歴は、幼少期からの水泳との出会い、学業と競技活動の両立、そして国際舞台での活躍へと展開する。
1.1. 出生と幼少期
上田 春佳は1988年4月27日に東京都北区で生まれた。幼少期は北区の西ケ原で小学校4年生まで過ごした。5歳からは東京スイミングセンターに通い始め、競泳の基礎を学んだ。血液型はO型で、身長は177 cm、体重は68 kgと、競泳選手として恵まれた体格を持っていた。
1.2. 学業と初期のキャリア
北区立西ヶ原小学校を2001年に卒業後、私立の武蔵野中学高等学校に進学し、中高一貫の6年間を過ごした。中学時代から徐々にその才能を現し始め、競泳選手として頭角を現した。高校2年生になった2005年には、早くも国際舞台に躍り出る。この年の日本選手権で好成績を収め、同年7月にカナダのモントリオールで開催された世界水泳選手権で日本代表としてデビューを果たした。同大会では、女子200m自由形と自由形リレーに出場した。世界水泳選手権から帰国後も休む間もなく、母校の代表として全国高等学校総合体育大会(インターハイ)に出場し、女子200m自由形と400m自由形で二冠を達成し、大型新人として大きな注目を集めた。
高校卒業後の2007年には、日本大学経済学部経済学科に入学した。大学在学中は、大会によって所属を大学と、幼少期から通い続けた東京スイミングセンターとで使い分けていた。
1.3. 選手キャリア
大学2年生の2008年には、北京オリンピックの代表選考会を兼ねた日本選手権で、女子200m自由形において、競泳個人種目の派遣標準タイムには及ばなかったものの優勝を果たした。この結果、4位までの選手のタイムがリレーメンバー選考標準タイムを突破したことで、女子自由形リレーの日本代表として出場権を獲得し、個人種目にもエントリーした。北京オリンピック本番では、予選で1分57秒64の日本新記録を樹立したが、準決勝で敗退した。オリンピック開幕前の2008年6月6日に開催されたジャパンオープン競泳大会では、女子200m自由形に出場し、千葉すずが1999年に記録した1分58秒78を9年ぶりに更新する1分57秒75の日本新記録をマークした。
大学卒業後の進路について悩んでいた際、日本オリンピック委員会が開始したアスナビプログラムを知り、これを利用して就職活動を行った。その結果、大学を卒業した2011年に、カヌーの竹下百合子とともに女子アスリートの第1陣としてキッコーマンに入社した。これ以降、上田は勤務先のキッコーマン所属として活動し、東京スイミングセンターは練習拠点となった。また、平井伯昌が指導する「チーム平井」に加入し、練習に励んだ。
2012年1月には、東京都選手権の女子100m自由形に出場し、54秒33という日本新記録をマークし、同年の日本選手権の出場資格を得た。この日本選手権はロンドンオリンピックの代表選考会でもあり、上田は女子100m自由形で54秒00の日本記録で優勝し、ロンドンオリンピック代表に選出された。女子50m自由形および200m自由形でも優勝したものの、これらの種目では派遣標準記録を突破できなかったため、個人種目でのオリンピック出場はならなかったが、女子4×200m自由形リレーの代表には選出された。ロンドンオリンピック本番では、女子4×100mメドレーリレーの決勝にも出場し、総合タイムでそれまでの同種目の日本記録を2秒近く縮める3分55秒73の日本新記録を樹立し、銅メダルを獲得した。
2. 主要大会出場と成績
上田春佳は、その選手キャリアにおいて数多くの国内外の主要大会に出場し、顕著な成績を収めた。特に、オリンピック、世界水泳選手権、そしてその他の国際・国内大会での活躍が知られている。
2.1. オリンピック
- 2008年 北京オリンピック:
- 女子200m自由形: 予選で1分57秒64の日本新記録を樹立したが、準決勝で13位(1分58秒44)となり敗退。
- 女子4×200m自由形リレー
- 2012年 ロンドンオリンピック:
- 女子100m自由形
- 女子4×100mメドレーリレー: 3位(銅メダル) - 3分55秒73(日本新記録)
2.2. 世界水泳選手権
- 2005年 モントリオール:
- 女子200m自由形: 22位(2分01秒65)
- 2007年 メルボルン:
- 女子100m自由形: 39位(57秒21)
- 2009年 ローマ
- 2011年 上海
- 2013年 バルセロナ
2.3. その他の主要大会
3. 自己ベスト
上田春佳が競泳選手として達成した、長水路と短水路における種目ごとの自己ベスト記録は以下の通りである。
- 長水路
- 50m自由形: 25秒17
- 100m自由形: 54秒00(2012年 日本記録)
- 200m自由形: 1分57秒37(2011年 日本記録)
- 短水路
- 100m自由形: 53秒41(2009年 元日本記録)
- 200m自由形: 1分53秒72(2009年 日本記録、元アジア記録)
4. 引退と私生活
上田春佳は、その競技生活に終止符を打ち、引退後は新たなキャリアを歩み、私生活においても重要な変化を迎えた。これには、現役引退後の活動と結婚が含まれる。
4.1. 現役引退
2013年12月、上田春佳は現役選手からの引退を表明した。引退後は、勤務先であるキッコーマンの社員として、水泳競技の普及活動や広報活動などに携わることになった。
4.2. 結婚と家族
2014年11月、上田春佳は同じく競泳選手で、ロンドンオリンピック男子200mバタフライ代表の金田和也と結婚した。
5. 受賞と評価
上田春佳は、その競泳キャリアを通じて、国内外で数々の功績を認められ、いくつかの受賞を果たしている。
2012年のロンドンオリンピックで女子4×100mメドレーリレーの銅メダルを獲得した功績により、同年10月には地元である東京都北区から北区区民文化奨励賞を受賞した。
6. その他の活動
上田春佳は、競技活動以外にも様々な分野で活動を行った。
雑誌「SWIM」(アールビーズ刊)の2010年9月号では表紙を飾った。また、勤務先のキッコーマン公式ブログでは「haru」というブログネームで投稿し、日々の食事に自社製品を活用している様子を紹介するなど、広報活動にも貢献した。
7. 外部リンク
- [https://www.kikkoman.com/jp/corporate/news/20110117.html キッコーマン公式ブログ] - 上田は「haru」というブログネームで投稿。日々の食事に自社製品を活用している。