1. 概要
廣永 遼太郎(ひろなが りょうたろう)は、1990年1月9日生まれの東京都西東京市出身のプロサッカー選手である。現在の所属クラブは関東サッカーリーグのtonan前橋で、ポジションはゴールキーパー(GK)を務める。愛称は「ヒロ」。身長は186 cm、体重は82 kgで、利き足は左足である。
2. 生い立ちと初期のキャリア
廣永遼太郎のサッカーキャリアは幼少期に始まり、FC東京の下部組織で育成された後、プロサッカー選手としての道を歩み始めた。
2.1. 幼少期からユース時代
廣永は4歳の時にサッカーを始めた。1996年から2001年までJACPA東京FCに所属し、西東京市立上向台小学校に通学していた。JACPA東京FCの先輩である中野遼太郎や吉本一謙の勧めで、中学進学時にFC東京U-15に加入。2002年から2004年までFC東京U-15(後にFC東京U-15深川に改称)でプレーし、西東京市立田無第一中学校に在籍した。この期間、同期の田端信成と激しいポジション争いを繰り広げながら成長した。彼の同期には大竹洋平、椋原健太、丸山祐市、岡田翔平、田中奏一、宮阪政樹、井澤惇、加藤淳也らがいた。
2005年からはFC東京U-18に昇格し、2007年まで東京都立田無高等学校に通いながらプレーを続けた。
また、FIFA U-17ワールドカップを目指す日本U-17代表では、吉田智志、原裕太郎、大畑拓也らとの激しい競争を勝ち抜き、一貫してレギュラーの座を確保した。特に、AFC U-17選手権2006の準々決勝イラン戦では、12人目までもつれ込んだPK戦を好セーブで乗り切り、同大会12年ぶりの優勝に大きく貢献した。しかし、翌2007年に開催されたFIFA U-17ワールドカップ韓国大会では、厳しい状況(3試合で合計65本のシュートを浴びた)を凌ぎきることができず、グループリーグで敗退した。
2.2. FC東京加入とプロ初期
2008年、廣永は大竹洋平、椋原健太と共にFC東京のトップチームに昇格を果たした。しかし、昇格直後の同年3月から12月まで、横河武蔵野FC(現:東京武蔵野シティFC)へ期限付き移籍した。横河武蔵野の練習がない日にはFC東京の練習に参加し、FC東京の公式ウェブサイト内の選手ダイアリーに執筆を行うなど、両クラブの柔軟な対応により経験を積んだ。
2009年にFC東京へ復帰すると、シーズン開幕前のキャンプでは、前年までの正GKだった塩田仁史の離脱もあり、一時的に主力組に抜擢される機会を得た。しかし、この好機をものにすることはできず、リーグ戦3試合、カップ戦2試合でベンチ入りに留まった。同年8月には、J2のファジアーノ岡山FCへ期限付き移籍。2010年のJ2第26節ギラヴァンツ北九州戦でJリーグデビューを飾った。期限付き移籍期間満了に伴い、同年限りで岡山を退団した。
2011年に再びFC東京へ復帰。2013年からは日本プロサッカー選手会の支部長を務めた。2014年8月にはカターレ富山へ期限付き移籍し、同月24日のJ2第28節ロアッソ熊本戦で4年ぶりの公式戦出場を果たした。
3. プロクラブでのキャリア
廣永遼太郎は、これまでに日本の複数のプロサッカークラブでプレーし、それぞれのチームで経験を積んだ。
3.1. 所属クラブ遍歴
- 1996年 - 2001年 JACPA東京FC
- 2002年 - 2004年 FC東京U-15 / FC東京U-15深川
- 2005年 - 2007年 FC東京U-18
- 2008年 - 2014年 FC東京
- 2008年3月 - 同年12月 横河武蔵野FC(期限付き移籍)
- 2009年8月 - 2010年 ファジアーノ岡山FC(期限付き移籍)
- 2014年8月 - 同年12月 カターレ富山(期限付き移籍)
- 2015年 - 2020年 サンフレッチェ広島F.C
- 2021年 - 2023年 ヴィッセル神戸
- 2024年 - 現在 tonan前橋
2015年、廣永はサンフレッチェ広島へ完全移籍した。移籍後の2015年と2016年はリーグ戦への出場機会はなかったが、2017シーズン開幕戦で先発に抜擢され、加入後初の出場を果たした。しかしその後は、正GKの林卓人と中林洋次が激しいポジション争いを展開する中で割って入ることができず、最終的には第3GKの座にとどまった。
2021年、ヴィッセル神戸へ完全移籍した。当時のチーム状況として、正GKの飯倉大樹が負傷離脱していたため、廣永は第2GKとしてベンチ入りを続けた。ルヴァンカップの第2節FC東京戦で、神戸加入後初出場を果たした。飯倉が復帰した後は再び試合メンバーから外れることとなったが、同年7月17日のセレッソ大阪戦で先発出場していた飯倉が負傷。後半13分から途中出場で、神戸でのJ1リーグ戦初出場を飾った。さらに、正GKの前川黛也と飯倉が共に負傷で離脱していた状況で、同月21日のガンバ大阪戦ではスタメン出場し、自身にとってJ1リーグ戦での初勝利を挙げた。結果的にこの年は、リーグ戦で先発1試合、途中出場1試合の合計2試合に出場した。
2024年4月5日、関東サッカーリーグのtonan前橋へ加入することが発表された。
3.2. クラブ別成績
2024年4月7日時点での廣永遼太郎のクラブ別成績は以下の通りである。
クラブ成績 | リーグ戦 | 国内カップ戦 | リーグカップ | 国際カップ戦 | 通算 | ||||||||
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シーズン | クラブ | リーグ | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | |
日本 | リーグ | 天皇杯 | ルヴァンカップ | ACL | 合計 | ||||||||
2008 | FC東京 | J1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | - | 0 | 0 | |
2008 | 横河武蔵野 | JFL | 0 | 0 | - | - | - | - | - | - | 0 | 0 | |
2009 | FC東京 | J1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | - | 0 | 0 | |
2009 | 岡山 | J2 | 0 | 0 | - | - | - | - | - | - | 0 | 0 | |
2010 | 岡山 | J2 | 5 | 0 | 0 | 0 | - | - | - | - | 5 | 0 | |
2011 | FC東京 | J2 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | - | - | - | 0 | 0 | |
2012 | FC東京 | J1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
2013 | FC東京 | J1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | - | 0 | 0 | |
2014 | FC東京 | J1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | - | 0 | 0 | |
2014 | 富山 | J2 | 11 | 0 | 0 | 0 | - | - | - | - | 11 | 0 | |
2015 | 広島 | J1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | - | 0 | 0 | |
2016 | 広島 | J1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
2017 | 広島 | J1 | 1 | 0 | 3 | 0 | 1 | 0 | - | - | 5 | 0 | |
2018 | 広島 | J1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | - | 0 | 0 | |
2019 | 広島 | J1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | |
2020 | 広島 | J1 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | - | - | - | 0 | 0 | |
2021 | 神戸 | J1 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | - | - | 3 | 0 | |
2022 | 神戸 | J1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
2023 | 神戸 | J1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | - | 0 | 0 | |
総通算 (日本) | 19 | 0 | 4 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 25 | 0 |
- Jリーグ初出場 - 2010年9月19日 Jリーグ ディビジョン2第26節 vs ギラヴァンツ北九州 (本城)
4. 各年代別代表歴
廣永は、複数の年代別サッカー日本代表に選出され、国際大会での経験を積んだ。
- 2005年 U-15日本代表に選出され、豊田国際ユースサッカー大会(チーム事情により途中離脱)、AFC U-17選手権予選、ディズニーアディダスカップに参加した。
- 2006年 U-16日本代表として、豊田国際ユースサッカー大会で準優勝を果たし、AFC U-17選手権・シンガポール大会ではチームの優勝に貢献した。
- 2007年 U-17日本代表に選ばれ、コパ・チーバス(4位)に出場した。同年8月にはFIFA U-17ワールドカップ・韓国大会にも出場し、全3試合にフル出場したが、チームはグループリーグ敗退となった。
- 2009年 U-20日本代表に選出されたが、アルクディア国際ユーストーナメントではチーム事情により途中離脱した。
5. タイトル
廣永遼太郎が個人として、またはチームの一員として獲得した主要なタイトルは以下の通りである。
- パリ国際大会 ベストイレブン/ベストGK賞(2003年)
- 日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会 優勝(2003年)
- AFC U-16選手権 優勝(2006年)
- Jリーグユース選手権大会(2007年)
- J1リーグ 優勝(2015年、2023年)
- J2リーグ 優勝(2011年)
- 天皇杯全日本サッカー選手権大会 優勝(2011年)