1. 生い立ちと背景
ダニエル・ミサキは日本の静岡県富士宮市で生まれた(静岡市との報道もある)。2歳の時に家族と共にブラジルへ移住し、日系三世として育った。幼少期にはヤクルト野球アカデミーで野球を始め、後に読売ジャイアンツでチームメイトとなるチアゴ・ビエイラと共にプレーする経験も持っている。
2. プロ経歴
ダニエル・ミサキのプロ野球選手としてのキャリアは多岐にわたり、MLB傘下から日本の独立リーグ、NPB、さらに中南米のリーグまで、様々なチームで経験を積んできた。
2.1. マリナーズ傘下時代
2013年、16歳で2013 ワールド・ベースボール・クラシック本戦にブラジル代表として選出され、大会最年少出場を記録した。WBC終了後の2013年6月19日、シアトル・マリナーズとアマチュアFA契約を結んだ。
同年、マリナーズ傘下ルーキーリーグのアリゾナリーグ・マリナーズでプロデビューを果たし、7試合(うち6試合に先発)に登板して0勝1敗、防御率6.23を記録した。2014年には同じくルーキーリーグのプラスキ・マリナーズでプレーし、11先発で6勝3敗、防御率2.76の成績を残した。2015年にはクリントン・ランバーキングスに所属し、5月1日には2人の救援投手と共にノーヒットノーランを達成している。しかし、その月の後半にトミー・ジョン手術を受け、シーズンを終えた。手術前は6先発で1勝2敗、防御率3.41だった。
2.2. ブルワーズ傘下時代
2015年シーズン終了後の12月9日、マリナーズはミサキとカルロス・ヘレーラ、フレディ・ペラルタをミルウォーキー・ブルワーズに放出し、アダム・リンドを獲得するトレードが成立した。これにより、ダニエル・ミサキはブルワーズ傘下に移籍した。
ブルワーズ移籍後、2016年と2017年のシーズンは、再び受けたトミー・ジョン手術のリハビリのため全休した。2018年には数試合のスプリングトレーニングに出場したが、レギュラーシーズンの試合で登板することはなく、同年9月18日にブルワーズから契約解除された。
2.3. 栃木ゴールデンブレーブス時代
2020年4月10日、日本の独立リーグであるベースボール・チャレンジ・リーグの栃木ゴールデンブレーブスに入団することが発表された。当時の登録名は「ダニエル」だった。
栃木での独立リーグ成績は以下の通り。
年度 | 球団 | 登板 | 先発 | 完投 | 完封 | 無四球 | 勝利 | 敗戦 | セーブ | 勝率 | 打者 | 投球回 | 被安打 | 被本塁打 | 与四球 | 死球 | 奪三振 | 暴投 | ボーク | 失点 | 自責点 | 防御率 | WHIP | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2020 | 栃木 | 16 | 10 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 1 | .667 | 188 | 45.0 | 38 | 1 | 21 | - | 1 | 33 | 7 | 0 | 15 | 11 | 2.20 | 1.31 |
2021 | 栃木 | 28 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 1 | 1.000 | 122 | 28.0 | 25 | 1 | 12 | - | 3 | 23 | 4 | 0 | 12 | 11 | 3.54 | 1.32 |
通算:2年 | 44 | 10 | 0 | 0 | 0 | 5 | 1 | 2 | .833 | 310 | 73.0 | 63 | 2 | 33 | - | 4 | 56 | 11 | 0 | 27 | 22 | 2.87 | 1.32 |
- 2021年度シーズン、栃木退団時
2.4. 読売ジャイアンツ時代
2021年8月17日、NPBの読売ジャイアンツと育成選手契約を結んだ。契約金は推定4.00 万 USD(日本円で推定440.00 万 JPY)と報じられた。登録名は「ダニエル・ミサキ」、背番号は002だった。
2022年シーズンは、ジャイアンツの二軍で8試合に登板し、防御率2.45を記録したが、一軍での出場はなかった。同年10月3日、球団から翌シーズンの契約を結ばないことが発表され、自由契約となった。
2.5. 中南米・メキシカンリーグ時代
2023年、ダニエル・ミサキはベネズエラのサマーリーグであるベネズエラン・メジャーリーグのセンタウロス・デ・ラ・グアイラに加入した。シーズン終了後はブラジルに戻り、自身の出身地にある社会人チーム、ニッポン・ブルージェイズでプレーした。
2023-24シーズンにはコロンビアプロ野球リーグのカイマネス・デ・バランキージャと契約した。レギュラーシーズンでは9試合に登板し、35と2/3イニングで42奪三振、防御率1.26という好成績を収めた。決勝シリーズではバケーロス・デ・モンテリーア戦で2勝を挙げ、特に優勝を決めた試合では完封勝利を達成した。その活躍が評価され、レギュラーシーズンと決勝シリーズの両方でMVPに選出された。
2024年1月16日、メキシカンリーグのメキシコシティ・レッドデビルズと契約を結んだ。同年3月25日にはエスタディオ・アルフレド・ハルプ・エルーで行われたニューヨーク・ヤンキースとのスプリングトレーニングの試合に登板し、満塁のピンチを招きながらも無失点で切り抜けた。レッドデビルズでは5試合に登板し、2勝0敗、防御率1.50、6イニングで10奪三振の成績だった。
2.6. MLBマイナーリーグ復帰
2024年4月24日、MLBのシカゴ・カブスとマイナーリーグ契約を締結した。カブス傘下では、ルーキーリーグのアリゾナ・コンプレックスリーグ・カブス、ダブルAのテネシー・スモーキーズ、トリプルAのアイオワ・カブスの3チームで合計20試合に登板し、32と2/3イニングで44奪三振、防御率4.68を記録した。同年11月4日、シーズン終了後にFAを選択した。
2025年1月6日、テキサス・レンジャーズとマイナーリーグ契約を結んだ。
3. 国際大会での経歴
ダニエル・ミサキはこれまで複数回、ブラジル代表として国際大会に出場している。
- 2013 ワールド・ベースボール・クラシック予選では、ブラジルが初のWBC本戦出場権を獲得した試合で0.2イニングを無失点に抑えた。
- 2013 ワールド・ベースボール・クラシック本戦では、当時16歳という大会最年少で出場し、0.1イニングを無失点で投げた。
- 2019年パンアメリカン競技大会野球予選に出場。
- 2021 ワールド・ベースボール・クラシック予選にもブラジル代表として選出されたが、この予選はCOVID-19パンデミックの影響で中止された。
- 2023年10月にチリのサンティアゴで開催された2023年パンアメリカン競技大会では、ブラジル代表の一員として銀メダルを獲得した。
4. 選手としての特徴
ダニエル・ミサキは最速154 km/hの直球を投げる右投手である。この速球に加えて、スライダーやチェンジアップなどの変化球も持ち球としている。
5. 詳細情報
ダニエル・ミサキのプロキャリアにおけるNPBでの成績や、独立リーグでの年度別成績、そして背番号に関する情報を以下に示す。
5.1. NPB年度別投手成績
- 一軍公式戦出場なし
5.2. 背番号
- 42(2020年 - 2021年途中)
- 002(2021年8月17日 - 2022年)