1. 幼少期と背景
ボルナ・ソサは1998年1月21日にクロアチアのザグレブ市プレチュコ地区で生まれた。彼の両親はボスニア・ヘルツェゴビナのポスシェ近郊にあるグラダツ出身のヘルツェゴビナ系クロアチア人である。幼少期からディナモ・ザグレブのユース選手として育成され、その才能を開花させた。
2. クラブ経歴
ボルナ・ソサは、複数のクラブでそのキャリアを築き、各クラブで重要な役割を担ってきた。
2.1. ディナモ・ザグレブ
ソサは、地元クラブであるディナモ・ザグレブのユースチームでサッカーを始め、プロへと成長した。2015年3月7日、ゾラン・マミッチ監督の下、17歳でプルヴァHNLのザグレブ戦でプロデビューを果たし、フル出場した。2016年5月10日には、クロアチアカップ決勝でスラベン・ベルポを2-1で破り、90分間フル出場してタイトル獲得に貢献した。
ヨーロッパの舞台では、2016年7月12日にチャンピオンズリーグ予選2回戦のバルダール戦でズラトコ・クランチャル監督のもとデビューを果たし、66分にアレクサンドル・マテルとの交代でピッチに立った。ディナモ・ザグレブでの4シーズンで、ソサは公式戦41試合に出場し、6アシストを記録した。また、ディナモ・ザグレブのサテライトチームであるディナモ・ザグレブIIでも、ドルガHNLで11試合に出場している。
2.2. VfBシュトゥットガルト
2018年5月14日、ソサはドイツのシュトゥットガルトと5年契約を結び、同年7月1日から正式に加入した。8月26日に行われたマインツとの試合でエミリアーノ・インスーアに代わって84分に途中出場し、シュトゥットガルトでのデビューを飾った。
しかし、シュトゥットガルトでの最初の2シーズンは度重なる負傷に悩まされ、出場機会が大幅に減少した。特に2018-19シーズンにはチームが2. ブンデスリーガへ降格する苦しい時期を経験し、この2年間でわずか24試合の出場にとどまった。2019年12月16日、ダルムシュタットとの試合でシュトゥットガルト移籍後初ゴールを記録し、1-1の引き分けに貢献した。

2020-21シーズンは、ペレグリーノ・マタラッツォ監督の採用した3-4-2-1のフォーメーションにおいて、ソサが継続的なパフォーマンスを発揮し、飛躍的なシーズンとなった。彼のブンデスリーガでの活躍は、デイビッド・ベッカムと比較されるほどの高い評価を受け、ソサ自身もベッカムとダヴィド・アラバを自身のサッカーにおけるロールモデルとして挙げた。この活躍を受け、2020年11月27日にはシュトゥットガルトとの契約を2025年まで延長した。このシーズンをソサは9アシストという好成績で終えた。
2021-22シーズンの開幕時、2021年8月7日に行われたDFBポカールのディナモ・ベルリン戦で、ソサは初めてシュトゥットガルトのキャプテンマークを巻き、6-0の勝利に貢献する1ゴール1アシストを記録した。その7日後、ブンデスリーガ開幕戦のグロイター・フュルト戦では、マルク=オリバー・ケンプフとハマディ・アル・ガディウイへのパスで3アシストを記録し、シュトゥットガルトの5-1での勝利に貢献した。
2.3. AFCアヤックス
2023年9月1日、ソサはオランダのエールディヴィジに所属するアヤックスと2028年までの契約を結び、完全移籍した。アヤックスではUEFAヨーロッパリーグやUEFAヨーロッパカンファレンスリーグにも出場し、合計9試合に出場した。
2.4. トリノへのローン
2024年8月17日、ソサはイタリアのトリノに期限付き移籍で加入した。この移籍には買取オプションが付帯している。トリノでは、現在までにセリエAで18試合に出場し、国内カップ戦で1試合に出場している。
3. 代表経歴
ボルナ・ソサは、クロアチアの年代別代表からA代表に至るまで、様々なカテゴリーで代表経験を積んできた。
3.1. ユース代表
ソサは、クロアチアU-17代表として2015 UEFA U-17欧州選手権と2015 FIFA U-17ワールドカップに出場した。また、ネナド・グラチャン監督が率いるU-21代表の2019 UEFA U-21欧州選手権、イゴール・ビシュチャン監督が率いる2021 UEFA U-21欧州選手権の代表メンバーにも選出された。しかし、2021年のU-21欧州選手権には膝の負傷のため、直前で辞退することになった。
3.2. A代表と国籍問題
2018年5月、ズラトコ・ダリッチ監督によって2018 FIFAワールドカップのロシア大会に向けたクロアチア代表の予備登録32名に選出されたが、最終的な23名のメンバーからは外れた。
2021年5月7日、彼の母親ヴェスナがドイツのベルリンで生まれ育った経緯から、ソサがドイツ国籍を取得したと報じられた。これはヨアヒム・レーヴ監督の意向もあり、UEFA EURO 2020でドイツ代表としてプレーする可能性が示唆された。ソサ自身も翌5月8日に24sata紙に対してこの情報を認めた。しかし、5月11日にはドイツサッカー連盟の技術ディレクターであるオリバー・ビアホフが、FIFAの規約に基づきソサはドイツ代表としてプレーする資格がないことを発表した。これは、ソサがすでにクロアチアの年代別代表として公式戦に出場しており、その際に満21歳を超えていたため、国籍変更に関するFIFAの出場資格規定に抵触するという判断だった。
この結果を受け、5月13日、ソサはクロアチアサッカー連盟のウェブサイトを通じて、クロアチア国民、クロアチア代表ファン、そしてクロアチアサッカー連盟に対し、自身の誤った決断について公式に謝罪した。この謝罪は、彼の母国へのコミットメントを再確認するものであった。
その後、2021年8月16日、ソサは2022 FIFAワールドカップ予選のロシア、スロバキア、スロベニア戦に先立ち、初めてクロアチアA代表に招集された。9月1日に行われたロシア戦で先発出場し、A代表デビューを果たした。この試合は0-0の引き分けに終わったが、ソサは堅実なプレーを見せた。同年11月14日、2022 FIFAワールドカップ出場をかけたロシアとの重要な予選最終戦では、ソサのクロスが相手DFフョードル・クドリャショフのオウンゴールを誘発し、これが決勝点となりクロアチアは1-0で勝利し、ワールドカップ本大会出場を決めた。
3.3. 主要国際大会
2022年9月22日、ソサは2022-23 UEFAネーションズリーグのデンマーク戦でA代表初ゴールを記録し、2-1の勝利に貢献した。
2022年11月9日、ソサは2022 FIFAワールドカップのクロアチア代表26名に選出された。この大会でクロアチアは3位となり、銅メダルを獲得した。
2024年10月15日に行われた2024-25 UEFAネーションズリーグのポーランド戦では、代表2得点目を記録し、3-3の引き分けに貢献した。
4. キャリア統計
4.1. クラブ統計
クラブ | シーズン | リーグ | 国内カップ | ヨーロッパ | その他 | 合計 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | |||
ディナモ・ザグレブ | 2014-15 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 1 | 0 | ||
2015-16 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | - | 3 | 0 | |||
2016-17 | 8 | 0 | 3 | 0 | 3 | 0 | - | 14 | 0 | |||
2017-18 | 21 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | - | 23 | 0 | |||
合計 | 32 | 0 | 6 | 0 | 3 | 0 | - | 41 | 0 | |||
ディナモ・ザグレブII | 2015-16 | 6 | 0 | - | - | - | 6 | 0 | ||||
2016-17 | 5 | 0 | - | - | - | 5 | 0 | |||||
合計 | 11 | 0 | - | - | - | 11 | 0 | |||||
シュトゥットガルト | 2018-19 | 12 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | 12 | 0 | ||
2019-20 | 12 | 1 | 1 | 0 | - | - | 13 | 1 | ||||
2020-21 | 26 | 0 | 2 | 0 | - | - | 28 | 0 | ||||
2021-22 | 28 | 1 | 2 | 1 | - | - | 30 | 2 | ||||
2022-23 | 25 | 2 | 3 | 0 | - | 2 | 0 | 30 | 2 | |||
2023-24 | 2 | 0 | - | - | - | 2 | 0 | |||||
合計 | 105 | 4 | 8 | 1 | - | 2 | 0 | 115 | 5 | |||
アヤックス | 2023-24 | 16 | 0 | 0 | 0 | 9 | 0 | - | 25 | 0 | ||
トリノ (期限付き移籍) | 2024-25 | 18 | 0 | 1 | 0 | - | - | 19 | 0 | |||
キャリア通算 | 182 | 4 | 15 | 1 | 12 | 0 | 2 | 0 | 211 | 5 |
※ヨーロッパ大会における出場記録は、UEFAチャンピオンズリーグ、UEFAヨーロッパリーグ、UEFAヨーロッパカンファレンスリーグでの合算。
※その他にはブンデスリーガ入替戦での出場が含まれる。
4.2. 代表統計
代表チーム | 年 | 出場 | 得点 |
---|---|---|---|
クロアチア | 2021 | 5 | 0 |
2022 | 8 | 1 | |
2023 | 5 | 0 | |
2024 | 8 | 1 | |
合計 | 26 | 2 |
:クロアチアの得点を先に記載。得点欄はソサのゴール後のスコアを示す。
5. 獲得タイトルと個人成績
5.1. クラブ
- プルヴァHNL: 2015-16シーズン、2017-18シーズン (2回)
- クロアチア・カップ: 2015-16シーズン、2017-18シーズン (2回)
5.2. 代表
- FIFAワールドカップ: 3位 (2022年)
- UEFAネーションズリーグ: 準優勝 (2022-23シーズン)
5.3. 個人
- 2015 UEFA U-17欧州選手権: 大会ベストイレブン (2015年)