1. 生い立ちとユース時代
原川力は1993年8月18日に山口県山口市で生まれた。幼少期からサッカーを始め、レオーネ山口(現・レノファ山口FCアカデミー)のジュニアユースチームに所属していた。小学校2年生から6年生にかけては、後に2012 FIFA U-20女子ワールドカップ日本代表となる田中陽子も同じレオーネでプレーした幼馴染である。
中学校時代は山口市立鴻南中学校に通い、サッカー部に所属。同級生の久保裕也とはチームこそ違ったものの、中学校の校庭や隣接する維新百年記念公園で共に朝練に励む間柄であった。中学3年時の2008年には、高円宮杯第20回全日本ユース(U-15)サッカー選手権大会に初出場し、中心選手としてチームをベスト4に導いた。また、同年のチャレンジ! おおいた国体サッカー少年男子競技にも、久保と共に山口県代表として出場した。
2009年、鴻南中学校を卒業後、久保と共に京都サンガF.C.U-18に入団し、ユース年代でのキャリアを続けた。
2. クラブ経歴
原川力はプロキャリアにおいて、複数のJリーグクラブでプレーし、それぞれのチームで重要な役割を担ってきた。
2.1. 京都サンガF.C.
2011年シーズンには京都サンガF.C.に2種登録選手としてトップチームに帯同し、翌2012年には正式にトップチームへ昇格した。プロデビューは同年7月22日のJ2リーグ第25節愛媛FC戦で、後半33分から出場した。
2014年に愛媛FCへの期限付き移籍を経験した後、同年12月に京都サンガF.C.への復帰が発表された。復帰後の2015年シーズンは、J2リーグ戦と天皇杯を合わせて32試合に出場した。
2.2. 愛媛FC
2014年1月、出場機会を求めて愛媛FCへ期限付き移籍した。この移籍期間中にリーグ戦32試合に出場し、同年7月26日のコンサドーレ札幌戦でプロ初得点を記録した。
2.3. 川崎フロンターレ
2015年12月24日、川崎フロンターレへの完全移籍が発表された。2016年シーズンは活躍が期待されたものの、大島僚太やエドゥアルド・ネットといったチーム内の競争が激しく、スタメンに定着することは難しかった。風間八宏監督の戦術理解に苦労する中、サイドバックでのプレーなど新たな挑戦も試みたが、シーズンを通しての出場機会は限られたものとなった。川崎でのリーグデビューは2016年4月10日のサガン鳥栖戦だった。
2.4. サガン鳥栖
2017年1月4日、サガン鳥栖へ期限付き移籍することが発表された。同年2月25日のJ1リーグ開幕戦の柏レイソル戦では、フリーキックから移籍後初得点を挙げた。さらに3月11日に行われた第3節のサンフレッチェ広島F.C.戦でも、ホームでの2戦連続となるフリーキックからの得点を決め、その精度を見せつけた。同年12月9日には、期限付き移籍から完全移籍でサガン鳥栖に加入することが発表され、主力選手として活躍を続けた。
2.5. セレッソ大阪
2020年12月27日、セレッソ大阪への完全移籍が発表された。セレッソ大阪でのリーグデビューは2021年2月27日の柏レイソル戦で、同年3月6日のFC東京戦で初得点を挙げた。しかし、所属期間中は負傷に悩まされることが多かった。
2023年シーズンには、奥埜博亮や鈴木徳真がボランチのレギュラーを務める中、新加入の香川真司がボランチとして新たな持ち味を発揮したことや、喜田陽が出場機会を増やしたことにより、鈴木と共にチーム内での序列が低下した。
2.6. FC東京
2023年7月24日、FC東京への期限付き移籍が発表された。FC東京でのリーグデビューは同年8月9日の横浜F・マリノス戦であった。同年10月1日のガンバ大阪戦では移籍後初得点を記録し、その後は先発に定着するなど存在感を示した。この活躍が評価され、2023年12月18日には2024年シーズンからのFC東京への完全移籍が発表された。
2.7. 柏レイソル
2025年1月6日、柏レイソルへ完全移籍で加入することが発表された。
3. 代表経歴
原川力は各年代のサッカー日本代表に選出され、国際大会での経験を積んできた。
3.1. ユース代表
- U-21日本代表**
2014年1月、オマーンで開催されたAFC U-22アジアカップ2013に出場するU-21日本代表に急遽追加招集された。この大会で3試合に出場し、初陣となったイラン戦では、2016年リオデジャネイロオリンピック出場を目指す手倉森誠監督率いるチームにとっての第1号ゴールを決めた。また、2014年アジア競技大会にも出場した。
- U-23日本代表**
2016年、リオデジャネイロオリンピック出場権がかかるAFC U-23選手権2016(カタール)に招集された。特に準決勝のU-23サッカーイラク代表戦では、1-1の同点で迎えた後半アディショナルタイムに、南野拓実のクロスが相手ゴールキーパーに弾かれたこぼれ球をペナルティエリア外で拾い、左足でミドルシュートを放ちゴールに突き刺した。この得点が日本にとって6大会連続となるオリンピック出場を決める決勝点となり、大きな注目を集めた。
同年7月には、リオデジャネイロオリンピックの代表登録メンバーに選出された。本大会では初戦のナイジェリア戦に先発出場したが、残りの2試合は出場機会がなく、チームはグループリーグ敗退となった。
- その他のユース代表**
U-16日本代表、U-18日本代表(AFC U-19選手権2012予選)、U-19日本代表、U-20日本代表(2013年東アジア競技大会)、U-22日本代表(AFC U-23選手権予選)、トゥーロン国際大会、キリンチャレンジカップなど、様々な年代別代表での経験を持つ。
3.2. A代表
2021年3月18日、国際親善試合韓国代表戦およびFIFAワールドカップ2022カタールアジア2次予選兼AFCアジアカップ中国2023予選モンゴル代表戦のメンバーとして日本代表に初選出された。しかし、怪我のため残念ながら不参加となった。
4. 個人成績
クラブおよび代表チームでの年ごとの出場試合数、得点、アシストなどの個人記録を以下に示す。Jリーグ・アンダー22選抜での出場も含まれる。
クラブ | シーズン | リーグ | カップ戦1 | リーグカップ戦2 | 国際大会3 | その他4 | 通算 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | ||||
京都サンガF.C. | 2012 | 3 | 0 | 0 | 0 | - | - | - | 3 | 0 | |||||
2013 | 7 | 0 | 1 | 0 | - | - | - | 8 | 0 | ||||||
愛媛FC | 2014 | 32 | 1 | 0 | 0 | - | - | - | 32 | 1 | |||||
Jリーグ・アンダー22選抜 | 2014 | - | - | - | - | 1 | 0 | 1 | 0 | ||||||
京都サンガF.C. | 2015 | 29 | 0 | 3 | 0 | - | - | - | 32 | 0 | |||||
Jリーグ・アンダー22選抜 | 2015 | - | - | - | - | 0 | 0 | 0 | 0 | ||||||
川崎フロンターレ | 2016 | 4 | 0 | 2 | 0 | 2 | 0 | - | - | 8 | 0 | ||||
サガン鳥栖 | 2017 | 33 | 7 | 1 | 0 | 2 | 0 | - | - | 36 | 7 | ||||
2018 | 29 | 2 | 3 | 1 | 1 | 0 | - | - | 33 | 3 | |||||
2019 | 31 | 4 | 3 | 1 | 2 | 0 | - | - | 36 | 5 | |||||
2020 | 28 | 3 | 0 | 0 | - | - | - | 28 | 3 | ||||||
セレッソ大阪 | 2021 | 26 | 2 | 4 | 0 | 3 | 0 | 5 | 0 | - | 38 | 2 | |||
2022 | 18 | 0 | 6 | 0 | 1 | 0 | - | - | 25 | 0 | |||||
2023 | 7 | 0 | 5 | 0 | 2 | 0 | - | - | 14 | 0 | |||||
FC東京 | 2023 | 10 | 1 | 2 | 0 | - | - | - | 12 | 1 | |||||
FC東京 | 2024 | 25 | 1 | 4 | 1 | 2 | 1 | - | - | 31 | 3 | ||||
柏レイソル | 2025 | ||||||||||||||
J1通算 | 211 | 20 | 29 | 2 | 15 | 2 | 5 | 0 | - | 260 | 22 | ||||
J2通算 | 71 | 1 | 4 | 0 | - | - | - | 75 | 1 | ||||||
J3通算 | - | - | - | - | 1 | 0 | 1 | 0 | |||||||
総通算 | 282 | 21 | 33 | 2 | 15 | 2 | 5 | 0 | 1 | 0 | 336 | 25 |
- 1天皇杯を含む。
- 2Jリーグカップを含む。
- 3AFCチャンピオンズリーグを含む。
- 4Jリーグ・アンダー22選抜を含む。
- Jリーグ初出場 - 2012年7月22日 J2第25節 愛媛FC戦 (西京極)
- Jリーグ初得点 - 2014年7月26日 J2第23節 コンサドーレ札幌戦 (ニンスタ)
- J1リーグ初得点 - 2017年2月25日 J1第1節 柏レイソル戦(ベアスタ)
5. タイトル
原川力は選手キャリアにおいて、以下の個人およびチームタイトルを獲得している。
- U-23日本代表**
- AFC U-23選手権: 2016年
- 京都サンガF.C.**
- J2リーグ: 3位 (2012年、2013年)
- 川崎フロンターレ**
- J1リーグ: 準優勝 (2016年)
- 天皇杯: 準優勝 (2016年)
6. 人物
原川力は既婚者であり、二児の父でもある。2014年3月18日、大阪府出身の一般女性と結婚した。同年8月には第一子となる長女が、2017年5月には第二子となる長男が誕生している。
また、幼少期からの友人関係も知られており、田中陽子とは小学校時代に同じサッカークラブでプレーした幼馴染である。中学校の同級生には、同じくプロサッカー選手である久保裕也がいる。
