1. 概要
塩谷司は、徳島県小松島市出身のプロサッカー選手であり、主にディフェンダーとして活躍しています。水戸ホーリーホックでプロキャリアをスタートさせた後、サンフレッチェ広島でJリーグ優勝に貢献し、日本代表としてもプレーしました。そのプレースタイルは、対人の強さに加え、攻撃的なパスセンスとパンチ力のあるシュートが特徴です。
2. 個人情報
塩谷司は1988年12月5日に生まれ、日本国籍を持つプロサッカー選手です。身長は182 cm、体重は81 kgで、右利きです。愛称は「ソルティー」や「シオ」と呼ばれています。
2.1. 出生地および成長背景
塩谷司は徳島県小松島市で生まれ育ちました。幼少期は南小松島FC(1996年-1999年)と大松SC(1999年-2001年)に所属し、サッカーを始めました。中学生年代では大塚FCジュニアユース(2001年-2003年)に所属していましたが、当時は全く無名の選手でした。
2.2. 学歴およびユースキャリア
2004年に徳島県立徳島商業高等学校に進学し、高校1年および2年時にはミッドフィルダーとして全国高等学校サッカー選手権大会に出場しました。この選手権での活躍が認められ、国士舘大学からスポーツ特待生としてスカウトされます。
2007年に国士舘大学へ進学し、国士舘大学サッカー部に所属しました。大学では主にボランチや左サイドのミッドフィルダーとしてプレーしていましたが、レギュラーを掴むには至りませんでした。2009年には父親が急逝し、サッカーを辞めて就職を考えていましたが、当時の国士舘大学監督であった細田三二に説得され、思いとどまりました。転機となったのは、2010年に柱谷哲二が国士舘大学のコーチに就任したことです。柱谷の指導によりセンターバックにコンバートされ、レギュラーを獲得するまでに成長しました。大学卒業時にはJリーグクラブからのオファーはなく、唯一JFLのSAGAWA SHIGA FCから声がかかる程度でした。
3. プロキャリア
塩谷司は、Jリーグの水戸ホーリーホックでプロとしてのキャリアをスタートさせ、その後サンフレッチェ広島での活躍を経て、アラブ首長国連邦のアル・アインFCでプレーし、再びサンフレッチェ広島に復帰しました。
3.1. 水戸ホーリーホック
2011年、国士舘大学で指導を受けた柱谷哲二が水戸ホーリーホックの監督に就任したことを機に、塩谷は水戸への入団を決意しました。水戸は前年に主力選手が大量に退団しており、大学出身の新人選手を多く獲得していました。その中で塩谷はレギュラーに抜擢され、開幕戦からスターティングメンバーとして出場。シーズン中にはディフェンスラインのリーダーに成長しました。
特に北関東ダービーでは3試合でゴールを決め、「ダービー男」と呼ばれました。第91回天皇杯全日本サッカー選手権大会では、ガンバ大阪との対戦で水戸のJ1勢に対する初勝利に貢献しました。2012年シーズンも水戸の中心選手として活躍を続け、そのパフォーマンスが評価され、大宮アルディージャ、清水エスパルス、サンフレッチェ広島といったJ1クラブから獲得オファーが届きました。最終的に、柱谷哲二がドーハの悲劇時のチームメイトであったサンフレッチェ広島の森保一監督に推薦したことにより、2012年8月にサンフレッチェ広島へ完全移籍しました。
3.2. サンフレッチェ広島 (1期)
サンフレッチェ広島への移籍当初は、森脇良太のバックアップとしてリーグ戦3試合の出場にとどまりました。しかし、2013年に森脇が浦和レッドダイヤモンズへ移籍すると、塩谷は3バックの一角としてスターティングメンバーに定着しました。千葉和彦、水本裕貴と共にディフェンスラインを形成し、リーグ戦全34試合に出場。森脇の穴を埋める以上の活躍を見せ、チームのJ1リーグ連覇に大きく貢献しました。
翌2014年には攻撃参加の精度が向上し、リーグ戦第6節の名古屋グランパス戦までに4ゴールを挙げ、最終的にリーグ戦で6ゴールを記録しました。この活躍により、Jリーグベストイレブンに選出されました。2014年のオフシーズンにはFC東京から獲得オファーがありましたが、「広島からワールドカップに出る」という強い意志のもと、クラブと5年契約を更新しました。2015年には主力としてJ1リーグ優勝を達成し、自身も2年連続でJリーグベストイレブンに選ばれました。
3.3. アル・アインFC
2017年6月15日、塩谷はUAEの強豪クラブであるアル・アインFCへ完全移籍しました。現地メディア『albayan』によると、移籍金は150.00 万 USDと報じられました。同年9月30日、リーグ戦第3節のアル・アハリ・ドバイ戦で移籍後初得点を記録しました。
FIFAクラブワールドカップ2018では、全4試合にフル出場し2得点を挙げ、チーム史上初の準優勝に貢献しました。この2得点のうち1得点はレアル・マドリードから挙げたもので、クラブワールドカップ通算得点も4に伸ばし、2021年大会終了時点で歴代6位タイにランクインしました。2021年6月12日、アル・アインは塩谷の退団を発表しました。

3.4. サンフレッチェ広島 (2期)
2021年10月1日、塩谷はサンフレッチェ広島への加入が発表され、4年ぶりの復帰となりました。背番号は「3」を着用しました。2023年シーズンからは背番号を「33」に変更しています。
4. 代表歴
塩谷司は、年代別代表からA代表まで、日本代表として国際舞台で活躍しました。
4.1. オリンピック代表
2016年6月14日、リオデジャネイロオリンピックに出場するU-23サッカー日本代表のオーバーエイジ枠に選出されました。大会では植田直通と共にセンターバックに入り、グループリーグの全3試合にフル出場しました。しかし、不慣れな4バックのシステム下で植田との距離感が悪く、ビルドアップの場面でもリスクの高いパスを選択するなど、期待に応えきれず、チームはグループリーグ敗退となりました。
4.2. 日本代表
2014年5月、当時のサッカー日本代表監督であったアルベルト・ザッケローニの目に留まり、日本代表キャンプに招集されましたが、この時点でのA代表出場はならず、2014 FIFAワールドカップのメンバーにも選出されませんでした。その後、ハビエル・アギーレ監督体制下の同年10月10日、キリンチャレンジカップのジャマイカ戦でA代表デビューを果たしました。AFCアジアカップ2015や、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督時代の2015年10月の2018 FIFAワールドカップ・アジア予選にも選出されましたが、いずれも出場機会はありませんでした。
2019年1月5日、守田英正の負傷離脱に伴い、AFCアジアカップ2019に臨む日本代表に追加招集され、森保一監督体制下で初の選出となりました。これは3年3ヶ月ぶりのA代表復帰となりました。グループステージ第3戦のウズベキスタン戦では、代表初ゴールを記録しました。このゴールを挙げたスタジアムは、当時所属していたアル・アインのホームスタジアムであるシェイク・ハリーファ国際スタジアムでした。決勝戦となったカタール戦では、遠藤航の負傷の影響で先発出場し、南野拓実の得点の起点となる縦パスを出しましたが、試合は1-3で敗れ、日本は準優勝に終わりました。
5. プレースタイル
塩谷司は、ディフェンダーとして対人の強さに定評があります。また、タイミングの良いスルーパスで攻撃の好機を生み出すパスセンスと、パンチ力のあるシュートも兼ね備えています。センターバックを主戦場としながらも、サイドバックもこなせるユーティリティ性も持ち合わせています。
6. 個人成績
塩谷司のプロキャリアにおけるクラブ別および国際試合での詳細な個人成績を以下に示します。
6.1. クラブ別成績
クラブ | シーズン | リーグ | カップ | リーグカップ | 大陸大会 | その他1 | 合計 | |||||||
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ディビジョン | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | 出場 | 得点 | ||
水戸ホーリーホック | 2011 | J2 | 35 | 3 | 3 | 0 | - | - | - | 38 | 3 | |||
2012 | 25 | 2 | 0 | 0 | - | - | - | 25 | 2 | |||||
合計 | 60 | 5 | 3 | 0 | - | - | - | 63 | 5 | |||||
サンフレッチェ広島 | 2012 | J1 | 3 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | - | 1 | 0 | 5 | 0 | |
2013 | 34 | 3 | 6 | 1 | 2 | 0 | 6 | 0 | 1 | 0 | 49 | 4 | ||
2014 | 32 | 6 | 3 | 1 | 3 | 0 | 8 | 2 | 1 | 0 | 47 | 9 | ||
2015 | J1 | 27 | 3 | 2 | 0 | 4 | 0 | - | 6 | 2 | 39 | 5 | ||
2016 | 30 | 5 | 2 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 1 | 0 | 37 | 5 | ||
2017 | 14 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | - | - | 16 | 0 | ||||
合計 | 140 | 17 | 14 | 2 | 11 | 0 | 18 | 2 | 10 | 2 | 193 | 23 | ||
アル・アイン | 2017-18 | UAEプロリーグ | 18 | 3 | 3 | 0 | 2 | 0 | 11 | 1 | - | 34 | 4 | |
2018-19 | 26 | 4 | 1 | 0 | 6 | 1 | 5 | 1 | 5 | 2 | 43 | 8 | ||
2019-20 | 19 | 2 | 3 | 0 | 7 | 0 | 7 | 0 | - | 36 | 2 | |||
2020-21 | 25 | 2 | 1 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | - | 29 | 2 | |||
合計 | 88 | 11 | 8 | 0 | 17 | 1 | 24 | 2 | 5 | 2 | 142 | 16 | ||
サンフレッチェ広島 | 2021 | J1リーグ | 5 | 1 | - | - | - | - | 5 | 1 | ||||
2022 | 26 | 0 | 5 | 1 | 8 | 1 | - | - | 39 | 2 | ||||
2023 | 27 | 2 | 0 | 0 | 2 | 0 | - | - | 29 | 2 | ||||
合計 | 58 | 3 | 5 | 1 | 10 | 1 | - | - | 73 | 5 | ||||
キャリア通算 | 346 | 36 | 30 | 3 | 38 | 2 | 42 | 4 | 15 | 4 | 471 | 49 |
1FIFAクラブワールドカップ、Jリーグチャンピオンシップ、日本スーパーカップを含む。
6.2. 国際試合成績
日本代表 | ||
---|---|---|
年 | 出場 | ゴール |
2014 | 2 | 0 |
2015 | 0 | 0 |
2016 | 0 | 0 |
2017 | 0 | 0 |
2018 | 0 | 0 |
2019 | 5 | 1 |
合計 | 7 | 1 |
日本U-23代表 | ||
---|---|---|
年 | 出場 | ゴール |
2016 | 4 | 0 |
合計 | 4 | 0 |
7. 主な成績
塩谷司がプロサッカー選手として獲得した主なクラブタイトルと個人賞は以下の通りです。
7.1. クラブ
- サンフレッチェ広島
- J1リーグ:3回(2012年、2013年、2015年)
- Jリーグカップ:1回(2022年)
- 日本スーパーカップ:3回(2013年、2014年、2016年)
- アル・アイン
- UAEプロリーグ:1回(2017-18)
- UAEプレジデントカップ:1回(2017-18)
7.2. 個人
- Jリーグベストイレブン:3回(2014年、2015年、2016年)
- Jリーグ月間MVP:1回(2014年3月)
- Jリーグ優秀選手賞:1回(2015年)