1. 概要
カトリーネ・ヴェイエ(Katrine Vejeデンマーク語)は、1991年6月19日にデンマークのフレゼリシアで生まれたデンマークのプロサッカー選手です。主にディフェンダー、特に左ウィングバックとしてプレーしますが、ミッドフィールダーとしてもその多様性を示しています。現在はイングランドのFA女子スーパーリーグに所属するクリスタル・パレスでプレーしており、デンマーク女子代表チームの一員でもあります。彼女はこれまでにデンマーク、スウェーデン、アメリカ、フランス、イングランドの複数のクラブで活躍し、数々のリーグタイトルやカップ戦の優勝に貢献してきました。
2. 生い立ちと背景
カトリーネ・ヴェイエは、1991年6月19日にデンマークのフレゼリシアで、本名カトリーネ・ヴェイスゴール・ヴェイエ(Katrine Vejsgaard Vejeデンマーク語)として生まれました。幼少期からサッカーに親しみ、その才能を早期に開花させました。
3. 初期キャリア
ヴェイエはヴェイレBKで選手としてのキャリアをスタートさせました。2007年にはオーデンセBKに移籍し、同年にデンマークサッカー協会から「年間最優秀若手選手賞」を受賞するなど、若くしてその実力を高く評価されました。
4. クラブキャリア
カトリーネ・ヴェイエは、キャリアを通じてデンマーク、スウェーデン、アメリカ、フランス、イングランドの様々なクラブでプレーし、それぞれのチームで重要な役割を果たしてきました。
4.1. デンマーク初期のクラブ (Vejle BK, Odense BK)
ヴェイエはヴェイレBKでプロキャリアを開始しました。その後、2007年にオーデンセBKに移籍し、2011年まで在籍しました。オーデンセBKでは1試合に出場し、ゴールはありませんでした。この初期の期間に、彼女は2007年にデンマークサッカー協会から「年間最優秀若手選手賞」を受賞し、将来を嘱望される選手としての地位を確立しました。
4.2. スウェーデンでのクラブ (LdB FC Malmö / FC Rosengård)
2011年から2013年にかけて、ヴェイエはスウェーデンのダームアルスヴェンスカンに所属するLdB FCマルメ(現在のFCローゼンゴード)でプレーしました。この期間に47試合に出場し、8ゴールを記録しました。彼女はチームのダームアルスヴェンスカン優勝(2011年、2013年)と女子スウェーデン・スーパーカップ優勝(2011年、2012年)に大きく貢献しました。
その後、2020年から2022年には再びFCローゼンゴードに復帰し、42試合に出場して2ゴールを挙げました。この復帰期間中にも、2021年のダームアルスヴェンスカン優勝、そして女子スウェーデンカップ2021-22シーズン優勝(決勝には出場せず)を経験しています。
4.3. アメリカでのクラブ (Seattle Reign FC)
2015年1月、ヴェイエはアメリカのナショナル・ウィメンズ・サッカーリーグ(NWSL)に所属するシアトル・レインFCと契約したことが発表されました。これはNWSLの3シーズン目にあたります。シアトル・レインFCのヘッドコーチであるローラ・ハーヴェイは、彼女の獲得について「私はU-17イングランド代表のアシスタントコーチをしていた頃から、長年カトリーネに注目していました。彼女が私たちのクラブとNWSLに特別なものをもたらしてくれると信じています」とコメントしました。彼女は2015年7月12日のポートランド・ソーンズFC戦でシアトルでの初出場を果たしました。このシーズン、チームはNWSLシールドを獲得しました。ヴェイエはシアトル・レインFCで11試合に出場しましたが、ゴールは記録しませんでした。
4.4. デンマークでのクラブ (Brøndby IF)
2014年から2015年にかけて、ヴェイエはブレンビーIFでプレーし、6試合に出場しました。
その後、2015年10月にはシアトル・レインFCからブレンビーIFへの復帰を決め、デンマークのエリテディビシオネンの舞台に戻りました。2015年から2017年にかけてのこの期間、彼女はブレンビーIFで133試合に出場し、19ゴールを記録しました。彼女の活躍により、ブレンビーIFはエリテディビシオネンで2度の優勝(2015年、2017年)と、デンマーク女子カップで2度の優勝(2015年、2017年)を達成しました。
4.5. フランスでのクラブ (Montpellier HSC)
2017年6月、ヴェイエはディヴィジオン・アン・フェミナンの準優勝チームであるモンペリエHSCと2年契約を結んだことが発表されました。彼女は2017年から2018年までモンペリエHSCに在籍し、22試合に出場して3ゴールを挙げました。
4.6. イングランドでのクラブ (Arsenal WFC, Everton FC, Crystal Palace FC)
2019年1月、ヴェイエはイングランドのFA女子スーパーリーグに所属するアーセナルWFCと契約しました。アーセナルでは2019年から2020年までプレーし、8試合に出場しましたが、ゴールは記録しませんでした。この期間に、チームは2018-19シーズンのFA女子スーパーリーグとFA女子リーグカップで優勝しました。
その後、2020年から2022年にかけてエヴァートンでプレーし、27試合に出場しましたが、ゴールはありませんでした。2024年7月19日、エヴァートンを退団しました。
2024年8月1日、ヴェイエはクリスタル・パレスと契約したことが発表されました。クリスタル・パレスでは現在までに11試合に出場しています。
5. 代表経歴
カトリーネ・ヴェイエは、デンマークの年代別代表チームを経て、フル代表でも長年にわたり活躍しています。
5.1. デビューと主要大会出場
ヴェイエは2009年7月に行われたイングランドとの親善試合でデンマーク女子代表チームにデビューしました。
彼女は、ケネス・ハイナー=メラー監督が率いるUEFA女子ユーロ2013のデンマーク代表チームに選出され、またニルス・ニールセン監督が率いるUEFA女子ユーロ2017の代表チームにも選ばれました。2009年のUEFA女子ユーロ2009にも出場しており、合計3度のUEFA女子ユーロに参加しています。
年代別代表としては、2006年から2008年までデンマークU-17代表で24試合に出場し8ゴール、2007年から2009年までデンマークU-19代表で13試合に出場し3ゴールを記録しています。デンマークフル代表では、2009年のデビュー以来、142試合に出場し9ゴールを挙げています(2025年2月22日時点)。
5.2. 代表でのゴール記録
ヴェイエがデンマーク女子代表チームで記録したゴールは以下の通りです。
No. | 日付 | 会場 | 対戦相手 | スコア | 結果 | 大会 |
---|---|---|---|---|---|---|
1. | 2012年4月4日 | FKヴィクトリア・スタジアム、プラハ、チェコ | チェコ | 1-0 | 2-0 | UEFA女子ユーロ2013予選グループ7 |
6. 選手としての経歴とポジション
カトリーネ・ヴェイエは、主にディフェンダーとしてプレーし、特に左ウィングバックや左サイドバック、センターバック、左バックといったポジションでその能力を発揮しています。また、キャリアの初期にはミッドフィールダーとしてもプレーした経験があり、その多様なポジション適応能力は彼女の大きな特徴です。身長は1.74 mです。彼女のプレースタイルは、攻撃参加と守備の両面での貢献に優れており、チームの戦術に柔軟に対応できる選手として評価されています。
7. 受賞歴
カトリーネ・ヴェイエは、そのキャリアを通じて数々の個人およびチームの栄誉を獲得してきました。
- 個人
- デンマークサッカー協会 年間最優秀若手選手賞: 2007年
- LdB FCマルメ / FCローゼンゴード
- ダームアルスヴェンスカン: 2011年、2013年、2021年
- 女子スウェーデン・スーパーカップ: 2011年、2012年
- 女子スウェーデンカップ: 2021-22シーズン(決勝には出場せず)
- シアトル・レインFC
- NWSLシールド: 2015年
- ブレンビーIF
- デンマークリーグ: 2015年、2017年
- デンマーク女子カップ: 2015年、2017年
- アーセナルWFC
- FA女子スーパーリーグ: 2018-19シーズン
- FA女子リーグカップ: 2018-19シーズン
8. 影響力と評価
カトリーネ・ヴェイエは、その長きにわたるプロキャリアと、デンマーク、スウェーデン、アメリカ、フランス、イングランドといった複数の国のトップリーグでの経験を通じて、女子サッカー界に大きな影響を与えてきました。彼女の多様なポジションをこなせる能力と、各クラブでのリーグタイトルやカップ戦優勝への貢献は、多くのコーチや専門家から高く評価されています。特にシアトル・レインFCのローラ・ハーヴェイ監督が彼女の獲得時に述べた「彼女が私たちのクラブとNWSLに特別なものをもたらしてくれると信じています」というコメントは、彼女の技術と潜在能力に対する期待の高さを示しています。
