1. 生い立ちと背景
ミカエラ・パルムリドは、スウェーデンとアメリカ合衆国での教育を通じて、ゴルフの才能を開花させた。
1.1. 出生と幼少期
パルムリドは1980年9月22日にスウェーデンのヨーテボリで生まれた。幼少期には、スウェーデンのイェーテボリ・ヘグレ・サムスコラ(Göteborgs Högre Samskola)と、アメリカ合衆国アリゾナ州スコッツデールにあるチャパラル高校で教育を受けた。
1.2. 学歴
1999年から2003年まで南カリフォルニア大学に在学し、経済学を専攻した。この期間中、彼女は大学の女子ゴルフチームであるUSCトロージャンズ女子ゴルフチームの一員としてプレーし、学業とゴルフの両面で優れた成績を収めた。
2. アマチュア経歴
パルムリドはプロ転向前、数々のアマチュア大会で顕著な成績を収め、その才能を広く知らしめた。
2.1. 初期アマチュアの功績
1997年にはスウェーデン高校選手権で優勝し、翌1998年には北欧ジュニア選手権とティーンツアー選手権で優勝を飾った。また、欧州女子ゴルフツアー(LET)の大会においても、1999年のクライスラー・オープンでローアマチュア(アマチュア選手の中で最高成績)となり、コンパック・オープンでは1999年から2002年まで4年連続でローアマチュアの栄誉を獲得した。
2.2. 大学ゴルフキャリア
南カリフォルニア大学在学中、彼女はUSCトロージャンズ女子ゴルフチームの主力選手として活躍した。特に2003年には、NCAAディビジョンI女子ゴルフ選手権でチームを優勝に導くとともに、個人戦でも優勝を果たすという快挙を達成した。この功績により、彼女とチームはホワイトハウスに招待され、当時のジョージ・W・ブッシュ大統領と面会した。大学在学中に計5つの大学トーナメントで優勝し、2003年にはカレッジゴルフ界で最も優れた女子選手に贈られるホンダ・スポーツ・アワードを受賞した。その卓越した功績が認められ、2013年には全米ゴルフコーチ協会(WGCA)プレイヤーズ・ホール・オブ・フェームに殿堂入りを果たした。
2.3. ナショナルチームでの活動
パルムリドはスウェーデンナショナルチームの一員としても国際舞台で活躍した。2001年にはスペインで開催された欧州女子チーム選手権でスウェーデンチームを優勝に導いた。続く2003年の同選手権では、ドイツフランクフルトで決勝に進出し、スペインに4.5対2.5で敗れたものの、銀メダルを獲得した。2002年にはクリスティアンスタッド・ゴルフ・クラブで開催された欧州女子アマチュア選手権で10位に入賞。また、マレーシアで開催された2002年エスピリト・サント・トロフィーでは、スウェーデンチームとして8位の成績を収めた。
3. プロ経歴
2003年にプロ転向して以降、パルムリドはLPGAツアー、欧州女子ゴルフツアー、そしてスウェーデンゴルフツアーで活動し、数々の実績を積み重ねた。
3.1. プロ転向とLPGAツアー
パルムリドは2003年にプロに転向し、LPGAツアーのクオリファイングスクール(Qスクール)を経て、2004年シーズンの出場権を獲得した。彼女は2004年から2010年までLPGAツアーでプレーし、2006年のLPGA選手権で初めてメジャー大会の予選を通過し、初日に69のスコアを記録して最終的に54位タイで終えた。2009年のジェイミー・ファー・オーウェンズ・コーニング・クラシックでは、キャリアベストとなる8位タイを記録し、第3ラウンドでは自己ベストの62(9アンダー)という驚異的なスコアを叩き出した。
3.2. 欧州女子ゴルフツアー (LET)
2011年に欧州女子ゴルフツアー(LET)に参戦し、2012年と2013年には特に好成績を収めた。2012年にはUNIQAレディース・ゴルフ・オープンでキャロライン・ヘドウォールに次ぐ準優勝を果たし、ISPSハンダ・レディース・ブリティッシュ・マスターズで3位タイ、ドイツ銀行レディース・スイス・オープンで4位タイに入った。惜しくも優勝には手が届かなかったが、LETでの最後のシーズンとなった2013年には、スペイン女子オープンでリー=アン・ペースに1打差で敗れながらもキャリアベストとなる準優勝を記録した。この年のシーズンランキングでは12位となり、スウェーデン人選手の中では最高位をマークした。
2013年の全英女子オープンでは、セント・アンドリュース・オールドコースを舞台に、初日に69、2日目にも69を記録し、週末に向けて単独7位という好位置につけた。しかし、強風のコンディションに苦戦し、最終的には36位タイで大会を終えた。
3.3. スウェーデンゴルフツアー
パルムリドはスウェーデン国内のツアーでも活躍し、2013年にはスウェーデンゴルフツアーのヨーテボリ大会であるデルスヨー・レディース・オープンで優勝を果たした。さらに翌2014年には、この大会でタイトルを防衛し、2連覇を達成した。
| No. | 日付 | トーナメント | 優勝スコア | パーとの差 | 優勝差 | 準優勝 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2013年6月16日 | デルスヨー・レディース・オープン | 73-74-67=214 | -2 | 3打差 | リナ・ボクヴィスト |
| 2 | 2014年6月19日 | デルスヨー・レディース・オープン | 72-72-69=213 | E | プレーオフ | エマ・ウェスティン |
4. 主要選手権およびチームイベント
パルムリドは、主要なメジャー選手権や国際チーム競技にもスウェーデン代表として出場し、その実力を示した。
4.1. LPGAメジャー選手権結果
LPGAメジャー選手権におけるパルムリドの成績は以下の通りである。
| トーナメント | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ANAインスピレーション | CUT | |||||||||
| 全米女子オープン | CUT | |||||||||
| 全米女子プロゴルフ選手権 | T54 | CUT | CUT | |||||||
| 全英女子オープン | CUT | CUT | CUT | CUT | T36 |
- CUT = 予選落ち
- T = タイ(同順位)
- 背景が灰色(#eeeeee)のセルは不参加または開催なしを示す。
4.2. 国際チーム競技への参加
パルムリドはアマチュア時代からスウェーデン代表として国際チーム競技に参加し、プロ転向後もその経験を活かした。
- アマチュア**
- 欧州女子チーム選手権(スウェーデン代表):2001年(優勝)、2003年
- エスピリト・サント・トロフィー(スウェーデン代表):2002年
- プロフェッショナル**
- インターナショナル・クラウン(スウェーデン代表):2014年
2014年のインターナショナル・クラウンでは、パルムリドはアンナ・ノルドクビスト、キャロライン・ヘドウォール、ペルニラ・リンドベリと共にスウェーデン代表として出場した。この大会は彼女が2013年シーズンを最後にツアーから引退した後、一時的に復帰して出場したものであり、妊娠6ヶ月という状況でありながらもプレーを続けた。チームはスペインに次ぐ2位で大会を終え、準優勝に貢献した。
5. 受賞歴と栄誉
パルムリドはゴルフキャリアを通じて、その功績が認められ、数々の賞と栄誉を受けている。
5.1. 主要受賞歴
- ホンダ・スポーツ・アワード**(2003年):大学ゴルフ界で最も優れた女子選手に贈られる賞。
- PGAオブスウェーデン・フューチャーファンド・アワード**(2004年)
- WGCAプレイヤーズ・ホール・オブ・フェーム**(2013年):全米ゴルフコーチ協会による殿堂入り。
6. 引退
パルムリドは2013年シーズンを最後にツアー競技から引退した。しかし、2014年のインターナショナル・クラウンではスウェーデン代表としての出場資格があったため、一時的に復帰し、妊娠6ヶ月の状態で大会に出場した。この大会が彼女のプロとしての最後の公式戦となった。
7. 功績と影響
ミカエラ・パルムリドのキャリアは、スウェーデンゴルフ界に大きな影響を与えた。彼女はアマチュア時代から国際舞台で活躍し、特に大学ゴルフでのNCAA優勝やホンダ・スポーツ・アワード受賞は、後進の若手ゴルファーに大きな目標とインスピレーションを与えた。プロ転向後もLPGAツアーや欧州女子ゴルフツアーで安定した成績を残し、スウェーデン人選手としての存在感を示した。
特に、2014年のインターナショナル・クラウンで妊娠中にもかかわらず国を代表してプレーしたことは、そのプロフェッショナリズムとゴルフへの献身を示すものとして、同僚選手やメディアから高く評価された。彼女の功績は、スウェーデンにおける女子ゴルフの発展に貢献し、多くの人々に勇気と感動を与えた。