1. 生涯
ヴァルドは、スペインの炭鉱で働くためにカーボベルデから移住してきた両親のもと、1981年4月23日にレオン県ビリャブリノで生まれた。彼の家族背景は、彼のキャリアに多大な影響を与えた。
1.1. 個人背景と幼少期
ヴァルドは、両親がカーボベルデからスペインのラシアナ地方にある炭鉱で働くために移住した後に、ビリャブリノで誕生した。彼の姓「Lopes」はポルトガル語表記であり、カーボベルデのルーツを反映している。幼少期は、マドリードにあるアマチュアクラブであるCF Pozuelo de AlarcónCFポスエロ・デ・アラルコンスペイン語でサッカーを始め、ここで約7年間を過ごした。
q=ビリャブリノ|position=right
1.2. 初期サッカーキャリア
彼のサッカーキャリアは、マドリードのアマチュアクラブであるCF Pozuelo de AlarcónCFポスエロ・デ・アラルコンスペイン語で始まった。1993年から2001年までの7年間、このユースチームで基礎を築き、プロサッカー選手としての道を歩み始める準備をした。
2. 主な活動と功績
ヴァルドは、そのキャリアを通じてスペインの主要リーグで長く活躍し、特に中堅クラブにおいて重要な役割を果たした。彼の献身的なプレースタイルと得点能力は、多くのチームの成功に貢献した。
2.1. クラブキャリア
ヴァルドは、プロサッカー選手として複数のクラブに所属し、それぞれのチームで異なる役割と成果を達成した。
2.1.1. レアル・マドリードおよびカスティージャ
2001年、ヴァルドはレアル・マドリードのリザーブチームであるレアル・マドリード・カスティージャと契約し、本格的なプロキャリアをスタートさせた。2001-02シーズンには、セグンダ・ディビシオンBで60試合に出場し8得点を記録し、チームのグループ3優勝に貢献した。同年、トップチームにも登録され、ラ・リーガ、コパ・デル・レイ、UEFAチャンピオンズリーグの公式戦合計3試合に出場した。特に2001-02シーズンのUEFAチャンピオンズリーグでは、試合出場機会はなかったものの、チームの一員として優勝の喜びを分かち合った。
2.1.2. CAオサスナ
2003年1月、ヴァルドはレアル・マドリードからCAオサスナへレンタル移籍した。ここで彼はラ・リーガのトップディビジョン選手として大きく成長し、2002-03シーズンには13試合で1得点を記録した。レンタル期間終了後、オサスナに完全移籍し、最初のフルシーズンでは35試合で5得点を挙げる活躍を見せた。2004年4月11日には、古巣レアル・マドリードとのアウェー戦で得点を挙げ、3-0の勝利に貢献した。
オサスナの主力選手として活躍を続け、2005-06シーズンには、FCバルセロナ戦で得点し2-1のホーム勝利に貢献するなど、チームのリーグ4位躍進に貢献し、クラブ史上初のチャンピオンズリーグ予選出場権獲得に貢献した。しかし、このシーズンは鼠蹊部の負傷に苦しむこともあった。チャンピオンズリーグ予選敗退後、チームはUEFAカップに回ったが、ヴァルドは10試合で2得点を記録し、チームを準決勝(セビージャFC戦)まで導いた。オサスナでの通算成績は、公式戦129試合出場22得点であった。
2.1.3. RCDエスパニョール
2006-07シーズン終了後、ヴァルドはRCDエスパニョールと4年契約を結んで移籍した。プレシーズンにはCFペララーダ戦でデビューを果たした。2007-08シーズンは31試合に出場し4得点を挙げるなどレギュラーとして活躍したが、2008-09シーズンにはフェラン・コロミナスの台頭もあり出場機会が大幅に減少した。エスパニョールでは通算50試合に出場し7得点を記録し、2008-09シーズンのコパ・デル・レイではベスト8進出に貢献した。
2.1.4. マラガCF
2009年7月14日、出場機会を求めてマラガCFへレンタル移籍した。2009-10シーズンの公式戦で22試合に出場し2得点を記録したが、パフォーマンスの低下により一時的にチームから外れることもあった。しかし、2010年2月27日のFCバルセロナ戦ではアウェーで1-2と敗れたものの、得点を挙げた。
2.1.5. レバンテUD
2010年8月13日、ヴァルドはRCDエスパニョールを退団し、レバンテUDと契約した。これにより、マラガ時代のチームメイトであったグスタボ・ムヌアやシャビ・トーレスと再会した。2010-11シーズンは、25試合に先発出場し、合計2,119分プレーするなど、チームのラ・リーガ残留に大きく貢献した。このシーズンには、ヘタフェCF戦での2-0のホーム勝利と、ビジャレアルCF戦での1-0のアウェー勝利で得点を挙げた。

2011-12シーズンは、さらにチームにとって不可欠な存在となり、6得点を記録した。特にシーズン終盤のアトレティコ・マドリード戦(2-0勝利)とグラナダCF戦(3-1勝利)ではそれぞれ2得点を挙げた。彼の活躍もあり、レバンテはリーグ戦をクラブ史上最高となる6位で終え、初のUEFAヨーロッパリーグ出場権を獲得した。レバンテでの最初の在籍期間では、通算63試合に出場し8得点を記録した。
その後、メキシコのアトランテFCへの移籍を経て、2013年には再びレバンテにレンタル移籍で復帰した。この復帰期間中、彼は13試合に出場し、チームがUEFAヨーロッパリーグでクラブ史上最高となるベスト16に進出するのに貢献した。
2.1.6. 後期キャリア
レバンテを退団した後、ヴァルドは複数のクラブを短期間で渡り歩いた。2012-13シーズンにはメキシコのアセンソMXに所属するアトランテFCで4試合に出場した。その後、2013-14シーズンにはギリシャ・スーパーリーグのアステラス・トリポリスに移籍し、9試合に出場した。ここではリーグ5位とヨーロッパリーグ予選出場権獲得に貢献した。
2014-15シーズンにはスペインに戻りセグンダ・ディビシオンのラシン・サンタンデールで1試合に出場。2015年にはインディアン・スーパーリーグのATKで2試合に出場し1得点を挙げた。さらに、2016-17シーズンにはスペインのCDレアルタで19試合に出場し1得点、2017-18シーズンにはペニャ・スポルトFCで33試合に出場し6得点、そしてキャリアの最終盤となる2019-20シーズンにはCDイサーラで32試合に出場し1得点を記録した。2019-20シーズンを最後に、19年間のプロサッカー選手としてのキャリアを終え、現役を引退した。
クラブキャリアの総括として、ヴァルドのプロリーグでの成績は以下の通りである。
クラブ | シーズン | リーグ | カップ | その他 | 合計 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ディビジョン | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | ||
レアル・マドリード | 2001-02 | ラ・リーガ | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 3 | 0 |
2002-03 | ラ・リーガ | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | |
合計 | 1 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 4 | 0 | ||
オサスナ (loan) | 2002-03 | ラ・リーガ | 13 | 1 | 0 | 0 | - | 13 | 1 | |
オサスナ | 2003-04 | ラ・リーガ | 35 | 5 | 1 | 0 | - | 36 | 5 | |
2004-05 | ラ・リーガ | 27 | 5 | 6 | 2 | - | 33 | 7 | ||
2005-06 | ラ・リーガ | 19 | 2 | 0 | 0 | 2 | 0 | 21 | 2 | |
2006-07 | ラ・リーガ | 26 | 6 | 1 | 0 | 12 | 2 | 39 | 8 | |
合計 | 120 | 19 | 8 | 2 | 14 | 2 | 142 | 23 | ||
エスパニョール | 2007-08 | ラ・リーガ | 31 | 4 | 3 | 0 | - | 34 | 4 | |
2008-09 | ラ・リーガ | 11 | 1 | 5 | 2 | - | 16 | 3 | ||
合計 | 42 | 5 | 8 | 2 | - | 50 | 7 | |||
マラガ (loan) | 2009-10 | ラ・リーガ | 19 | 2 | 3 | 0 | - | 22 | 2 | |
レバンテ | 2010-11 | ラ・リーガ | 29 | 2 | 4 | 0 | - | 33 | 2 | |
2011-12 | ラ・リーガ | 34 | 6 | 1 | 0 | - | 35 | 6 | ||
合計 | 63 | 8 | 5 | 0 | - | 68 | 8 | |||
アトランテ | 2012-13 | アセンソMX | 4 | 0 | 2 | 0 | - | 6 | 0 | |
レバンテ (loan) | 2012-13 | ラ・リーガ | 13 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 16 | 0 |
アステラス・トリポリス | 2013-14 | ギリシャ・スーパーリーグ | 9 | 0 | 0 | 0 | - | 9 | 0 | |
ラシン・サンタンデール | 2014-15 | セグンダ・ディビシオン | 1 | 0 | 0 | 0 | - | 1 | 0 | |
ATK | 2015 | インディアン・スーパーリーグ | 2 | 1 | - | - | 2 | 1 | ||
キャリア合計 | 274 | 33 | 27 | 4 | 19 | 2 | 320 | 41 |
2.2. 代表チームキャリア
ヴァルドは、2000年代初頭にスペインU-21代表としてプレーし、2003年には6試合に出場し3得点を記録した。
2011年8月下旬、30歳になったヴァルドは、両親の故郷であるカーボベルデ代表に初招集された。同年9月3日に行われたアフリカネイションズカップ2012予選のマリ代表戦で国際Aマッチデビューを果たしたが、チームはアウェーで0-3と敗れた。しかし、1ヶ月後の10月8日に行われたジンバブエ代表との最終戦では、国際Aマッチ初得点を記録し、チームの2-1の勝利に貢献した。この得点は、彼の国際キャリアにおける唯一の得点となった。
国際Aマッチでの得点記録は以下の通りである。
# | 日付 | 会場 | 対戦相手 | スコア | 結果 | 大会 |
---|---|---|---|---|---|---|
1. | 2011年10月8日 | エスタディオ・ダ・ヴァルゼア, プライア, カーボベルデ | ジンバブエ | 2-1 | 勝利 | アフリカネイションズカップ2012予選 |
2.3. プレースタイルとポジション
ヴァルドは、主にミッドフィールダーのウインガーとしてプレーした。身長は184 cm、体重は70 kgで、利き足は右足であった。特に右サイドハーフや右ウイングでの起用が多く、そのスピードとドリブル能力を活かして攻撃に厚みをもたらした。また、ミッドフィールダーとしてもボールポゼッションに貢献し、チームの攻撃を組み立てる役割も担った。彼のプレースタイルは、相手ディフェンスを突破する個人技と、チーム全体の連携を重視するバランスの取れたものであった。
3. 主な成果と受賞歴
ヴァルドのキャリアを通じて達成した主なチームタイトル、個人での功績、および特筆すべき記録は以下の通りである。
- レアル・マドリード
- UEFAチャンピオンズリーグ: 優勝 (2001-02)
- CAオサスナ
- コパ・デル・レイ: 準優勝 (2004-05)
- ラ・リーガ: 4位 (2005-06)
- レバンテUD
- ラ・リーガ: 6位 (2011-12)
- UEFAヨーロッパリーグ: ベスト16 (2012-13)
4. 評価
ヴァルドは、そのキャリアを通じて、特にラ・リーガの中堅クラブにおいて、チームの重要な戦力として高く評価された。彼の最大の功績は、所属したCAオサスナやレバンテUDといったクラブを、それぞれの歴史上最高位の成績や国際大会出場に導いたことである。オサスナではUEFAチャンピオンズリーグ予選出場、レバンテではUEFAヨーロッパリーグ出場権獲得とベスト16進出という、クラブにとって画期的な成果に貢献した。
また、彼は12シーズンにわたってラ・リーガで活躍し、258試合出場34得点という安定した記録を残した。これは、彼の長きにわたるトップリーグでの適応能力と貢献度を示している。怪我に苦しんだ時期もあったものの、常にチームのために尽力し、特にウインガーとしての突破力や得点能力は、多くの試合で決定的な役割を果たした。
ヴァルドのキャリアは、大クラブでの栄光だけでなく、中堅クラブでの地道な努力と貢献がいかに重要であるかを体現している。彼のプレースタイルは、観客を魅了するだけでなく、チームの戦術的な幅を広げる上でも貴重な存在であった。引退までの19年間、彼はプロフェッショナルとしてサッカー界に貢献し続けた。