1. 概要
アルゼンチン出身のサッカー選手、ブルーノ・スクリーニ(Bruno Zuculiniブルーノ・スクリーニスペイン語、1993年4月2日生まれ)は、ミッドフィールダーとして活躍するプロフェッショナル選手です。彼はそのキャリアの大半を母国のラシン・クラブやCAリーベル・プレートで過ごし、その他にもマンチェスター・シティからの期限付き移籍を通じてバレンシアCF、コルドバCF、ミドルズブラFC、AEKアテネFC、ラージョ・バジェカーノ、エラス・ヴェローナFCといったヨーロッパのクラブで経験を積みました。特にU-20サッカーアルゼンチン代表での活躍も特筆され、複数回にわたるクラブタイトル獲得に貢献しています。彼の兄であるフランコ・スクリーニもまたプロのサッカー選手であり、兄弟で同じクラブでプレーした経験も持っています。
2. 幼少期と背景
ブルーノ・スクリーニは1993年4月2日にアルゼンチン、ブエノスアイレス州のベレン・デ・エスコバルで生まれました。彼の家族には、彼自身と同じくプロのサッカー選手で、ミッドフィールダーとして活躍する兄のフランコ・スクリーニがいます。兄弟は互いに深い絆で結ばれており、キャリア初期には同じラシン・クラブで共にプレーした経験もあります。
3. クラブ経歴
ブルーノ・スクリーニは、そのプロサッカーキャリアにおいて複数のクラブに在籍し、多岐にわたる経験を積んできました。
3.1. ラシン・クラブ(初期キャリア)
ラシン・クラブのユースチームで育成されたスクリーニは、早くからその才能を開花させました。彼はわずか16歳だった2010年2月13日に、アルゼンチン・プリメーラ・ディビシオンのヒムナシア・ラ・プラタ戦でプロデビューを果たしました。この試合はアウェイで0-1の敗戦に終わりました。
続くシーズンとなる2010-11シーズンにはさらに6試合に出場し、2011-12シーズンには12試合に出場しています。2012年6月17日には、アトレティコ・デ・ラファエラ戦でプロ初ゴールを記録しましたが、試合は2-4で敗れました。
2012-13シーズンに入ると、ジョバンニ・モレノやルーカス・ナウエル・カストロといった主力選手の退団後、スクリーニはチームの不可欠な存在となり、シーズンを通じて32試合に出場し5ゴールを挙げました。2013年9月27日には、クラブとの契約を2016年まで延長しました。ラシン・クラブでの初期キャリア全体では、5シーズンにわたって合計98試合に出場し、10ゴールを記録しています。
3.2. マンチェスター・シティ
2014年7月23日、スクリーニはマンチェスター・シティのプレシーズンマッチであるスポルティング・カンザスシティ戦で先制点を挙げ、チームに貢献しました。そして8月8日にマンチェスター・シティの選手として正式に発表され、背番号「36」が与えられました。
その2日後、2014年FAコミュニティ・シールドのアーセナル戦で、ウェンブリー・スタジアムにて後半60分にヤヤ・トゥーレに代わって出場し、マンチェスター・シティでの公式戦デビューを飾りました。しかしチームは0-3で敗れました。
2015年7月10日には、クラブのオーストラリアへのプレシーズンツアーのメンバーに含まれることが確認されました。
3.3. 期限付き移籍
マンチェスター・シティに所属中、スクリーニは複数のクラブへ期限付き移籍を経験しました。
3.3.1. バレンシア
2014年8月19日、スクリーニはラ・リーガのバレンシアCFへシーズン終了までの期限付きで移籍しました。8月29日のマラガ戦で、アンドレ・ゴメスとの交代で後半から出場し、ラ・リーガデビューを果たしました。この試合はホームで3-0の勝利を収めました。しかし、バレンシアではわずか45分間の出場に留まり、2015年1月30日に期限付き移籍が解消されました。
3.3.2. コルドバ
バレンシアとの契約が解除された数時間後、スクリーニは2015年6月までの期限付きで同じくラ・リーガのコルドバCFへ移籍しました。しかし、コルドバはそのシーズンをリーグ最下位で終え、スペインの有力紙『マルカ』からは、そのシーズンのワーストイレブンに選ばれるなど、厳しい評価を受けました。コルドバでは8試合に出場しました。
3.3.3. ミドルズブラ
スペインでの期限付き移籍に続き、スクリーニは2015年10月26日にチャンピオンシップに所属するミドルズブラFCへ1ヶ月間の期限付き移籍を果たしました。その後、2015年11月25日には、期限付き移籍期間が2016年1月2日まで延長されました。ミドルズブラでは5試合に出場しました。
3.3.4. AEKアテネ
スクリーニは2016年のギリシャ・スーパーリーグシーズン終了までAEKアテネへ期限付き移籍しました。2016年2月4日、彼はギリシャカップのイラクリス戦でデビューし、チームの準決勝進出に貢献しました。しかし、2016年2月23日、スクリーニは中足骨の深刻な骨折を負い、手術を受けるためイングランドへ帰国することになりました。AEKアテネでは3試合に出場しました。
3.3.5. ラージョ・バジェカーノ
スクリーニは2016年8月29日にセグンダ・ディビシオンのラージョ・バジェカーノへ期限付き移籍しました。しかし、わずか9試合のリーグ戦出場に留まり、2017年1月17日に期限付き移籍が早期に打ち切られ、兄のフランコ・スクリーニが所属するエラス・ヴェローナへ移籍することになりました。
3.4. エラス・ヴェローナ
2016-17シーズンの後半を期限付き移籍でエラス・ヴェローナで過ごした後、スクリーニは2017年7月11日に同クラブと完全移籍で契約を締結しました。彼はセリエBで16試合に出場し、チームのセリエA昇格に貢献しました。完全移籍後も主力選手として活躍し、2017-18シーズンにはセリエAで16試合に出場し2ゴールを記録しました。
3.5. リーベル・プレート
スクリーニはエラス・ヴェローナでのプレーを経て、2018年にリーベル・プレートへ移籍しました。

この移籍後、彼はクラブの重要な選手として長期にわたり活躍しました。リーベル・プレートでは、合計115試合に出場し8ゴールを挙げ、その在籍期間中に数々のタイトル獲得に貢献しました。これには、2018年のコパ・リベルタドーレス、2019年のレコパ・スダメリカーナ、2017年と2019年のスーペルコパ・アルヘンティーナ、2018-19シーズンのコパ・アルヘンティーナ、そして2021年と2023年のプリメーラ・ディビシオン(リーガ・プロフェシオナル)などが含まれます。また、2021年のトロフェオ・デ・カンペオネスも獲得しています。
3.6. ラシン・クラブへの復帰
2024年1月9日、ブルーノ・スクリーニは初期キャリアを過ごしたラシン・クラブへ10年ぶりに復帰しました。彼は1年間の契約延長オプションを含む2025年までの契約を結びました。復帰にあたり、彼は背番号「36」を選択しました。この番号は、兄であるフランコ・スクリーニがラシンでデビューした際に着用し、自身もマンチェスター・シティに在籍していた頃に着用していた特別な番号であると述べています。
4. 代表経歴
ブルーノ・スクリーニはU-20サッカーアルゼンチン代表として国際舞台でも活躍しました。彼は2011年1月に開催された2011 南米ユース選手権に出場し、この大会で2ゴールを挙げるなど印象的なパフォーマンスを見せました。2011年から2013年にかけて、U-20アルゼンチン代表として8試合に出場し2ゴールを記録しています。
5. 私生活
ブルーノ・スクリーニには、同じくプロのサッカー選手である兄のフランコ・スクリーニがいます。フランコもミッドフィールダーであり、兄弟は共にラシン・クラブのユースチームで育成されました。2011年には、両者がプロとして初めてラシン・クラブのトップチームで共にプレーしました。彼らの関係は公私にわたって良好であり、互いのキャリアを支え合っています。
6. キャリア統計
クラブ | シーズン | リーグ | 国内カップ | リーグカップ | 国際大会 | その他 | 合計 | |||||||
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ディビジョン | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | ||
ラシン・クラブ | 2009-10 | プリメーラ・ディビシオン | 7 | 0 | 0 | 0 | - | - | - | 7 | 0 | |||
2010-11 | 12 | 0 | 0 | 0 | - | - | - | 12 | 0 | |||||
2011-12 | 15 | 1 | 4 | 0 | - | - | - | 19 | 1 | |||||
2012-13 | 32 | 5 | 0 | 0 | - | 2 (コパ・スダメリカーナ出場) | 0 | - | 34 | 5 | ||||
2013-14 | 26 | 4 | 0 | 0 | - | 2 (コパ・スダメリカーナ出場) | 0 | - | 27 | 4 | ||||
合計 | 92 | 10 | 4 | 0 | - | 4 | 0 | - | 100 | 10 | ||||
マンチェスター・シティ | 2014-15 | プレミアリーグ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 (FAコミュニティ・シールド出場) | 0 | 1 | 0 |
2015-16 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | |||
合計 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | ||
バレンシア (loan) | 2014-15 | ラ・リーガ | 1 | 0 | 0 | 0 | - | - | - | 1 | 0 | |||
コルドバ (loan) | 2014-15 | ラ・リーガ | 8 | 0 | 0 | 0 | - | - | - | 8 | 0 | |||
ミドルズブラ (loan) | 2015-16 | チャンピオンシップ | 5 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | - | - | 6 | 0 | ||
AEKアテネ (loan) | 2015-16 | スーパーリーグ | 3 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | - | - | 4 | 0 | ||
ラージョ・バジェカーノ (loan) | 2016-17 | セグンダ・ディビシオン | 9 | 0 | 2 | 0 | - | - | - | 11 | 0 | |||
ヴェローナ (loan) | 2016-17 | セリエB | 16 | 1 | 0 | 0 | - | - | - | 16 | 1 | |||
ヴェローナ | 2017-18 | セリエA | 16 | 2 | 2 | 1 | - | - | - | 18 | 3 | |||
リーベル・プレート | 2017-18 | プリメーラ・ディビシオン | 8 | 0 | 0 | 0 | - | 6 (コパ・リベルタドーレス出場) | 0 | 1 (スーペルコパ・アルヘンティーナ出場) | 0 | 15 | 0 | |
2018-19 | 14 | 0 | 2 | 0 | 2 (コパ・デ・ラ・リーガ出場) | 0 | 4 (コパ・リベルタドーレス出場) | 0 | 3 (レコパ・スダメリカーナ、FIFAクラブワールドカップ、トルネオ・デ・ベラノ出場) | 1 | 25 | 1 | ||
2019-20 | 6 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 (コパ・リベルタドーレス出場) | 0 | 1 (スーペルコパ・アルヘンティーナ出場) | 0 | 10 | 0 | ||
2020-21 | 8 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 4 (コパ・リベルタドーレス出場) | 2 | 0 | 0 | 14 | 3 | ||
2021 | 23 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 (コパ・リベルタドーレス出場) | 0 | 1 (トロフェオ・デ・カンペオネス出場) | 0 | 27 | 2 | ||
2022 | 14 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 4 (コパ・リベルタドーレス出場) | 0 | 0 | 0 | 19 | 1 | ||
2023 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | ||
合計 | 74 | 3 | 6 | 1 | 2 | 0 | 23 | 2 | 6 | 1 | 111 | 7 | ||
キャリア通算 | 223 | 16 | 16 | 2 | 2 | 0 | 27 | 2 | 7 | 1 | 276 | 21 |
7. 栄誉
スクリーニは、そのプロキャリアにおいて以下の栄誉を獲得しています。
- AEKアテネ
- ギリシャカップ : 2015-16
- リーベル・プレート
- スーペルコパ・アルヘンティーナ : 2017、2019
- コパ・アルヘンティーナ : 2018-19
- コパ・リベルタドーレス : 2018
- レコパ・スダメリカーナ : 2019
- プリメーラ・ディビシオン : 2021、2023
- トロフェオ・デ・カンペオネス : 2021
- ラシン・クラブ
- コパ・スダメリカーナ : 2024
- レコパ・スダメリカーナ : 2025